イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/10/31

・ 柩姫のチャイカ AVENGING BATTLE:第4話『蠢く島』
悪趣味な島で、悪趣味な真実が公開される回でした。
もう少し足踏みするかと思いましたが、思い返せばもう1/3過ぎているわけで、ネタばらしをシておかないと後半のスペクタクルな展開の余地がない。
そういう意味でも、今回の怒涛の設定公開はなかなか良かったです。

しかし公開されたチャイカ真実は想像を超えてロクでもなく、『ブドウ農園の英雄さんで忘れかけてたけど、そう言えばそういう世界だったね』と思い出すレベル。
ガズ皇帝が一人だけオーバーテクノロジー過ぎるのだが、ココらへんにもネタが仕込んであるんだろうなぁ。
胡散臭げにウロウロし続けてるギィさん周りの設定がまだ謎なので、そこら辺と絡めて、かな?

可愛いチャイカが人生全て作り物だったことを知り、膝ガクーなるレベルでショックを受けるところまでが今回。
これはもうアニサマがクッサイセリフで背筋ピーンなるように元気づけるしか無い展開であり、主人公の主人公らしい活躍に期待大でござんす。
まぁその前に、露骨に別行動してるフレドリカとアカリが大暴れするんだろうが。
ほんとフレドリカはGMの進行に協力的な、素晴らしいPCやでぇ……。

 

・ アイカツ!:第104話『アイドル☆ハロウィン』
プリパラに引き続き、アイカツでもハロウィン回。
三年目に入ってから固めというか、お話の足場をしっかり踏んでいくエピソードが多かったわけですが、今回はとにかく女の子達が可愛くて可愛いだけの回。
女の子達を徹底的に可愛らしく描くというのは、非常に難しいことであり、そこで必要なポイントをキッチリ稼げる強さが、アイカツの強さだと思っています。

今回は旧キャラたちもほぼ全員集合、仮装もあざといポーズもあざとい掛け合いもあざといという、ファンサービスの塊のような回でした。
多様なキャラが一同に介してワイワイやってる多幸感というのは、アイカツのストロングポイントの一つだと思うわけで、三年目も相変わらず、というか今まで以上に脳髄をシロップに漬け込まれるようなハードコアな感覚に満ち溢れていて、すっげー良かったです。
じわじわとひなき&スミレの距離感も近づいて来ていて、仲良き事は美しき哉って感じ。
全体的にアレやね、顔赤らめ過ぎ足出し過ぎやったね、今回。
素晴らしいね。

同時に今回は『視聴者にそう思って欲しい対応』を作中人物に言わせる演出が目立ち、幸福感の砂糖漬けみたいな話の中にこういうネタをいれこんでくる狡猾さも、アイカツの強さだなと思った。
例えば徹底的に別格に可愛さ、他者を魅了するレベルの外見を持ってるスミレちゃんの強調であるとか、自分の学校で全校生徒巻き込んだイベントやってんのに昔の相方の家に赴いて「世代交代も上手く行って、アイカツは相変わらず面白いわね」と印象づける学園マザーとかね。
あの女、マジ重い。

そういう意味では、わざわざジョニーが「体力付いたな」と言いに来たあかりちゃんのステージは、今まで触っていないジャンルに果敢に挑み、オーラも出した成長表現として的確だったと思います。
イントロがかかった瞬間に「お、これやるんだ」と思わせる意味では”永遠の灯”はベストチョイスだし、スペシャルアピールも今までと異なる凝ったものだったし、ハロゥインをテーマにした美術も凝っていて良かった。
こう云う風に『感じて欲しい印象』と『実際に見せているモノ』が乖離しないというのは、表現として強いですね。

可愛いオーラをたっぷり食わせつつ、今までの成長と今後のお話の足場をしっかり確保する、アイカツらしい手堅いエピソードでした。
今回たっぷり種を巻いておいたドリームクラウンのネタを、早速来週回収するようですが、さてはてどうなることやら。
太田くんとかMrSとか、いつの間にか消された男はアイカツ世界には多いので、生き残ってほしいものです。

 

・ 神撃のバハムート:第4話『Reunion at Ysmenport』
『アニメは銭!』という身も蓋もない真実を俺たちに嫌というほど叩きつける超弩級アニメ、四話目。
全開はゾンビホラー人情話でしたが、今回は海洋アクションスワッシュバックラー過去話。
飄々として底の知れない悪漢ファバロに焦点を当て、彼の過去を掘り下げる話でありました。

ファバロは昨今のアニメには珍しい、ドライな価値観と悪どい行動力を持ち合わせた、気分の良い悪党であります。
彼が何故今の彼になったのかという説明を、ファンタジー力満載なお船アクションに乗せて今回はお送りしたわけですが、わかり易さと説得力の在る敵役を出し、アクションとピンチの中で設定を語らせる手際の良さで、コンパクトに纏めてくれました。
仇を目の前にしても吹き上がるでなし、あくまで冷静に、しかしアーミラを後ろに下げて自分で決着をつけるシーンは極上だった……素晴らしい。
今後の展開に繋がる部分もしっかり埋め込んでいて、本筋が面白いってのはホンマ素晴らしいことです。

そして、港の小汚さが最高に良かったね。
今回は「まぁ悪党にもなるよね、そんな人生じゃ」というド汚いお話なので、ド汚い場所がど汚く描かれているのはお話に乗っかる上で大事なのだ。
何よりせっかくの中世風ファンタジーだしね、汚しには気合入ってて欲しいよね。

