イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

艦これPRG/出撃の書 使命レビューその2

前回に引き続き、使命アビリティのレビューを書いていきます。
今回はP174/P175掲載の使命アビリティについて。


・ 目指すべき道/なりきり
「WAAAAANNABEEEEEE!!!」というわけで、なりたい自分にキャラチェンジするべく無理をしている使命。
まぁなんだ、清霜再現用やな。
艦これRPGにはまだいないけどさ、清霜くん。

アビリティの方は全使命アビリティでも一二を争うぶっ壊し方であり、艦種に関係なく装備アビリティを取得できるというもの。
発見で弱点になりやすくなるし、使用には強力な行動力消費が付くが、どんなレア装備だろうと望みのものを一つピックアップして装備できるので、夢が広がりまくる。
艦種による武装制限はそのまま、武装レンジによる初手のイニシアティブに直結しているわけだが、この使命で装備制限をぶっ飛ばすことで、そこら辺の秩序をぶっ壊せる。
殴るときの行動値消費は相当重いので、行動値に余裕がある潜水艦・駆逐艦が運用するのに向いた使命だといえる。
ベストマッチはまるゆなんだが、装備スロットがないので運用できないという……。

取り敢えず思いつくのは唯一の超遠兵装である46センチ砲を取得し、駆逐艦による先手必勝戦術に用いる使い方。
駆逐艦は足の遅さを睨んで「損傷を与えた場合、味方が有利になる」固有アビリティが多く、叢雲、綾波、霞、長月などのアビリティを超遠・プロット6で打ち込むことで、その後に続く艦隊全員に支援効果を与えることが出来る。
46砲はベース火力も高いので、駆逐がいきなりメイン火力に踊り出る効果も期待でき、かなりのシナジーだといえる。

手の早さという意味では最速なのは航空爆撃であり、天山(友永)もしくは彗星(江草)を取得して開幕5Dという夢を見るのも良い。
良いのだが、制空アビリティでの補佐がない場合開幕爆撃はあくまで不安定な攻撃手段で、タゲ取りの安定性という意味では46砲に劣る。
その分命中・火力・高性能による行動値上昇(これが使用コストと噛み合って強い)には優れているので、開幕5Dが通ればラッキー、本命は短距離砲撃フェイズという使い方もあるか。

奇手としては連撃の安定性がある大鳳に46砲を積み、超遠レンジで航空連撃大体13Dとかをぶっ込んで大物を確実に叩き潰す使い方がある。
大鳳は行動値上限が低いため、発動コストの行動値1Dをどうフォローアップするかが重要になる。
装甲空母に超大口径主砲という、仮想戦記でもやらねぇ無茶苦茶武装が出来るという意味でも、面白い使命である。


・ ウォーモンガー/宴
「諸君、私は戦争が好きだ」と飛田声で演説して、戦いのための戦いに身を投じる修羅が爆誕する使命。
個人的には、1艦隊に「ウォーモンガー」と「和平への願い」が同時に存在するキャンペーンはむちゃくちゃ面白いと思う。
この使命の解消条件、修羅として潰しまくることでしか果たされないんよね。

アビリティの方は大物食いをやりやすくなる効果で、1行動値でダメージ+1Dは圧倒的破格。
有効活用するためにはデフォ火力が低いほうがいいので、駆逐艦もしくは空母系に向いた使命だといえる。
弱点による暴走判定は実は利点でもあって、行動値回復効果や感情上昇効果を個別アビリティと噛み合わせると、暴走状態のデメリットを上回るリターンを取れるかもしれない。
……装甲薄めの船で狂戦士とか引くと死が見えるので、あんま狙わないほうがいいかもな。
回避したいのであれば暴走判定が成功しやすくなるよう、感情値は低く広く取ると良いだろう。


