イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/10/09

・ 天城ブリリアントパーク:第一話『お客が来ない!』
京アニの新作は、賀東先生原作の現代コメディ。
取り敢えず出だしということで、メインキャストの顔見世と現状の問題点、最終的なゴールの解説までざっとやる回でした。
大筋としては『凸凹問題点を抱えた奴らが寄り集まり、紆余曲折合って偉業を成し遂げる』系のお話になるのかな。
"ライトスタッフ"とか"アルマゲドン"とか"天使にラブソングを"とか"ハッスル&フロウ"とか"ブルース・ブラザーズ"とかのラノベ版……でいいのかなぁ。
書いてて思ったけど、俺珍妙野郎どもが音楽に再起を賭ける映画好き過ぎだな。

さておき、問題克服のカタルシスを手に入れるためには、現状のダメダメさをしっかり見せることは大事であり、一話ほぼ『天城ブリリアントパークは、どんだけ終わってるか』に費やしたのは悪くはないと思います。
個人的な好みだと、『天城ブリリアントパークがダメな理由』だけではなく、『天城ブリリアントパークが立ち直ることの出来る理由』を一つでも見せて一話〆て欲しかったけどね。
……キャワイイ女の子たちが沢山いるからOKってことはないだろうしなぁ。

どんなに女の子を並べても、ナウいヤングにバカウケな記号を取り揃えても、このセッティングで大事になるのは『荒廃した王国を立て直し、偉業を成し遂げる』という骨格にどれだけ説得力を持たせられるか。
となれば、主人公を筆頭にキャラクターがどれだけ地道にそして新奇に、面白い復興案を提出できるかに、話の盛り上がりがかかってくるわけです。
今回は出だしということもあり、『どう立て直すのか』という具体案は出なかったわけで、背骨の強度を評価できるタイミングではまだない印象。
そこら辺は、今後見せてくるんでしょう。

キャラの並べ方に関しては、まぁ話進んでないのでなんとも言えないけど、やれやれ系俺様ぼっち主人公に変則暴力女という、オーソドックスなセットに見える。
会話のやりとりがが如何にもラノベ調なコテコテ感溢れるものなのもあって、ウッカリ「ああ、いつもの感じね」と思ってしまった。
今後の掘り下げで、『いつもの』以上の魅力が見たい所でがす。

作画の美麗さに関してはやはり素晴らしいものがあり、特に色彩と光の表現は文句なくグッドだった。
ココらへんも『いつもの京アニ』と流してしまいがちなんだけど、あのビカっとした絵面を仕上げる労力とその効果を見抜く眼力は、曇らせないようにしたいやね。
あ、京アニなのに露骨に肌色なシーンがあって、おじさん驚いたよ。

あまりつめ込まずに始まった第一話であり、現状と結末は見えたけど、過程をどうするかの見取り図を描くのが難しい出だしになりました。
自分は一話でバッと見取り図が見えてくるお話か、それを必要としないほどのパンチを入れてくる話が好みなので、正直フックは弱い。
こういうナメた態度のイキモノに横殴りをキメてくれる座組だとは思うので、ググッとアガる話が早めに来るとイイなぁと思いました。

 

・ ヤマノススメセカンドシーズン:新十三合目『不思議なホタルの物語』
富士登山編を終えて物語の大きな山を超えたヤマノススメ、折り返しての第一話。
1クール目終盤の高まりをクールダウンさせるように、ゆったりとしたお話が展開されました。
上げ下げをキッチリさせた起伏のある展開もいいけど、今回のようなゆるい話も面白い。
硬軟両面で攻めれるヤマノススメは、やっぱ強いアニメやね。

お話の方は向日葵コンビが相変わらずキャフフし続け、飯能の妖精ここなさんが妖精っぽく彷徨っていた。
お軽い感じを維持しつつ要所要所で重さをチラホラ見せつけるひなたとか、相手を腐しているはずなのに同じこと考えてるところとか、キ過ぎてて酸欠なった。
ココらへんの友情半歩踏み込んだ距離感は、富士登山のような土壇場でも背中を支えるし、今回のような空気感重視のお話でも全体のトーンとして生きるやね。
今回は独特の描線で作画が維持されており、普段と違う浮いた感じが、逆に今回のお話、ホタルと思い出を扱った一種の妖精譚とシックリ来ていたと思います。

んで、ここなさんは四畳半アパートでスーパーの弁当食っててもやっぱ妖精だった。
他の三人がかなり生活水準高いライフスタイルを送る中、あの小じんまりとした生活描写からの過去への介入はここなさんにしか許されない落差。
現在のおとぎ話たるヤマノススメの中でも、ここなちゃんは優しすぎ夢見すぎで浮かび上がりかねないキャラ。
今回見せた生っぽい描写をカウンターウェイトにして、妖精を地に足を付けさせているバランス感覚は、流石の一言やね。
水鳥の足掻きを見せられても熱が冷めないように、キャラを丁寧に描写してきた故のカウンターだとも思う。

こういうお話がサラッと流せることの貴重さを染み染み噛みしめる、ヤマノススメセカンドシーズン、後半の号砲でございました。
いやー、やっぱ良いアニメだわ。

 

