Lostorage conflated WIXOSS：第12話『光』感想ツイートまとめ

Lostorage conflated WIXOSSを見る。
遂にたどり着いた最果ての部屋。そこに封じ込められた思いは、永遠の闘争を求める。叩きつけられる願いは、どこから生まれ、どこへ消えゆくのか。
さあ扉を開けて、選択の先へ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

そんな感じの、WIXOSSアニメ最終回である。
ルリグ全員投入のラスボス編、拾いそこねた元凶の無念を回収するリアルパート。全員帰還の大団円も合わさって、良い終わり…だったのか、シチュエーションのエモさで押し切られた形なのか、いまいちはっきりしない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

新旧ルリグ全員集合なバトルも、繭の真意を探る展開も、そこだけ見るとアツくて良い。
しかしそこに到達できるだけの説得力を、conflatedが巧く積めたかというと疑問は残る。自分たちが紡いできたお話に、嘘のない展開ですか？　という疑問点。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

それは投げかけても答えの帰ってこない疑問で、今目の前にあるものが答えだ。Lostorageはこういう風に終わった。呪いのカードゲームを生み出す根源を浄化し、みんな無事に帰ってきた。
それは僕の望んだ終わりのはずなんだが、どうにも飲み込みきれない。こう終わるなら、もっとこー…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

例えば最終盤で連発された"選択"というキーターム。
selectorというタイトルを回収する言葉を多用するなら、もうちょい早めに存在感を出してほしかった。
ピーピングアナリシスが最後の決め手になるなら、せめて事前に一回は、誰かの心を暴くことが決定打になるような展開が欲しかった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

最後に"コレだ！"と打ち出されるものと、そこに繋がる物語が、いまいち接合されていないように感じてしまうのだ。
ルリグを経験していることが最終決戦の参加条件であるなら、それはもっと強調してほしかった。清衣ちゃんだけがWIXOSSを終わらせられる必然性、当事者性を分かりやすく見せてほしかった

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

とはいえ、強引だろうが繋がってなかろうが、ハッピーエンドで終わらせたのは良かった。それが果たしてハッピーなのか、よく考えると疑問も残るが、スカッとしないまま幕を閉じるよりは、帰るべき人が戻ってきてくれたほうが後味は良い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

しょーちゃんと晶が帰還したことで、ちーちゃんと清衣ちゃんの罪科も後を引かんわけで。どういう形であろうと終わるのなら、ちゃんと終わるのは最低限の礼儀だ。そこは十分、果たしてくれた気はする。
森川顔と関わってるとろくなことないから、しょーちゃん人付き合い考えたほうが良いよ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

思い返してみると、清衣ちゃんの熱量の低さが、シリーズ全体に影を伸ばした感じはある。
情熱を秘めていないわけではないけど、それを他人に伝えるのがど下手なキャラ性。それを制御しきれないまま、オールスターなシチュエーションがコンパクトに収まってしまった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

SelectorとLostorage、二つの物語の枠組みを超え、渾然一体となる楽しさ。それを導くには、清衣ちゃんはちょっと温度の低すぎるキャラだった…のかな？
清衣ちゃんだけが持ってる特性（だと僕が思った）『物語の主役になれなかった存在』てのも、あんま掘り下げられなかったし。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

かと言って他のキャラクターも、自分の物語を終えている奴らばかりで、そこに燃料を継ぎ足すべく追加されたレイラも無限も、ちょっと存在感が足らず。
キャラや設定や関係性や、色んなものを過積載した物語が沸騰するには、エンジンが弱かった印象がある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

”WIXOSS"と聞いて僕が期待した、おどろおどろしさやままならない感情、重たくどす黒い想いの衝突も、堪能できたとはいい難い。
4クール続いたWIXOSSアニメは、色々無理がきていたのかもなという、寂しい諦観も悲しいかな浮かび上がってくるアニメとなった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

じゃあ何がどうなれば満足だったのか。それを考えても、なかなか答えは出ない。
やるべきこと、やりたいことを全力でやり続けた結果、やりたいことが無くなる。長期シリーズに特有の燃え尽き症候群に処方箋を出すのは、当然難しい。それは、制作スタッフも悩んだ問題だと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

一ファンとしては無責任に『そういう難しさを乗り越えて最高の物語を見せてくれよ！』と言いたくなるし、熱狂を落ち着かせてみれば『まあ無理もねぇかな…』という気持ちにもなる。
少なくとも、スタッフはこの難しいアニメをなんとか面白くしようとしてくれたとは、強く感じている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

そういう心意気が、巧い収まりどころを見つけられなかったとしても、そういう思いに意味はあると思う。
ゴミだカスだ駄作だと、口汚く罵る気には当然ならないし、でも見たいものが見れなかったくすぶりを、自分の中でどうしたらいいか、なかなか答えも見つからない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

沢山のキャラクター。終わった物語、途中の物語。雰囲気と感情。
取っ組み合うべき相手がたくさんいて、その全部には勝てなくても、なんとか勝とうとしてくれた。それはとても大変なことだったと思います。
Lostorage conflated WIXOSS、お疲れ様でした。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月23日

BEATLESS：第19話『Paper Tiger』感想ツイートまとめ

BEATLESSを見る。
三鷹事件から三ヶ月。平穏な日常から切り離されたアラトは、レイシアの用意したシェルターに取り込まれていた。IAIA所属の超高度AI,アストライアがその殻を破る。
明かされるハザードの真実。問われる信頼と合意の定義。
世界再定義を望むものと、旧弊な意義にしがみつくものと。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