・ 取材の達人/スクープ!
メディアとしての側面を持てるようになる使命であり、青葉もしくは秋雲で取れという使命。
アビリティの強弱はともかく、世界観的にはデータ化して欲しかった部分であり、ロールプレイ支援としての性能は高い。
ガチで報道系のロールを取り込むと世界があっという間に広がり、艦むすによる人権闘争とかにキャンペーンの軸が揺れていく可能性もあるが、それも一興だろう。

アビリティの効果はミドルで失敗判定した時お釣りがもらえるようになるのだが、そもそも鎮守府フェイズの判定は再挑戦や声援を駆使して失敗しないよう立ちまわるもので、これが出るときはかなり良くない流れ。
資源が減少したり行動値減少・損傷系の残念ならば穴を埋めることもできるが、資源の取り回しでリカバーが効かない残念の場合は、極力回避したい。
とは言うもののダイス目は水物であり、いつかは出る失敗のためにフェイルセーフを用意できるのは弱くはない。
資源獲得なので、168の個別アビリティとの相性はいいだろう。
弱点に関しては頑張って立ち回りでかぶりを避けるか、飛鷹の個別などでイベントを操作するのも良いだろう。


・ 異邦艦/旅人
オーバーランダーもしくはドリフターもしくは投影体として、異世界からやって来た客人になれる使命。
「戦史の欠落」と並ぶ”艦むす誕生の謎”に迫る使命であり、こう言う入り口で艦むすになる存在があることが、これで確定した。
艦これRPGは徹頭徹尾世界観周りが弱いので、此処らへんを足がかりに妄想を広げたいところよネ。

使命は「取材の達人」と同じく残念時にリターンを取る使命であり、取り回しもだいたい共通する。
発動条件が同じなので、使命同士で相互シナジーする珍しい使命だとも言える。
極力アクシデント表を振りたくないので、阿武隈と友達になっておくか、弱点を引かない立ち回りをするのがいいだろう。


・ 無実の罪/逃げ足
逃亡者、もしくは最強死刑囚ッ面で、罪の烙印を押された艦むすが遊べるようになる使命。
無実の罪を押し付けた黒幕や、罪の晴らし方をキャンペーンの軸に据えると、途端に主役力が上がる使命だと思う。
何かというと追手がやって来たことにする(通称「ルパ~ン! 逮捕だ!!」演出)と、適切なタイミングでシーンを切る定番演出を手に入れることが出来るという、裏芸的な使い方もできる。

使命の効果は回避の再挑戦をやりやすくなる使命であり、退却判定はあくまでおまけ。
空きスロットが多いほど回避しやすくなるので、ヒーラー艦の装備を外して運用するのが最適効率か。
とはいうものの、このゲームタゲ操作が非常に難しいゲームであり、回避優位はあくまで個人防衛のレベルに留まりがち。
回避して生き残って何をするか、まで見据えないと運用がヌルくなるのが、このゲームにおける回避型キャラ共通の悩みではある。
弱点は鎮守府判定に成功することでキャンセルできるので、再挑戦や発見を行いやすい軽量艦が運用するのに適している。

 

・ 戦闘機械/鋼の心
艦むすは涙を流さないロボットだからマシーンだから(ダラッダー)というわけで、感情のない戦闘マシーンと化す使命。
物語における戦闘機械というものは、いつか涙を流すために仮面をつけている存在なわけで、どのタイミングでデレていくかが難しく、面白い使命だと思う。
あんま関係ないんだけど、文中の「かわいらしさ・女らしさ」という表現はともすれば議論になりかねない、危うい表現じゃねぇかなぁと少し思った。
まぁ艦これ自体が強烈なマチズモに支えられたゲームではあるので、そういうゲームやってる時点で女性論に理解ある顔できねぇだろコラ言われたら、何も言い返せない。

