イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/05/19

シドニアの騎士 第九惑星戦役:第6話『起動』
大宇宙ラブコメの折り返しは、血反吐吐くまでラブでコメディでラブ、時々クソ実験兵器の大暴走。
そんな感じの回でございました。
チーム谷風に漂う穏やかで暖かいラブコメの風と、重力子放射線射出装置に漂う超ろくでもない空気の対比が、如何にもこのアニメらしい。

天真爛漫なつむぎに負けじと、ついに肉体のメス化に成功した僕のイザナは最高に可愛くてめんどくさくて素晴らしかったです。
同棲からラッキースケベをはさみ、正妻面引っさげての正式同居まで一気に突っ走る所を見てると、思いの外ヒロイン力高い。
谷風があんだけ大好きなオニギリより、イザナを優先してカバーする所とか、ラブコメしてて良かったなぁ。
素晴らしい。

一方可愛いチンポことつむぎもガンガン攻めてきてて、持ち前の幼さを健気さに変えてポイント稼ぎまくり。
谷風たちとの交流を経て、どんどん生体兵器としての価値観以外のものを取り込んでいく描写は、子供の成長を見ているようで爽やかに微笑ましい。
まぁ生体兵器ではあるんで、その内またひどい目に合うんだけどさ……。

『そういう話だからしょうがない』と諦められれば楽なんでしょうけど、皆良い奴なので幸せになってほしいというのは、お話を見せる上で大事なジレンマなんだろうなぁ。
キャラが好きじゃないと過酷な運命に憤ることもないし、激発合ってこそ困難を乗り越えた達成感もないしというね。
ハードコアなSFテイストだけに頼り切るのではなく、キャラの見せ方や人間関係の変化、小気味良いコメディやヒロインの可愛さなどなど、使える武器は全部使っているからこそ、ずっしりした面白さがあるんだね、このアニメ。


そんな平穏で愛おしい日々に横殴りをかける気満々な重力子放射線射出装置は、ヘンテコな音するは破壊力は過剰だわ邪悪な触手は伸びるわ、アルシャードで新帝国の新兵器が出てきた時ぐらい不穏だった。
落合はともかく、艦長まで星を貫く超火力に魅入られてるし……。
あの人信念あるし頭も良いんだけど、長く生き過ぎた所為か、闇に親和性高すぎよね。

光あれば闇あり、凪あれば波ありという感じの、一見平穏な中に波乱を含んだ回になりました。
どっちか一極をメインにしてもう一方を切り捨てるのではなく、平和と戦争両方を物語の両輪と位置づけ、手を抜かずにしっかり仕上げるシドニアの魅力が、良く出ていたと思います。
良いラブコメだった……掛け値なしに……。
なので、来週酷いことが起こるのは判っておりますので、そこまで本当に酷いのはやめてくださいホント……ホント……。(震えながらエンド)

 

Fate/UBW:第19話『理想の末路』
お話もそろそろ大詰めってんで、アチャ男が長口上を喋り倒し、裏では凛ちゃんさんがヒロインらしく三人の男ノ子に求められる回。
しかし主人公とサーヴァントは凛ちゃんに目もくれず、熱い男のくんずほぐれつに夢中なのであった。
まぁこの状況に持ってくるために志郎関係の描写はあったので、一目散な感じがちゃんと出てるのはいいことかな。

動きのない会話が続く回なのですが、アーチャーサイドと凛サイドをかなり豪腕で繋いで動きを作ったのは、面白い演出。
志郎への自害を進めた直後にランサーが映ったり、アーチャーの激怒から凛の激怒に繋いだり、アーチャーが真相を暴露した後言峰がヴィンテージ愉悦を味わったり、2シーンでのトスの受け渡しは野心的でした。
ワカメの道化っぷりが見事で、長尺でシリアスなこと言いまくってる階段前の空気を、うまーく抜いてたなぁ。


『俺アイツと二人きりになると、設定聞く前に殴っちゃいそうなんだけど……』という志郎の弱音を受けて、『分かりました。このシーンに登場して、戦闘前の掛け合いは私がやります。あっちはランサーが上手くやってくれるでしょう。戦闘には参加しない、でいいんですよね?』と立ちまわるセイバーに、熟練プレイヤーの影を見る。
志郎が溜め込んだ激情は大人しく設定を聞いていたら薄れてしまう類のモノなので、驚き役/ツッコミ役をセイバーがやるのは、巧い配役やね。
エミヤを正義の味方にしたのはエルトリアとの出会いであり、理想の追求と挫折が共通してるのは、アーチャー自身が言ってたことだしさ。

UBWでの弓剣描写は俺とても好きで、シニカルな振りをして好きで好きでしょうがなくて、好きすぎて恋愛を飛び越えてしまっている感情の熱量が、良く見えてました。
今回のやりとりも、隠していた少年っぽさを巧く剥き出しにした諏訪部の好演もあって、とても良かった。
セイバーが志郎の理想の成れの果てであるアーチャーを、アーチャー自身の評価とは裏腹に高値で買ってる所とか、マジたまらん。

動きのない今回はセイバーのターンでしたが、剣も握って次回は志郎のターン。
衝撃の自害をブチかましたランサーが、最後の最後にどんだけでかい花火を上げるかも引っ括めて、次は派手に動きそうです。
これでイリヤのお墓も炎上かぁ……死んでもなお、ホントに良いことねぇな、あの子……。