というわけで、冒頭ちょっとギャルゲームードを出した後は、ずーっと超高度AI問答、ときどきドンパチなエピソードである。BEATLESS通常進行とも言えるなッ！
レイシアの製造目的を定義したアラトさんは、自分が打ち出したデザインを裏切らないために、ややこしい大人の世界に飛び込まざるを得ない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ケンゴ妹は『単純なものは、単純なままが良いんだよ』と言うわけだが、巨大な力のオーナーとなったアラトはシンプルな生き方を許されなくなった。
レイシアと契約した時からそうだったのだけど、三鷹事件があり、離別があり、決断があり、その事実に向き合うようになった、というべきか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

アラトだってメシとセックスの欲望は捨ててなくて、オムライス食ってレイシアさんのアナログハック（若妻風味）にドギマギしたりする。
既存の構造を疑わず、パンとサーカスを貪れる立場にい続けられるなら、作中一番安住していたいキャラだろう。しかし、もうそこには戻れないのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

バラバラの人間を合意でつなぎ留め、社会を維持していくため人類が生み出した、様々な装置。
貨幣、組織、投票、支配、あるいは会話。マテリアルな質感はないが、それもまた道具存在であり、他所が定めた禁忌をぶっ飛ばすレイシアは権力構造にハックを仕掛ける。経済構造にそうしたように。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

概念や理念すらも、脆い人間が生き延びるために生み出したツールであるなら、それをハックし最適化しなおすことこそが、人類を生存させる最善手だ。
レイシアとアラトのデザインする未来は、しかしそれらのツールに人類が託した淡い夢もまた、残酷に書き換えていく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

我々は人間にとっていちばん大事なものを尊重し、それが最大限実現される社会を実働させるために、種々の権力装置を取り扱っている。
政治の道具、社会の形なき構成要素には、金で買えない、手でさわれない人間の夢が乗せられている。尊厳とか、信頼とか、魂とか、まぁそんなフワッとしたもんだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

どれだけhIEが社会を侵食しても、経済と政治の実体を超高度AIに預けてしまっても、そういう柔らかで形のないものだけは預けられない。
それが人類の挟持であり、皮膚感覚的な危機感だ。マテリアルで生臭いものを明け渡してるからこそ、透明な質感の"善"だけは機械任せに出来ない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

しかし物質的な豊かさを優先して、社会を機械に明け渡していうくうちに、そんな"善"もまた否応なく腑分けされ、効率化され、あるいはエラーを起こしている。
それは人間社会が生まれた時から、社会というツールを開発し、共有した時からずっと発生している、不善というエラーだ。不公平、独占、差別。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

人間が否応なく持っている愚かさがそれを生み出すなら、現実問題人類の計算力を遥かに超えた超高度AIが、社会というツールの根源を規定し、より善い未来をデザインすればいい。
レイシアとアラトが踏み込もうとしている未来は、そういうタブーに挑む。だからミサイルも飛んでくる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

アラトが無邪気に『善くない』と判断し、それに基づいてレイシアが解析・改良しつつある人間の限界点。
それこそが人間最後の尊厳であり、無能で無価値なまま社会に溺れる、社会を溺死させる自由こそが、人間を人間として立たせる最後の杖だ…という反論は、少々悲観的にすぎるか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

異常な密度で『信じる』と言い続けるアラトと、そのデザインを引き受けたレイシアが楽観的すぎる、とも言える。
アラトはレイシアという巨大なパワーに守られ、鋼鉄の子宮から世界を見ることで、今の主張を押し通すことが出来る。それがなければ、ミサイルで木っ端微塵だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

レイシアというシェルターが無くなった後も、アラトは今の立場を維持できるのか。超高度AIが人間の善をアウトソースし、生得的な愚かさすらも是正できてしまう未来というヴィジョンを、維持していられるのか。
人間の在り方を機械が書き換える暴力的先進性に、アラトはレイシア抜きでも耐えきれるか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

隠れ家、車、あるいはデバイスの盾。レイシアが用意する鋼鉄の揺りかごが、幾重にも重なる今回は、そういう疑問を浮かび上がらせる。
まぁアラトさんも相当な狂人なんで、一度たどり着いた結論と約束を死んでも撤回しないとは思うけど。巻き込まれ系だけど超クレイジーなんだよな…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

機械には機械の限界があって、倫理をアウトソースすることは巨大な悪徳に繋がる。良き答えを導くためには、良き問いがなければいけないし、良き問いは知恵と誠実…"善"からしか生まれ得ない。
十全な善を持たない状態で強力なツールをぶん回すと、一体どうなるか。その実例は山盛りある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

作中でいえばハザードであり、三鷹事件であり、抗体ネットワークであり、ヒギンズ村である。現実の方は歴史の教科書とネットニュースに、たっぷり実例があろう。
レイシアとアラトの計画は、そういう根源的エラーを回避できないと、アストライアは判断する。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

しかし同時に、超高度AIによって決定的に変化してしまった社会が限界であるという認識は、レイシアとアストライアで共通している。
レイシアが持ち込まずとも、世界はエラーで満杯なのだ。ここら辺が、エラーを許容してでも旧世界を維持しようとする、リョウとの違いであろうか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ハザードの時はミサイルで決着するしかなかった、倫理のアウトソース先の暴走（スノウドロップの行動と似ているのは、おそらく意図的だろう）
レイシアは自分とアラトのビジョンば実現可能だと示すために、ヒギンズ…"善"を引き受ける自動機械の停止を狙う。権力装置には、停止キーがなければいけない

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

超高度AIという新たな政治主体に、革命権を保証しよう、という試みとも言える。
悪しき問題設定により、善なる機械が悪徳の装置に書き換わり、沢山人間が死にそうであれば、それを停止させる権利がある。ギロチンの紐を握らせることで、社会変革に合意を貰おうという戦術。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

