少女☆歌劇 レヴュースタァライト：第11話『わたしたちは』感想ツイートまとめ

少女☆歌劇 レヴュースタァライトを見る。
物語を通じて演じられてきたオーディションが終わり、勝者は去った。誰からも奪わない、優しく寂しい勝利。しかしそれは、過ぎ去った星に全てを預けていた女の子から、全てを奪う行為でもあり…。
少女の決意を鍵として、最後のステージが幕を開ける。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

というわけで、天才・佐伯昭志をコンテに迎え、レヴューなしの日常を積み重ねていくエピソードである。愛するものを失ったとしても、
静かに積み上がっていく日々。喪失を追いかけても届かない、子供の背丈。繰り返す日々の中で摩耗していく悲しみと、決定的な痛み。そこからの再起。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

静かに静かに、子供だった華恋が世界に、ひかりに、自分自身に目を向け、大人になっていく痛みのジュブナイルを追う語調の、穏やかな豊かさ。
それが”舞台少女心得　幕間”と過去のレヴューを織り交ぜ、今までの歩み全てを肯定する力強さに結集した時、ハンマーで殴られた感覚とともに嗚咽していた

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

前半の抑えた調子がほんと計算され尽くしたタメになって、記憶と心に潜っていく歩み、クライマックスに一人で挑む華恋への祝福が爆裂する最高の花道に繋がった時、ほんとなんかこうもう「うぐぉ…」とか押し殺した獣みたいな声が出てくるしか無くて…ほんと佐伯監督好き…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

僕のキモいリアクションはさておき、静かな物語を彩る静物の使い方が悪魔的に上手く、様々な象徴が意味体系に奥行きを出す作りだった。
物質へのフェティシズムは時間へのフェティシズムと連動し、ここまで色々あった舞台少女の物語、その中心にいた華恋の歩み全てが、幾度も思い起こされ、躍動する。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

冒頭、星を掴んだひかりは”つぼみの輝き”の刃も握りしめ、血を流す。混じり合わない赤と青。憧れの立ち位置ゼロは、血の色をしている。
そんな哀しさの中で戴冠したひかりは、何も奪わない優しさを胸に、一人孤独に消え去っていく。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/Oe3ZwXPifi

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

しかしそれは、ひかりと二人でステージに立つという願いでオーディションに挑んだ華恋から、光を奪う行為でもあった。
『ひかりちゃんを助けたい』という想いが、真実華恋を舞台に、青い星の導きの中に導いた。ねぼすけの女の子は、ループの微睡みから抜けた。https://t.co/Wk59tUGaeg

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

約束タワーの思い出。自分たちの想いが動き出した瞬間。あの時交換した王冠を身につけることで、華恋は舞台少女となる。自分を特別にしてくれるティアラは、いつだってひかりがくれたものなのだ。
そんな失うことが出来ない半身を、華恋は奪われ、ひかりは奪ってしまった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

先生に、あるいは警官に、暖簾に腕押しな調査を求める華恋の姿は、とても幼い。常に隣で見守り続けるまひるちゃんは、”お姉ちゃん”飛び越えて保護者である。
自分が無力で、何も出来ない子供なのだと思い知ること。現実を動かすことの出来ない、妄想の住人なのだと理解すること。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

警官がリアリスティックに尋ねる”最後の消息”を、華恋は答えることが出来ない。キリンが喋り、舞台が動く。運命を駆けた地下のレビューは、思春期が生み出した共同幻想かもしれない。
今まで僕らを魅了してきたファンタジーが、その無力さで持って逆撃を加えてくる展開は、華恋の無力感とシンクロする

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

とても大事なものだったはずなのに、あっけなく失われてしまう。世界を変えうる特別な存在が、実は極めて無力だと知る。
思春期の万能感の喪失。それはひかりが一足先に、ロンドンで体験した通過儀礼だ。華恋もまた、無力さと踊りながら現実を歩いていく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

華恋は届かない手紙を出しながら、ひかりが戻ってくるという幻想…共有されない一人だけのレヴューを踊り続ける。
そうしなければ痛みに耐えられないほど、大きいものを預けていて、それをひかりは身勝手に、優しく奪っていってしまった。生きるためには、もう夢を見るしかない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

返らぬメッセージ、差出人不明の手紙。ロンドンから届いた過去の便箋と同じ色合いの、赤と青。
二人をつないでいた運命の残滓に溺れつつ、華恋は長く、微睡み続ける。傷ついた彼女を見守り続けるまひるの純愛が痛い。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/wfU1XSA9r4

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そんな日々の中でも時間は流れ、新品だった台本はくたびれていく。書き込みが増え、伏線がはられ、舞台は完成に近づいていく。
華恋も乱雑だった机を整え、自分のことが自分で少しは出来るようになる。痛みを知って、どうしようもなく大人になっていく。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/Iyp5azwHQy

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

それはひかりがロンドンで喪失したもの、華恋とオーディションに挑むことで取り返したかったものを、追体験していく儀式だ。
愛するものが失ったもの、見ているようで知らなかったものを、真実知るためには深く潜る必要がある。でもその痛みが染み渡るまでには、時間もかかるhttps://t.co/tiNwf5VO3Q

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

それを決定的に刻み込むのが、B組との通し稽古であり、オーディションを共に戦った仲間の中なのが、残酷で優しいな、と思った。
雨宮さん達も、舞台少女に負けないくらい強い思いで、第100回目の”スタァライト”に賭けている。だから、魂が抜けた華恋の態度は、共演者としてうなずけない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

ジャージを着て、武器も持たずに行われるキツい指摘は、地下の幻想的なレヴューと同じように（あるいはそれ以上に）激しく華恋を試し、再生産のための足場を整える。
二層に分かれていたはずの世界が、劇的に痛みと変化へと、繋がり始める。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

ここで上方やや斜めから、舞台を作り上げる仲間を捉えるカメラの客観性が、よく冴えている。
仲間は心配している。でも、華恋の熱意と輝きは華恋自身が取り戻すしかない。人生という戦いを闘うのは、他でもない本人以外にいないのだ。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/Pysv7Epm9t

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

その突き放した冷たさの中に、立ち位置ゼロを血の真紅ではなく、淡いピンクに色づける優しさがあるのが、良いなと思う。
失ってしまったこと、奪われてしまったこと、幻想に逃げ込んでいたことを思い切り叩きつけられる瞬間でも、仲間はそばに居てくれる。まひるちゃんが至近距離なのがマジ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

自分と世界の現状を認識した華恋は、ひかりとの思い出を追いかけるように、”スタァライト”原本を学び始める。
乱雑にモノが置かれていた机は本来の仕事を取り戻し、辞書を片手にひかりは夢の源泉へと潜っていく。ここで”学ぶ”という学生の本分に帰還するのは、本当に面白い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

学生っぽくない主人公、真面目になれない劣等生だった華恋は、英語（ひかりの得意分野）を自分の中に取り込むことで、知っていたはずの”スタァライト”の真実を、自力で切開していく。
自分の指で文字をなぞり、ストーリーを追う。己が演じる舞台に、秘められた意味の宝石を探す。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

