イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

グラゼニ 06

森高夕次×アダチケイジ、講談社。銭からプロ野球を切る、新世代型ベースボール漫画の六巻目。作品世界はストーブリーグに突入し、この漫画の根っこである「年俸」にじっくり紙幅を割いてフォーカスする展開となっております。凡田の年収弁慶キャラもかなり忘れ去られ、地道かつ濃厚な野球悲喜こもごもがウリになってるこの漫画。年俸を巡る攻防も、凡田の特殊能力絡みというか、球界裏話コメディという感じになっております。
まぁぶっちゃけ飛び道具で勝負するより、ベタ足で地面を踏みしめてる現在の路線のほうが面白いので、今回の年俸話もグッドイナフなんですが。凡田の冷静でありながら間抜け、オバカでありながらクールというキャラクターが上手く生きた、ドタバタとシリアスの間かなりコメディ寄りな展開。ゼニに拘りつつも、結局野球馬鹿という部分が凡田が愛すべきキャラである一番の要素だな、などと再確認した。
他に収録されているエピソードの、トクさんの去就をめぐるドタバタやら、解説者から監督まで睨んだ「引退後の野球選手」キャリア話なんかも、野球界の縁を上手く漫画に落とし込んでいて、この漫画の魅力に満ちていると思う。トクさんの話に漂う人情臭もひっくるめて。トクさんは取り合えず、パーフェクトな嫁さんゲットして良かったね。P71・72はこの漫画の中でも、一二を争う良いシーンだと思います。笑える所が良い。
あんまライトの当たらない素材を取り上げて、一種トリビア収集的な楽しみがあること。そして、キャラクタの掘り下げとエピソード構築の巧みさというベーシックなパワー。その両輪が、やっぱりこの漫画の圧倒的な力だと思う。支持土台をしっかり築いて、漫画の良さが読者に周知されてきて、漫画としてのアブラがバッチリ乗ってきた。新シリーズ開幕の次巻に、否応なく期待が高まります。