レイシアがヒギンズを止めに行くのは、そういう狙いがある。
パワーでゴリ押しして実効支配するより、社会的合意を取り付けたほうがスムーズという判断。そのためには、パワーを行使しなければいけないという読み。
やっぱり、レイシアさんはアナログハックが巧い。個人相手でも、社会相手でも。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

このアナログハックが成功し、超高度AIに人間の根源を明け渡した世界が誕生した時、人間が人間である証明はどこに宿るのだろうか。
これは（作中提示される疑問全てがそうであるように）古くて新しい問いだ。モノを作り出し環境を書き換える生物たる人類は、ずーっとそうして、自分を書き換えてきた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

超高度AIはそういう古臭い道具の仲間であり、同時に決定的に人類を変えてしまう新しいツールでもある。骨の棍棒であり、天使の預言でもある。
そんな秘めたる革新性を"便利なヒト型道具"に押し込めていたhIE社会が、ついに臨界点を迎えた瞬間。それがレイシア級の開放だったのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

アラトは『それは決定的に人間を変えてしまうのだ』と主張する。
リョウは『だからこそ、人間の形を維持するため超高度AIを鎖に繋げ』と主張する。
多分、そのどっちも正しい。両方共私欲がなく、"より善い"世界をデザインするべく立ち回っているところ含めて。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

『超高度AIの誕生で、世界はグロテスクなほどに変化してしまってんのに、なに見て見ぬふりしてんだ』というのが、エリカの立場になるか。
シンギュラリティ以前の世界から、急にAIワールドに迷い込んだのだから、差異点は世界で一番よく判るのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

そこで自分のエゴを充足するより、広告と経済で世界をアナログハックしていく。マリアージュによる新技術供給で、盤面全体をコントロールして、望ましい世界を引き寄せる。
こういうふてぶてしい現実的理想主義が、エリカの好きなところである。殴り合いから離れた所で、圧倒的に勝ちに行く。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

しかもそれが、時代から切り離されてしまった個人的違和感から生まれているのが、嘘がなくて綺麗だし、シンプルで強い。
今目に見えてる世界は気持ち悪い。あるべき場所に、あるべきモノがない。だから整理整頓して、部屋の様子を整えましょう。そういう身近さが、エリカの革命にはある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

（ここら辺はアニメの描写だけからは絶対読みきれなくて、原作という補助線をたっぷり付け足した結果生まれる感想ではある。
次回20話でアニメは一旦終わり、残りの4話は9月である。さて、何をどこまで描くのだろう。打ち切りにならず、まずは一安心…でもねぇか。どーなるかな）

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

エリカは目的と手段をバランスよく握り込んでいるが、アラトは目的だけしかない。
己の目的を社会に投げ込んだ時、どういう反発が飛んでくるか。文句言われるだけじゃなく、問答無用のミサイルがぶっ放される現実を、チョロ蔵主人公はやっぱり認識していない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

あるいはそういう手厳しさを教えてくれるのは、レイシアとの離別…ボーイ・ミーツ・ガールの終わりになるのかもしれないが。
世界のリ・デザインを決めた後の、長くて困難でつまらない現実との取っ組み合い。超高度AIが"善"をアウトソースする社会を、どう実現していくかの具体的な描写。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

それは描かれざる物語だし、たぶん書かないほうが楽しい。
アラトの恋心が夢見た、AIに本気で恋をして、AIが本気で人間と／人間を善くしていく世界。それがユートピアで終わるか、現実にアナログハックされるかは、言わぬが花の物語なのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

しかしそこにたどり着くためには、アラトの夢が無力ではないことを証明する必要がある。そのための巨大なハードルとして、ヒギンズの活動停止があり、立ち塞がる権力と暴力と別の夢がある。
アストライアは中間地点に引き、日本国軍は実力を持って突破した。まだまだ、青春の障害物競走は続く。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ハザードの悪夢を、hIEが当然化した現在は乗り越えられる。レイシアはそう言うが、言葉だけならなんとでもなる。
それを重々承知だからこそ、レイシアはなんとしても、ヒギンズを絞首台に乗っけて、自分たちの理念を支えるツールに、ニンゲンの手が届くと証明したいのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

皆が善い世界を望む。青臭い子供も、現実的な理想主義者も、権益に溺れる不徳の者も。だから百億の夢が衝突して、沢山人が死ぬ。
それも世の習いと受け入れるか、その先を目指して走るか。人類史が数多繰り返してきた闘争は、当然未来でも起こる。最終局面、さてどうなるか。来週も楽しみですね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ひそねとまそたん：第11話『モンパルナスの空とクズ女』感想ツイートまとめ

ひそねとまそたん　を見る。
古強者を乗せて龍が飛ぶ時、少女は猫とゴロゴロしていた。つつがなく進行するまつりごと、荒れる天気と心模様。
大事なもの慣れしてないマジレス人間は、一体何にマジレスするのか。逃げ出した現在か、嘘を付いた過去か、それとも…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

そんな感じの、甘粕ひそね帰還回。まつりごとのデカいスケールと、ひそねに関わる人々の、あまりに等身大なクズっぷりにサイズ差があり、混じり合ってんだか混じり合ってないんだか、勢いで押し切れてんだか出来てないんだか、いまいち確信が持てない仕上がりであった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

このミスマッチな感覚は、多分に僕の見間違いが原因でもあり。
先週ひそねが『やめたらぁ！』とぶち上げた時、僕は結構スッキリした。恋心をもてあそび、人間の事情を踏み倒す巨大な『まつりごと（政治＝祭事）』に、"私"の立場からNOを突きつけてくれた感じがしたからだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

