イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/05/21

アイカツ!:第134話『おもわずスキップス♪』
一ヶ月以上続いたユニット編もついに大トリ、あかり&まどかのスキップス結成回でした。
結成自体はかなりサックリと進めて、一年以上アイカツ!を続けてきたあかりちゃんが、どれだけ歩みを積み上げ今何処にいるかを見せることに主眼をおいたエピソードとなりました。
いちごちゃんもそうだったんですが、下から星を見上げる立場の後輩が出てくると、とたんに頼もしさがキャラに宿る感じがします。

いかに不敵な態度を取っていても、まどかちゃんはアイカツ!初めたての一年生。
芸能界に飛び込んだばかりの彼女に映る大空あかりは、大人と対等に意見を交換し、アクシデントにも動じず対応できる、頼れる先輩。
テキパキ仕事を進め、まどかちゃんの若さを巧くいなして受け止める姿勢がそこかしこで描写されており、説得力がありました。
考えてみればあかりちゃんだって実績を積んできているので当然なのですが、やはり泥臭く失敗を続けてきた印象が強く、今回華麗に芸能界を泳いでいる姿は、頼もしさと少しの寂しさを感じさせるものでした。

半年分の変化を見せるという意味では、ユニット編の起点となったスミレちゃんとも重なる描写でして、引っ込み思案で消極的だったスミレちゃんは凛ちゃんを掻っ攫っていく積極性を、直感力と直向きさが武器だったあかりちゃんは、実績と包容力が育ってきたことを、それぞれ強調して成長をアピールしたのが、ユニット編の描写かなと思います。
変わった部分と同時に変わらない強さを見せることも、何も知らない後輩と対峙することで強調された部分でして、スミレちゃんなら天性の美貌、あかりちゃんなら良いと感じたことに迷わず飛び込める勘の良さが、キャラがお話に顔を出した時から変わらないストロングポイント。
ユニット編でもそれは損なわれておらず、今回で言えばまどかとのユニットを即座に受諾した理由に繋がっています。
変化していくものと変わらないものを同時に描写し、奥行きのある成長を見せるのは長期シリーズの醍醐味と言え、特にあかりジェネレーションはキャラクターを欠陥のある存在、完璧ではない(故に成長できる)ものとして描いてきたので、今回のあかりちゃんの描写には時間の重さが合ったように感じました。


一年分の重さを背負うあかりちゃんに対し、フレッシュなキャラ描写がされていたのがまどかちゃん。
これまでのアイカツ!には居なかったちょっとエゴイスティックで自分大好きな人格を、コースアウトギリギリに攻めつつ新規性を保って描写してました。
走るシーン、歩くシーン、話すシーン、笑うシーン。
全ての局面であざといポーズをバッチリ決めているのは、可愛い自分の自信があるという表現なのか。
自分の見え方を気にしている余裕があるキャラってアイカツ!には居なかったので、やっぱ新鮮ですね。

今回お話が徹底的にまどか視線で進み、あかりちゃんが『余裕綽々な先輩』として描かれていたのもあって、ユニットの距離はまだ間合いがある印象。
まどかはかなりベタ惚れなんですけど、あかりちゃんはあくまで受け身というか、最後のシーンを見ても解る通り、ハグではなく握手の距離。
ここら辺は、あっという間に一目惚れし、あっという間に魅了したスミレちゃん-凛ちゃんの距離とは違う所です。
……あれはスミレちゃんの魔性のみがなせる技か。

三年目は成長の描写にしろ、人間関係の変化にしろ、かなり丁寧に積み上げていくのが基本プランです。
スミレちゃんに対してそうであったように、今後じわじわとイベントを積み重ね距離を詰めていくためのスペースなのかなぁ。
次回以降新キャラテコ入れが入るので、その合間にスキップスの描写がどれだけ挟まるのか、気になる距離感で終わってましたね。