ファバロが歩くことになった裏通り人生には、今回蟹がある意味決着を付けたわけですが、悪党どものどす汚れた裏切り合いで終わらせず、黒幕の存在をアーミラを追う勢力と接着することで、お話に広がりを出したのが良かったです。
今回説明されたのはファバロの過去であると同時に、ファバロとカイザルの因縁でもあるわけで、そういう縦横の拡げ方と、どチンピラの狡っ辛い人生紙風船っぷりが両立しているのは、本当に素敵。
露骨に胡散臭い案内人といい、どう考えてもハラワタ真っ黒な海賊といい、今回の小汚さは本当最高に良かった。
予算かけてああ言う雑味のあるものを描いてくれるのは、ホント有難いですね。


毎回アクションの良いアニメでは在るのですが、海洋冒険モノといえばそう! それ!! としか言いようがねぇマスト&ロープ上でのアクションをきっちり入れてくれたのも、魂の温度上がる素晴らしい演出でした。
こういう欲しい所外さないから、このアニメ好きよ。
今回もすっげーリッチなBGMが分厚く背中を支えていて、満腹感のある視聴体験をさせてもらいました。
細かく小汚い部分だけではなく、大きくて綺麗な所もしっかり仕上げる二刀流を維持しているのは、ほんと凄いことです。

そしてようやく悪魔サイドが話に乗り出してきて、5話にして相棒交代。
ただ守られるだけのヒロインではなく、一癖も二癖もある癖に可愛らしい女性陣をきっちり立ててきたからこそ、次回在るであろう交流に今からワクワクしますね。
今回のように手際よく、悪魔側の思惑も次回まとめられるかな?

 

・ 天体のメソッド:第4話『思いのかけら』
『霧弥湖の青春ドン・キホーテ、もしくは十四歳の檻』という回。
時間を逆しまにして全てを取り戻そうとする柚季の痛ましい空回りと、一足先に大人になりかけているこはるの後悔がメインの回でした。
24分間ずーっと『止まっている風車は逆に回らない』ということを見せ続けることで、最後乃々香がこはるに声をかけて『だが風車を先に回すことは出来る』というシーンで〆る作りは、えげつなくて巧妙で素晴らしい。

今回軸になるのはやはり、あの街でたった一人『円盤のない世界』を取り戻そうと藻掻いている、水坂柚季という子供でして。
あれだけ痛々しく空回りし続ける姿を見せられると、最早彼女にとって円盤追放のためにあがくことそれ自体が目的化していて、それでも足掻きをやめられないほど『円盤のない世界』が美しかった、ということは見えてくる。
おそらく一瞬挿入された病院のカットが起因では在るのですが、その初期衝動だけではなく、自分の運動が実を結ばず、世界の全てが敵になってしまっている残酷な時間経過そのものに抗っている。
それは絶対に勝てるはずのない戦いで、たとえノエルという過去それ自体が味方についても、敗北が約束されている戦争なわけです。
今週もノエルは痛かった……健気で優しくかけがえないほど、あの子は辛い。

今回回想シーンが多数挿入されていたわけですが、彼女が小学生だった時代は”子供の戯れ”と笑って見過ごしてくれていた世間は、中学に上がっては嘲笑われ、中学を卒業する現代に至っては、耳をつんざくクラクションで攻め立てて来るわけです。
あの雑音が何かといえば、否も応もなく時間は過ぎてしまうもので、望むと望むまいと柚季は大人になってしまっていて、ただ存在するだけで世界に影響を与える歳になってしまっているという残忍な事実なのであり、だからこそ、否定されるために投げかけた自己否定をしかしそのまま投げ返されてしまった後、世界を支える最後のラインが崩壊した後は、雑音は薄れるわけです。
あの瞬間、柚季は世界との接点を失ってしまって、全てがどうでも良くなったわけですから。


逆に言えば、家のことを手伝いお金を稼がなければならない、いつまでも昔の夢にしがみついてはいられない立場にあるこはるは、あの雑音の包囲に負けて、親友を否定しなければならないわけです。
しかし彼女はまだ中学3年生で、大人になりかけてはいるもののまだ子供で、柚季が過去にしがみつきつつ現在に包囲され苛まれているのと同じように、現実に半身を浸してもきれいな夢を完全に忘れることも出来ない。
だから、半分しまったしいはら本舗のドアを、怪獣の顔看板は通過できないで泣く羽目になるわけです。
三話でノエルが顔看板で遊んでいたのまで見ると、かなり分かりやすいメタファーの使い方だと思います。

水坂兄こと湊太はこはるほど現実の圧力を受けることもなく、早めに『円盤のない世界』を諦めた立場にいます。
何故必ず失われてしまう過去に延々としがみついているのか、その切ない狂熱を理解できないからこそ、彼は高慢に「助けたい」と言う。
同時にそれは真心でもあって、見ているコチラとしてはそれこそがカンダタの一糸といえる部分なのですが。
苦しんでいる友達を、わからないなりにどうにか助けたいという気持ちは、『円盤のある世界』を共有していない乃々香も、決別を口にしてしまったこはるにも、ちゃんとある。
それを見せるために、今回のお話は乃々香がこはるに協力を要請するところで終わったんだと思います。

そういう意味では、今回のお話には愚かしい過去への執着だけでも、過ぎゆく現実に膝を屈しかけてる子供たちの姿だけでもなく、そこからどう風車を回すかという見取り図が、しっかり含まれている。
彼女たちを苛む過去と現在と未来の間の軋み、ドン・キホーテめいた青春闘争が、何か良い形で収まって欲しいと僕は思いますし、そうなるんじゃないかなと思えるサインは、丁寧に埋め込まれていたと思います。
1/3が終わり、14歳の夏は問題山積。
僕はこのアニメを、とても楽しんでいます。