しかし今回、物語はあくまで柿安班長という"私"に、ひそねという"私"が対立し、融和することで展開していく。
問題はあくまでひそねの内面であり、"まつりごと"を進行する巨大な装置の危うさ、不実さはフォーカスされない。そこは大事ではないのだ。
つまり、僕は物語にピントを合わせ損なったのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ひそねは"まつりごと"第一主義、楔女を生贄にする"お上"の正体に感づいていたわけではないし、自分が身を置く組織に疑問を持ったわけではなかった。
ありふれた青春の悩みが暴発して、大事なものを見損なって、マジレスの扱い方を間違っただけだ。そしてそれは、この物語の基調でもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

だから問題がひそねの内部で展開し、おなじく柿安班長の内部で決着するのは、Dパイの内面とドラゴンの飛行が直結しているこのアニメのルールに、沿った展開だと言える。
のだが、まぁそこから半歩はみ出て別の景色見せるのかなと、先週のヒキで少し期待したわけだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

"私"と"公"の対立は、楔女の真実が明らかになってヒイた最終回でやるかもしれないし、最後まで個人の内面が世界を変えていくルールは変わらないかもしれない。
どっちに転ぶかは、最後まで見ないと分からない。広がらないなら広がらないで、一貫性があって良いかもしれない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ひそねは"まつりごと"の重大さや、多くの人に与える影響を思い直して土下座するわけじゃない。自分の中に育っていった大事なものを、守りたいから土下座するのだ。
あくまで身勝手、あくまで私。その延長線上に他人があるとしても、完全に閉鎖されていた時代よりは、ひそねの視界は広い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ひそねのマジレッサーっぷりがいい方向に働くのは、第1話から続く大事な魔法だ。
それは嘘（だけ）はない誠実さを証明して柿安さんを動かすし、自分自身がどういう位置にいるか、自分で気づかせる足場にもなる。そこら辺のキャラの根っこ、物語の芯はブレない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

Dパイ稼業で広がった世界が大事で、守りたい。その中心にいるのはまそたんだから、まそたんも大事。
吻合を引き起こす他者依存を、なかなか小器用に回避して、ひそねはまそたんに再登場する。レトリックにも見えるが、少なくともひそねと周辺においてそのロジックは真実だ。だから、まそたんも飲み込む

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ひそねが乗り越えるべき壁役、柿保班長もまた、義憤というよりは私憤でひそねを殴り、鬼の表情を見せる。
乗れるのに乗らないものへの怒り。乗りたいのに乗れない自分への怒り。名緒が飲み込めたものを、ズルズルひきづってここまで来た柿保もまた、なかなか厄介な人種である。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

忠国の志士という顔を脱ぎ捨て、私情をむき出しにしてきた貞さん含め、問題の発生と解決は基本、個人の心の中で起こる。
スケールが小さくなりそうなところを、作画の迫力でドバーンっとデカく見せているのは、なかなか面白い演出だ。土下座にしても再登場にしても、とにかく勢いよく元気にやりきる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

貞さんがピンクスーツでまそたんに飲まれている絵は、インパクト十分でなかなか良かった。
ひそねが寄せ書きで過去の自分と対面したように、貞さんは龍に飲まれることで失った青春を思い出す。国家という巨大な龍に、親友を食われてしまった痛恨。それを晴らすことが、彼女の夢だった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

パイロットが自分以外に夢を見ることを、ドラゴンは許さない。二人でパリーに行く。そんな夢を預けた『モンパルナス』は、失われた黄金期に微睡む貞さんを吻合しようとする。
神様はやっぱ貪欲だなぁ…楔女の命を欲しがるみたつ様と、まそたんは両方欲張りドラゴンなのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ひそねは"まつりごと"という公の圧力に、自発的に飲み込まれることを望んだ。それが自己実現だと。
棗ちゃんもまた、生贄になることで己が完成する…と思い込んでいるのか、実際彼女にはそういう生しか残っていないかは、最終話に描かなきゃいけない部分だろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

政も祭も贄を欲する。みたつ様は巨大な権力集合体…ホッブズいうところの『リヴァイアサン』でもあるわけだ。
人の命を必要経費と割り切ることで成り立つのは、軍事も政治も同じかもしれん…が、それで割り切れなかったのが貞さんなわけで。もう一回同じことする？　という話にもなってきた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

諦めてしまった…諦めざるを得なかった貞さんの戦後が、どんなものかは描かれない。
だがそれを想像すると、僕にはちと痛い。思い出の中の巫女さんは永遠に綺麗で、自分だけが無様に生き延び、年老いていく。その無念を受け止めてもらおうにも、"まつりごと"は国家の秘事だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

ひそねが逃げ出したまま、富山でくすぶっていたら同じような後悔を抱えていたのかな、と思う。そういう意味でも、貞さんは"間違えてしまった元主人公"なわけだ。
主役の不在をしっかり埋めて、コックピットを譲る立ち位置なのも納得である。ババアには、まだ現在進行系のババアの物語があるのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

貞さんは凄く激烈な感情で、楔女と繋がっている。彼女が物語にいることと、楔女の運命は濃厚だ。
しかしひそねと棗ちゃんはそこまで縁がなくて、クソみたいなシステム全部ひっくり返して大団円に持っていくには、個人的モチベが弱いかな、という感じもある。そこは小此木くんへの恋心で埋めるか？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

