イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/02/13

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース:第29話『「アヌビス神」 その2』
まったり楽しんでいるジョジョですが、今回はAパートの超絶バトルと、Bパートの松本保典劇場の落差がとても良かったです。
ジョジョは殺陣の構成がケレン味と緊張感を兼ね備えていて、とてもいいなぁ。
今回で言えば再挑戦のたびに凄みを増していくアヌビス神や、二度目の白刃取り失敗から額受けの流れ。
ブランドに甘えず、盛り上がる所に作画力・演出力をしっかり盛り、視聴者を興奮させてくれる良いアニメだ。

そんな興奮最高潮からのイヌ人間出現に不穏な空気を感じ取り、あとは完全にギャグ時空に。
あの長尺を一切テンション落とすことなく、大笑いで終わらせる松本さんと演出のパワーには感服しきり。
本気の笑いと本気の脅威、JOJOの強い所を一度に味わえて、とても幸せなお話でした。

 

アイカツ!:第120話『スター☆バレンタイン』
アイカツ!名物風物詩エピソード、2月はバレンタイン。
どういう話になるのか全然読めてなかったわけですが、フタを開けたらとにかくアクターの多い回でした。
まさかの四ツ葉さん主役抜擢に、あかりジェネレーションが五人、メンター役のいちごに司会のおとめ&さくら、加えて大人キャラにらいち&ノエル。
大忙し過ぎて、此処で扱うのは勿体無いなぁというネタもチラホラみえました。

軸になる四ツ葉さんの話は、『アイドルを辞めた後』に視界を延ばすお話として、毛並みの良いエピソードだったと思います。
こうやって側道を掘り下げて世界を広くするネタは、ロングスパンのアニメ特有の楽しみですね。
現役時代の演出のキレ、どう考えても男子プリズムスターだった……プリリズならジョニー・四ツ葉・直人でユニット組んでステージだったな。
お姉さん達のくすぶる思いをあかりちゃんが引っ張りあげて、いちごちゃんが広げる流れは、アイドルの遠近感というか、『あかりちゃんがまだ出来ないこと』が見える作りで結構好き。

一方ひなじゅりの新曲&新衣装お披露目は、すんげーサラッと流されてた。
お商売の都合上捩じ込まれた感じで正直ううん? ってなるけど、まぁアイカツ!は生存競争だからね……。
ひなきちゃんがお話的に物分りの良いキャラだというのは判るが、ひなきちゃん『だけに』皺を寄せるのはちょっとカンベンだな。
ステージ自体は水中というセッティングを活かした夢っぽい演出で、曲との相性も良かったと思います。

らいちのクソヲタっぷりとか、モテに開眼したジョニーとか、何かとスキンシップを取りたがる珠璃とか、ヤンデレみたいにいちあかを見守るスミレちゃんとか、たっぷり詰め込んだ故の細かい興奮がたくさんあったのは良かった。
アイカツ!の楽しみと大変さ、両方味わえるお話だったかと思います。
ホントなー、早い段階でひなきちゃんの個別回欲しいけど……どうなるかなぁ。

 

・少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR 50-:第16話『サプライズケーキは想像外』
個別回のターンに入ってる少ハリ、今回はロッカー小僧シュンシュンの担当。
素直ないい子や直感力に優れた子、プロ意識の高い子と、生っぽい中腐りを担当するメンバーがいない少ハリ。
慢心と停滞で腐り果てる仕事はシュンがやってくれました。
無論ただ下がって終わる少ハリではなく、夢の外側に価値を認める風通しの良い終わり方で、上げ調子に気持ち良くエンドマーク。
エピソードごとのテーマと、それを掘り下げるための物語の起伏、前向きな終わり方という、基本的なお話の構造がほんとに堅牢で安心できます。

