イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

へうげもの 15

山田芳裕講談社。戦国数寄者群像劇、ついに関ヶ原の十五巻目。ほぼ一巻丸々戦で、首が飛んだり腕がもげたり、いろいろ忙しい巻だった。さすがに天下分け目の決戦、今まで登場した様々な人物の運命が千千に乱れ、沢山人が死んだ。南蛮貿易で天下を睨んだ小西行長、不利と知りつつ石田の背中を守った大谷吉継、そして石部金吉のイヤなやつこと石田殿。
この漫画、好きという美意識を追求うするためか、己の望むところに至るととたんに死ぬ。明智も利休も山上宗二も程良い所に落ち着いた途端死にましたが、石田殿も小茄子茶入の謎を解き、己のあるべき所を知った途端死にました。業と世間の折り合いが登場人物全てに課せられている漫画なので、致し方無いとはいえ、少しい寂しいです。
しかしながら、死して残した虎の皮とも言うべき金継ぎの小茄子は非常に印象的で、フェティッシュに生き様を込めるこの漫画らしいアイテムでした。石田兄の金瓢箪といい、遺言ならぬ遺物で己の遺志を示すシーンが印象的なのは、15巻という蓄積が読者にフェティッシュを読み解くコードを与えているのと、生来のハッタリパワーのおかげでしょうか。
脇役に目を止めると、やはりお兄ちゃんこと石田正純の、清廉と凄惨が同居する自裁の場面が目に付きます。いや自分が石田兄が好きだってのもあるんですが、廊下を清めて床に瓜を飾り、腹かっさばいて一族郎党死に絶える無残なシーンはやはり、強烈な印象を残しました。全編硝煙の臭がする今回の関ヶ原の中で、一瞬無音になる感覚。やはりこの漫画の石田兄は、独特の存在感を持っていたように思う。
これを受けて織部が、徳川の治世をどう泳いでいくかが、最後の見所になるんでしょうか。家康が秀忠と一緒に、どんどんバケモノの階段を上がっているので、逆風は厳しかろうと予想はつきますが。金森宗和は超つえーので、さらっと生きていきそう。あと上田VS宗矩のスーパーバトル。やっぱ数寄レベルが上がると強くなんだな。