ユニット編ラストになるスキップスは、かなり慎重かつ丁寧な出だしとなりました。
あかりちゃん個人はかなりドラスティックな変化を遂げていることを見せたのもあって、今後の変化に期待が持てるエピソードだったと思います。
いい塩梅に物語の地面を整えたユニット編でしたが、次回は神戸からの刺客を迎え撃つターン。
みやびちゃんがかなり上手く料理されていたので、今度はどうキャラを見せ、変化させ、問題を解決して送り出すのか、楽しみですね。

 

俺物語!!:第7話『俺の強さ』
本格柔道部青春アニメ、今回は主将の不運な負傷の穴を埋めるべく、一年生剛田に助っ人を頼む回。
という嘘説明をしたくなるくらい、非常にしっかりした柔道描写が光る、強さと優しさのお話でした。
流石『YAWARA!』の最終回スペシャル監督、作画カロリーをしっかりかけて、見応えのある試合シーンにしていました。

いつも勢いのあるアニメなんですが、唐突な土下座を理由も聞かず即OKする猛男の勢いが、最後まで突き抜けていくような回でした。
即答が安請け合いにならず部員のやる気も引き出していたのは、流石猛男の人徳といった所。
猛男は過剰な勢いで話を引っ張りつつ、細かく世界に愛される理由を説明されているキャラで、こういう丁寧な見せ方がギャグキャラをギャグで終わらせない結果に繋がってるんだろうなぁ。

今までベッタリと繋がっていたゴリラと美女でしたが、今回は猛男の提案により公私をハッキリさせることに。
距離が離れてもギクシャクするどころか、むしろ気持ちを確かめ合ってる流れは、非常にこのアニメらしい安定感でした。
凛子の不安を砂川でクッションすることで、凛子を物語にとって都合の良い只の天使にせず、人間味を見せる描写を入れてきたのが良かった。
結果として凛子と砂川の関係性を濃厚に描写できたのは、面白いお釣だと思います。
砂川は凛子のこと好きだし評価高いんだなぁ……恋とは違うけど。


今回のお話は愛と強さのお話なので、強さの見せ方は大事。
部活での組手のシーンからして、規格外の肉体を持つ猛男が尋常には動かないこと、組んだら一瞬で引っ張り上げる腕力をもっていることがしっかり描写されていて、見事な見せ方でした。
試合の作画も足捌きに注力した華麗なもので、フィジカルとテクニックを併せ持ち、不動のメンタルまで備えてしまった怪物・剛田猛男の強さが良く伝わってきました。
いやマジ、今からでも柔道やったほうが良いって猛男。
金メダルでオセロ出来るって。

作中最大の価値である『恋愛』を蔑した強くんはもっと悪役に描いてもいい所なんですが、柔道に真面目な所、怪物としっかり渡り合った所をしっかり見せて、嫌な気分にならないよう工夫されていました。
凛子に突っかかっていく所も、直前のHPゲージ演出で『羨ましいが認めるわけには行かん!』という心情がよく見えて、可愛げがあったし。
試合の作画にカロリーをかけたのも、猛夫の強さを強調すると同時に、それと競り合う強の頼もしさを伝える効果が出ていて、巧い演出だなと思いました。

前回のエピソードを盛り立てた砂姉と同じように、お話に起伏を作るための反論役を如何に好感度高く見せるかというのが、よく考えられているアニメです。
主人公たちの主張を反射し、いわば鏡の仕事をするキャラクターが下品にならないことで、主役の株も逆に上がっていく相乗効果があるので、こう言う見せ方はとても好きです。
鉄骨を背負い、火事場に飛び込んで無事な和製ハルク相手に、よく立ち会ったよ強は……。

強さばっかり追いかけているとあまりに汗臭いので、お星様というポエジー溢れるアイテムをメインに据えて詩情を出すのも、少女漫画っぽくて好き。
猛男の認識としては『強さは良く分からない』という終わり方なのですが、途中の扱いがスムーズ
かつ効果的なので、『愛を支える強さとはどういうものか』というエピソードテーマは、視聴者にはしっかり判る作りでした。
キャラクターはテーマに答えを出さなくても、作品と視聴者には手元になにか残るお話は、成長性と満足感を両立できて素晴らしいですね。
毎回爽やかで楽しい気持ちで見終わることの出来るアニメって、ほんと凄いと思ってます。

