イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/01/31

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズ エジプト編:第27話『「クヌム神」のオインゴと「トト神」のボインゴ
特に言及はしないが、ひっそりと楽しんでいたJOJOアニメ後半ですが、今回はオインゴボインゴの話。
普段の超人バトルもいいんですが、間の抜けたコメディタッチのこのお話は、テイストが違っていてとても面白かった。
ちょっとレトロな劇音楽っぽいBGMが、シットコムっぽい展開と見事なマッチングを見せていて素晴らしい。

JOJOはキメの部分(例えば前回、ンドゥールと承太郎の早抜きのような決着とか)も良いんですが、ユーモアと生活感のある描写が凄く好きで、そういうの満載だった今回は、とにかく俺にグッドナイス。
バギーの中の修学旅行テンションとか、火災を発生させてすっとぼけるポルナレフとか、悪漢なんだけど兄弟仲は良いオインゴボインゴとか、いい塩梅に緊張感が抜けてました。
ダメ押しに専用EDまであって、やっぱJOJOのコメディセンスは清潔で好きだなぁと再確認。
笑いが巧いと、闘争という非日常に身を置くキャラクターにグッと親近感が湧いてくるので、キメと抜きは、物語という車の両輪なんだろうなぁ。

 

・プリパラ:第30話『ドキドキ!パラダイスコーデは誰のもの!?』
パラダイスコーデ抗争、ついに最終局面! というわけで、ファルルと六人が正面からぶつかり合う展開。
新コーデも新メイキングドラマも無敵のコピーロボには通用せず、模倣と再演が支配するプリパラ暗黒期が始まる……。
想像よりずいぶん凹ませて終わったので、今後のホームランをどう打つのか、気になる流れでしたね。

ファルルとユニコのオリジンもようやく語られましたが、ユニコは研究者肌でファルルへの愛情だけは本物という、結構意外なキャラ付け。
『人類を超越するべく人造人間錬成に手を出したら、思いの外素敵な子が出てきて夢中になっちゃった魔法使い』みたいで、個人的なツボにストライクでした。
クマといいウサギといい、マスコット業界には『ゴミクズっぽさをまず出し、その後人情味をお出しする』という法則でもあるんでしょうか。
それにしたって戦いばっか教え込んだせいで、ファルルはとんだウォーマシンに成長しておるので、あの馬早めに改心させないとヤバイヤバイ。

怒涛の六連メイキングドラマでソラミもドレパもなぎ倒したファルルですが、玉座に座っても全然楽しそうじゃないのが印象的。
『友達』というテーマはプリパラを常時貫く巨大な主軸なわけで、そこが揺らぐ今回、不穏当な空気が醸しだされていたのは、なかなかよい演出だったと思います。
らぁらとのやりとりを見るだに、ファルルは友達を求めながら友達を理解できないバトルマシーンなので、その矛盾を主人公達が蹴っ飛ばす流れになるんではなかろうか。
来週以降しばらくタメが続きそうですが、どういう道筋でクライマックスに辿り着くのか、楽しみに待ちたいと思います。

 

アイカツ!:第118話『みやびなアイカツ!
ユウちゃんを生贄にして藤原みやびを特殊召喚!! という感じで、京都からやって来たゲストを可愛い攻めにする回だった。
あかりジェネレーションのキャラ紹介基本フォーマットである『悩みを抱えたアイドル候補生が、あかりちゃんの一言で道を見つける』を踏襲しつつ、みやびちゃん可愛い祭りも大成功。
ユウちゃんも焼肉屋に迷い込んだサーベルタイガーよろしく、京都でバクバクやってるみたいだし、一ヶ月楽しいことになりそうです。
珠璃ちゃんを手早く調理して退場させる辺り、あかりジェネレーションはメイン3人+ゲスト1人が基本構成なのかしら。

みやびちゃんは二ヶ月でプレミアムドレスを手に入れ、アイドルユニットとしてステージにも出た天才。
武家の娘としてキッチリ育てられたクソ真面目娘は、いまいちアイドルとしてのアドバンテージが自分にあるのか分からない。
今までアイカツ! に邁進する子が多かったので、こう言うスタンスのキャラは珍しいと思います。
ブランドコンセプトにしても、ステージングにしても、そして新曲とダンスも、全てが『今まで触っていなかったが、しっくり来る』絶妙なラインを通していて、キャラ造形の巧みさに感心しきり。
その上で、アイドルの輝きや頑張りに強い憧れを抱いていて、テーマに対してポジティブなキャラに仕上げているのも、勘所を抑えていてグッド。