その作業はひかりが抱え込み、華恋が共有してあげられなかった喪失に、接近していくための歩みだ。
『一人じゃ読めないよ…』と泣き言言ってた時代から、自分の中のひかり性を呼び覚ましていくことで、失ったはずの存在を再生産していく試みだ。
機能的には、ある種の”喪”とも言えるだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

辞書に挟み込まれていた付箋。
仲間たちがひかりのことを（99回から失われた二人の仲間にそうしたように）割り切る中、台本に刻んできた現在の証を、華恋は遅ればせながら再獲得していく。第100回とはねじれた位置にある、自分の舞台に本気になる。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/BVQYcEuvGK

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

どうしようもなく失ったのもひかり故なら、それを再獲得しようと本気でもがくのも、ひかり故。
華恋の一直線で視野が狭いところが、凄く優しく、力強いものとして描かれているのが好きだ。
仲間は大事、友達は大事。でもそれは、己の全てを絞り尽くす理由にはならない。”みんなの”大場ななとは違うのだ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

それでいいじゃないか、と仲間たちはいう。
自分たちが割り切れてしまうように、華恋は割り切れない。形は違えど舞台少女として、何かを求めて必死で走る理由は、それぞれ違っていい。
そんな差異を飲み込んで、だからこそ豊かに輝かせてくれるから、舞台は尊い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そういう目線で、それでも華恋を見放さず、それぞれの距離で見守ってくれる連中が、僕はやっぱりとても好きだ。
香子のお薄、ばななのサンドウィッチ。お腹を満たし、乾きを癒し、前に進むパワーをくれるもの。
双葉の肩揉み。一瞬の甘えと弛緩、再生産の気力をくれるもの
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

あるいは純那ちゃんの、ガリ勉キャラを活かした英語の参考書。自分になかったキャラを取り入れる時、先を走っている仲間はいつでも助けになる
真矢クロは遠くから、誇り高く、でも心配そうに見守る。そういう距離感も、親密さと同じくらい大事なのだ。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/QlfveODPfy

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

仲間の助けに支えられ、華恋は世界の秘密を記した書物を読み終わる。
それはひかりがロンドンで手に入れ、現世に残された暗号、SOS…あるいは遺言である。
それを自分の手で読めるよう、頑張って身の丈を伸ばすことが、前に進む活力、舞台少女の再生産へと繋がる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

自分が知っているのとは、また違う解釈。舞台に乗らないストーリーのバリエーションを学ぶことで、華恋はひかりの居場所を学び取る。
それは知っているつもりで知らなかった、ひかりの痛みを学んでいく過程と、しっかり歩調を同じくする。無知に、幼さに隠されていたヴェールを剥いで、真を知ること。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そして、知らなかった場所、隠蔽された場所に、時に暴力的に踏み込んでいくこと。
物語が始まった時と同じように、華恋は『ひかりちゃんを助けたい』という願望一個（+バール。ひかりの獲物）を手に、壁へと踏み込んでいく。現実の視点では、冷たいどん詰まり。そこに入り口を幻視する。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

それは第3話で、舞台への道を閉ざされたひかりが踏み込んだのと、同じ道だ。喪失に食われ、幻想に溺れ、その先にある真実を見つけようともがいた結果、華恋は真実、ひかりちゃんを理解していく。重なっていく。https://t.co/AsEXu7ueG9

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

あの時は唐突に思えたひかりちゃんの切実さを、僕も華恋のように理解はしていなかった。
奪われ、非力だと思い知らされてもなお、己を構成する半身を守りたい、取り戻し再生産したいと願う本気の想いがあったからこそ、ひかりはバールを握り、必死に暴れたのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

壁にバールを突き立て、現実の冷たい感触を幻想で引き剥がそうと暴れる華恋は、あの時の狂った熱量、迸る青春と同じ場所に立つ。
8話かけて、ひかりちゃんと同じポジションまで追いついた、とも言える。なんと遠回しな追いかけっこか…。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

大人には言えなくても、確かに壁の奥のエレベーターはあった。心に感応して動く舞台も、一人だけが選ばれるオーディションも、そこで失われてしまったものも。
全ては幻ではない。今胸を焼く、もう一度会いたいという思いも。
狂ったようにバールを突き立てながら、華恋はその切実さにたどり着く。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

それに感応して、火の消えた非常灯に青（ひかりのパーソナルカラー！）い光が灯り、華恋は幻想と現実の境界線を踏み越える。
此処から先は心の領域。思いの強さが全てを決める、懐かしき真実の舞台。さぁ、アンコールの時間ですッ！
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

とその前に、長い幕間が入る。
ここがほんとにエモで脳髄を殴ってきて、俺の感情と涙腺はぶっ壊れちまったんだよ…華恋はひかキチ一直線で、自分のいちばん大事なものはあの子しかいない。
でもだからといって、共にあった仲間が消えるわけじゃない。一番星を探す旅路を、一緒に走った戦友がいる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

幻想的な階段、あるいはキャットウォーク（時間的永遠を水平に走り続けたばななのステージが、上下のない空間なのは巧すぎる）と、現実の少女たちが足場を置く様々な風景が、驚異的な圧縮度で同時に展開する。
華恋に語りかける少女たちは、共有できない孤独な幻想なのだろうか？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そうであり、そうではない。
警官に言えなかったオーディションがそうであるように、現実に確かな手触りがないものでも、子供の脆い幻想でも、それは確かにあった。
華恋最後の戦いに、祝福と帰還を約束してくれる仲間たちは、華恋の心に中に確かにあり、そしてそこにしかいないものだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

あの薄暗い階段、過去のレヴューが大切にしまわれている空間それ自体…僕らが見てきたBパート自体が、そういうものなのだ。
あの鮮烈な映像体験が、たとえ幻だったとしても。舞台少女のプライドと優しさが幾重にも交錯し、魂の輝きが綺羅星めいて光った思い出は、もう消えない。触れなくてもそこにある

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

現実のAパートと、幻想のBパート。二層の構造を基本としていた物語はここにいたり、現実と幻想の境界線を保ちつつ、並走し、影響し合いながら展開していく領域へと止揚されていく。
何が現実か。なにが夢か。その境界線を”定めない”ことこそが、最も確かに夢を現実に変えていくのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

一人しかいない勝者を、二人で掴む。世界の道理を捻じ曲げる、無力で儚い夢想の理想。
でも本当に、それを掴み取りたかったのだと。そのための道筋はあるのだと。辞書片手に原文に挑むことで、自分の力で学んだ華恋は、ハッピーエンドを掴む戦いのため、ゆっくり沈んでいく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

それを描く確かな幻想と、柔らかな現実の共存があまりにも的確で、本当に凄いと思った。
過去この物語が積み重ねてきたものへの自負と愛情、それを踏まえて繋がる約束と思いが、画面の全てから俺を打ちのめし、圧倒的な圧力で押し流してきた。
ほんま凄いよ、このアニメ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