デビューを済ませ適度にファンも増え、適度に満たされた少年ハリウッド。
微温的空気の中で腐ってくる奴も出てくるのが自然というもので、発酵する仕事を担当したのはシュンでした。
『等身大の高校生』という意味ではカケルも似てるんですが、カケルは流石主人公というべき直感力を要所要所で発揮するので、腐る前に自分で気づいて直しちゃう印象。
ファンを蔑ろにし感謝を忘れテキトーに抜いたステージングをかますシュンの高二病は、見ていて非常に不甲斐ないものの、シュンにしか出来ない仕事。

彼の生っぽい腐り方をしっかり描写するからこそ、アイドルという『普通じゃない』場所からパティシエという『普通の』場所に降りていった(ように見える)ランさんが、人生の指針を示す今回の展開がよく刺さる。
夢折れて別の生き方をするというのは、シュンが言っていたように『カッコ悪い』人生のように思えますけど、しっかりと胸を張って活きているのなら、場所や注目の量が関係ないのはそれこそシュンが気付いた通り。
その発見を糧にして、アイドルとしてもう一回り大きくなるエンディングは、笑いも込めて底抜けに爽やかで、とてもいいなぁと思いました。

思わず『調子コイてんじゃねぇぞこのクソガキ!』と言いたくなる中盤のシュンに、突き放すでも過剰に乗っかるでもなく、真摯な態度で向き合うランさんは、他の初代達と同じように輝いている。
ここら辺はトミーが見た初代のビデオとリンクする内容で、『あの時見た夢がそのまま実現していないなら、夢は叶っていないのか?』という制作サイドからの問いかけなんだと思います。
少ハリが夢というテーマを扱う時には、形が変わった夢も、そのまま素直に叶ってしまった夢も、共に価値のあるものとしてしっかり描いてくれるのが、とても安心するし豊かだと感じます。


アイドルモノとしてみると、腑抜けた自己紹介で温度が冷めた時の客席の表現が出色で、人間を相手にする表現の怖さをしっかり描いてくれたなと、嬉しい気持ちになりました。
シュンが甘んじて腰を落ち着け、舐め腐ってた『今の少ハリ』はしかし、五人のアイドルや彼らを支えるシャチョウにてっしーといった、個々の人間が真摯に舞台に向かい合った結果、何とか手に入れた成果。
それを当然のものと受け止め歩みを止めれば、客には解るし舞台も壊れる。
そういうシリアスな危険性をしっかり描くことで、一回一回のステージを足場に(そして目標に)進んでいく少年たちの物語は、一気に充実する。
ステージという場所への妥協の無さは、少ハリ全体の美点の中でも、一番好きな所です。

今回は終わり方も秀逸で、真ん中で冷えきった客席を見せているからこそ、あのグラサンでキメキメなラストカットは刺さる。
ダサいし笑えるしカッコイイという、相矛盾する感覚が胸から沸き上がってくるあの終わりは、無論僕がこの作品とこの子たちがとても好きになっているのはあるけど、単純な思い入れ以上のパワーを持った良いシーンだなと思いました。
失笑や痛痒さといったネガティブなものも引っ括めて、色んな感情を惹起されるというのは、少ハリ全体の強さと通じるかなぁ。

少ハリ個別エピソードらしい、テーマの扱いを徹底し、整った起伏を物語に付けた、毛並みのいい仕上がりでした。
一般的な結論から一歩踏み込んで、少ハリ独自の豊かなところにたどり着くのが、単純な安心感以上の読後感を与えてくれます。
少ハリ、やっぱムッチャクチャ面白くて、いいアニメや。

 

ユリ熊嵐:第6話『月の娘と森の娘』
気づけば折り返し点のブルータル・フェミニズム童話、六話目。
過去と未来を純花の手紙で折りたたみつつ、銀子が秘めた罪を開示してショックを与えてヒキという、見事な構成でした。
同じ内容の手紙が、一回目と二回目で完全に意味を真逆にするのが、とても鮮烈。

