イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/05/27

・ハロー! きんいろモザイク:第8話『もうすぐ夏休み』
前回濃厚なアリカレをブチかましきんモザですが、今回は狂気も人情も割と抑え目。
ゆるーっとした時間が流れる中、あややは発情し、ヨーコのIQは下がり、ほのかちゃんは一味違う金髪キチガイっぷりを見せていた。
……やっぱ狂気は抑えていなかったかもしれない。

今回はとにかくあやがフカしまくる展開であり、四六時中ヨーコに抱かれたいと思っている系女子の面目躍如だった。
くびれとかはさておき、ハンバーガを落として拭いてもらう所の妄想巧者っぷりはギガロマニアックス過ぎた。
その上打たれ弱さもいつも通りなので、ホントめんどくせぇなこの女……。

そんなあやを受けるヨーコは、お話を回すためかどんどん低脳になって行く。
わざわざメイド服に着替えて部屋の掃除してるシノとか、今回スルーで笑いを取りに行くネタ多かったなぁ……。
キチった状況をあえて受け流すことで、視聴者を置いてけぼりにしつつ笑いの隙間を作るテクニック、俺好きだよ。

あやは脳内だけで済んでるけど、ほのかちゃんは犯罪一歩手前っていうか半歩踏み込みっていうか、ともあれ役者が違う本物っぷりを見せ付けていた。
出番はあの一瞬しか無いんだけど、あまりにも表情がヤバすぎて全てを置き去りにしたというか、なんというか。
並み居るキチガイどもを押しのけて、ガチでやばそうランキングブッチ切りの一位に輝いてる辺り、ほのかちゃんは凄いと思います。

 

血界戦線:第7話『Zの一番長い日 前編』
オムニバス魔界都市絵巻、今回は『ニューロエイジに飛び込んできた亞侠(ただし達成値は23出る)』ことザップ先輩のお話。
ゴミクズ人間を退魔兵器に変えた師匠のインチキパワーあり、ホワイト&ブラック兄妹の過去を匂わせる描写あり、色々と賑やかな前編でした。
沢山盛り込まれているお話の中で、一番軸に成ってたのが『ザップ・レンフロが如何にゴミクズか』という描写のなのは、さすがザップ先輩だ! としか言い様がない。

前回のお話でもそうなんですが、ザップ先輩の生々しいゴミっぷりは、シリアスな展開に笑いを埋め込む見事なスパイスとして機能しています。
そんな彼が主役になる今回、切れ味するどいコメディ色が全面に出るのは、むしろ当然と言えます。
モンタージュで手際よく見せられるザップの日常(飲む→打つ→買うの無限ループ)といい、異能力漫画史上最悪な覚醒(サーモグラフィによる婉曲表現が面白すぎる)といい、センスよく笑いを掴んでくるシーンの作り方は、とても良い。
『ザップがメインになると、ゴミクズネタでウケが取れる』という一つの型があるのは、お話の起伏としても、オムニバスのジャンル振り分けとしても、中々の強みだなぁ。

無論超絶パワーの超人が大暴れするアニメでもあるので、ただ笑わせるだけでは終わらず、人類の規格外・裸獣汁外衛賤厳大先生のアクションシーンは大迫力でした。
今までさんざん『如何にライブラメンバーとはいえ、高位の血族は武力で対抗できない』という基本ルールを描写した後だからこそ、それを横合いからぶっ飛ばす師匠のインチキ加減が、気持ち良く受け取れます。
苛烈な戦闘の結果、外見からして人間じゃなくなっちゃってる師匠のフリーキーな説得力は、見ていて爽快でした。
この師匠にしてこの弟子ありと納得させられる、いい無茶苦茶さだった。


そんなドタバタコメディの裏側で、じっとりとした情感タップリに過去をチラ見せしていた黒白兄妹。
過去回想を見るだに、『強大な力と契約し、兄妹関係が拗れた』というのはレオくんと共通なのだな。
その上で、妹を犠牲にした後悔が骨の髄まで染み込んでいるレオくんと、自分を依代に差し出して妹を守ったブラック兄さんは、非常に対比的でもある。
今回の回想シーン、キャラクターの共通点と差異点を、効果的な演出で手際よく見せていたと思います。
1話の契約シーンとレイアウト・色彩ともに類似しているのが、よく効いている感じ。

とは言え核心に迫りつつも名言はしない焦らし上手な描写でして、早く真実が知りたいような、知ってしまえば酷い事が起きてしまいそうな、そんなジレンマを今回も煽って来ました。
黒白兄妹とレオ君のロマンスは、シリーズ全体を貫通する担保でもあるので、知りたいけど知りたくない、じれったいミステリとしてしっかり機能しているのは、制作側の狙い通りなんだろうなぁ、などと想う。
これもホワイトちゃんが可愛いからだな。(キャラ萌え勢の暴論)