 

血界戦線:第7話『拳客のエデン』
魔界都市で飛んだり跳ねたり人情したりするアニメ、七回目の今回は地下闘技場でバトル。
メレーバカのシンプルなお話……と思いきや、ザップ先輩の突き抜けたクズっぷりと、オチに漂う寂寥感で、ツイストの効いた仕上がりになってた。
『吸血鬼にも色んな奴がいるなー』としみじみ思えるのは、お話と世界の幅を見せる上で、大事なんだろうね。

メインパートの方は最初っからザップ先輩のクズ狂言をネタばらしして、拳の道化芝居を正面突破するクラウスおじさんと、立場はさておき気持ちのいい格闘バカを目立たせていく造り。
前回人間の中のどん底を見せておいて、今回異形の中でも気持ちのいい連中を軸にする作りは、色んな連中が色んな生き方している街・ヘルサレムズロットの魅力をよく見せてました。
異形連中だけではなく、出落ちっぽくぶっ飛ばされたヒューマンのお兄ちゃんが魅力的で、『貴方ほんとに格闘家?』と聞きたくなるポエジーを醸し出していた。

詩情という意味ではオズマルドの中の人も凄くて、クラウスや異形たちが共に楽しんでいた拳闘を心から愛しているのに、存在自体が高次過ぎて一緒に遊べない切なさが、ラストでドワっと押し寄せてきました。
立木さんの演じ分けが切なさを増幅してて、釘宮の三役同時と合わせ、声優ってすげぇなと思います。
『特に捻りのない、それ故に気持の良い話なのかな』と思って見ていたので、よく刺さる不意打ちでした。
ザップ先輩の茶番を最初に見せることで、オズマルドの仕掛けが見えないように煙幕作ってんだな。


今回も可愛い可愛いホワイトちゃんのお話が同時進行していましたが、色々と不穏な気配がプンプンと。
あの『ザ・幸せ家族』みたいな写真を印象的に見せることで、『おいおい、両親どうなったの?』という不安を煽る所とか、巧いなぁと。
お兄ちゃんは十三王だし……ブラックと絶望王の相互認識がどうなってるかとか、兄妹と王に何があったかとかは、まだ見えない部分ですね。

色んなテイストの小気味良い短編をスピーディーに料理しつつ、シリーズ全体としてはホワイトの謎を追いかけていく作りを背骨として入れ込んで、これに興味をもつことで視聴者に大きなお話を乗せているのがこのアニメ。
どーでもいい奴のお話はどーでもいいわけで、可愛い可愛いホワイトちゃんと、それを見守るギークボーイブラック兄、謎を含んだ危険な男絶望王という、オリジナル釘宮三連星がそれぞれ魅力的にキャラ立ちしているのが、アニメ全体に視聴者を引き込む大きなパワーだと思います。
キャラの印象を焼き付けるだけではなく、謎をこまめに、的確に供給することで彼らのストーリーへの興味も掻き立てる見せ方が、ほんとに上手。

漫画ベースの各話エピソードとホワイトの物語が、何らかの要素でリンクしているのも彼女の話が浮かび上がらない重要なポイント。
しかし今回の話は『死体を能力で強引に動かして、偽物の茶番劇を切望した男』の話しであり、これとホワイトの話がリンクするってなると、その、なんだ、シンドい。
調度良く『ブラックお兄ちゃんはサイキックである』っていう設定も出てきたしなぁ……凄い哀しいバックボーンと、オチを想定してしまいますよ。

『異形が集う地下闘技場』『病院で出会った謎めいたヒロイン』という初期配置を活かして、素直に気持ち良くやる部分。
そして詩情を込めて一手捻り、物語と世界観の奥行きを感じさせる部分。
各話とシリーズ全体、両方にこのアニメの強さが垣間見えた、見事なエピソーどでした。
ホワイトちゃんはまっこと最高の釘宮ヒロインなので、どうにか納まりの良い終わり方を迎えてほしいものだと思いますが、まぁこのアニメなら大丈夫だろう!
ほんと良いアニメだな、血界戦線