イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/10/01

・ バディコンプレックス完結編
最終回と新番組の狭間で、ひっそりと放送されたバディコン圧縮二期。
本来12話ある話を2話に凝縮しようというのだから、無理もあれば無茶もする。
かなり駆け足な展開で『惜しい……ほんとうに惜しい』と思いつつも、バディコンの魂死なず、必要なことをすべて盛り込み、物語を完走させた見事な完結編でした。

お話の流れとしては拾ったヒナの処遇をまとめて即座に宇宙へ、ビゾンくんがいつもの様にトチ狂って気合の入ったロボ戦闘が描かれぽっと出の新兵が蒸発し、ビゾンくんをボッコにして逆クーデーターしてタイムリープのつじつまが合って戦争が終わって二人は本来の時間軸に……という感じ。
こうしてまとめて見ると、本当に色んな事が起きたなぁ。
じっくり見たかった気持ちはメラメラと起こりますが、それもエッセンスをまとめあげ、必要な分を見せてくれたからこそ。
この惜しいという気持ちは、出来の証明だと思うことにします。

こうもかっ飛ばしてなお満足度が高いのは、一つはしっかり王道をやっているから。
やっぱ悪の大BOSSは醜悪なモビルアーマーで出てきて欲しいし、巨大なコロニーレーザーは味方を巻き込んで発射されて欲しいし、世界と一緒に心中して欲しいし、作品の根っこをひっくり返す一人カップリングして欲しいし、掟破りの三人カップリングでそれをぶち破って欲しい。
過去の名作がそういうシチュエーションを発明したのは、それが心に刺さるからであり、再演でもその鋭さは死なないと思います。
そこら辺を踏まえて、美味しいシチュエーションをしっかり踏み直すのはこのアニメの強さ。

その上で、かっ飛ばすところはオリジナリティ満載でかっ飛ばすのもイイ。
今回で言えば、時間遡行しながらの世界破滅砲発射阻止とか、最高に意味わかんなくて素晴らしかった。
あの『なんだか解らんが凄いことになってきたぞ!!』というテンションから特異点発生→大団円という流れは、最高に気持が盛り上がりました。
こう云う風に、フレッシュな興奮とストーリーの上げ下げをリンクさせられる演出力も、このアニメの強さ。
圧縮された展開の中でも、自分たちの強さを見失わずフルスイングしてきたのは、とても気も強かったです。


ストーリー展開は欲張りキングでしたが、一番大事なヒナと青葉の心の繋がりに尺を取り、ディオとの友情もしっかり描写したキャラクターの扱いもグッドでした。
ヒナは相変わらず可愛かったし、爽やかな風が吹き抜けた別れのシーンは、青葉とディオの絆を感じ取ることの出来る良いシーンだった。
ED被せとは言えエピローグも全員分描写していて、本当に必要な分をしっかり回収できるアニメだと安心できます。
まさか特務武官殿があんなに美味しい役だとは……全然喋ってねぇけど。

この駆け足の展開を納得させていたのは、ビゾンくんの濃厚なキャラが勿論あり、前編ラストで満を持して登場した時は正直安心した。
期待に違わぬ最高にキモい悪役を全開でぶっ飛ばしてくれて、櫻井さん楽しそうだなぁと思いました。
同じように工期が圧縮されてた"セイクリッドセブン"でも、ケンミさんのBOSSっぷりが高速な展開の背骨になっていたので、面白い大BOSSって大事よね。
あ、子安さんの小悪党っぷりも素晴らしく最高でした。

設定周りの開示はモノローグで一気にやったので、正直消化不良感もありますが落ち着いて考えるとだいたい理解できた。
過去回想で『パイスーヒナの帰還』という、因果を正常化した後の描写をやってしまう手際の良さはグッドでした。
一期からの伏線だった『青葉だけじゃなくて、ディオとも絆を感じているヒナ』の描写がしっかり回収され、『最初のループはディオが相棒だったから』という答えが出たのは素晴らしかったです。
いや、設定面だけではなくキャラクター描写や視聴者の共感に関わる部分にループ設定を噛み付かせることに成功できているからこそ、ココらへんの描写はじっくり見たかったけどね……。

やっぱバディコンは素晴らしく面白く、誠実で、王道を歩むことに衒いがない、本当に素敵なアニメでした。
やっぱ惜しいとは思うけど、『12話を2話に』という逆境で逆にバディコンの良さが見えた部分もあるし、バディコンプレックスという物語がやるべき事は全部やって、キャラクター達の情動も完成させた、素晴らしい完結編だったと思います。
バディコンプレックス、いいアニメでした。

 

・ スペースダンディ(12話)
公式ツイッターを見たら『露骨な続き物!』と書いてあったので、よし一週間寝かせてまとめて見よう!! と思ったらヒキだけ共通で本編は12話内部で完結してたというお話。
いろんなジャンルを触ってきたスペダンですが、今回は法廷劇。
ミステリというにはアンフェアで、サスペンスというにはおバカに過ぎ、如何にもダンディらしい肩の力の抜けたリーガル・サスペンスでした。

とは言うものの、実は今まであえて無視されてきたダンディの特異体質を焦点として、パイオニウム反応というキーワードを掘り下げていくという意味ではしっかりとした謎のあるお話。
ツイッターをブロックしたから殺意マンマンだっただの、実は死んでないだの、そこら辺はまぁテーブルをひっくり返して笑いを取るテクニックの一つだ。
あの野球シーンの無駄な力み方……まこと素晴らしい。
弁護士も検察も置いてけぼりで、証人の勝手な発言と陪審員が気づいた新事実で真実が明るみに出る辺り、ちょっと面白い構図やね。