カット・インされる舞台少女の現実は、どれも好きなんだが。
クローゼットから出して、くまちゃんの隣にクラゲを添えてあげるひかりちゃんの優しさが、特にぶっ刺さる。
ホンマこの子は、もう一人のルームメイトのことも大好きになってたんやなって思った。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/IfkPJN9vJQ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

※訂正
×ひかりちゃんの優しさ→○まひるちゃんの優しさ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

隠されていたものを暴き立て、取り出し、公開する。秘密を共有することで、新しい道に進む。
第5話で”キラメキのありか”を探し当てる時に、ひかりがどういう横槍を入れて、まひるが致命的な道の間違えをしないよう、仕事をしてくれたか。https://t.co/dLqmOWxuD4

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

大好きな華恋ちゃんが、大好きなひかりちゃんを取り戻す時、まひるちゃんはようやく恩を返すのだ。
それが幻影のエールだったとしても、華恋の中にあるまひるの思いと言葉は、現実と同じように背中を押すだろう。同じ舞台に帰ってくる約束を、激戦の前に刻むだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そういう過去の残響がもうあらゆる場所に超高密度であって、『ホンマ国は、佐伯演出をエモ過剰罪で取り締まらんとアカン！』と思った。ガンッガン脱法してくれ。
純那ちゃんの台本、裏方の仕事頑張るばなな、二人のバイク、真矢クロ約束のレッスンルーム。エモでSINU！
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/zNpfJZ36Ai

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

ここで立ち位置ゼロが、夜闇と化学反応して紫（赤と青の混合色。ひかれん結婚！！）に変化してるのが、ホンマすごいと思います。
血の色、あなたの色、私達の色。残酷な頂点の色彩は、様々に変わる。奪うだけが、勝ちの形ではないのだ。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/E3DHB4IGld

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

かくして心の闇を下りきり（少しウテナ黒薔薇編、あるいはデレマス第24話にも似た、感情の洞窟探検である）、華恋は運命へとたどり着く。
そこが最後の場所ではなく、帰ってくるべき約束の舞台は現実にあることを、舞台少女たちの幻が教えてくれる。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/3knODeDIER

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

なにもない空間に残された、USB充電の携帯電話（師匠譲りで、このアニメはシュルレアリスムの使い方が上手い。手術台の上のこうもり傘的演出の冴え）
そこに展開していく、動かなかったはずの過去。自分が閉じ込めていた、思いの開放。立ち位置ゼロの色は紫。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/RVLQlU69yA

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

華恋の止まっていた時間が動き出した時、チケットが発行される。
CASTはひかり一人。”観客は立ち入らないこと”との但し書きあり。
一話で愛する人のピンチのため、掟破りの乱入を果たした女に、刺さる警句じゃないね。…出演者変更の但し書きも、ちゃっかりあるし。
(C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/KZFV922Y38

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

最後の境界線を力強く踏み越えて、華恋は自分のIDを名乗る。
学生、舞台少女、ひかりちゃんを強く求めるもの。
第一話、この物語が力強い『入ります！』の挨拶で始まったのを思い出すと、あの時からこの瞬間は約束されていたのだ。青い鳥は、いつでもお家にいる。https://t.co/AvSFVAaIGb

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

終わりであり、始まりでもある運命の舞台。
オーディションでもレヴューでもない本番を、ただ見守るしかない観客の立場で、華恋は最終話に挑む。
でも、溺れ、迷い、学ぶことで自分とあなたの孤独と痛みを知ってしまった少女が、おとなしく見ているだけに甘んじられるだろうか？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

あなたの痛みは、私と同じ。形は違えど、根っこが同じ。
そう確信できるように、辞書を操って世界を学んだ華恋は、何も知らない子供じゃない。現実を諦めた大人でもない。
人生というステージに、己と世界を輝かせるスタァライトそのものに、ようやく主人公はなったのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

だから最後の舞台は、最高のハッピーエンドで終わるだろうし、青春の思い出と約束した現実の舞台へと、二人は帰ってくるだろう。
ピンクの砂漠に横たわる、思い出タワー。勝者の特権を剥ぎ取られ、裸で横たわるお姫様。風邪引くぞひかりちゃん…。
C)Project Revue Starlight pic.twitter.com/SNoTvyJDEy

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

世界のあり方全てを書き換えられる、勝者の特権。冠も衣も脱ぎ捨ててひかりちゃんが伏しているのは、彼女が優しいからで、世界が厳しいからだ。
王冠を被って、他人から略奪する悪い王様には、ひかりちゃんはなりたくないのだ。ホンマ優しい子で、オッサン涙出てくらぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そんな優しさを、あんな東京ピンク砂漠に置き去りにして、はい大団円ですとなるわけねーだろーがボケが！！！
孤独の中で己を見つけ直した華恋には、ブッチギリ再生産での大勝利を期待したい。世界のルールがなんぼのもんじゃい！　ワシは夢と女を取り戻すんじゃ！　欲張りキングの全部盛りじゃ！！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そんなわけで、主人公の挫折と再起を、圧倒的に豊かな語り口、過去への優しく力強い目線で描ききる、圧倒的なラス一個前でした。
あまりに強く殴られすぎて、完全に狂人の寝言を吠えた記憶もありますが、まぁそれも一つの真実、消えることのない幻想ということで。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

”舞台少女心得　幕間”からのココロダンジョン下り旅で、幻想と現実を二層化し、混ぜ合わせて物語を展開してきた作品全体を、凄く価値あるものとしてグッと押し上げたのが、クライマックス直前の仕事として圧倒的だな、と思いました。
華恋がそこで満たされたように、俺達もこの作品を好きでいていい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

少女たちの舞台は、2.5次元の舞台と重なり合いつつ、モニタの中の嘘である。
でも、そこから受け取った胸の高鳴り、殴られた脳髄、刻まれた感情は、どこかで生き続ける。警察官には言い出せない、一瞬の共通幻想でありながら、それは確かにそこにある。あり続ける。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そういう確信を胸に沸き立たせてくれるエピソードって、やっぱすごく良いもんだと思います。
下げ調子で始まったお話がこの終わり方、まぁ負けるわけがねぇ。
次回最終回。

先に言っておくわ。
このアニメを見れて、好きになってよかった。ありがとう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

追記　戦わなければいけないときが必ずあって、でも戦わなくていいときだって必ずある。そういうありふれて特別な、当たり前の人生の物語の、一つの到達点があの階段下りなのだろう。

スタァライト追記。
『レヴューのない回』と書いたけども、”舞台少女心得　幕間”をBGMに階段を降りるシーン自体が、空想が現実に強い影響を及ぼす、剣を交わさないレヴューだったのかもしれない。
競い、闘うことばかりしてた少女たちは、剣を置いて約束を交わす。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そういう質的変化にたどり着けたのは、”幼さ”がキャラ属性だった主人公が、喪失に迷い、真実に学んだ成長のおかげだろうか。
どちらにせよ、舞台少女は強敵で親友。今回のレヴューが見せた、暗がり（舞台裏）からのエールもまた、あるべき魂の交わりなのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