実際の話、人間味溢れるキュートな仕草と、冴え渡るド直球ヒロイン演技が相まって、ホワイトちゃんは好感度高くなる要素しかないヒロインだと思います。
毎回黒白兄妹のエピソードを挿入し、必要なだけの情報をチラ見せして期待を煽る巧さもあって、ホワイトちゃんはとても気になる女の子になっています。
そういう健気で可愛い子を魅力的にライトアップして見せてくれるからこそ、彼女を好きになったレオ君の気持ちにも、何かを犠牲にしても妹を守りたいブラック兄さんの気持ちにも、視聴者(というか僕)は乗っかることが出来るわけで。
そしてそういう共感があるからこそ、一体どのような過去があったのか想像する楽しみが、自分のものとして受け入れられるわけで。
自分を醒めた目線で見ると『すげーのめり込んでる観客だな』と思わなくもないですが、のめり込ませるパワーとテクニックをこのアニメが持っている、と受け取りたいトコロ。

今回のお話は前後編であり、来週はもう一人のZが主役として颯爽登場するっぽいので、エピソード全体の感想は言えませんが、ザップ個別回としては完璧な最悪加減で素晴らしかったです。
ついに絶望王が顔を出してきた黒白兄妹のストーリーも気になるし、もう一人のZがどういう奴なのかもワクワクするし、血界戦線初の前後編、すっげー面白いっす。
良いアニメだなぁ、ホント。

 

・響け! ユーフォニアム:第8話『おまつりトライアングル』
吹奏楽は一時おやすみして、今週はラブコメをします! 血を吐くまでラブコメします!!』という回。
なんだけど、まさかの角度からスンゴイ速度のパンチが、京アニ演出でぶっ飛んできました。
まさかここで高坂さんとの距離が一気に縮まるとは……このリハクの目を持ってしても……(節穴アイを赤裸々に告白)

 

というわけで、まずは久美子-麗奈ラインから書いていきましょう。
思い返せば、このアニメは久美子が吹奏楽との距離を決めていく話であると同時に、高坂さんとの距離を決めていく話でもありました。
出だしからして、高坂さんとの間合い目測をミスって事故る所から始まり、北宇治が競技集団に変化していく中でジリジリと高坂さんとの距離が詰まっていく描写は、これまでしっかり積んできました。
いうなれば助走期間である過去の蓄積を活かしつつ、これまでとは質量共に別物の特別な夜を、圧倒的な説得力で描写することで、劇的な変化を視聴者に殴りつける展開は、嬉しい驚きに満ちてました。
いやビックリしたホント……ありがとう、ありがとう……。

葉月との関係を壊したくなくて、秀一からのアタックを避ける形で繋いだ手ですが、その手はずっと久美子が繋ぎたいと思っていた手ではあります。
屋上で一人練習を重ねる高坂さんを仰ぎ見ていた時も、偶然下校が一緒になった時も、久美子の視線はほぼ常時下から上に見上げる形、憧れの高嶺の花として高坂さんを見上げてきたわけです。
見上げるだけだった二人の関係が、秀一と同じように一切の隔たりなく肩を並べる間柄に変わったというのは、お互いの音を闇の中で独占しあう合奏シーンを見てもよく分かるようになっていて、情景の説得力がとにかく濃厚でした。

というか、白ワンピにミュールという本気度高すぎる武装といい、最初っから合奏する気マンマンな楽器持参縛りといい、高坂さん的にも『今夜……キメるッ!!』っていう気持ちだったのは間違いないわけで。
高坂さん不器用だから、今まで友達とかあんまい無くて、好きな子ができたらどういうふうに間合い詰めればいいのかよく判んなかったんだろうなぁ……。
『夏祭りというスペシャルイベントの後押しを受けて、すれ違っていた二人の気持ちが一つに……』とまとめると、少女マンガの山場みたいですね。
秀一……お前こっからどう盛り返すんだ……あの乱れた二つ靴とか、どう見ても暗喩……。


今回のお話は二人の距離が詰まる話なので、高坂さんはどんどん自分の鎧を脱ぎ捨てて、本音をガンガン語っていきます。
久美子としても渡りに船なので、人気のない方向、二人だけでいられる世界に進めば進むほど、等身大の高坂さんが見える。
それは視聴者が見ている風景であると同時に、久美子を取り巻く世界でもあって、これまで高坂さんに抱いていた一方的なイメージだとか、隠れて見えなかった心象だとかが、久美子の目を通して僕らにも見えてくる作りになっています。

素裸の高坂さんは『特別でありたい』という、ありふれた願いを抱え込んだ少女でした。
久美子が吹奏楽によって特別であろうとすること、特別であるための努力を放棄して北宇治に来たのとは、見事に正反対な願いです。
しかしこれは久美子の心に秘めていた願いでもあって、それに惹きつけられて、これまで久美子は高坂さんから瞳を外すことが出来なかったのでしょう。
『努力する高嶺の花』は、久美子にとって一度捨てた自己イメージであり、なりたい自分でもあるわけです。

同時に高坂さんが今回告白するように、『普通になろうとしてもなりきれない』久美子は、高坂さんにとっても瞳を外すことの出来ない、期待の対象でした。
久美子が秘めている『特別でありたい』という願いを高坂さんが感じ取り、それをいつか共有したいと願い続けていたからこそ、今回の接近と遭遇があるわけで。
世界に巧く馴染めない特別な子が、『この人一人』と思いつめる情感の強さがセリフと仕草の端々から匂っていて、あのあたりは非常に緊張感と危うさ、つまりは青春の気配があって良かったです。
久美子にとっての失言が、高坂さんにとっては運命だったという捻れは、中々に複雑怪奇で面白いなと思いました。