みやびちゃんはギャップ萌えを極限的に追求したキャラで、あざとい動きの火力が良く出てました。
作中人物と同じように、視聴者も彼女を可愛いと思える演出は、やっぱイイね。
それにしたってみやびちゃんは女の子に「可愛い」言い過ぎだし、女の子たちもみやびちゃんにキャイキャイしすぎですが……素直なことは素晴らしいことなので、ドシドシやってください。
まさかのらぶゆーを言わせるためのおとめコンタクトでしたが、『ファンの求めるキャラクターを貫く』という意味ではマスタークラスなので、真面目にコネ作っといたほうがいいよみやびちゃん。(おとめが出ればだいたい上機嫌マン)


みやびちゃんがスターライトに軽い警戒心とあこがれを持っている様子と、障壁を気にもとめず素早くコンタクトをとるあかりちゃんの主人公力が良く見れて、中盤の流れがとても好きです。
写真を撮るシーンは、経験値が高く頭の回転も早いひなきちゃんの良さが全面に出ていて、あの子が好きなおじさんとしては嬉しいシーンでした。
拒絶というには近いけど、親密というには遠い距離感、そしてそれを埋めていく描写が、あかりジェネレーションでは光ってますね。

結局あかりちゃんの『誰にも似ていないということは、欠点ではなくて利点』という言葉をテコに大きく前進し、ステージも成功。
この時ひなきちゃんが「新しい、新しい」って言ってるのを聞いて、『やっぱこの子の闇、めっちゃ深いな』と思った。
コンプレックス、全然直ってねぇ。

みやびちゃんとはあまり関係ないですが、天気予報の予習のために夜遅くまで勉強したり、スミレちゃんがCDデビューしたり、地道な努力の描写を積み重ねて、今後の説得力を貯金していたのはグッド。
こういう細かいシーンを使って描写を積み重ねることで、大きい話が転がる時に視聴者が納得する展開になるわけです。
ココらへんは長期シリーズ特有のロングパスだなぁと思います。

ゲストキャラの紹介、問題点の提示と解決、主人公達との交流、ステージングと、たくさんのことをそつなく、高次にこなすアイカツ!らしいお話でした。
出だしがスムーズだと、今後話を広げていくのも素直に、広く、深く出来そうなので、今後のエピソードに期待が高まる展開。
来週はさくらちゃんとコンビで回すお話なようで、久々の北王子劇場がどうなるかも気になりますね。

 

アイドルマスターシンデレラガールズ:第4話『Everyday life, really full of joy!』
過剰なまでに『物語の構造』を見せてきた一話・三話までの緊張感を、一旦取るべく行われた日常回。
手持ちカメラによる一人称映像の多用は、無印アイマスアニメの第1話を彷彿とさせる演出でした。
言い換えると、シンデレラガールズの前半三話をすっ飛ばして無印アイマスは始まる、ということなのかもしれません。


今回のお話は第2話Bパートの拡大延長版といいますか、とにかく人数の多いシンデレラプロジェクトに分け入り、各員の個性を見せるエピソードです。
『出会い』の一話、『試練と達成』の三話に比べると、お話の軸をやや緩めに設定し、キャラクターの描写に尺をたくさん使っております。
夢のど真ん中でキラッキラしてる女の子たちを、徹底的に魅力的に見せていてグッドでした。

キャラ属性をただ見せるのではなく、『アイドル』という物語の根本にどういう態度で望んでいるのか、色んな角度から見せていたのはとても良かったです。
エキセントリックな言動に比して色物仕事も全力でやり切るきらりだとか、杏の抜けた穴をすぐさまフォローするみりあちゃんだとか、『ロックな私』というイメージを維持しようと必死な多田さんだとか。
仕事を嫌がる杏ちゃんを諭すきらりが、友人通り越して母親すぎて困ったもんだ(困らない)。
……アナスタシア・新田組が唯一、偶発的とはいえ身内ではなく外部(≒お客)に見られる位置でパフォーマンスし、拍手まで貰ってたのは、CDデビューへの暗示だったかな?