追記　ばななちゃんは純那ちゃんが『一人の子を見逃さない、優しい人だから好き』なわけだけども、それはこの作品自体にも言えるんじゃねぇかな、と思う。

今11話見返したけども、ヤッパ色々発見があって。
クロちゃんが『舞台は心臓、歌は鼓動、情熱は血』って言ったの考えると、ひかりちゃんが冒頭流していたのは”情熱”なんだな、とか。
華恋最新のメッセージが『約束、覚えてる』で、全裸土下座ひかりちゃんのセリフが『覚えてるよ』なの呼応してるとか

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

虚しい木霊だと思ってたメッセージは、分厚い孤独の壁を飛び越えて、ひかりちゃんに届いていた。お返事書くことは許されなくても、華恋の思いは生きて動いていた。一見無駄な迷い道に見えたけど、そこに込められた切実な愛は、行き場を見失ってはいなかった。
そういうのが繋がるの、ほんと良いっす。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

PERSONA5 the Animation：第25話『Jealous Sinner』感想ツイートまとめ

ペルソナ5を見る。
司法の現場は負けないギャンプル、有罪確定の勝てる勝負。
お姉ちゃんの歪まされた認知を追い込むべく、怪盗団がカジノに挑むパレス攻略回。ダンジョン攻略の裏側で、明智が手綱を握り、その裏を怪盗団が取ろうとする駆け引きが見え隠れし、多層的で面白かった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

というわけで、コミュニティイベントなんかも消化しつつのお姉ちゃんパレス後編。身内を手に掛ける痛みに泣く真のヒロイン力が高く、グッと存在感が出てきた感じを受けた。
駆け足気味な交流も、戦闘と巧く絡ませることで印象に残った。ガンシュー・ボーイとの交流が、実戦でのショットに生きるの好き

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

細かい煮込みが今後あるのか、今回やっつけたので終わりなのか。駅前の正論おじさんは、まだ決着付いていないからどっしりやるんだろうなぁ…。
囃し立てるだけの大衆の怖さは、怪盗団が現在取り囲まれているものと同じ。現実と超常両方から掘ると、立体感あっていいと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

パレスの方は明智の知略でグイグイ押し込み、お姉ちゃんがドンドン限界人間に……。
『はーい後出しで百万円必要です～！』って調子乗った後、自分で定めたキャッシングルールを活用して正面突破されるの、お姉ちゃんっぽくてよかった。根っこは善人なんよ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そういう人が司法の現場をカジノと見ているのは、現実に理想が押し潰された結果か、今でも夢が痛むからか。
直属の上司が認知訶学を悪用する側に付いているので、相当狙って歪まされてそうでな…生来のクズがパワーぶん回してガキいじめてたコレまでとは、いろいろ勝手が違う感じ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そんな黒幕の手先となって、獲物を〆る手立てを整えてる明智。露骨自分が望む方向で解決するよう、状況を握り込んでいるのが印象的。
同時に、それを利しつつ流れを取り戻せるように、色々仕込んでいる怪盗団の姿も目立つ。特殊部隊に匿名通報したのは、一体誰か、っていう話よね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

パレス決着っつーことで、戦闘は結構凝った展開に。ビッグガンと目がブレードで武装した怪物お姉ちゃんが、なかなか強敵でよかった。
仲間全員が一斉攻撃する、赤と黒のエクスタシー。スタイリッシュでよかったが、な～に味方ズラしてんだ明智オメー。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

降って湧いたピンチを前に、仲間を助けるために殿を引き受ける蓮。衝撃的な第一話冒頭に時間が追いつき、時系列シャッフルが完了する展開も良かった。
こっから無様な逮捕、顔面ボゴボゴの超尋問が待ってるわけだが、下がりきったところで後半に続く！　となるのだろうか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

怪盗団が物分りよく蓮をおいていったのも、なーんか逆転の手を仕込んでいるような、学生らしいウッカリのような…よく判らねぇな…。
明智の正体判明、そっからの黒幕暴露に繋がる糸を貼ってると考えたいが、怪盗団が浅はか極まるクソガキ集団である描写も、ここまで結構あったしね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

スパイに潜り込まれてようやく、そういう脇の甘さを正し、狡猾な罠を仕掛けるようになった、とも取れるか。
正直クソ大人のいいようにハメられ、嘘つき野郎に騙されたまま地獄に逆さまだと、ストレスパなくてカタルシスなさすぎなんで、なんかあるとは思うけどね。（明智スパイ容疑、有罪と断定）

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

カジノでの敗北と取調室でのどん底は、アニメの最初から貼られてた大ネタ。パレスをクリアしても終わらない、長い長い戦いにどう向き合うか。貼ってきた伏線をどう活かすか。
2クール目が終わり一区切りが近い、ペルソナ5でした。来週どう書くか、3クール目にどう繋ぐか、楽しみですね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

HUGっと！ プリキュア：第33話『要注意！ クライアス社の採用活動！？』感想ツイートまとめ

HUGっとプリキュアを見る。
花の盛りは短くて、寂しだけが孤独する。
ゲイ、ストレート、悩める天才、努力の人、あるいは性別を超越した天使。
才能故に人をひきつけ、様々なカテゴリーを押し付けられるアンリの繊細な悩みを軸に、少年少女のアイデンティティが渦を巻く。重量級の青春エピソード。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

というわけで、孤独を誇り高く抱きしめるためには人はいかに愛するべきなのかを問う、ディープでヘヴィなお話である。
とにかく自分らしくありたいが、”自分らしさ”がどのような環境と条件で成立するのか掴みかねているアンリが中心となり、様々な人の想いが絡み合うお話となった。面白い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

アンリは様々なものの中間点にいる。
男と女、子供と大人、天才と凡人、不遜と自尊。
その不安定な立ち位置は、固定したカテゴリーが先行するのではなく、柔らかで曖昧なアンリそれ自体がまずあって、結果として社会一般に流通する規範の境界に立っている状態だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

期待の新星として様々な人を魅了し、商業スポーツでもあるフィギュアの舞台に立ち続ける以上、ほとんどの人がアンリを型にはめ、理解しようとする。
しかしアンリは生来、そういうカテゴリーにうまく自分をハメれない人間であり、そこが彼の魅力でもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

無理やり檻に閉じ込めれば死んでしまう、野生の誇り高い鳥のように。
アンリは常に高く飛びたいの願うが、様々な重力が彼から自由を奪う。
私生活にまで踏み込んでくるマスコミ、そうさせるファンの欲望、そして自分自身の身体。時の流れの中で喉仏が出るのを、隠すためのタートルネック。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

アンリは自己愛が強く、それもまたナルシシズムと自己尊厳の境界線にある。男と女の中間点、危うい思春期の一瞬でしか成立しない己の”美”を、アンリはとても大事に愛している。
そしてそれは、アスリートとして酷使される中で壊れかけ、万人平等な時の流れの中で変質していく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そういうアンリが、一瞬を永遠にしたいというクライアス社に勧誘されるのは、自然な流れと言える。
えみるとの宵闇の語り合いがなかったら、アンリはリストルの誘惑を跳ね除けられたのだろうか？
自分とは違う、でもどこかが似ている女の子と向き合わないで、永遠を拒絶できたのだろうか？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