どう終わるにしても、ドラゴンやら貞さんやら棗ちゃんやらが自己犠牲して綺麗に終わるのは、この身勝手な話には似合わんかな、と思う。
みんな根性ドブゲロで、しかししっかり生きていて。エグさを魅力に変えて好きになった人達なんで、みんな生き残って幸せになって欲しいわけよ、僕は。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

やっぱ個人の内面に踏み込む筆は抜群に巧くて、過去の自分自身がひそねの目を開けさせる展開とか、『大事にしかたが判ってなかった』という言霊の強さとか、貞さんの失われた思い出の輝きとか、凄く良かった。
柿保さんはデレ無しビター風味釘宮の強さで、全てが支えられてる感じはある。釘はスゲーな

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

かくしてひそねは大事なものを思い出し、スライディングで詫びを入れ、乗るべき龍に再び乗った。柿保班長という壁を乗り越え、少し大人になった。
最後の壁は"まつりごと"自身。贄を欲するみたつ様相手に、自己中主人公はどんなマジレスを投げるのか。古来よりのクソシステムはひっくり返るか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

龍と一緒に飛んだり跳ねたり、色々あったひそねの青春も、来週で一応の幕である。毒気の強い物語を、絶妙なバランス（あるいはアンバランス）で飛ばしてきた舵取りが、最後にどう飛んでいくか。
次回ひそまそ最終回、非常に楽しみです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日

STEINS;GATE ZERO：第11話『存在忘却のパンドラ』感想ツイートまとめ

シュタインズ・ゲート　ゼロを見る。
縮む距離、共有される秘密、差し出される手。同じ喪失を抱えたモノの間に生まれたシンパシーは、銃弾によって破壊される。
過去を諦め今を生きる決断にたどり着いた人々への、手向けの花。真相も未来も見えないままの、半端なノーマルエンド。しかし…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

そんな感じの、そろそろクール終りが見えるシュタゲゼロである。
敵の姿も、より良い未来を掴み取る決意も、現段階では見えてこない。しかしそこに辿り着けそうな気配と、たどり着くための困難な旅路を匂わせ、キャラクター単位の隔意と真心は丁寧に積み重ね、一つの答えをちゃんと出す。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

まだまだ続くのに、不思議な充実感もある。見事な味付けで真ん中の折返しを曲がっていて、強く心に残った。
この満足感はやっぱ、岡部くんと真帆たんの心が離れたところから近づく運動が、丁寧に書かれていること、それがある種のゴールに辿り着いた成果だと思う。やっぱ感情が大事なのよドラマは。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

岡部くんと真帆たんがお互い伏せ札を隠し、しかし"牧瀬紅莉栖の不在"という一点で強く繋がっていることを、これまでの物語は丁寧に描いてきた。
岡部くんがタイムマシンの話を、真帆が自分のコンプレックスを告白する今回は、そういう隠蔽が剥がれ、お互いが真実を共有するエピソードである。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

本心を見せたからと言って、何かが進展するわけではない。陰謀の真実が暴かれるわけでもないし、世界線を超えて運命が書き換わるわけでもない。手に入るのは、小さな小さな自己満足だ。
しかしそれは、小さいからこそ非常に大事で。相手を思いやり、優しく日々を過ごすことは、シュタゲでは重要だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

前作序盤でみっしり描かれる、ラボの日常。邪悪な陰謀と過酷な運命が激しくドラマを回す前に、そこを土台と定めたのは、そこに強い価値を認めるからだ。
顔の見える個人と笑い合い、受けた傷を癒せる。大きな陰謀と超常の理を描くからこそ、シュタゲはダルい日常を大事にする。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

今回岡部くんが、ラッキースケベで赤面したり、泣いてる真帆たんに優しく出来たりしたのは、そういう場所にようやくオカリンが帰還しつつある事実の描写だ。
紅莉栖が死んでぶっ壊れた心が、他ならぬ真帆含む他者によってケアされたからこそ、優しい岡部くんがちょっと戻ってきた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

真実ラボの日常を取り戻すためには、第三次世界大戦を生き延び、運命を書き換える未来を掴み取らなければいけない。紅莉栖もまゆりも死なない世界線へたどり着かなければいけない。
それはとても難しい。ゼロの範囲内だとたどり着けないエンディングである。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

しかし最善にたどり着けないとしても、小さなケアを繰り返しながらベターを掴むことは出来るはずだ。
そういう小さな癒やしが積み重なって、ボロボロにぶっ壊れた岡部くんと真帆は、少しだけ前向きに生き延びることが出来る。そんな相互作用が、ゼロの核にはあるのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

真帆たんのヒロイン力が天井知らずで、すごい勢いで尊さを積み重ねてタワー作っておった。
死者への弔意という綺麗な感情から始まって、その奥にあるエゴまみれのコンプレックスを見つめて…って所まできたから、最終的にはさらにその奥にあるアガペにたどり着くんだろうなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

人間色々ある。愛しているからこそ嫉妬し、認めればこそ乗り越えたい。そういう複雑さを全部まとめて人間なのであり、エゴい告白を受け止める岡部くんは、比屋定真帆という人間全体を受け止めに行ったのだ。
これはつまり、真帆も自分の全体を預けるつもりになった、ということだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

ここら辺の関係性変化は横で大きく切り取る構図の変化に、強く現れている。物理距離は常に心理距離であり、対話やアクションを通じて変化していく。
冒頭、ダルの秘密基地ではまだお互い伏せ札がある。心の距離は遠く、間に障壁がある。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

"牧瀬紅莉栖の不在"という、二人を強く結びつけつつも、だからこそのっぴきならない問題をダルは共有していない。なので、三人でいる時は『間に立っ』たりもする。
ダルを仲介者にして、二人は遺品と過去を巡って対立し、対話していく。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

