イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ヴォイニッチホテル 2

道満晴明秋田書店。道満兄貴のマジックリアリズム漫画、二巻目。想像よりも二年早く出てびっくりしたが、楽しい漫画がたくさん出る分には大歓迎です。一巻にも漂っていた死の匂いがより濃くなっていて、名前のある人が凄い勢いで死ぬ。しかもあっさり死ぬ。死なないのは子供位のもので、生き残り側にいる人も悪魔に魂持ってかれてたり、そもそもゾンビだったりする。
すげーいいキャラしてたクロサワの死に様が省略されてしまう辺りに、この漫画のスタンスはよく現れていると思う。ほとんどの登場人物が死ぬか殺すかするわりに、その筆致はライトで湿り気が薄い。死ぬことがファルスになっている、というわけでもなくて、淡々と理不尽に死んでいく。そういう態度は、舞台である寂れた南国の島もあいまって、どこかボルヘスっぽい。悪魔に現実をねじ曲げられる街、とか。
直接的に魔法と魔女が登場しているのもそういう空気を増幅させているが、彼女らが使うのは呪い以外の何物でもなく、ということは因果のツケはやっぱり自身の破滅ではらわれる。つまり、作品中最強の魔女であるエレナの運命も多分、淡々と暗いのだろう。クズキと結ばれた今が明るいだけに、彼女に死の影が伸びる瞬間は、多分寂しくてやりきれない気持ちになるんだろうなぁと思う。次の巻を早めに読みたいものだ。