アンバランスな境界線はアンリの内部だけで終わらず、様々に拡大する。
正人との友情とも性的関係とも取れる、複雑な描写。
形は違えど”美”の才覚を共有する、えみるとの交流。
あるいはそういう才覚のないルールーの、孤独と寂しさ。
そして、己の思いをひた隠しに”悪”であり続けるリストル。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

アンリがアンバランスに足場を置く、様々な境界線。そのあやふやで危うく、美しい輪郭を丁寧に追いかけたことで、アンリ以外の人々もまた、ナイーブに悩み、勇気と愛で踏み出し、バラバラでありながら誰かと繋がれる奇跡を抱えていることが、鮮明に見えてくる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

プリキュアは子供番組なので、アンリがゲイなのか否かは明言されない。彼が求める『誰もが自由でいられる世界』が、どのようなアイデンティティの自由を求めてのことなのかは、視聴者の受け止め方に委ねられる。
”秘密のヒーロー”であるプリキュアが、正体を隠さなくても良い世界、とも取れるか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

もしかすると、アンリ自身己の性カテゴリを決定できず、それをなにかに当てはめようとする有形・無形の圧力に苦しんでいるのかもしれない。
声変わりの季節に理不尽に踏み込もうとする、青春の身体と合わせて考えると、そこまで無理のない推察かもしれない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

性自認は性他認でもあって、”自分がどう見られるか”と”自分がどうあるか”は、社会的生物である人間からは切り離し難い。
自分が見ている自分こそが、唯一本物の自分だと思いたいが、それを押し通すだけの力は誰にもない。そういうジレンマも、今回アンリが身を置くアンバランスなのかもしれない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

アンリが正人に性愛を抱いているのか、はたまた”純粋な友情”というやつなのかもまた、明言はできない。
どっちがキレイでどっちがキタナイって話じゃないんだから、どっちでもいいと思う。重要なのは、正人がアンリの飛翔に星を見たように、アンリも正人と繋いだ手を、己のアンカーにしていることだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

今回アンリは、誰もが羨むスターでありながら、地面に足をついて星を見上げるシーンが多い。
なりたい自分、なんにでもなれた幼い時代。眩しく瞳を焼く星の輝きは、他人が思うほど自由でもない。天才アイドルだって、当然血の通った人間で、笑えないときだってある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そういうナイーブな陰影に切り込んだ時、冒頭えみるに投げかけられていたギャグ調の批評、それで笑えなくなったえみるの強張りが効いてくるのは、良い運びだと思った。
えみるはえみるなりに、あの一撃がシリアスに痛くて、だからなんとか笑おうとした。そんなえみるにはなは『笑わなくていい』と言う

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

後ろに下がる強さ。誰かを護る優しさ。
えみるが才覚で前に出るオフェンシブなヒーローであるのに対し、はなは時に下がるディフェンシブなヒーローであるといえる。
それは多分、第31話で顕になった辛い過去と、そこからなんとか片足引きずって歩き直した経験が元になったスタイルだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

えみるは結局、強がって笑うことを選ぶ。道化を演じられるくらい強くなって、前に前に情熱の赴くまま前のめりに進み続ける。その血だるまの歩みが、誰かと自分にエールになると信じている。
ちっぽけな体でそういうふうに進んでいくえみるが、僕はとても勇ましく、格好良く見える。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

アンリは『そんな風にはなれない』と言い切る。
真実自分らしい自分を見つけたいから苦しみ、飛ぶ。エゴイズムとナルシシズムを捨てて、いい子になんてなれない、と。
誰かが求める、都合のいい嘘を”自分らしさ”だなんて、誤魔化せないと。
真っ直ぐで繊細で、傷だらけの生き方である。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

それでも、えみるが真っ直ぐにぶつけてくれた気持ちを、アンリは忘れない。身勝手な自分の飛翔が正人の目を開き、支えたいと祈り、手を繋いでくれている事実も。
バラバラだけど、繋がっている。人間の寂しさと喜びを込めた矛盾の合間で、アンリはプリキュアにエールを贈った。大声で。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

それはプリキュアを応援してしまうような、ひねくれてない真っ直ぐな自分を肯定できた、ということでもあると思う。
ただ自分のため。そう思い込んでいたアンリのエゴイズムは、実は利他の優しさにアンテナを伸ばしていて、叫び声を隠していた。
今回はその境界線を、アンリが飛び越えるまでの話である

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そうさせたのは誰か。
音楽が消えた世界で、ただ自分の鼓動だけを信じてロックンロールしたえみるか。
彼女との距離に思い悩み、それでも抱きしめ愛を伝えたルールーか。
世界で唯一人、何にもカテゴライズされない”若宮アンリ”をまっすぐ見据えてくれた正人か。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

自分が大好きで、だからこそ己に悩み続けているアンリ自身も含めて、”みんな”がアンリを飛ばせた。
よくある綺麗事の結論だが、これ以外ない答えをどっしり胸に豪速球、ぶっ刺してくるエピソードだった。
色んな人がそれぞれの形で悩み、離れ、それでも繋がっている。寂しさの中の希望が、星めいて輝く

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

水平方向の線を活用し、客席を一種の固定舞台として使いこなす演出の切れ味。繊細に震えるアンリの瞳を、アップで捉える作画力。
横幅広く、奥行き深く展開するストーリーを、映像の力がしっかり支えるエピソードだったと思います。
鎌谷さんコンテ演出初登板だけど、超バリバリだった。ええわ凄い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

シャーシが強いお話にいろいろ過積載してくるのがHUGっと流だが、今回”悪”を担当したリストルさんの存在感も、一気に増してきた。
前回の大敗北を受け荒れまくるビシンくん（かわいい）を、慈しみの目で見つつ距離感が掴めない感じ。はちきれそうな思いをスーツに覆って、”仕事”に赴くシルエット。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

あくまで上司のせい、”誰か”のせいといい続けるディレクターを『一番キライなタイプ』と吐き捨てるリストルさんは、んじゃあどんな男が好きなのか。
誰のせいにもせず、誰かのために前に出る、ハリハムの彼なんじゃないか。
今回見せた存在感からは、そういう推測も自然出てきてしまう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

知られれば嫉まれ、傷つけられる。子供が知らなくていい世界の残忍さを、ちょっと離れたところから教えてくれるパップル社長の優しさとかも良かった。
思春期ど真ん中特有の悩みに苦しむアンリたちと、大人になってもそこから自由ではない人達を合わせて描くことで、立体感が出ていたと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そしてこのお話は、今回では終わらない。
華奢なボディで激しいジャンプを続けてきた軋みは、アンリの肉体と夢を破壊しかけている。自由でい続けるための代償は、時に重たく残忍だ。
その宿命から、時間を止めることで逃げられるなら。クライアス社の誘惑は、エゴイズムではなく利他からも出ている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