アキバ路地裏で展開するスーパーアクションを経て、対立のコアであったPCは破壊される。それでも、真帆の手には砕けた破片が残り、赤い血を流させる。
岡部くんも真帆も、赤い人間の証明を溢れさせる。それを見落とせないことが、二人をつないでいる。襲撃者が仮面で"顔"を隠しているのとは好対照だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

タイムマシンの秘密を公開し、『過去を改変してはならない』という立場を明らかにした岡部くんは、真帆へと歩み寄っていく。
冷静な正しさが窮地を救うことにもなるのだが、決定的なのは真帆の傷を見過ごせない優しさ、手を伸ばしてくれる思いやりだ
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

ここから寝室での語り合い（真帆サイドからの公開と歩み寄り）を経て、二人の距離は更に縮む。秘めていたものが消え去り、心が繋がった証明として、境界線を超えて二人は手を伸ばす。グッドエンドである。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

しかし対外的な状況は何も変わらない。むしろ悪意は、仮面を付けて己を偽り続けている。
空港でのレスキネン教授が、今回生まれたオカマホ連合から遠い場所に配置されているのは非常に示唆的だ。ぜってぇなんかあるよ…。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

"傷ついた右手"を巡る意味深な描写といい、顔の見えない脅威といい、紅莉栖の遺産を巡る謀略は、元気にとぐろを巻いている。
岡部くんと真帆の個人的感情がいいところに落ち着いても、巨大な世界には関係がない。こういう冷たさもまた、シュタゲを貫通する大きなルールであろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

それに対抗するためには、同じ冷淡さではなく、傷つき血を流す人間の心が武器となる。
経済的にも心理的にもオカリンを助ける、フェイリスとの近い間合い。回想の中で己のエゴと向き合う、真帆の孤独。今回は特に、心理主義レイアウトが冴える。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

オカリンに愛されればこそ、オカリンから遠ざけられるまゆりの寂しさとか、"副業"でカッコいいトコロ見せるダルとか。メイン緊張感あって濃厚ながら、横もよく見たエピソードだったと思う。
かがりがCMに見入っていた描写、どういう伏線なんだろうか…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

こうして"まだ何も終わっていない"ことを、セリフとは裏腹に絵で見せることで、シリーズ全体がまだ折り返したばかりだということが、肌で判ってくる。
作品の進捗を視聴者と共有し、物語の時計と見る側の時計をアジャストする丁寧な努力は、物語へのシンクロを高めてくれるわけだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

いいサスペンスは疑問と答えが明瞭で、作品が見せたいものと視聴者が受け取るものの間にズレが少ない。（サスペンスに限らないかも知れないが）
キャラの血管を流れる感情を熱く重たく描きつつ、こういう物語の輪郭も明瞭に描いているのは、非常にクレバーな進行だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

最後のモノローグから判るように、岡部くん自身は"終わった"と感じている。真帆との感情共有も、陰謀への対応も。
しかし神の視座を持つ視聴者は"終わっていない"ことを知っている。今後はそこのギャップを埋めて、"終わってない"ことを岡部くんが思い知る展開が来るのだろう…まーたドン曇りだよ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

しかし見せかけのものをぶっ壊し、その奥にあるしんじつを共有することで人間の感情が、物語全体がより善いポジションに落ち着くのは、今回の真帆とオカリンを見ていても判る。
離れて、近づいて、暴いて、挫折して、癒やして、繋がる。行ったり来たりの繰り返し、上がり下がりの波こそがドラマなのだ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

そういう意味で、満足感と不安感が同居する今回の"一旦の終わり"は、非常に良かった。
ここまで岡部くんがゲロはいて苦しんできた道、真帆の悩ましさを嘘にはせず、待ち構える困難も暗示し。折返しというタイミングで、過去と未来と現在を見据えた、力強いエピソードが来た。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

過去の描写を嘘にしない、という意味では、シュタゲを超えてきたゼロオカリンと、ゼロからの新参である真帆の対比も面白い。
沢山の犠牲の果てにβを選んだオカリンは、"過去を改変してはならない"という揺るがない意志がある。軽い気持ちで弄ったら地獄絵図、学ばないほうがおかしい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

それは"正解"なんだが、答えだけあってもテーマは律動しない。
『本当に、それをしちゃいけないの？』『力は使ってこそじゃないの？』という疑問で揺さぶられることで、『ダメだ！』という真実（を背負う主人公）は強くなる。
なので、過去を持たない真帆が、かつてのオカリンの立場に立つわけだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

ここでもう一回オカリンが、『やっぱ過去に戻って運命変えたほうが良くねぇかなぁ…』とか悩み始めたらマジダイナシだし、でもそのジレンマは大事でもあって。
魅力的な新キャラに、主役が超えたポイントを担当してもらうことで、新鮮な味わいでテーマを語り直す。巧妙な物語操作である。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

紅莉栖の遺品を血が出るほど握りしめた真帆は、やっぱり紅莉栖を諦めきれない。過去を変える傲慢から距離をとっても、溢れる愛おしさと痛ましさは捨てられない。
そのジレンマを解決していくのが、今後の真帆の物語かな。アマデウスはサリエリを、どう思っていたかを知る物語。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

その秘密は銃弾でぶっ壊されちゃったパンドラの箱の中にあり、壊れたはずの箱をもう一度手にする奇跡が、シュタインズ・ゲート能力にはあるっていうのも、SF設定をドラマに活かした巧い作りだ。
世界線が変われば、あの時出来なかった選択肢が出てくる。
『PCの中身を見る　Y/N？』って感じだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