 

・ハロー! きんいろモザイク:第7話『マイ・ディア・ヒーロー』
マッドネスとラヴリネスが入り交じるガールズ・ストーリー、七話目は九条カレンのグラウンドゼロ。
どうしてもキチった部分に目が行くこのアニメですが、アリスを想う強すぎる気持ちと、悪意ではなく善意故に絶妙にすれ違っていく間合いの見せ方が今回上手く、切ない話になってた。
これでアリスが根っからの性悪なら納まり様もあるんだが、カレンのお姉ちゃんでヒーローなのは間違いがないからなぁ……難儀ですね。

今回描かれていたのはカレンから見たアリスと、アリスから見たカレンのすれ違い、そして二人の関係性とアリス&シノとの関係性の、残忍な重ね合わせでした。
カレン→アリスは常に自分を引っ張ってくれる憧れであり、この視点はアリス→シノとよく似ている、高いところを見る視線。
しかしアリス→カレンはあくまで『姉』を自認するフラットな付き合いであり、シノとは恥ずかしくて入れないお風呂も、姉妹なので入れてしまう。

そして『姉』なのに幼いアリスは、この視線のズレに意識的ではなく、気付いていないのでカレンが望むように訂正することは出来ないわけです。
カレンの望む世界は、常に彼女の手から逃げ続ける運命にあります。
おまけに『妹』なのに人間関係の視野が広く、ヤンチャな振る舞いの中に奇妙な成熟を見せる彼女は、周りが楽しいと自分が楽しくなる性格をしていて、自分がどう振る舞えば場が上手く回るか気づけてしまう賢さもあります。
身勝手な子供でいても良い立場なのに、奇妙に賢く自分を規定し今のアリストの関係を守ろうとしているカレンは、見てて凄く切なかったです。

カレンが身勝手になれないのは、カレンと同じように、カレンが好きな人々も優しいから。
自分の望むように自分を見てくれないアリスも、その視線を釘付けにしているシノも、時々悪魔的な邪悪さを見せはするものの、根本的には他人を受け入れる強さを持っています。
『姉』としてカレンを守らないとと考えているからこそ、後ろを付いてくるカレンの成熟と困惑、捻れた関係に気付きもしないアリスの残酷さは、なかなか凄いなぁと思います。
そして、そういう乾いた人格の地金をチラホラ見せつつも、表面上はゆるふわ萌クレイジーアニメに仕上がってる造りのねじれも、自分の感性にはビンビン来ますね。

『女の子と女の子が仲良くしてたら、即無条件でレズビアン』というのも短絡的な見方でありますが、カレンとアリスの関係を本気で描いた今回、彼女らの関係が恋ではないということが良く見えてきました。
自分が苦しい時必ず支えてくれる憧れにどんな名前をつけるか、なかなか難しいところですが、それはやはり友情なのでしょう。
しかし同時に、カレンの気持ちは危ういほどに強く、『ただの』友情ではけしてない。
何しろ、シノを追いかけて日本にやってきたアリスと同じように、彼女も友を追って異国の言葉を学び、海まで渡ってしまっているわけですから。

恋でもなく友情でもなく、憧れを含みつつもすれ違っていく関係を、もはやあまりに簡単に流通しすぎて本義を失っている言葉では、百合と言うのだと思います。
『きんモザ、百合出来んじゃん、っていうかすげー百合じゃん』というのが、今回描かれたカレンとアリスの奇妙なダンスを見た、正直な僕の感想でした。
カレンの視点に立つと凄くじれったくて切ないのに、アリスの目線だとかなり脳天気で無神経に幼なじみ出来てるギャップこそ、まさに百合だった。
とても良かったです。


映像的な話をすると今回かなりヘンテコで、食器洗いのシーンの遠景FIX長回しとか、カレンがいなくなった時の魚眼とか、面白いカメラの据え方が見えました。
食器洗いのシーンはアリスの黒い部分が全開になるシーン(『ポイント稼ぎ』はきらら系主人公が口にしてはいけないブラック単語だった)であり、クローズアップで追いかけると後の展開に影響が出すぎる、という判断かなあ。
それ抜きにしても、デフォルメをきつくかけたキャラがちょこまかと動く絵面は可愛らしく面白く、とても良いシーンでした。
異国の空気を強く出し、美術に凝りに凝ったイギリスのシーンも、普段と違う感じでとてもグッドでしたね。

いい話と切なさでかなり洗い流されてましたけど、なんだかんだ狂ってるシーンも沢山あって、烏丸先生のキグルミとかマジ狂気だった。
サラッと流してたけど、『パパが権力でネックレス買ってくれたデース!!』も相当だな……なんだよ権力って怖えな……。
メインをスローペースで進めつつ、作品の個性であるマッドギャグをちゃんとぶち込んでくる姿勢は、とても好きです。

普段と毛色は違うけれども、普段の素敵で狂った日常はこういう捻れた土台の上でしか成り立たない。
このアニメが持っているウィットネスの源泉を、ちょっと感じ取れるようなリッチなお話でした。
きんモザ凄いなぁ……(ザ・今更マン爆誕)