イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/03/09

・夜ノヤッターマン:第9話『アバレシ番外地』
ガッちゃん修行編の総決算ということで、サイコロボーイが英雄に生まれ変わり、オヤジが海に落ちる話でした。
ガッちゃんに見せ場を作るべく、無理の無い無理のある流れでピンチに突っ込んでいくドロンボー一味に、様式美を感じる。
今までのタツノコパロは結構ヒネっていたので、今回超真っ直ぐにマッハ号が出てきて驚いたりもした。

ガッちゃんは細かく描写を積んで今回のヤッター大活躍にまで辿り着いたので、ケレンのある活劇には結構な充実感がありました。
暗黒のヤッターキングダムに、真のヤッターマン大復活という感じであり、あのマスクを付けた時の『来たっ!!』ていう感じはリメイクの華ですな。
そんなカッコイイガッちゃんにレパードちゃんはメスの顔ですが、ガッちゃんアルエット一筋だからなぁ……。
悲恋の予感もまた、原作リスペクトってところかしらね。

 

蒼穹のファフナーEXODUS:第9話『英雄二人』
シュリーナガル大決戦! というわけで、第7話の竜宮島防衛戦に引き続き、破裂しそうなテンションの大激戦回でした。
Aパートの絶望感とBパートの爽快感、そしてザイン&ニヒトが無双すればするほど高まる不安感。
色んな気持ちが心臓を直撃する、ドキドキしっぱなしの24分でありました。

とりあえず出だしで『エメリーお前生きとったんかワレ!』ってなりましたが、その事実を咀嚼するより早く、圧倒的兵力差とディアブロ型のえげつなさが絶望を煽る煽る。
味方殺しを余儀なくされるディアブロ型は、悪魔の名前にふさわしいイヤーな敵で、そら真矢ちゃんも泣くわッて感じ。
ファフナー乗ってる時の真矢って無敵のゴルゴって印象が強いので、あの弱々しい姿は痛いね。
あとジョナサンがとにかく諦めない強さのある好漢で、すんごい死んで欲しくないキャラに昇格した。

EXODUSでは一話から交戦規定アルファの描写を徹底的にやったりして、味方同士殺しあうことのえげつなさを強調してきたのも、Aパートの絶望感を強調してた。
Aパートで心底嫌な気持ちにならないと、それを打破してくれる英雄二人の『待ってました!』感が強化されないので、ストレスとカタルシスの計算がシリーズ全体通してよく出来てるなぁ。
Bパートの圧倒的制圧も、『力には反動が付きまとう』という法則を徹底して見せているので、カタルシスであると同時にストレスだしなぁ。
そして、そのほうが面白いという。


Bパートの無双もただのチートではなく、味方殺しを回避し人間を人間として生かし、弔うことの出来る勝ち方をしてるのが面白い。
フェストゥムの同化能力は皮膚感覚的な気持ち悪さのある、凄く良い設定だと思っておるわけですが、そのルールを(おそらくヒドい代償があるとはいえ)覆すザインの頼もしさは、『そらカズキ・マカベも神格化されるわ』と思える。
圧倒的否定しか出来ないニヒトが、救済をザインに任せる所とかは、両機の差、そしてパイロットの違いが出てて良かったですね。

大ピンチからの大逆転で、濃厚な勝ちムードが漂ってますが、次の相手はアザゼル型。
EXODUSが始まってからずーっと不可侵領域にいた最強の敵と、どう闘うのか。
そして闘いの後に、何が待っているのか。
前半戦も終わりが見えてきて、更に盛り上がるファフナーでした。

 

・少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR 50-:第22話『ファンシーメルシーブラックコーヒー』
少ハリ最年少で最も大人、俺の大好きなキラ様の個別回は、なんと初恋話でした。
プロ意識が高く常に隙のないキラ様は、一期個別回で非常に見事な成長を見せて、人格的な完成度は多分少ハリで一番優れているキャラ。
そう言う彼の二度目の個別回は、もしかしたら伸び代がないんじゃないか、と思っていたわけですが、まさかの角度から突っ込んできました。
普段しっかりしているキラの初々しい部分も、普段通りの格好良さも両方見れて、非常にいい話でした。

初恋故の不格好さでサンドイッチ買いまくり、グイグイ前に出まくるキラ様は、アイドルやってる時はけして見せない隙に満ちていて、とても可愛かったです。
個別回でキャラを掘るときは課題を解消するだけではなく、今まで光の当たっていない所にライトを向けるのも大事だと思うので、こういう時間の使い方は凄く嬉しい。
そしてただ子供な部分を見せるのではなく、キラの魅力である高いプロ意識、ストイックな姿勢も忘れていないのが、ほんと完璧。

『アイドルと恋愛』という難しい問題を大上段から対処するのではなく、叙情性重視でゆったり対処し、キラの成長に結びつけて終わる所も好きだなぁ。
キラは告白するまで初恋という慣れない経験に浮かれているわけですが、綺麗に玉砕した瞬間、高校1年生の恋する少年ではなく、アイドルである自分を思い出す。
『芸能人は、アイドルはどうあるべきか』というのを常に考えているキラだからこそ、誰に助言されるでもなく、初恋を思い出として胸に仕舞いこんで、成長へのモチベーションに変えるという最善手をとれたんだと思います。
それをするためにも、相手の名前を聞けないという純情をちゃんと見せてくれる所がネ、本当に憎い限りです。

大人と子供、少年とアイドルの間の揺らぎというのが今回のテーマであり、それを強調するメタファーを綺麗に盛り込んでいたのも、今回の(つーか少ハリの)強い所。
上がったり下がったりするシーソーの幼児性、飲めなかったブラックコーヒーの苦味。
さらっとやってくれることで、逆に印象に残るという。
メタファーの使い方としてはシャチョウとテッシーのランチが巧くて、トマ塩ラーメンについて語る一見なんてことのないシーンで、後々キラが取る選択の意味と価値を先取りして説明しちゃってるという、切れ味のある見せ方だったなぁ。


キラが主役として輝いていたのも良いところなんですが、脇役がしっかりと仕事をして、お話の彫りを深めていったのもグッド。
恋の話は相手がしょーもないと、それに惚れたキャラクターもしょーもなくなってくという危険があると思いますが、少年の不器用なアツさを穏やかに受け流し、優しい終わりに導いてくれたお姉さんは、ベストの配役でした。
やっぱ少年の初恋は爽やかじゃないといけないよなぁ……素晴らしかった。

脇役という意味ではお馬鹿なおにーちゃんチームは、バカな発言で上手く空気を抜きつつ、キラの青春を見守る視聴者の代理として、ツッコミの代弁者として、見事な仕事をしてました。
マッキーは最年長で一番バカという、キラと正反対のキャラクターなので、今回の話を反射する鏡としてはベストの配役だったなぁ。
マッキーの描き方もバカな部分だけではなく、リーダーとしての責任感と仲間への思いを感じさせる描写だったからこそ、最後のコーヒーのセリフが染みるっていうね。
あそこら辺のセリフは、今回シャチョウが引っ込んでいた部分を担当していた感じもあって、『受け継がれるハリウッドイズム』みたいのを感じさせて好きですね。
キラは完成度が高いキャラなのですが、そう言う人間の成長にもしっかり他者を絡めて、仲間と一緒に青春を駆け抜けていくという基本コンセプトを逸脱させないのは、ほんとに良い。

アイドルと人間、大人と子供。
色んな極を揺れ動くキラの青春を見事に切り取った、快エピソードでした。
ホントね、アイドルアニメとしても、青春の物語としても、こう言う話がしっかり出てくる少ハリ完成度高いわホント。