最年長・新田さんを通訳として使いつつ、神崎さんの言語を解読していくミッションも始まってました。
訳分かんない言葉を喋る神崎さんを、何とか分かろうと努力し、歩み寄りを見せる三人の優しさは、非常に暖かくて有り難い。
シンデレラプロジェクトのメンバーは尖った個性の持ち主が多く、その上でお互い歩み寄ろうと努力する優しい環境なので、彼女らの交流描写は自分の好みにズバッと来ます。
傘を取りに戻る瞬間の素顔を入れて終わる所が、視聴者に神崎蘭子をどう思って欲しいかよく見えて、いい描写だなと思いました。

非日常から日常に戻ったことで、メイン三人のトライアングルは本田トップの通常運行に戻ってました。
本田さんは今回もシナリオの目的に積極的なキャラクターでして、頼りになるなぁと感心しきり。
アイドル候補生活にも慣れ、緊張が溶けてきたのか会話が多く、スムーズになってるのが、関係の微妙な変化を感じさせてグッドでした。


そんな中、重点を置いて描写されたのは前川さんでした。
中割多めでぬるっと動く寝起きの素っぽさ、文字通り猫を被ってからの強張り、年少組のセクシャルアピールに対する動揺。
彼女を切り取るカメラが写していたのは、彼女の徹底的な凡人性でした。

前川さんがどういう人かというのは四話でだいたい見えるわけですが、彼女は『猫耳つけてもCDデビューできない人』です。
前川さんが『いつも持っている猫耳』は、凡人であることを開き直ることも出来ない、人間誰しも持っているプライドなのだと思います。
それは不格好で無様ですが、それを奪われればもう立つことも出来ない類の防壁です。
僕ら皆が、多分凄く下らないなにかとして心の奥底に秘めている、脆くて強い場所です。
それが報われるのはしばらく先になるかもしれないけど、必ず報われて欲しいなと、僕は思っています。

『物語の構造』紹介を担当し、ステージデビューもCDデビューも(その途中に等身大の悩みをはさみつつ)決まった、島村・渋谷・本田の三人。
三話までのカメラは彼女らを軸に回転し、『選ばれた人』『猫耳つけなくてもCDデビューできる人』のお話を展開させていました。
その隙間に前川さんはいて、『選ばれた人』に突っかかったり、そのステージを見てショックを受けたり、何かとお姉さんぶったりしている。

そんな前川さんでも、シンデレラプロジェクトの中では居場所があり、楽しく仲良く過ごしている。
平和で楽しい四話はしかし、CDデビュー(出来る人と出来ない人)宣告という、衝撃的なイベントで終わります。
穏やかで魅力的な日常、何らかの試練の達成を映した後ショッキングな宣告を入れる落差は、まんまリアリティショーの手法であり、3次アイドルでもよく使われるテクニックだと感じました。


その手法で提示されたのは、『ずっと四話じゃないよ』というメッセージです。
みんな仲良しで、波風もなく平穏で、ちょうど美城ビルを囲む春風のように温かい世界に説得力と魅力を持たせるためには、『選ばれた人』と『選ばれなかった人』がいる世界、『猫耳つけてもCDデビューできない人』がいる厳しい世界を、しっかり描かなければいけない。
温かい世界が厳しい世界のスパイス(もしくはその逆)というわけではなく、相補的でどちらを欠くことも出来ない物語なのだというスタッフの認識は、第四話の構成から見て取れます。
そして、それはとても良い、立派な創作姿勢だなと思うわけです。

『光と影が入れ替わり立ち代りするのは、何も各キャラクターの物語役割だけではなく、キャラクター個人が抱えるドラマでもそうだ』というのは、このアニメは既に何度も見せています。
二話で元気に物語を牽引していた本田さんが三話で下がり、一歩引いていた渋谷さんが前に出る構成。
エンジン担当のキャラクターにも影があり、凡俗の苦労を描くキャラクターにも輝く瞬間がある多様性、公平性が、群像劇を面白く見せるポイントのはずです。
色んな人間がいて、色んな強味と弱味があって、弱みが強みになる瞬間も必ずある。
楽しくて平和な瞬間の魅力も、夢に続く道の残忍さも、両方しっかり描く。
お話もキャラクターも一面的で単機能な描き方を避け、多角的で立体感のある描写が継続しているのは、見ていて面白いし、信頼も抱けるわけです。

そんな状況でやってくる来週のタイトルは『I don't Want to become a wallflower』
舞踏会の主役としてCDデビューした五人ではなく、壁の花にならざるを得ない『選ばれなかった人』にカメラが寄ることを思わせるタイトルです。
『選ばれた人』と『選ばれなかった人』のお話として、どう回転させてくるのか。
天下の名作『YES!ベストパートナー』の綾奈ゆにこ脚本ということもあり、とても楽しみです。