イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/09/10

・ ハナヤマタ
面倒くさいメガネことマことマチ会長を、ハナヤマタの五人目として馴染ませる回。
ラストイベントに向けて、描写の説得力を積み重ねる回とも言える。
こういう話に一つ使えるのは、シリーズ構成が頑張った成果だと思えてグッド。

マは分かりやすいツンデレであり、そう言うあざといの通ると思ってんのか素晴らしいですって感じだった。
同時にあざとさ一本で勝負するのではなく、既に仕上がってる人間関係に滑り込めない不器用さとか、このアニメらしい空気描写の巧さも生きていて、安定感のある仕上がり。
相変わらずビカビカ光ってたしな!
一人で練習しているシーンは、マジ光り過ぎだった。

突貫工事ながらクライマックスへの下地は無事均し、エントリーもハゲが頑張ってくれたおかげでOK。
後は踊るだけなんですが……次回予告を見るだに、ハナ絡みで一波ありそう。
まぁ今まであの子は面倒くさいところ一つも出さず、物語の進行に寄与してきた優等生だからね。
最後にハナの面倒くさいところガッツリやって、綺麗に終わるというのもいいと思います。
楽しみだなぁ、よさこい祭り

 

・ 少年ハリウッド
や……やりおったわ少年ハリウッド……五話の「24分丸々舞台劇」に続き、「24分丸々歌番組」という攻めすぎた構成の回。
しかも制作会社の違うミス・モノクローム(少ハリはZEXCS&ノエルジャパ年エージェンシー、モノクロームはライデンフィルム&サンジゲン。全て3Dモデルでの出演だったので、制作協力はサンジゲンだけでしたね)をド頭にぶっこむという……。
キチガイとしか言いようがない攻め方でした、作画面でも。

と、何かと尖った攻め筋ばかり目立つ回なんですが、少ハリを貫く柱である「少年たちがアイドルとして何かを達成していく物語」という要素は、疎かにせずキッチリやっていました。
一話から見ている視聴者にとっては、このファン目線の露出、カメラ切りまくりの「っぽい」ダンスシーンの完成度は非常に感慨深い。
五話では歌もダンスもなかったので、今回分かりやすくアイドルらしいシーンを、意欲的な2Dダンス作画でしっかりやってくれるご褒美感が、非常に嬉しいです。

演歌歌手だの短足アイドルだのの作画も怠けない必要はあったのかなぁ……と考えなくもないけど、そこをしっかり作りこむことで、作中に設定されたリアリティラインがブレず、「俺達の少ハリがここまで来た!」という実感があるわけで。
セットの美術から主人公たちが真ん中に置かれる構成、落ち着きすぎたトーク等など、細部をしっかりさせた結果生まれる「っぽい」感じは、「シリーズアニメの中で、24分間歌番組を見続ける」という奇手を成り立たせる上で、必要不可欠なんだと思います。
変化球を振らせてストライク取るには、真っ直ぐ早くないといけないというか。
そして、地道な真っ直ぐな巧さに関して、少ハリ以上のアニメはない。

タイアップ曲の宣伝できた初代のバーターという、良く考えると世知辛い立場での出演ですが、晴れ舞台は踏んだ。
残り話数は少ないですが、個別回も全て終わりクライマックスにはいい頃合いです。
この地道で誠実で野心的なアニメ、どこに行くのか、どう終わるのか。
とても楽しみです。

 

・ アルドノア・ゼロ
姫様復活、ライエちゃんの処遇、ザーツバルムおじさんのよく分かる火星講座、フラグだけで構築された地球軍本部、そしてスレインくんの自由とおじさん降下。
戦闘シーンはなくとも、今週も盛りだくさんなアルドノア・ゼロ。
地球フェイズと火星フェイズのザッピングが小気味よくて、ここら辺はトリプル主人公の強みですね。