規範に閉じ込められることを嫌いつつ、曖昧な自分をはっきり捉えたい。
矛盾する願いに苛まれつつ、否応なく”大人”に、”男”になってしまう身体の生臭さも巧く使って、アンリの複雑なアンバランスを丁寧に追うエピソードでした。
その印影が愛崎家とそのロボ嫁も照らして、グッと彫りの深い描写になった

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

”家”という檻に閉じ込められ、ロックに生きられなかった愛崎兄妹を解き放ったアンリが、それとは別の檻に悩んでいる時、兄妹それぞれのアプローチで道を見せるのが、ほんと良いんすよ。
一人で飛べる強さを持ちつつ、でもそれ以上に自由に高く飛ぶには、誰かの手を取ったほうがいい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

才覚ゆえの孤独、それに悩まされ飛び越える愛の強さもたっぷり描かれ、感情を強く揺さぶってくるエピソードでした。サブが太いと、プリキュアだけでは書けないところ掘れてええな！
来週はプリキュアバレネタを拾ってのことりちゃん回。正直蚊帳の外な彼女をメインに、どう話が転がるか。楽しみです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

あ、ディレクターがシャレにならないやらかしぶっこんでくる所は、プリリズの遺伝子を強く感じました。今回脚本、坪田さんだしなあ。
『しなきゃ』の圧力に苦しんでるのはえみるとアンリも同じなんだけども、大人だからこそディレクターはそこから抜け出せられない。誤った道を選んでしまう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

そういう情けない凡人、助けてくれる仲間がいない孤独な人間の姿もヒッソリ切り取ってくるところが、隙ないなぁ、と思います。
実際大惨事なんで、なんらか制裁受けろとは思うが。あそこでギター一本勝負に出るのは”えみる”なんだよなぁヤッパ…ロックンローラーだぜ、やっぱり。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月23日

ハッピーシュガーライフ：第11話『永遠の一瞬を、貴方と。』感想ツイートまとめ

ハッピーシュガーライフを見る。
日常にバックリと空いた裂け目、牙の生えたヴァギナ・デンタタ、腐臭の中待ち受ける食虫花。
愛を喰って己を満たす深海魚が、赤に青に瞳を輝かせて、地獄を弄ぶ。
真実の愛を吠えつつも、ただの子供でしかない殺人者の手を取って。
さぁ、堕ちるところまで堕ちましょう

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

そんな感じの、ハッピースピーディーライフ。原作追い越してまとめきるためか、結構駆け足の展開だが、それがスピード感を生んでなかなか良かった。
太陽くんの上がったり下がったりも加速してて、芸人力も上がってたけど。ホントキミはいい仕事するなぁ…冷静に見てみると、悲惨の極みだけど。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

色んな人の状況がゴゴゴッと動く今回。
さとちゃんは”おばさん”という汚い大人代表に頼ることで状況打破を図り、あさひくんはDV親父から学んだように暴力で人を動かす。
太陽くんは暴力に屈したようにみえて、どす黒い欲望を滾らせ独走し、再び年上女性の餌食になる。悲惨だ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

あさひくんが少年バットと化し、ギガバイオレンスで状況を動かそうとするのが、なんともカルマ満載でやりきれんかった。
人間は教えられたことしか出来ない。優しくしたり心が通ったり、にんげんとしての”マトモ”を象徴してたしょーこちゃんが死んで、あさひくんはバットで殴って爪を剥ぐ方向に進んだ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

ここで『育ちが知れる』と言ってしまえば、汚い人間模様を自分から切り離してマウント取れるんだろうけども、そういう気分にはならない。
もうちょっとマシな環境で、少しは人間らしいことを学んで、別の方法で困難を乗り越えるような”マトモ”な道はなかったのかなと思い、ねぇなと打ち消すだけだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

バットで後頭部ドヤしたものの、実際に爪は剥いでいないところに救いを見るか、まだまだ状況が煮詰まっていないだけと考えるか。
あさひくんが虐待の過去、親の呪いを断ち切って地獄から這い出すことが出来るか否かは、最終回を見ないと分からない。フツーに全滅ルートかなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

”親”の呪いと残虐の再生産に関しては、さとちゃんと”おばさん”でも繰り返されている。
直接性行為に及ばなくても、オブラートに包まずセックスを日常空間に放置することは、子供の心を傷つける。”おばさん”が愛と呼ぶ他人への無関心が、殺人者・松坂さとうの揺りかごだった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

しおちゃんに拒絶され、人格崩壊寸前から立て直した結果、自分を構成する根源に思い至ったのか。
さとちゃんはあまりに巨大に胸に巣食う”おばさん”と対峙し、自分の望む未来を引き寄せるために、身勝手に使おうとする。無造作に傷つけられた復讐を果たそうとする。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

”おばさん”は他人を餌としか見ていなくて、”愛”と彼女が呼ぶものでぶっ叩かれたり、それによって相手を支配束縛したり、逆に弱い相手から”愛”を略奪することで、十分心が満たされる。
ドM先生を飼ってたさとちゃんとは格が違う、本物のサディスト。共感能力のない、一方的な蹂躙者。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

なまじっかセックスが介在している分、”愛”っぽい外装が繕われているところが、”おばさん”の厄介なところである。
しかし”おばさん”は他人に優しくしたり、無性に求められたりすることでは心が満たされない。そういう意味では、さとちゃんのほうが”マトモ”ではある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

司法はそんな、行いの源泉、倫理の肌触りを斟酌はしない。おばさんは狡猾ながら無罪の被害者であり、さとちゃんは殺人者だ。
『ぶっ殺しちゃったけど心が痛いです。反省…ってどういう感情でしたっけ？』と呟いたところで、死体は死体である。
大人の世界じゃ、結果が大事なんだよさとちゃん…

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

逆に言うと、他人（の集合体である社会）がギリギリ許容できるくらいの結果を繋いで、自分のエゴを満たすズルさを学べなかったから、さとちゃんはどん詰まりだとも言える。
”おばさん”はそこら辺、巧く泳げるから”汚い大人”であるし、それを軽蔑しつつさとちゃんは頼ることしか出来ない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

死体隠滅と国外逃亡が成功し、犯罪と社会の折り合いをつけれたとして。
さとちゃんは現実と折り合いをつけた”大人”になれるのだろうか。
”おばさん”みたいに罠を張って、獲物を待ち受ける生き方に進んでいくのだろうか。それともその前に、ざっくり死ぬのか。
第1話冒頭に帰還するなら、子供のままだな

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

部屋の汚さ、運転の乱雑さ。ショッキングで強いホラー演出もいい回だったが、地道な生活の部分で”おばさん”の壊れ方を見せて来たのが、なかなか良かった。
ホントに他人どーでもいいんだな、と思う。すぐ判るほど腐臭漂う部屋は、他人にも自分にも優しく出来ない”おばさん”の愛を、巧く具象化している

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

そんな優しくない人に育てられて、どうにか自分にも他人にも優しくしたくて。”おばさん”のしてたように男を咥えこみ、貪り食ってみたけども、満たしたい部分が違うのだから、その方法じゃ穴が空いたまま。
そんなさとちゃんには、唯一絶対真実の愛が必要だった。それがしおちゃんだった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

