イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/02/28


アイカツ!:第122話『ヴァンパイアミステリー』
アイカツVer.KAという訳で、コンテに天下のカトキハジメを迎えてのアイカツ!
『カトキだけにキチガイアニメ作らせねぇぞ』と思ったのか思わないのか、脚本も演出もぶっ飛んだ、パワー全開のお話でした。
アイドルアニメで劇中劇いうと、やっぱ少ハリ思い出すわね。

今までもドラマ回は何回かありましたが、『作中で放送される深夜ドラマを、キャラクター達が見ている』というメタな構造は今回が初めて。
あの世界で放送されてるアイドルドラマ、大概クソドラマっぽかったですが、ヴァンパイアナイトもまーヒドい展開であり、大笑いしました。
ゴシックホラーにしたいのか能力バトルにしたいのか、ドーナツの宣伝したいのか全然判んない所が凄い。

画面のムードがコロコロ変わって面白いわけですが、ホラーはホラーらしく、コメディはコメディらしく、魔法少女はチャチャっぽく、バイクで去っていくところはルパンっぽく、とにかく『っぽさ』を的確に捉えた絵作りは流石。
スミレちゃんが倒れるところの人形感や、合成剥き出しで飛び出すジェラートビーム、ヴァンパイアアイドルが空に浮くところのワイヤー感などなど、深夜アイドルアニメのやっすい感じがアニメになってたのは、ちょっと感動した。
一個一個の粒をしっかり立てるからこそ、いろいろはいってるお得感が出るんだろうなぁ。


ヴァラエティ豊かなのはお話の展開だけではなく、キャラクターの出番もアップテンポな展開に合わせて高速で切り替わる。
あかりジェネレーションの四人を軸に据えて、何故かむちゃくちゃ目立ってた学園マザーに、先輩たちの出番もみっしり。
まさか美月さんの復帰第一作がこのクソドラマになるとは……。

女の子たちの描き方はイキイキとした可愛さがあって、吸血鬼という題材の持ってるインモラルな感じも良いスパイス。
ちょっと歪んだレイアウトを多用したり、アイカツ!だとあんま見ない効果が使われてたり、カトキコンテの作用かは分かりませんが、普段と違う絵が見れて面白かったです。
ドラマ部分を見てる現実部分の弄り方も独特で、第四の壁を意識した動きをする珠璃ちゃんとか、妙にあかりちゃんに触りまくるひなきちゃんとか、凄く輝いてた。
あと、ひなきちゃんはあかりちゃんのこと触りすぎだった。
凄く良かった。

ただただテイストが違う話しなら違和感しか無いわけで、アイカツ!のキチった部分と可愛い部分、両方を大事に見せてくれる造りを、普段と違う角度からのアプローチで際立たせた感じがありました。
アイカツVer.KA、とっても面白かったです。
おとめもタップリ出てきたしな!!(結局キャラ萌えマン)

 

・四月は君の嘘:第19話『さよならヒーロー』
凪ちゃん編が終わって走りだす女の子たちと、武士くんラストエピソードでした。
いや先の話知らないんでラストと断言できるわけじゃないですけど、描き方として『相座武士の話は終わり、終わりです!!』と言わんばかりの描ききり方だった。
死相が出てたかをりちゃんにも色が少し戻り、負け犬の概念存在も少し前向きになり、色んな状況整理が進んだなぁ。

モノトーンからカラフルに変わったとはいえ、かをりちゃんの描写は一切の予断を許さないハードなもの。
ベッドから車いすに移る所、リハビリでバー握ってる所の描き方が生々しくて、思わず目を逸らす。
このくらい苦しいと『奇跡くらいあってもいいんじゃないの神様?』とか思ってしまうが、どっちにも転びそうな真剣さがこのアニメでは維持されているので、本当にどうなるのか分からない。
死病を扱うフィクションとしても、単純に生き死にのサスペンスとしても、そういうことは大事だと思う。

MANOWARのアルバムくらいの頻度でLoserと連呼された中学3年生、澤部椿に関しては色んなモノ(主に先輩)を生贄に、ちっと前向きな感じに。
柏木さんの献身的な応援と軌道修正があって、初めてレールに乗ったことは意識した方がいいよ、椿ちゃん。
根っからの負け犬なので相変わらずジワジワしてるけど、音楽恨まなくなったのは、柏木さんが言うとおりいい傾向だ。


んで今週のメインヒロイン、武士くん。
妹からはヒーローと憧れられ、自分は有馬公生の背中を追いかけ続けてここまで来た、公生好きすぎボーイ。
道に迷ったりもしたけど、演奏前にはゲーゲー吐くけど、敵と味方に支えられて自分の演奏を手に入れました、というエピソード。
AパートとBパートをキッチリ分けて、やるべきことを枠内に集中させる四月メソッドが良く効いていて、短時間にキャラのクエストを燃焼させきるいい話でした。

初登場時は憎悪として認識されていた公生への感情が、現場でバチバチやりあったり、可愛い妹が
取られたり、何よりも一世一代の演奏を経て素直な憧れだったと認識できた流れは、一少年の成長として、演奏家の覚醒として、とても綺麗な作りだった。
まぁ初登場時から『あ、コイツかなり高性能の男ツンデレだ』つーのはバレバレなんすけどね。
ええ、大好きです。
純朴だった子供時代に最後帰還する絵作りは、郷愁と切なさがみっしり詰まってて、このアニメっぽいエンドカットだったなぁと思います。

