イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/08/14

 

・ さばげぶっ!
ゲスがのさばるサバゲ部世界では、善人=弱い生き物という構図は確定的であり、前パツ姫カットの常識人生徒会長が振り回されまくり可愛いアピール飛ばしまくるのはまぁしょうがないね、という回。
ついでで仁義無き戦い
背中に銃を隠すシーンがダイ・ハードのパロディであり、あんまドヤ顔しないさらっとしたパロディ、相変わらず上手いなと思いました。

会長はチョロすぎるので、あのレズ萌えJKでうめつくされた学校でデキてるデキてる言われ続けてると、確実に部長の事好きになるタイプだと思う。
外堀埋め立て系百合……新しい。
会長は可愛いので出番が増えて欲しい気持ちもあり、絶対ヒドイ目に合わされるのであんま矢面に立たないほうがいいと思う気持ちもあり、複雑だぜ。
ともあれ、やっぱおもしれーアニメであり大満足でごわした。

 

・ ハナヤマタ
めんどくせー女子が青春をよさこいに投げ込むアニメも折り返し、みんなで努力して先生の心を動かせ! という回でした。
定番ながら丁寧に積み上げた努力描写と、決め手になるよさこいシーンを印象的にやったおかげで、「たしかに此処で動かなあかんな!」と視聴者も思える、シンクロ率の高い回でした。
時間をかけて心の問題を踏破する分、地面に足のついたカタルシスの得られる、良いアニメですねコレ。

ようやく頭数が揃い(ヤヤちゃんは名義貸しだと言いはってるけど、ツンデレの『きょ、キョーミ無いし!!』ほど信用出来ない寝言もねぇぜ)、部としてみんなで知恵を絞り努力する描写が重なりだしました。
これはそれが実った時のカタルシスとしての機能の他に、それ自体にキラキラとした魅力が満載であり、このアニメ特有の過剰なビカビカ演出との兼ね合いで、そっち方面にもよく刺さる展開だったと思います。
やっぱなー、仲間を集めてなんかする系のお話は、こういう地道で具体的な道中の苦労が、個人的にはとても楽しい。
そういう美味しい所をしっかりやってくれるのは、ありがたい限りです。

青少年のまごころがジワジワと先生の心を動かす展開なわけですが、それが結実するよさこいシーンは非常に説得力のある演出で、非常にグッドでした。
序盤で全然踊れないハナをしっかり見せていたのが、成長がクッキリ判る結果に繋がっており、とても巧いなぁと思いました。
このシーンでも英雄的異常発光はいい仕事をしており、先生の心の高ぶりにシンクロするように白くなっていく画面に、感動と笑いをこらえられなかった。
いや、良いシーンなんすけどねマジ……どうしてもあの過剰さは面白い。

そんなこんなで、ハナヤマタらしい一歩ずつ描写が積み重なったー! と思ったら、やって来ました横殴り。
人生の先輩として「私リア充だからお前らぼんくらにも付き合ってやるわよフフンッ」面してたヤヤちゃん、オーディション失格。
オッサンの視点から見ると「そう、次頑張ろうね」位なのだが、ハナヤマタ時空の子たちはセンシティブなので、またヤヤちゃんの面倒くさいエンジンが全開に面倒くさくなり、よさこい部の面々が面倒くささ全開でウンザリしたり、それを乗り越えて青春爆裂ファイアーで百合臭い画面を作ったりするのであろう。
六話までしっかり、めんどく臭い中学生の面倒くさい挫折と奮起、その結果としての成長を描いてきたこのアニメですので、ヤヤちゃんエピにも期待大です。
……いやしかし面倒くせぇだろうなぁヤヤちゃん……。


・ 少年ハリウッド
衝撃の全尺一本まるまる劇中劇を経て、今回はマッキー個別回。
「居場所」をキーワードに、既にお当番を果たして成長を遂げたキラとの熱い交流を経て、小さな決意を固める話でした。
全体としてみると何かが進んでいるわけでもないんだが、少年の心の中には大きな変化があって、そこがしっかり分かるというのが少ハリクオリティだ。

15の夜ッ面で何処にも行けず、何にもなれない少年マッキー。
世間一般の同調圧力にも、不良仲間の同調圧力にも馴染めないまま、流れ流され少年ハリウッドであり、社長がこの子をどう見つけてどう引っ張ってきたのかすげー気になるがそれはまぁ別の話。
ともあれ、ウッカリろくでもない通販アイテムにも「居場所」というマジックワード一本で引っかかっちゃうくらい、心が不安定なガラスボーイなわけです。

そんな彼が色々ぶつかりつつ、答えになっていない答えを手に入れるのが今回のお話。
最年長のマッキーが、最年少のキラとのぶつかり合いで少し安定するという構図とか、「居場所」の無さに対する一般的な解答とは少しズレた答えの出し方とか、少ハリ角度のずらし方が凄く良く出てて、とても良かった。
マッキーだけの成長ではなく、同じように「居場所」に強い疑問を抱いているカケルにも波及する展開にしていたのは、キャラの動きに横幅が出ててグッド。