使命アビリティは全体的に「強い」わけだが、この使命アビリティは発動タイミングの狭さ、受けられる結果、弱点の重さすべてを鑑みるとぶっちゃけ「弱い」。
暴走判定をシナリオ内部に組み込むか否かはシナリオライターの匙加減いかんだし、暴走拒否ってダメージ+1も、所詮ダメージ+1である。
声援はこのゲーム最強の支援リソースであり、補正効果の高さ、使用タイミングの適切さともに非常に強い。
声援の取得・運用に大きな制限がかかる弱点も使命アビリティとは思えない重さであり、ココらへんが全て相まって「弱い」のである。

なのだが、弱いことを把握した上で使うなら特に問題はねぇ特技であり、利点を活かす意味では効果がほぼ同じ「不敗の誓い」と同じく、手数の多い船に搭載するのがいいだろう。
笑顔を無くしバトルマッシーンと化し、姉と出会っても一切浮かれない千代田……んんん、無……いや在る!!(ロールプレイシナジー審議委員会、大荒れ)


・ 沈んだ故郷/望郷
深海棲艦に故郷を奪われた、ロストマンをロールできる使命。
使命の達成条件を見るだに、深海棲艦に蹂躙された地域を復興する手段は在るようで、無県の修羅界に光明を見た気分になる。
使命で追加された要素は全体的に苦く重たいモノが多く、気楽すぎる艦これRPGが苦手なプレイヤーとしては有難いブースト。

アビリティは発見の際6を出しても長所として取得できるというもので、これで長所が出る割合は1/2から2/3に上がる。
利点を活かす意味では発見の回数が多い=初期個性が少ない=小型艦が取るべき使命なのだが、弱点を鑑みるとこまめな行動値回復をしたい小型艦との相性は良くない。
取り敢えず、自傷コンボや防衛艦といった損傷回復をこまめにしなければいけない船には向いていない使命。


・ 恩人/忠義
愛でも友情でもなく、恩義で動く艦むすがプレイできるようになる使命。
特定PCに対して忠義を結ぶようになるので、ロングキャンペーンに向いている使命だといえる。
自動的にコンビ打ち、しかも自分が一歩引いた立場を獲得できる使命なので、主役っぽい使命持ちを恩人に指名すると、なかなか面白い動きができるだろう。
このように特定PCに矢印が向く使命を取った場合は、そこばかりに目を向けて関係が閉じないよう注意したい所。

アビリティは恩人限定の無条件カバーリングで、弱点も攻撃通したら行動力ダメージという分かりやすいもの。
大型艦で小型艦を庇って装甲の分厚さを活かすか、小型艦で損傷を引き受けて資源ダメージを減らすかは好みに合わせて。
損傷を受けるといえば足柄さんのドレイン能力が活きる局面であり、自前で【護衛艦】を取得できないものあって、相性は非常に良い。
バンバン庇って、バンバン落として、バンバン蘇ろう。(足柄さん吸血鬼説勃興)


・ 庇護者/守護神
子連れ狼のごとく、一人前にしなければならないNPCを抱えて着任できるようになる使命。
”守るべきもの”の設定を煮こむことで、自動的に自キャラの設定も仕上がってくるという意味では、ロールプレイブーストの優秀な使命である。
同時に動かさないといけないキャラクターがもう一人増えるので、空気になったりしゃべりすぎたり、取り回しは難しくなる。
登場していないPCに”守るべきもの”のロールを担当してもらったり、色々テクニックを駆使したい所。

使命アビリティはダメージ軽減であり、装甲との兼ね合いで損傷率が決まるこのゲームでは、1点2点の軽減が生死を分ける局面は結構あると思う。
感情の横幅を広く取りつつ、個性アビリティで感情取得を補佐したり、交流シーンを多めに作って取得を助けたり、立ち回りを考えて動きたい。
声援という行動がそもそも強いので、感情を太らせること主眼の立ち回りは、結果的に艦隊に利する動きになると思う。
行動値との兼ね合いを考えると、ベストシナジーは朝潮か。