『間抜け面はしてるが、実はかなりヘヴィSFなんじゃないか?』と一部(つまり俺の脳内)でささやかれていたスペダン。
一話で宇宙ひもを切ったり、4次元人のお話で各話がパラレルワールドであることが判ったり、そもだにEDの歌詞がそういうことを言ったりしておったのですが、今回のお話で更に補強された感があります。
次のお話がダンディのラストエピソードである関係上、続くとしたらここらへんの話、つまり"ドタバタと行きたり死んだりし続けるダンディの、SF的説明"という部分を引き継ぐのかなぁ。(この感想は13話見る前に書いています)

"いつもの様に"洒脱で軽快に笑わせてくれた今回ですが、これも最初からずっと引っ張ったネタである『常時ニアミスし続けるゲル博士』というネタをひっくり返して〆ました。
さてはて、才能も能力もある大人が本気で取り組んだ悪巫山戯たるこのアニメ、どうやって〆るのか。
楽しみすぎるので、すぐさま見ようと思います。

 

・ スペース☆ダンディ(13話)
宇宙を股にかけた悪巫山戯、全世界規模の爆破オチでフィニッシュ!!
というわけで、スペダン最終話でした。
引っ張るところは大体予想通りでしたが、今まで背景に過ぎなかったゴーゴル帝国VSジャイクロ帝国の話も完結させたり、綺麗に終わった素晴らしいお話だと思います。
作画もリキ入りまくってたしな。

ダンディが神話的トリックスター、言うならば遊興する神なのはチラホラと匂わされていて、今回の神話的オチも既に何回か宇宙が滅んでいるので、違和感なく楽しめました。
巧いなぁと思うのは、毎回ヴァラエティ豊かな色んな話が展開されるお話の構図と、パラレルワールドを渡り歩くダンディの設定を重ねあわせて、非常に独特の視聴体験を生み出している所。
ゲル博士とダンディは一切面識がないはずなのに、あの下品な自由の女神を委ねるシーンは妙に感動的だ。
それは26話に及ぶバカ騒ぎを一緒に体験してきた視聴者は、ゲル博士がダンディという存在に抱いている感情の量も共有しており、あの状況なら船を託すのが"盤上この一手"だと非常に巧妙に誘導されているからです。
アホやってるようで綺麗に手綱を握っていたというか、アホをやるためには最後の手綱を握りしめて置かなければならないというか、そこら辺が見える展開でした。

帝国同士の大戦争は今までマクガフィンとして放置されていた要素に決着をつけるという意味もあるのでしょうが、何よりも大戦争でイイ作画しまくりたかったという欲望を感じました。
爆発、破片、うねる流体、飛び交うミサイルと高速移動物体!!
ねじ曲がるパースに軋る背動、主線は描かずにモーフさせまくり!
毎回リッチな作画のアニメでしたけど、スーパーデラックスパックともいうべきキチガイ作画を此処で出すことで、クライマックスな感じが出ていたと思います。
やっぱロケットが飛び爆発が起こり星がぶっ壊れると、無条件にテンションあがるな!!

神の椅子を文字通り蹴っ飛ばす最後の選択も、ダンディの冒険を楽しく見せてもらった立場からは「これぞ!」と膝を打つ快傑なる一打でありまして、気持ちのよい終わり方でした。
さんざん強調してきた尻フェチがふくらはぎフェチになって出戻るワンシーンは、終わって変わってそれでも続く、スペダンらしいラストカット。
本気の悪巫山戯というコンセプトを最後まで貫いた、素晴らしい最終回だったと思います。

 

かつて"戦国コレクション"というアニメが終わった時に、僕は「僕は戦コレの二期はなくてもイイと思っている。これ以上この題材で物語を完遂するのも難しい気がするし、やれることは全てやったと胸を張って良い最終回だったと思うからだ。だが、オムニバスアニメとして戦コレイズム、魂みたいなものを継承するものは、是非出て欲しいと思う。それは、とても豊かなことだからだ」と書きました。
僕はそのアニメがとても好きで、こんなアニメは二度と出ないだろうなぁ、と思いながらこの文章を書いたのですが、しっかり"オムニバスアニメとして戦コレイズム、魂みたいなものを継承するもの"は出てきたわけです。
無論これは個人的な思い入れであって、スタッフが戦コレの背中を見ていたかどうかはわからない(多分見てない)のですが。
個人的な系譜の中では、スペダンのスタッフが係るオムニバス先行作(ビバップサムライチャンプルーミチコとハッチンといった作品。むろんGAやデ・ジ・キャラットといったスタッフ共通していない先行作も)の背中を追いかけて戦国コレクションが生まれ、その背中をスペダンが捕まえた。
そんな妄想が、僕の脳内にはガッチリと存在してしまっているわけです。

しかし戦コレとスペダンは(僕の中で両方とも、とても大事な作品であるという共通点はさておき)大きな違いがあります。
それは規模です。
アニメ業界の広い範囲を巻き込み、圧倒的にリッチな規模で展開されたペンダン。
それは常時うねりまくってた作画だけの話ではなく、様々なジャンルを横断する構成だとか、一人原画どころか一人演出・コンテ・美術まで引っくるめたワンマンマッチを許容する制作スタイルだとか、オールドSFへのリスペクト溢れるお話だとか、毎回リセットを重ねてとにかく豊かさにこだわった作りだとか、そういうこと全てひっくるめてリッチでした。
アニメには、いろいろな可能性がある。
お話の作り方も、画面の見せ方も、個性の発露のさせ方も、世の中いろんなやり方があっていい。
そういう希望を、一切の説教臭さなく感じることの出来る、素晴らしいエンターテイメントだったと思います。

スペースダンディ、良いアニメ、素晴らしいアニメでした。