今回の第二の主役キラは、個別回で見せた成長を別のキャラの成長に活かし、どん底から自力で手に入れた新たな「居場所」としての東京ハリウッドへの想いが見え、とても良いポジションだったと思います。
個人的に野望に燃えて自分が一番な子なのかなぁと思っていたので、あそこまで怒るのは意外だった。
でもマッキーの「辞めない」発言に泣くほど強く食って掛かったのは、キラ自身が言っていたように「居場所」を手に入れるための努力を軽んじられた怒りもあるんだろうけど、マッキーを始めとする少年ハリウッドのことが結構好になってるからだろうし、「辞めないから」とマッキーが言った時のキラの笑顔を見て、更に好きになった。
益体もないお笑いアイテムからスムーズにあの良いシーンに繋げる手腕とか、マジ凄い素晴らしい。

中間まとめとして劇中劇を経て、もう一度個人回に戻ってきてみると、突拍子もない青少年男子らしいモノローグ、メタファーの使い方、テーマへの真っ直ぐな取り扱いと、少ハリの強さを再確認するような仕上がりであり大満足でした。
ホント丁寧に作られてて、面白いアニメだ。
これで個別回の残りはシュンだけですけど、「音楽」という分かりやすいテーマがある彼をどう料理するのか。
今からとても楽しみです。

 

・ Free!
前回真琴が心の闇を少し解消し、なにかお話が完結した感があったので不穏なマイナス要素を集めてみました回。
ニトリはリレーから外されるし、岩鳶は負けるし、遥の進路は定まらないし、全体的に安定しない空気が漂っていた。
そこら辺を徹底的にコントロールし、不穏さを醸しだす演出の鋭さは相変わらず。

この話は毛並みのいい話で、製作者サイドの狙いどおりのラインでお話は展開し、その空気は醸造されています。
なので、今回醸し出した不穏さは的確にコントロールされ、青少年たちの熱いパトスが天井をぶち破るための素材なわけです。
不安定さをばら撒くだけではなく、突破のための伏線も丁寧に撒いていたのは、やっぱこのアニメは良く出来てるな、と再確認する材料になりました。

そこら辺の仕事を一番していたのは矢張り怜であり、「悔しくないんですか! 僕達は負けたんですよ!!」は『絶対誰かが言わないといけないが、お前が言うしか無い台詞』過ぎて悲しさすら感じた。
遥にフリーの意味を語るシーンもそうなんだが、個人個人の情念ではなく、そこから一歩踏み出したより大きなテーマに係ること、ストーリーの適切な進行に関わることを、岩鳶においては怜がほぼすべて担当しており、「なんと頼りになるキャラクターだ」という感服と、「そういう立場だと、またキャラクターが話しの都合に巻き込まれて死ぬよ」という不安両方を抱く。
ほんとあの子はなぁ……物語的視野が圧倒的に広くて押し出しも強いという、同卓したら死ぬほどありがたいPLだよなぁTRPG的に例えると。

岩鳶も鮫柄も、緑色の目の怪物が係る辺りがグラグラしておるわけですが、不器用ながらゴツゴツとぶつかる鮫柄チームと、なまじっか付き合いが長い分肝心な所に踏み込めない岩鳶チームの対比がこのアニメらしいなぁと感じた。
宗介くんが出す闇のオーラはなかなかのものなのですが、同時に自分の中のダークネスを扱いかね怯えている、歳相応の青年らしさもよく演出されていて、面倒くさいけど見守りたい子という、良いキャラクターに仕上がっています。
対して「ふー、パーソナルクエスト達成してスッキリ!」みたいな顔して、煮え切らない態度のハルを放置してるマコのグジグジ加減もまぁいつもどおり。
如何にも青春群像劇みたいな顔して、岩鳶腐れ縁トリオの精神的湿度はスンゴい事になってる落差が、このアニメの特徴なのかねぇ。

そういう湿り気を一期で綺麗に飛ばした結果、部長としてニトリと岩清水先輩に「下がれ」と言える凛ちゃんが生まれたわけで、湿ってることそれ自体は悪いことではないのだろう。
完走した人格だけが評価されるわけではないが、やはり二期の松岡部長の頼れるっぷりは尋常ではなく、彼の人格的成長が合ってこそ今回岩清水先輩の「お前絶対勝てよ!」みたいな良いシーンも生まれるわけで。
やっぱ鮫柄の開放性・循環性と、岩鳶の閉鎖性・静止性の対比は意図的だよなぁ……このアニメだと。
じっとりと湿り、どこかに行きかけたように思えて同じ所に戻ってくる岩鳶水泳部(つうか遥と真琴)の今後が、非常に気になる第七話でした。