イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

AKB49 15

宮島礼史×元麻布ファクトリー、講談社。名古屋に出張アイドル根性物語、十五巻目。今回はSKEファン全員に認められる、というムチャぶりを攻略していく回。青票というビジュアル的に解り易いトークンと、キャラ立てた七人を順番に攻略していくクエスト感が相まって、「アンチに認められる」という分かりにくい攻略目標を、上手く少年漫画に落としこんでいる。こういう所怠けないから、この漫画はつくづく強い。
少年漫画に必要な「これが問題で」「これでブーストして」「こう攻略する」という、お話の上がり下がりの調整が今回は上手くて、先述した青表のヴィジュアル力で攻略目標をくっきり見せる。岡部や奥平といった東京での財産を上手く活かして突破口を造る。臼田さんや須田ヲタなんかの、一話完結で粒の立った話で具体的な克服感を出して、一番親身だった松井Jをぶっ倒させることでピンチを演出して最終決戦と、よく調整された上がり下がりだった。
久々に出てきた岡部の、ヒロインとしての完成度は相変わらず素晴らしいモノがある。バレエという新要素で攻略の足がかりを作るライバルとしてのツンデレもそうだけど、岡部=ツインテの印象を再登場で崩してアップを見せてくるあざといサービス精神がヤバい。有栖も須田ヲタとの兼ね合いで根性ある部分を見せたりして、上手くキャラを立てつつあるのだが。ここら辺は使ってきた話数が、文字通り桁違いなのでしょうがない。個人的には、名古屋編のヒロインとして有栖はイイキャラしていると思う。
今回一番良かったのは、長年に渡るおんぶにだっこ状態を引き剥がした吉永が、ようやくアイドルに必要な「凄み」みたいなものを獲得し始めたこと。主人公であるみのりに、手の内を見せないよう見せないようエピソードを積んでいて、漫画の説得力はとにかく見せ方で決まるということを痛感する。浦山実の恋愛対象でありモチベーションである以上の存在価値がなかった吉永に、ようやく目鼻がついてステージに立つに相応しいキャラになった(なりそう)な感じが出てたなぁ、今回は。
今までこの漫画は主人公たるみのりの天才性、真っ直ぐな根性主義だけで14巻引っ張ってきた感じがあるんだけど、此処で上手く吉永を「凄みのあるアイドル」として立てれたら、この漫画を引張るエンジンは二つになる。そうなったら、この漫画の一番強い部分である「ステージアクトにどう立ち向かうか」というテーマを、より強力に見せることが出来るんじゃないかなぁ、と思う。話の軸になるキャラが増えることで、話のバリエーションも増えると思うし。
そして、そういう展望を抱かせるくらい今回は「上手かった」と思う。ヒット性の打球がポンポン出てた感じで、安定してた。さすがに十五巻続けてるだけはあるなぁ、と実感。この予感が実際になるかどうかは、次回を見ないと始まらない。さてはて、どうなるのでしょうか。そしてSKE単独でのナゴヤドームが決定した現実の速度を、冒頭の「ご褒美」設定に感じたりもした。いやー、そこら辺めんどくせぇなぁ半生漫画。