 

・プリパラ:第34話『ファルルのトモダチ』
総集編で貼っていた伏線を回収し、らぁらちゃんがファルルに世界の広さを教え、希望と同時に不穏な空気が漂いだす回。
キャラ攻略に関してはらぁらの独壇場であり、妹とのコンビ打ちでガンッガン機械知性を攻略していた。
人形が感情を手に入れていく話は王道ながら最高にリリカルで切なくて、キッチリフラグ立ててるところも引っ括めて素晴らしい。

いい意味でも悪い意味でのフツーにドライな中学生チームと違い、らぁらちゃんは共感の塊みたいな人格してます。
そこら辺は、校長周りのエピソードを見てても解るところです。
他人が楽しいことで楽しくなり、悲しいことで悲しくなる、ちょっと過剰なくらいに優しい子なのです。
そう言う人格設定をしているので、パクリ魔で真似っ子でヘンテコなリアクションするファルルにも積極的に絡み、世界を見せて上げるモティベーションを自分から上げている。
今回のお話は、それが滑りだす助走段階からして巧い。

それに加え、アイドルでもあるファルルに人の暖かさを理解させるべく、ファン代表としてのんちゃんを引っ張りだすのが、とても良い。
ニコンに教えられるがままアイドルしてきたファルルにとって、血の通ったファンとの交流というのは初めてなわけで、それを切っ掛けにメカのんを慈しみ始める流れはすんげーエモい。
アイドルの採点基準に『生活感の無さ』を入れるコアなドルヲタっぷりとか、とにかく可愛いアピールを全方位に乱射するのんかわっぷりとか、今週ののん描写は気合入ってた。

メカのんを治療しつつ友達の話をするシーンは、ファルルの友達が六人に増えつつ、ファルルをぶっ倒す秘密兵器の糸口を掴み、機械知性に生と死の概念を教え、プリパラのジェンダー意識をチラッと見せる無茶苦茶中身の濃いシーンでした。
『友達』というのは言わずもがななプリパラのコアなテーマなんですが、その定義が六人六様だというのは、豊かなキャラ描写が出来てる証拠でとても良い。
『機械いじりが得意』という男記号を背負いつつ、使ってる工具は花柄という女記号で飾る辺り、レオナの描き方は本当に面白いし、細かく気を使っている。
「そういうのが得意とは、本当は男らしいんだな」みたいなセリフを入れない所が好き。


ファルルとユニコンの関係が今回大きく変化したわけですけど、『ツノる』でひとしきり笑った後薄ら寒くなった。
あれ、最大限にコメディフィルターかけてるけど、自我が芽生えて自分の言うこと聞かなくなった子供を、暴力で従えようとする描写なわけで。
『可愛い外見しつつ、中身を想像すると凄まじくエグい』つーのはユリ熊嵐に通じるところがあります。
個人的にも社会通念的にも『起きてはいけないし、起きて欲しくない事態』をキッチリ回避してくれる辺り、シオンさんはホンマ頼りになる。

つーか、ユニコンはファルル好きすぎてヤバイ(いつもの事です)
性別も年齢もないマスコットだからこそ、ファルルを愛しつつ抑圧する全ての存在を代表できてるのは、自分の中で面白い。
ニコンは父であり母であり恋人であり、フランケンシュタインでありピュグマリオンでもあるわけで、コンプレックスの見本市みたいなキャラですね。

ファルルの自由を制限するのは、無論独占欲とか歪んだ愛情といったエゴに起因するものもあるんだろうけど、現状ファルル消滅の危機を感じ取ってるのがユニコンしかおらず、ファルルの死を避けるという利他的理由でも動いてる。
視聴者サイドとしてはヤバイ気配はビンビンに感じてて、結果一概にユニコンを責めれない状況になってるわけです。
ニコンの愛の二面性がしっかり描写されてるのは、今回沢山ある『良かったポイント』の一つ。


ファルルの自由と不自由に関しては、細かく爽やかな笑いを交えつつ、結構ガチに描写されてました。
「男の子だ、図鑑で見たことある」というセリフは、基本女の子の世界であるプリパラの設定を鑑みると、ファルルの不自由が存在と癒着した、非常に根源的なものだと判るセリフでした。
『プリチケから生まれた』という設定と『友チケパキらない』という設定を噛み合わせると、ヴァーチャルとリアルが交錯しない未来を自然と推測できるようになってて、設定の出し方巧いなと思います。
今回の話でファルルがとても好きになったので、消える未来はイヤだなぁ……らぁら頑張れ。

新メイキングドラマは、今回のエピソードでファルルが掴んだ自由をそのまま表現した、いい集大成でした。
プリパラの観客にしては、今回は変化を敏感に感じ取ってたな!
アネモネの神話がまた不穏でなぁ……樹から生まれた子供が、殺されて花に生まれ変わるっていうイヤーなシンクロがな……。

確かな希望と不確かな破滅、両方が見えるファルル強化&弱体化回でした。
コピーロボットのままだと絶対勝ち目がない上に、お話としても面白く無い流れだったので、綺麗にキャラクターの印象をひっくり返した今回のエピソード、重要かつ面白かったです。
気づけば残り一ヶ月、プリパラ・ラストマンスはいったいどうなるのか。
期待が高まりますね。