もうちょっとマシな環境で、少しは人間らしいことを学んで、別の方法で困難を乗り越えるような”マトモ”な道はなかったのかなと思い、ねぇなと再び打ち消す。
ゴミ溜めみたいな世界の中で、子供たちはこうなるしかなかったし、このお話は行き着くところまで行くしかないのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

”おばさん”がほのぼの日常コメディみたいな絵面で、ボディを透明にする魔法の薬をホムセンで買うのは、当然”愛”のためであり、つまり愛ではない。
さとちゃんが見つけた、自分とはちょっと違う”愛”がどういう末路をたどるのか。掌の小鳥を潰すように、その軋みを至近距離で確かめたいのだろう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

なまじっか他人に感情を寄せるから、隙ができる。他人も自分すらも好きではなく、ただ快楽のみに溺れる”おばさん”は、誰も好きではないから無敵である。
そういう意味では、世界最高に吹き上がった後地獄に叩き落とされる太陽くんは、どっかに純粋さを残していたと言えるのだろうか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

バイト先で強姦された結果心をぶっ壊され、その修復を願って幼児にすがり、さんざん迷走した末に深海魚に食われる。太陽くんの人生コントは、本当に悲惨である。
眼の色が赤だの青だの変わるのが、完全に王蟲であり人間ではなかった。悪魔の巣だよな301号室…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

あさひくんのチラつかせた暴力でリモコンされると思いきや、ムクムク我欲が頭をもたげ、浮かれたところで足払い。
完全に先生と同じルートであり、”汚い大人”になりかけたところで犠牲者に逆戻り、とも言える。奪われるだけの人生…悲惨である。今回何度目だこの感想。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

利益にしろ暴力にしろ、表層を撫でる関係は簡単に破綻し、心で繋がった絆はしぶとく繋がる。
こういうルールが強くあるのが、このアニメらしい生真面目さだと思う。強ければ善い結果につながるわけじゃないけどね…友情・努力・勝利を信じたしょーこちゃんの末路とかさ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

逃亡うまく行きそうなムードはまぁ、突き落とすための前振りではあろう。そうなるしかない世界だし、そうなるしかない道をさとちゃんとしおちゃんは歩いてきた。
どう見てもハッピーには見えないライフの中で、出会ったこと、愛したことが特別だと思えたなら、それは苦さを忘れるシュガー足り得るのか

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

そのために振り捨てなければいけないものの重たさも含めて、ハッピーシュガーライフも残り僅かである。
綺麗な心中して満足！　という描き方にはならないだろう。イヤーな苦さを最後まで残して、イヤーで切ない気持ちにさせて欲しい。来週も楽しみですね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

BANANA FISH：第12話『持つと持たぬと／To Have and Have not』感想ツイートまとめ

BANANA FISHを見る。
扉の向こうは真っ赤な地獄、殺し殺されの修羅界。
高級アパートの奥に閉じ込めたイノセントが、サングラスで覚悟を決めた少年に問いかける。
本当に、それでいいの？
良くも悪くもそういうもんで、こうなるしかないのさ。
そう嘯いても、置き去りにした幼年期が、ひどく疼くから。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

そんな感じの、開戦以降の日常のスケッチ回。バタバタ人は死に、真相に踏み入り、覚悟は決まっているのに、どこか長閑で、英二が出てくるシーンは脱力系のホッコリ感に満ちている。
正反対な空気が同居して、でもそれが妙にやるせなくて。アッシュが置かれているアンビバレントを、巧くまとめた回だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

今回のお話は、何かを着脱する/覆い隠す/暴く演出が多用される。
それは凶悪な犯罪結社のアタマと、無垢なる人間を行ったり来たりするアッシュのパーソナルを象徴しているし、"BANANA FISH"がいかなる陰謀に組み込まれているか、明らかになるサスペンスを具象化してもいる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

伊部さんの電話を受け取るとき、彼の真心に信頼を返す時、アッシュの純朴で傷つきやすい瞳は、その色を貫通させている。
暴力や智謀を振り回す時、瞳を隠す色合いはそこにはない。とても人間的で、脆い視線が透けて見える。
© 吉田秋生・小学館／Project BANANA FISH pic.twitter.com/ldGWca1l5Z

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

アッシュはその緑の色合いを隠し、あるいは仮面で覆って暴き立てることで、周囲を効果的に動かしていく。
キレまくりの天才犯罪者、情けも容赦もない復讐者なのだと他人に、そして自分に思い込ませることで、世界を動かすパワーを引き出していく。その認識は、アッシュ自身も染めていってしまう。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

英二はそんな境界線を超えて、自分が見つけたアッシュを大事に守ろうとする。あえてナイーブな距離に踏み込み、本音を投げつけ、しっかり謝ることで、10代の少年らしい爽やかな交流、当たり前の友情を提供しようとする。
その一環としての、純日本風朝食。
© 吉田秋生・小学館／Project BANANA FISH pic.twitter.com/b9WZ4mwP0Y

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

アッシュはくせーくせーと文句言いつつ、英二が用意した"異国”の食事を受け取る。口に入れて咀嚼し、自分の糧にする。
本音をぶつけ合い、傷つけ誤解させたことを謝った後、アッシュなりにアレンジすらする。NY風納豆ドッグは、アッシュの寛容の味だ。
© 吉田秋生・小学館／Project BANANA FISH pic.twitter.com/WGsBX95SAa

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

マトモで平和な、青い空の世界。憧れつつも届かない、恋バナしたら『自分の犠牲になって、好きな女の子が殺された』なんて話が出てこない世界を、アッシュは切り捨てない。
たとえ遠い憧れでも、祖ういう世界はあって良い。あっていて欲しいと願う。でも、届かない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

最初英二から”アッシュの国”に入っていって、交流してわかり合って、今度はアッシュが境界線を超える。
ほんの少しの身じろぎ、前のめりな歩み寄りの中に、殺戮の天才がどれだけ柔らかな感覚を持っているかが見える。
© 吉田秋生・小学館／Project BANANA FISH pic.twitter.com/gVTFbWwf8x

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

平和と暴力。ノーマルとアブノーマル。優しさと強さ。
二つの世界に引き裂かれた二人は、運命に導かれて出会い、その境目を越えてお互いを求める。
でも境目はあまりに強力に存在していて、英二が暴力に染まることも、アッシュが平和に逃げることも許してはくれない。その矛盾と引力。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

結局アッシュは、英二を”異国”に返す企て（あるいは優しさ）を告げられないまま、オーサーとの死地に赴く。
”親父”に遺言まで残して、しかしイノセントな英二を手放す決断、それを告げる勇気がない。人を殺すよりも、人を愛し護るほうが難しいアッシュという少年の優しさと強さが、とても悲しい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

英二との穏やかな国境侵犯と並行して、悪魔のギャングボスとしての顔が描かれるのも、先週から引き続きである。
イチャイチャキャッキャ仲良くしつつ、銃はぶっ放し、人は殺す。そのどちらも真実であり、アッシュ・リンクスの”素顔”であるのは、なんとも難解で、納得行くところである。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