・ 復讐鬼/猟犬
全てを失いただ残されたのは憎悪のみという、ネガティブな要素が多い使命の中でも最も傷追い人になれる使命。
"裏切り者"ということは、深海棲艦は艦むすのフリをして鎮守府に潜り込むか、艦むすは深海棲艦に寝返るという可能性があるということ。
この使命を持ったキャラが鎮守府に着任した瞬間、お風呂でどーのこーの、おやつでどーのこーのといったゆるふわ系艦むすライフは全部ブチ壊しだ!
お前も、お前も、お前も、だからこそっ! 俺のために死ね!!(艦隊これくしょん-ペールゼン・ファイルズ-予告)

データの方は艦種指定で火力上昇という、NOVAのハンターみたいなアビリティ。
こういう仕事は極端な方が強みが活きるので、潜水艦指定で装備も対潜特化にしてサブマリン・ハンターを目指すのが一番素直な気がする。
無論雰囲気優先で大型艦を指定してもいいし、最も出会う確率が高い駆逐を指定してザコ狩り帝王になってもいいだろう。
なまじっか【起死回生】とか取っていると宿敵をタゲに取れてしまい、攻撃を強要されるので注意が必要。


・ 災厄の中心/死神
俺を見た奴は死ぬぜぇ!! というわけで、「復讐鬼」と並んで殺伐とした空気を鎮守府に持ち込める使命。
弱点のデータが非常に良くて、「あんまり私と仲良くならない方がいい……みんな死ぬから。あと行動力がガリガリ削れていくから」と、データの裏打ちを持って言えるのは確実に煮えるナイスな弱点。
そういう不利を承知で感情をとるからこそ、場も盛り上がるというものであり、天秤にかけた時に"取る"ほうを選べる程度に不利なデータバランスも素晴らしい。

アビリティの効果はヘッドオンしている相手への火力が伸びるというもので、ダメージ上昇系アビリティの類にもれず、手数の多い船ほど効果が出る。
とは言うものの、相手と同じプロットにいることが発動条件になるので、各種プロットいじりアビリティを駆使して、キッチリヘッドオンしたい。
初期状態だとベストなのは、雷撃戦を睨めること、展開アビリティが進展することも引っ括めて那珂ちゃんなんだが……輝かしい部隊にいたはずなのに気付けばハート・オブ・メイルストローム呼ばわりというギャップはあまりに荒涼としすぎているような、この使命取るならそのくらいの落差が欲しいような……。(ロールプレイシナジー審議委員会、長期討議に入る)


・ スパイ/隠密行動
特務の青二才になって裏でこそこそ動いたり、西瓜畑で水を撒くことしかできなくなったり、最終話でいきなりゴリラを射殺出来るようになる使命。
使命ルールは戦場モノの”あるある”を徹底的にデータ化している所が優れているわけだが、エスピオナージもまた、戦場においては欠かせない要素。
007めいた華麗なアクションをするもよし、仲間の尻の匂いを嗅ぐ後ろめたさをロールのスパイスにするも良し、好みで味付けできるグッドな使命だと思う。

アビリティの方は追加で作戦行動を取れるという、改二クラスのぶっ壊れ性能。
その分コストも高く、発動用の行動力、作戦判定を成功させるための発見の余裕を考えると、軽量艦以外で運用するのは難しい。
ということは自動的に艦これRPG世界の諜報はちびっ子共が担っている事になるわけで、思いの外薄暗い世界観が自動的に生成されていく……恐ろしい、本当に恐ろしいね艦これ世界。

この使命を持ったキャラが鎮守府にいる時点で、作戦シーンをわざわざ作るPLも減るだろうから、かぶり修正はそんなに気にしないでいいだろう。
行動力のリカバリーを考えると初雪か朝潮、発見に対するフォローという意味では霰あたりが良シナジー……なのだが、みんなスパイっぽくない子ばっかだなぁ。
陸軍所属、最高の行動値、初期個性3という意味ではまるゆがベストなのかもしれん。
あっ、あなたはまるゆさん!!(がい子くじん氏リスペクトで終了)