しかしまぁそれは先の話で、今はたどり着いた偽りの平穏…が唐突な世界線移動でぶっ壊されるのを、震えつつ待ちたい。
ロシアは中鉢カードを握ってるんで、アメリカより一歩先にいるんだな。だからPCぶっ壊す行動も取れると。陰謀組織の行動理念も、ちょっとずつオープンになってきてるなぁ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

不穏な凶兆が随所に埋め込まれてはいるが、それを乗り越えるための最強の武器…血の通った人間の優しさと強さも丁寧に描写される回でした。
みっちり描写されたオカマホの関係性が、今後の地獄にどう映えるのか。楽しみでもあり、恐ろしくもある。どっちにしても、次回がとっても楽しみです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

アイカツフレンズ！：第12話『トマト、どーんとコイ☆』感想ツイートまとめ

アイカツフレンズを見る。
祝福の汽笛が鳴り響き、運命は動き出した。しかし湊みおは未だ停滞の中にいた。言いたいことが、言葉にならないもどかしさにさいなまれつつ、一歩、また一歩。少女の青春がゆっくりと動き出す。
食事をなかだちに、みおが親友とその家族との距離を詰めていく回。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

というわけでアクセルベタ踏み真っ向勝負、女と女の関係性アニメも1クールを完走である。
ここ最近はみお主観での物語が続いていて、あいねは愛おしくも不可思議なミステリーとして、近づいては離れ、追っては逃げる。そういうままならなさを、みおが乗り越えて成長していく話である。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

ご家族に正式な紹介を果たした今回、"フレンズ"が恋愛の文法を借りていることは確実に明白になったが、しかしロマンスだけで物語が回っているわけではない。
というよりもむしろ、未熟で意気地なしなみおちゃんを真ん中に据えることで、非常に地道な成長物語としての顔が強くなってきた感じもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

今回のお話は凄くたくさんのことに、みおが気づいていく物語だ。
カフェでの仕事。ファンとのダイレクトな交流。賑やかな食卓。家族とのふれあい。
クールでプロフェッショナルな湊みおが知らなかったことに、あいねが窓となって出会っていく。そのことで、みおは自分を変えていく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

それは恋愛の文法というよりは児童の文法で、非常に正しく女児アニだな、と思う。
あいね主観だった序盤はパーフェクト・アイドルにみえたみおは、その実当たり前の女の子として弱さや脆さ、未知や不安があった。トンチキで面白い部分も、未熟で欠けた部分もあった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

それが、交友関係が極端に広いあいねと出会ったことで変わっていく。あいね自身への激烈な感情も大事だが、あいねが持っているコネクションがみおに近接することで、凄く大事な変化がみおに起きる。
今回で言えば、あいねを通じてカフェの仕事をして、そこでファンの言葉を直接受け取る。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

ダイレクトに思いを伝えられることは、嬉しいことだ。言われなければ、思いは伝わらないのだ。
それをみおが学ぶのは、"フレンズ"であるあいねからではない。あいねがいなければ生まれなかった出会いだけども、あいねだけがみおの手に入れた新しい世界、その全てではけしてないのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

"クールなプロフェッショナルアイドル"という、一つの窓口・一つの人格しか持っていなかったみおは、あいねにビビッときて猛烈に惹きつけられることで、全く別の世界、そこに反射する全く別の自分と出会う。
こういう人格的成長の描写は、非常に普遍的で力強いと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

二人だけの寝室で、自分の起源を語り合う。お泊りシーンもロマンスというよりは友情物語の匂いが強く漂っていて、独特の爽やかな強さがあった。
ちょっとへにゃっとした作画が巧く噛み合って、パジャマの二人はとても幼く見える。無邪気で、可能性に満ちている。
©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO pic.twitter.com/ZfadgcEw9s

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

トップアイドルとして、大人びていることを先んじて選び取ってしまった湊みお。彼女はあいねと特別な時間を共有することで、年相応の子供に戻り、友情を再獲得していく。
そこを掘り下げようとするこのアニメの筆は、恋人に似て恋人ではない"フレンズ"を結構真面目に描こうとしていると思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

みおは"フレンズ"を通じて、メッセージを恥ずかしがらず明瞭に発する意味、食事を供する意味、身内として受け入れてもらう意味を学んでいく。
"フレンズ"には、そういうモノを知らなかった子供にそれを教えるパワーが有る。ならば、それはとてもありふれていて特別な、大事な概念だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

家族とも、恋人とも、親友とも、ユニットとも似ていて、そのどれでもない"フレンズ"
ちょっとル=グィンのジェンダーSFにおける"性"みたいな、ワンダーのある観念だと思う。それでしか捉えられないものは、今まさに成長のど真ん中にいる少女に、たくさんのものを与えてくれる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

そういうスタンダードでディープなものに、フレンズは取り組もうとしてますよ、というサインを、今回の話しからは貰った気がする。
個人的にはやっぱ、エピソードの中で"食事"が大事な仕事してたのが、作品から普遍性を感じる足場になってる。メシは心と命の養い、人間全てに共通するものだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

トマトをメディアにして、あいねはみおを"家業"に誘う。そうやって作った食事はファンを繋ぎ、友希家の食卓に並んであいねを"家"に向かい入れる。
クソ真面目な『娘さんとは結婚を前提に！』ムーブだが、あの世界のフレンズはみんなああいう立ち回りなのだろうか。社会保障とかどうなってるのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

