星合の空を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
学園の恥部、ゴミどもの掃き溜め。連敗街道をひた走る男子ソフトテニス部は、眞己の加入でどう変わったのか。
それを試す練習試合が、敵地で始まる。
緊張、油断、奇策に発見。様々なものが渦を巻くコートに、少年たちは何を見つけるか。
そんな感じの、一週間ぶり星合の空。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
一話まるまる試合であり、アクションの中に色々詰めてるエピソード。
ボール追っかけまくる展開だと、クソに殴られたり、金を脅し取られたり、背中に熱湯をかけられたりしないから安心だね…。そういうのないの、実は初めてか。スゲーアニメだなオイ。
さておき、眞己が起爆剤となって変化しつつあるダメ人間の掃き溜め、男子ソフトテニス部。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
初の対外試合に挑み、緊張する仲間を眞己は鼓舞する。甘い熱血ではなく、クールな…しかし確かな信頼と観察で、新しい仲間を送り出していく。
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W後衛組の試合前は、ソフテニ部という社会において眞己がどういう仕事をしているか、非常に鮮明にわかるシーンだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
眞己はよく観察し、その人の長所を見つけ、それがより生きる繋がりへと働きかける。マネジにはマネジの仕事があり、弱気な二人には地味な強さがある。
それは自分ひとりではなかなか見つけられないもので、飛鳥くんは部に入ることを躊躇っていた。弱気な二人も、”親分、子分”の子分に甘んじていた。
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しかし眞己がジッと彼らを見つけて、言葉で働きかけて再配置することで、秘めていた資質が集団の中で機能し始める。
ダブルスという、最小限の社会。部という、小さく力強い社会。
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そういうものを再活性させ、『自分に”何か”ができる』という肯定感で持って居場所を生む。人と人をつなぐ。
煽り混じりの率直な言葉、真っ直ぐな働きかけで持って、眞己はそういう仕事をやっている。
その根底には、やはり観察眼がある。
『一人なら弱い。でも二人ならいけるでしょ、勝てるでしょ』
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眞己は冷静に仲間の弱さを見つつ、結構本気で信じている。クールなようでいて、ソフトテニス部という新しい社会、新しい体験に喜びと期待を感じている。
この前のめりで熱量のある姿勢が、人を動かすのだと思う。
同時にクールさだけで中学生男子集団は動かないので、気合のバッタジャンプも大暴れだ。
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竹ノ内くん、オラ付いた態度と外見なのに、妹と一緒に色々考えてるんだ…『兄ちゃん、明日試合出んだよ。緊張ほぐすダンスねーかな~』って、色々相談したの?
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これがよく効いて、ネガティブコンビは試合を上手く運ぶ。ナメてる相手のスキを突き、自分たちの実力を証明していく。
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俺たちはカスじゃない。誰かに踏みつけにされて、背中を丸めるだけの子供じゃない。
そういう実感が、少年たちの背筋を伸ばす。微笑ましく、また眩しい。
しかし奇襲は奇襲で、ゴミクズ軍団とナメていた強豪は黒星一つでペースを取り戻し、地力を発揮し始める。
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こうなると差を埋めるのは難しい。終盤まで自分の戦型を維持する体力が、根本的に足りない。
クズとしてサボりまくってたツケも、試合は証明する
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そういう客観的な視座は、大人びた眞己だけでなく、その背中を追う子供たちにもある。
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自分たちの欠点を自覚し、今後の練習に繋げる。そういう負けは、飛鳥くんが言っていたように価値ある負けだ。
こういう客観性も、眞己に影響を受けて目覚めた資質なのだろう。
才のあるものは、否応なく周囲を変える。眞己の特質だった客観性は、彼を中心に据えたソフテニ部全部に波及し、少年たちを大人にしていく。
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そうして変わった”場”が、変化の起点である眞己をも変えていくのか。虐待の只中にいる彼を、部活と友情なんつう甘っちょろいものが支えうるのか。気になる所だ
それはさておき、唯一制服でなんか付いてきてる御杖さんが、観客役として優秀である。お前ほんと面の皮アツいな…。
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ソフテニ解んない視聴者のために、ルールとか競技の眼目とか描写の意味とかをほじくり返すには、ド素人が一人いるのよね。
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最初は『サーブってなんだ?』みたいなこと言って、『負けは負け』とニヒルぶっていたのに、気付けば前のめりに試合と勝敗に体重を預け、真剣に見ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
御杖さんも根っこは素直で、非常に可愛い。熱くなれる何かを探していたのは、ソフテニ部員だけじゃなかったんだろうねぇ…。
だんだん前のめりになってくるのは敵のエース、王寺くんも同じで。
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最初は部の王様として踏ん反り返っていたのに、しっかり試合を見て、志城南の強さを認める。ナメず、目の前の相手を楽しむ。
眞己と同じく、”眼”がいいエースだ。
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後の試合を見てもわかるように、彼はしっかり見る選手だ。
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どうもこのアニメ、ソフトテニスを『観察力の競技』として描いているフシがある。強いやつは大概、目の良い描写がある。
眼前の世界を虚心に見つめ、相手の出来ない所、自分の手の届く範囲を見据える。
そこに実行力を沿わせていくことで、勝利が近づいていく。そういうゲームとして、ソフトテニスが描かれている感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
これが、理不尽な暴力と恐怖にさらされている眞己の人生と世界を切り開く足場になるか…ソフテニと虐待がどう繋がるかってのが、今気になってるポイントだ。
さて、続く天野-布津ペア。
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最初は相手の地力に翻弄されつつ、ペースを取り戻してカウント一つ。やはりスタミナ切れで試合を維持しきれず、3-1で負けとなる。
一つは取れるくらいに強くて、結果的に負けになるくらいには弱い。そこが彼らの”今”である。
控えめに見える凛太郎のセンスが、試合を作っていた。