・ 棺姫のチャイカ AVENGING BATTLE:第一話『遺体あつめる皇女』
ファンタジー戦国時代と化した10月期に殴り込みをかけた、眉毛とアニサマキチガイ妹の珍道中アニメ、後半戦その1。
今までの状況をさらっとおさらいしつつ、チャイカの可愛さだのアクションの良さだの強いところはそのまま、新しいことも色々やる。
期待してた所に、期待以上の早さで球が飛んできたという、嬉しい二期の始まりでした。

一期ラストの一大空中戦が終わっても、実はチャイカチームにはそんなに影響がなく、いつもの様に三人はのんびり遺体集め。
今までロクデモナイやつか死人しかいなかった八英雄、社会的にも人間的にも完成されたすげーマトモな人が出てきた。
殺伐バトルで傷だらけになってきたこのお話においては一服の清涼剤だが、それ故にひっくり返しが怖えなぁ。
でも、田園地方ののんびりした空気の中でのびのび羽根を伸ばしてる三人は、見てて楽しいネ。

今までサバター組の武器アクションが多めだったので、今回のウィザードVSウィザードというセッティングは「見たいけど見れなかったものが来た!!」と大興奮。
チャイカの未熟さを際立たせる強キャラ描写も説得力のあるもので、アクションシーンが物語の背中を押す噛み合いっぷりは、半年間が開いても相変わらず。
こういう所が損なわれていないと、とても安心しますね。

強みを維持しているという部分では、チャイカの可愛さは弱まるどころかブーストされてた。
ご飯をモグモグ食べ、魔法修行を頑張り、慣れないアルコールで酔っ払いと、色んな事をしてくるくる表情を変えるチャイカ。
あの子の魅力はこのアニメのエンジンなわけで、そこに燃料ガンガンつぎ込む姿勢はすげー正しい。
俺もチャイカが可愛いと嬉しいし。

変わらんところだけではなく、魔法周りの設定を開示したり、ガズ帝国のインチキ技術を映像で見せたり、足んない所をしっかり補填してるのもグッド。
もう一人の主役集団である調査団がどう動くかとか、ちらっと写ったバッテン前髪のお兄さんとか、次が気になるヒキも完備。
順当に滑りだした、良い仕上がりのチャイカ二期第一話でした。

 

・ 神撃のバハムート:第一話『Encounter Wytearp』
"ソシャゲアニメに竜が潜みよるとは……"とアニメ丹波蝙也斎も毎回唸ってるジャンルから、遂に本命中の本命が満を持して出陣。
何が本命って、あのキチガイ作画キチガイ音響で自社単独制作な所。
CMは全部自社一本だし、音楽会社からタイアップをねじ込まれる謂れもないので、EDはオーケストラによるインストだ。
すげーなソシャゲマニー(多分このアニメだけが、例外中の例外)。


取り敢えずぱっと見思うのは、ゼニかかってる感マジパないってこと。
スケール感のある町並みを情け容赦なく疾走するお馬さん。
唸る雷鳴、街を破壊しながら疾走する大車輪の上での立ち回り。
その背景で唸りまくるフルオーケストラ。
ゆったりとキャラを紹介する落ち着いた序盤の流れも引っ括めて、マジ映画でした。
やっぱ美術に気合が入ると、異世界ファンタジーはのめり込み方が違うなぁ。
町並みの描写ほんと良かった……おんまさん可愛いし。

ゼニの話ばっかりしていると下品なので中身の話をしますと、想像してたより地味だった。
なんというか、『国家規模の予算をつけた幕末義人伝浪漫』みたいなアニメ。
ええ、俺は浪漫大好きですよ、あれマジ名作ですからね。(この後三時間ぐらい浪漫トーク)

小狡い賞金稼ぎがライバルとキャフフしつつ、悪の賞金首を不意打ちでぶっ殺すという泥まみれのお話が、これでもかというリッチな作画で展開される幸せな違和感。
主人公の小ずるさを表すための指先や目線の演技が異常に細かくて、吉野のナイスボイスと合わさって「あ、小粋な小狡い小悪党だ」と一発で分るネ。

アクションシーンはド派手に街壊れまくり破片飛び散りまくりで、原因のコンパクトさに似合わぬ大暴れ。
なんだけど、例えばライバルの抜刀を柄頭抑えて止めるところとか、キャラ表現のための細かい目配せもしっかりと効いててグッドだ。
主人公のことを『ただのお調子者じゃなくて実力者ですよ』と台詞抜きでしっかり説明したのは、なかなかいい出だしだと思う。


果たしてこのリッチさがどこまで維持できるか気になりはしますが、それはそれとしていいもん見たなぁ感に溢れるゴージャス極まる第一話でした。
おじさん達の「思う存分お金をかけて、ハイファンタジーが作りたーい。小粋なにーちゃんにいい動きさせたーい。後エピックバトルしたーい」という欲求が隅々から漏れてて、同じ願いを抱え込み空を見上げてた俺には福音以外の何物でもねぇ。
とにかく24分間全てに気合が入った、力み過ぎなアニメであり、この過剰な力みが何処で抜けるのか、それとも抜けずに走り切るのか。
そういうところも気になる。
根っこの部分の泥臭さも含めて非常に俺に好しなので、毎週楽しく見たいと思います。