イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

KING GOLF 16

佐々木健×谷将貴。サンデーレーベルのゴルフ漫画、キャディー編も山場の十六巻です。前回蒼甫が落ちて立ち直り、よし逆襲開始、と思ったらすごい勢いでヒロインをマインド・ゲームの地獄に突き落とし、マンガとしての上げ下げの巧さを見せつける展開。「こっから逆転フラグとでも思った?」という作者のドヤ顔が見えた、マジで。ええ思いました。最高に上手いひっくり返しです。
ぶっちゃけキャラ立ってなかった有海の、そのキャラの薄さやウザさまできっちり利用して、「ゴルフをやる芯がない」という大ピンチの演出に使う。主人公としてマンガの軸であった蒼甫がクラブを握らない不安を、一気に有海のキャラを立てることで解決。やや大げさなプレッシャーの演出との相性の良さもあって、下げる展開のストレスが非常に太い。
その上で、小さい上げで「この漫画は下げるだけではなく、ちゃんと上げますよ」と読者に思い出させるところとか、「キャディーの背中を見る選手」と「選手の背中を見守るキャディー」を対比させてこのあとの上げを予感させるところとか、なによりも蒼甫が己の魂を託し有海が踏ん張るシーンのパワーで、このあとのカタルシスの期待値を跳ね上げさせるところが、この漫画のとにかく強いところだと思います。
ラストシーンの引きも非常に綺麗で、とにかく次巻が楽しみ。島流しにあっても、主人公がクラブを握らなくても、とにかく面白い漫画に仕上げてくるあたり、やっぱり地力が太い。というか、掲載誌が移ってからのやや変化球の展開がパワフルで、この漫画の実力というものを再確認しました。おもろいわー。