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どこに隙があるのかしっかり見つけて、グッと差し込む。見つけたものにフィジカルをついていかせる。眼と手が連動すると、点が入る描写が多い。
同時に、それを続けるスタミナが無いこともわかる。
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サボっていたツケを、どう払い戻すか。負けを呼び込む”たるみ”がどこにあるかを、部員はこの練習試合で自分ごととして痛感した。
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負けた惨めさにうずくまるのではなく、至らなさに顔を覆うでなく。冷静に見据えて、次に繋げる準備にする。
そういうタフさを、少年たちは手に入れつつある。
それは”志城南のオラつき童子”(勝手に命名)も同じで、でかい体をショボつかせ、自信のない風情。そこを飛鳥くんが、特別ドリンクでしっかり埋める。良く見てるね。
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オラオラしてるやつほどメンタル弱いってのは、対戦相手を鏡に彫り込まれる描写だなあ…
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弱いものなら仲間の支援と、大声虚勢で補えばいい。バカがバカなりに考えた大越作戦は、一応ルールの範囲内だ。
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敗戦後の会話を見ても、この奇策がその場の勢いでないのはわかる。自分たちなりに、勝つためにやるべきことを考えた結果がチンパン殺法である
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これもW後衛と同じで、奇襲にしか為らんわけだけども。相手は強豪、練習時間に支えられた地力とスタミナ、競技をやる自分への信頼がある。
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動揺を抑えて、それを取り戻されると(元)ゴミクズは弱い。
ちゃんと頑張ってた子供たちが持つ、当然の強さ。そういうものも大事なのだ。
逆に言えば、心が揺れれば王者も崩れる、ということでも
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ある。
振りかざした拳を前に、どう怯えず自分を保つか。苛立ちや恐怖、暴力衝動を前にどう己を保つか。
そこら辺は、コートを出た青春という戦場、思春期という地獄でも問われる難問であろう。
『今回は時間がなかった。こんなもんだ』
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浮かれポンチのバッタが呟く、かなり冷静な自分たちへの評価。
やってなかった結果としてのスタミナ不足、真っ向勝負で噛み合うわけがない現状。
そういうものを、二人はかなり冷静に見ている。
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自分を大きく見せようと必死な二人は、惨めさに対する耐性がそんなに強くないと思っていた。当然の負けを飲み込めず、悪態で脆い自分を守るかな、と。
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しかしかなり冷静に、出来ない自分を見据えて、どうすれば出来るようになるかを考えている。
真面目に、普通に練習する。
それが最適解だ。
誰に押し付けられるでもなく、自分でここにたどり着けるのは強いと思う。眞己に引っ張られる形で、メンタルがアスリートっぽくなってきた。
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この練習試合のあと強くなるのが、スポ根マンガのセオリーだ。負けの苦さは、そのままにはしておかない。
そういう常道に説得力を足す描写が、今回多い。
さて、そんな変化の源泉になった眞己は、自分自身の試合に挑む。
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油断なく、全力を尽くす。王寺くんはふてぶてしい態度と、いいメンタル、鋭い観察力を持った強敵だ。
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彼のプレイはライン際のクイックネス、それで削れないスタミナの描写も強いが、早いプレイの中で急所を見つけ、そこにボールを放り込む”視力”が強調されている。
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ボールにタッチする一瞬前の、静かなクローズアップ。ここに入れれば勝てる、というポイントを、見逃さない判断力。
『”見る”ものが強い』という作品のルールを、王寺くんのプレイ描写は徹底的に焼き付けてくる。
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眞己の強さもそこにあるが、見ているものに追いつけない。何しろ、ド素人なのだ。
ここら辺面白い描写だ。イメージにフィジカルが追いつかんのね
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『出来ない自分』に飲み込まれて、地面を蹴り荒らす柊真は論外として。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
見えているけど追いつけない自分を、どう勝ちに引き寄せるか。大人びた少年、部活の中心は必死に考える。
ニヤリと不敵に笑って、鋭いサービス攻略の秘策を取り出してくる。
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というところで、次回に続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
3-1というスコアの中に、クズじゃなくなり始めているソフテニ部員それぞれの個性がしっかり刻まれ、面白い練習試合となりました。
負けから学び、未来に繋げる。惨めな現状に諦めず、 明日へ進んでいく。
眞己が入ったことで、部は変わった。
”部活”という、ある意味特別なモラトリアムでの変化。それはとても眩しく喜ばしいが、この作品世界はそれだけでは構築されていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
情け容赦なく暴れ狂う、子供たちを飲み込む牙。虐待のリアルを前に、コートに刻まれた不屈と希望が、一体どれだけ役に立つというのか。
そういう未来像への期待も膨らむ、いい試合描写でした。テニスの描写が競技単体で終わらず、生活全体、人格全体に敷衍するように組まれているのは、教育としての”部活”をポジティブに見据えた、凄く良い描写だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
”そこ”での出会いと体験が、かけがえのない支えになって未来を作る。
部活と青春が、そういう場所であってほしいなぁ、という願いが静かに刻まれているようで、見ていて嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
…それと同時に、一切容赦のないシリアス虐待もきっちりやってくんだよな。
『夢に説得力持たせるためには、眼をつぶっちゃいけねぇ場所がある』ってことなのだろう。エグいぜ…そして正しい。
眞己が”部活”に生み出した変化は、負けの中にしっかり刻まれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) November 15, 2019
ド素人として、エースとして、強敵との試合に挑む眞己は、一体何を見つけたのか。その挑戦が、何を連れてくるのか。
次回、練習試合決着。非常に楽しみです。