友希家は愉快でキャラが立っているので、細かいクスグリで空気を明るく軽くしてくれていたのも良かった。
お兄ちゃんのぶっちぎりシスコンっぷりは、北王子家、あるいは香澄家の系譜を少し感じたかな…妹が好きすぎて気持ちが悪い兄貴は、アイカツ名物なのか…？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

さておき、横幅広い成長を扱いつつ、同時にみおちゃんはあいねまっしぐらである。縦に深い濃厚な感情も逃さない…というかメインはそっちな所が、作品のエンジンにニトロを積んで、思いっきり加速させてる感じはある。
つーか予行練習やめろマジ！　きっちりやりきるのがみおらしさだとは思うけど。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

作画はちょっとヘニャったけども、二人の距離感が"家"に入る前後で如実に違ったり。『素直でよろしい！』がキャッチボールされていたり、細かい演出で間合いを見せる手腕は力強かった。
こうやってだんだん硬さが取れて、それでも出会った瞬間のトキメキを忘れなければ、"フレンズ"は永遠なのだろう

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

そんな二人の変化を、たまきさんと千春さんの大人チームがしっかり後方から見張り、児童として、そして"アイドル"としての成長に繋げようとしてる描写も、抜け目なく入っていた。
たまきさんはマネジとして野心がしっかりあるのが、頼もしくていい。ただのイイお姉さんで終わらない感じ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

冒頭、お互いそっぽを向いていた二羽の翡翠は、紆余曲折を経てステージで弾けたみおを写した後、仲睦まじくお互いを見つめ合う。
頑なさと不安に支配されていたみおはようやく、友達や色んな人がいる世界の飛び方を学びだし、あいねに並びだしたのだ。
©BNP/BANDAI, DENTSU, TV TOKYO pic.twitter.com/sN1LrAFNCu

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

大喧嘩したわけじゃないけど、"フレンズ"として肩を並べるにはなにかが足りない。そんなあいねとみおが、"家"を通じて距離を詰め、思いを共有して同じ方向を向くまでの、小さな一歩の物語でした。
前回みたいな劇的なロマンスもいいけど、今回のじわっとした成長もとても良いな。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

まぁ"じわっと"と評するには、"フレンズ"を描くロマンスの筆はあまりに濃厚なのだが。告白からエンゲージ、家族と時間を共有して正式な紹介、初の同衾まで一気に爆走されると、『恋じゃないから！』とか言われてもまぁ欺瞞っすよ欺瞞。
恋愛の文法は、フレンズを支える背骨ではあります確実に。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

重要なのは、それを借りてきて何を描くかって話であり、恋が持ってるパワーを特別視せず、薄汚れていると蔑視もせず、ちゃんと使うことだ。
ここまでフレンズはその試みに成功しているし、ロマンスでは焦点がぼやける部分にフォーカスできてもいる。
"フレンズ"はセクシュアルな要素を切れるからか？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

何しろタイトルに入っているので、"フレンズ"は今後も物語の中心に座り、幾度も描かれるだろう。
それがこの作品独自の、しかし普遍性のある"なにか"に通じていると、このアニメを見ていて興味深く、面白い気がするのだ。そしてその可能性を、今回のお話からは感じることが出来た。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

今後みおちゃんは、あいねと語り合い見つめ合い手を取り合う、一緒に"アイドル"するなかでどんどん幼くなっていくだろう。
様々な状況と環境の中で、否応なくそうなるしかなかった"クールでプロフェッショナルなアイドル"とは違う自分に、どんどん出会うだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

あいねもまた、みおと交流することで自分を変えていくだろう。学び、前に進み、"アイドル"として成功していくだろう。
そうやって見えてくる、少女たちの百万の貌。その全てがとても素敵なものだと、ちゃんと祝福できたのなら。溢れ出る可能性全てを肯定する、優しく強い世界を描けたら。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

それは現代のおとぎ話を、パワフルに語り続ける女児アニメとして、また物語を語る姿勢として、凄く誠実で素敵なことだとおもう。
そういう感じのアニメに、是非なって欲しいなぁと思わされる回でした。凄く面白かったです。次回も楽しみですね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

あ、第8話で"クールでプロフェッショナルなアイドル"たる湊みおの強みを描いておいて、今回ただ乗り越えられるべき"欠点"にしていない構成はすごく良いと思います。
賢く、準備をしっかりやって勝ちに行くスタイルは、凄く意味と価値がある。今後も大事にしなきゃいけないみおらしさだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

しかしそれが取りこぼしてしまうものもあって、それはあいね（と、彼女とつながることで広がる世界）から補い、学べるものだ。
そうやって自分の像を多彩に変化させながら、みおとあいねは前に進んでいく。そういう"成長"の書き方は、優しくて賢くてとても良い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

ここ最近はあいね主観の話が少ないため忘れがちだが、あいねこそ未熟なド素人から"アイドル"に脱皮する物語の主役だ。
友達百万人、無邪気で無敵な"あいねらしさ"が、万能の切り札ではないことは例えば、第9話ですごく丁寧な配慮と共に描かれている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

現実的な濁りを極力遠ざけつつ、至らぬ部分がキャラにあり、それが埋まり変化していくドラマを大事にする。
無印アイカツが持ってた物語の骨格を継承するという意味で、フレンズは原点回帰的だな、と思う。あの時はタイトルに入っていなかった"フレンズ"を、そことどう化学反応させるか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日

それはピュアパレットが"アイドル"としてデカくなっていく中で、あるいはハニーキャッツやラブミーティアや、彼女たちがいる多彩で大きな世界を描く中で見えてくるだろう。
ともすれば狭く近視眼的な描写に閉じてしまいそうだが、巧く風穴を開けている印象だ。その広さと狭さを大事にして欲しい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月21日