もともと暗喩と抽象化を駆使しているこのアニメ、非常に童話っぽいところがあるわけですが、その作中で語られる童話は非常にスムーズに銀子と紅羽の過去と現在、そして未来を指し示していて、お話の真ん中らしいアイテムでした。
鏡に向かい合う最後の障壁は、まんま己のエゴと対峙する運命と解釈していいのだろうか。
鏡が割れて見えた相手は獣と獲物なわけで、月の娘は持っている銃をどうするのか。
続きが気になるので作者に聞きたいこと沢山あるけど、お母さん死んじゃってるしなぁ。

あ、さんざ紅羽を『暴力とセックスから遠ざけられてる子供』扱いしてた僕ですが、嵐の花壇の後ガッツリ純花と寝てて、『あ、すいませんでした紅羽さん、思いの外大人でしたね』と謝罪しちゃった。
ゴミクズ人間針島さんと陰謀の黒幕(多分ユリーカ)の褥に比べっと、やっぱ清潔な印象を受けるので、『寝てる寝てないが問題じゃない! 寝ることで何が生まれてるかが大事なんだ!!』と言い張ってみようかな。
……流石に聞き苦しいなコレ。
今回出てきた2つの婉曲的ベットシーンに差異があるとしたら、それが多分紅羽を主人公たらしめてるポイントだとは思うので、考えてみるのは大事な気がする。


『飾ってから地面に叩きつける』方式で、効果的に紅羽の心を折りに行った透明人間たちですが、いざ死人が出そうになると即座に逃げる辺りも引っ括めて、最悪に胸糞悪くて素晴らしかったです。
可愛いデザインとトンチキな演出で相当緩和されてますが、それでもアイツラ気持ち悪い。
『透明な嵐』という行為に嫌悪感を感じさせないと、このお話成り立たない部分があると思うので、あの生理的嫌悪感は凄く巧く出しているなぁと感心します。
すんげー頭沸騰した後に、二分くらい経って『でもなー、こういう部分あるよなぁ俺にも。あーやだホントやだ俺がやだ』みたいな気持ちになるのが、凄いなぁと。
起こっていることは寓意的で婉曲的なのに、自分に照らし合わせて考えちゃうのであれば、それは最上質のファンタジーの証明だと思うんすよね。

その悪意に取り込まれつつも、想い人に願いを届けた純花さんはほんと凄いなと思います。
純花さんはユリたちの同調圧力に殺される前に、クマの衝動的殺意に喰われたわけで、作品世界に存在する暴力全ての矢面に立った。
それでもなおスキを諦めず、紅羽にもスキを諦めさせなかった。(紅羽がスキを諦めていたなら、自分を傷つける手紙は燃えるがままにしてただろうし)
純花さんの小さな英雄的行為は、自分的にはすごく大事にしたい決断なわけです。


一方、ヒロイシズムを引き継いだように見える銀子は、とんでもない罪を告白していた。
叙述トリックを活用する作品なので断言は出来ないですが、仮に蜜子の殺人を見過ごしていたとしたら、『銀子は紅羽がスキ』というだけで許される罪ではない。
『あなたをヒトリジメしたい』気持ちが故に恋敵を間接的に殺害して、どういうルートをたどれば紅羽のキスを手に入れることが出来るのか、現状自分には思いつかない。
ここら辺は今回のラストカットの真相と、秘密を抱えたまま縮まった二人の距離がどうなっていくのかで明かされていく部分でしょう。
上手いヒキだなぁ。

るるちゃんは献身的に介護をしていたのに、目覚めるなり『紅羽!?』って為ってたのは、ほんとヒドい。
前回王子様の仮面が綺麗に剥げて、ダメダメな部分も見せてきてるが故の発言なんでしょうが、もうちょっとるるちゃんに優しくした方がいいぜ銀子くんよー。
まぁるるちゃんは銀子からのキス貰えなくても、ずっと銀子の事スキでいるって決意してるからね、外野がとやかく言うことじゃないんだけどね……。

綺麗な記憶も怪しい過去も暴露され、過去と現在の帳尻が繋がらないまま、一時の劇的山場を超えた今回。
過去が現在と未来に、どういう捻れを与えてくるのか。
今後が更に楽しみになるエピソードでした。