ライエちゃんはハナヤマタ時空なら問題なく許されてたくらいの面倒くささだったが、何分こっちは戦場だし、お前が殺しかけたのは地球唯一の外交チャンネルだしで、さっくりと営巣送りにされてた。
とは言うものの、周りの人たちの対応は優しい。
あのシーンはライエのゴニャゴニャした心情を吐き出させると同時に、姫様の理想論に修正を入れるシーンでもあるので、仕事を果たしたキャラには優しいという理屈だろうか。
ライエちゃんの発作のお陰で、イナホくんと姫様の距離も更に縮まったしなぁ……あんなにテキパキ人命救助するアニメキャラ、初めて見たわ。

一方ザーツバルム卿は卿も火星の腐った側面を解説し、自身のモチベーションを補強し、好感と共感の持てる動きを繰り返してキャラを立てていた。
ザーツバルム卿周りは本当に的確にお話を積み上げていて、物語開始段階では「空から降ってきた宇宙人」だった火星サイドに、顔を付ける仕事をしっかりやっていて偉いなぁと思う。
俺も前髪パッツン黒髪能登麻美子のフィアンセが死んだら、復讐と革命を考えると思うよ。

そしておじさんが突貫してくる本部は、PL全員が「あー、此処ぶっ壊されて僕らまた根無し草ですね」「絶対ザーツおじさんとクライマックスだよね」と見切った結果、叩き潰されるフラグしか存在しない特異点とかした。
いやホント、狙いすましたように崩すためにロールプレイを積み上げていくんだもん、デウカリオンクルー。
それをすぐさま回収に来る辺り、おじさんはやっぱり優秀なキャラクターだなぁ。

地球サイドは襲ってきたのを撃退する、おじさん側は自分の望みのためにひた走る。
その中間にいるのがスレインくんであり、決戦のバトルフィールドで彼はどんな決断をするのか、気になりますね。
あ、君が居ない間に、姫様はイナホくんと多数のドキドキイベントをこなしておりますヨ。
頑張れスレインくん!!

 

・ スペダン
わたせせいぞうホイチョイ・プロダクション私をスキーに連れてって水着に着替えさせる、トレンディドラマ回。
裏テーマは板野サーカスと金田フォロアーとガンダム
ガワラ先生を引っ張りこんだんで何時かやるだろうなと思っていたが、思ったより直球でガンダムだった……SEとかパイロットスーツとか。

さておき、今回も題材をうまく分析した痒いところに手の届くパロディであり、「ああ、あるわー」という空気作りに成功してたダンディ。
わたせ的色彩をアニメに落としこんでいる所とか、スローモーションの使い方とか、相変わらずなBGMのクオリティとか、良く出来ていました。
外苑通りだの山下公園だの江ノ島だの、なんとなくクリスタルな感じで固有名詞が連発される構成も、エコノミックでよく解ってる。

しかしながら、こういう斜めの楽しみ方だけではなく、くっついたり離れたりな恋愛ランデブーを直球に仕上げ、切ない後味で終わらせる地力があってこそ斜に構えた楽しみも生きてくるわけです。
具体的にいうと、スカーレットのヒロイン力が凄まじく、非常にグッドナイスでした。
やっぱ桑島さんはイイなぁ……掠れた感じの奥に艶がある。

ツンケンした嫌な女と、ダラシのない下品な男が衝突したり、見直し合ったり、ときめいたり、すれ違ったりするというのは、トレンディードラマというよりは古来からラブロマンスの基本。
そこをしっかり抑えて、定番ながら切れ味の良いシーンを、センス満載のレイアウトでバッチリ決めれるところが、ダンディの強さだよねと再確認できました。
同時にジャンルに溺れない覚めた視線があるからこそ、逆にエッセンスを抽出して効果的に使えるという部分もあるわけで、ココらへんの相互作用が、非常に良い方向に出た回だったなぁ。

アニメの恋愛で20代がピックアップされることは案外少なくて、そういう意味でもスペダンらしいバラエティだったと思います。
こういう豊かさを僕に届けてくれたスペダンも、後二話らしい。
少し寂しいですが、最大限に楽しんでこのアニメの背中を見送ろうと思います。