一人間と怪物のスイッチを切り替える時、アッシュはアイギアを着脱する。サングラスやメガネを付け外しするのは、力がなければ生きていけないジャングルと、力がないからこそ助け合う楽園の間を行き来する、チケットの発行儀式だ。
© 吉田秋生・小学館／Project BANANA FISH pic.twitter.com/G9JaRMRR1D

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

マックスに痛いところをつかれた時も、フードをカブって自分を隠す。
そうやって覆い隠さないと生き延びれない、暴力とトラウマの砂漠の中を、アッシュは生きている。英二は意識せず、そこからアッシュを引きずり出してしまうから、アキレスの踵なのだ。
© 吉田秋生・小学館／Project BANANA FISH pic.twitter.com/R3DxJ1wc7W

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

緑と赤で染め上げた、暴力的ですらある色彩の統一感。こういうのを見るとアニメ版BANANA FISHを”喰ってる”という感じが強くする。
血の赤に染まって世界で、掌を、あるいは眉間を撃ち抜く銃弾。暴力をコントロールしたい欲求と、出来ない現実。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

対話が成立した時に、薄青の光が混じって色彩が変わるのが、なかなか印象的だ。
殺すか殺されるかのジャングルの中でも、話が通じるやつはいる。でも対話を成立させるためには、一人で死地に赴く度胸と、いいようにされないための自衛力を見せる必要がある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

アッシュが裏切り者たちの眉間を撃ち抜くのは、ショーターへの弔意からだ。
そのショーター、同じように殺されたスキップが、今のアッシュを望んでいないと、英二は告げる。それが事実と思えるから、アッシュも反発する。
判っている。でも止まらない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

アッシュが古臭い決闘の罠に飛び込むのは『これ以上人が死なない』からだ。
赤い血にまみれつつ、アッシュは潔癖に正しさを求めている。制御できる銃、汚れない白いシャツ。でも、銃を手にとった時点でそれは暴走し、人を飲み込む。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

情勢と暴力を制御し、混乱に秩序をもたらす決闘。それを飲み込む場所が”バー”なのは示唆的だ。
人を狂わせるアルコールだって、アッシュは程々に、美味しくスタイリッシュに飲み干せる。でもそんな風だったパパ・ヘミングウェイだって、依存症になって自殺しちまった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

自分は大丈夫、力を制御できると呪いをかけつつ、気づけば手にした力に溺れ、制御不能な激流に身を投げている。
アッシュを前にした男たちが性欲を抑えられないように、BANANA FISHを目にした権力者が薄汚い謀略に飛び込んでしまうように、悪は誘惑し、融和してくる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

あるいは英二との生活の中で育まれる、青い空へのあこがれもまた、そんな危うさに満ちているのかもしれない。
地獄みたいな因縁のジャングルの中で、マトモな生き方ができるかもしれないという希望。それは虎に油断を生み、背中にナイフを突き立てる。油断したやつから死ぬのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

様々な場所、様々な顔で、アッシュは矛盾と向き合う。楽しいハロウィンパーティーで、同じ飯を食った仲間は、地下鉄でナイフをぶっ刺した殺人者でもある。
人を殺せば無条件の悪人で、楽しいことしてれば善人で。そんなシンプルな境界線、どこにもない。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

それでも何かがキレイに割り切れる場所を、心のどこかで求めつつ。アッシュ・リンクスは静かに、死地に歩く。
黄金のニューヨークを眺めつつ、隣り合う二人の青年。境界線はハッキリしていて、でも側に有りつ付ける。哀しく美しい青春のポートレート。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

ゴルツィネへの宣戦布告のシーンも、緊張感があってよかった。衆目を逆に利用し、安全を確保して本音を叩きつける。
お前の薄汚れた世界を、真正面から否定してやる。お前の息子にはならねぇという強い意志が、グラスや旅客のベールで見え隠れする。
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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

全ては出たり、入ったりする。優しさと強さ、生と死、残忍と平穏は同じ場所にあって、しかし分かたれていて、相互に交流し、汚染し、あるいは影響し合う。
そのハーモニーが人間であり、アッシュ・リンクスの複雑な人格と青春でもあると、今回の鮮明な映像はよく描いていた。ヤッパいいなぁ…。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

前置きする形で、中国組の姿も描かれた。ガキっぽさを残すシンが、アッシュのあり方を決めつけず、真実を自分の目で確かめようとしているのが好ましい。
月龍もかすかに残った情を匂わせ、自分とアッシュが身を置く地獄から遠ざけるため、真実を隠す。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

キレイなものを汚さないために、安全圏に閉じ込める。なにかしたいと求める子供を遠ざけて、一緒に堕ちる勇気を持てない。
やはり月龍とアッシュは鏡合わせの双子であり、しかし何かがズレている。本当の友達だからこそ踏み込んでくれた英二と、まだ踏み込めないシン。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

過去を振り返らず、自分の望む世界を掴み取る。龍も虎もジャングルの中で、生きるために手を血で汚していく。
その衝動に、愛するべき無垢は置き去りにされるのか。汚れない特権は、生き死にがかかる運命の流れから遠ざけられている証明ではないのか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

そんな疑問を残しつつ、英二の帰国とアッシュの決闘が近づく。鏡合わせに似すぎていて、だからこそ殺し合うしかなかった男たちの、一つの幕。
その先にはより大きな”父”との対峙と、腐りきった国家との対決が待っている。アッシュは生きたいように生きているだけだが、それが巨大な不正を壊しもする。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

逆に言えば、アッシュが望むように生きるためには、世界を構築するとても巨大で、腐敗していて、ままならないものと絶望的な戦いを続けなければいけない、ということでもある。
そのために銃を取れば、否応なくては血で汚れる。何かを持てば、その瞬間に何かは失われてしまう。持つと持たぬの境界線は

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

様々なキャラが背負う矛盾と祈りを、少し物語のペースとテンションを落として描くNY雌伏編でした。
ジリジリ燃え上がっていた導火線が、ついに火を噴く次回。いい塩梅なんだけど一回お休みなんだよなぁ…焦らしがお上手いなぁ。再来週の放送が楽しみですね。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

追記　誰もが制御を望み、しかし焼かれるプロメテウスの火。アルコール、タバコ、火器，爆発物が一括管理されているアメリカの危機管理行政。

BANANA FISH追記。
こうして”銃”の両面性がストーリー進行に従って顕になってくると、”BANANA FISH”に呪われ、M4手にとって味方を殺してしまった第1話冒頭のグリフの影が、長く長く伸びてくる。
自分を失わされ、望まぬまま行われた兄の殺人。尊厳を護るために殺した弟の。鏡合わせのカインとアベル。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日

結構ガンコントロールに纏わる話だと思うんだが、原作の時点でそのテイストがあったのか、アニメ側で拾い直したのか、自分が勝手に幻視してるのか。
発刊当時よりもさらに、無軌道な銃による犠牲の問題は痛ましく、重くなっている世相を拾って見せているのなら、面白い切り口だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年9月22日