高坂さんが今回久美子に見せたのは、こうあってほしいと強く願う清く正しい高坂さんでもあり、久美子に対して(久美子と同じように!)好意を抱き距離を詰めたいと願っていた高坂さんであり、『特別でありたい』という欲望をむき出しにした裸の高坂さんでもあります。
言わば今回、高坂さんの総体が久美子の前に晒されているわけで、そら久美子も『エロい』言うわ。
目の前で憧れの美少女が心のヴェールを脱ぎ捨て、素っ裸になっていくわけだからねぇ。

なので、今回はじめて靴擦れという身体的ダメージを、高坂さんは負う。
血を流せば涙も零す一人の人間なのだと、久美子と同じようにつまらない事に悩み、一歩ずつ前進する少女なのだということを、久美子にさらけ出しているわけです。
その帰結として、脱ぎ捨てた二つの靴と、隣り合っての合奏がある。

今まで距離のあった二人がここまで間合いを詰めるためには、やはり夏祭りの闇という特別な空間が必要であり、そのムードを完全に切り取っていた今回の演出は、どんだけ褒めても褒め足りないでしょう。
じっとりと湿っているのに奇妙に爽やかで、暗闇の中なのに光に満ち溢れている、とても魔術的な時空でした。
並列して明るく元気な祭り(と平凡で健全な失恋)を描写することで、二人きりの時間の特別性を際立たせていたという見方は、ちと葉月に失礼すぎるかな。

今回は性的なほのめかしやメタファーの多様が目立ちましたが、久美子と高坂さんの関係がガラッと変わってしまう夜の、特別さや妖しさを視聴者に届ける上で、エロティックでセクシャルな印象付けが有効、と踏んでのことかなぁ。
『この人一人』という思春期特有の思い込みの強さ、激しい感情の燃え上がり方、それ故一瞬で終わる儚さの予感などなど、二人の関係は恋愛ではないが、あまりにも恋愛に似ています。
制作サイドの性癖を全開にしただけということもあり得るけど、今回言わば久美子の思いが両思いだったことが判明し、関係が劇的に変化するエピソードなわけで、その流れと恋愛とセックスのダイナミズムを重ねてくるのは、まぁ納得できるプラン。
久美子のモノローグを借りれば『夢の様な夜』が、久美子と高坂さんの関係、久美子と秀一の関係、高坂さんと滝顧問の関係にどう影響するのかは、今後を見ないと判らんけどね。

 

巧くいった、いき過ぎた告白がある一方、上手く行かなかった恋もありました。
真向からぶつかって、真向から砕けた葉月の恋と、変化する世界に耐え切れず高坂さんに逃げられてしまった秀一の恋も、今回は丁寧に描写されていました。
秀一が一生久美子見てるのはかなり強調されていたので、勝ち目ないなぁとは思っていましたが、まさかこれほどのスピード決着とは……。

このアニメは山田シリーズ演出の趣味もあってか、とにかくカメラを下にすえて足が喋るシーンが多いです。
今回も腰より下に心情を語らせる描写が多く、語らない豊かさが巧く生まれていました。
浮き足立っている秀一の足と、どっしりと揺るがない久美子の足の対比。
一切の遠慮がない秀一と久美子の着座距離と、どうしてもたこ焼き一個挟まってしまう葉月との間柄の対比。
目線のやりとりでの感情表現も巧いアニメですが、目線を使わない見せ方が今回光っていたように感じます。

失恋しても秀一を攻めるでもなく、久美子の後押しまで約束してしまう葉月の生来の善性は、高坂さんがこの人一人と思いつめた久美子の性格の悪さとの対比であり、それが秀一が葉月を選べなかった理由なのかなぁ、などと思った。
いい子なんだけどなぁ葉月ちゃん……いい子だからか。
フラレたのにお洒落してる自分に耐え切れなくて、髪留め外しちゃってるところとかもう……もう……。
そしてみどりは、無責任に一人で盛り上がりすぎです!
妹が可愛いからって許されることと、許されざることがあるぞ!

今回のメインは久美子-麗奈、秀一-葉月の四名なわけですが、他の部員の夏祭りも忘れずスケッチすることで、群像劇の魅力を出していたのは良かったです。
特に後藤&長瀬の低音健全カップルは、二組のカップルが目指すべき完成形とも言える描写で、すげー甘酸っぱかった。
あーーー後藤が羨ましーーーーーー幸せになれーーーーーー!!!(二人の描写を見たオッサンの、素直な感想)

さておき、今回高坂さんとの揺るぎない絆を久美子が手に入れたことで、思わず身をかわしてしまった秀一の思いを受け止める素地が生まれたのか。
はたまた恋の話はおいておいて、ブラスバンド修練物語の方を進めるのか。
今回手に入れた大きな荷物をどう活かしてくるのか、今後が楽しみになる夏祭りでした。
いやー凄かった……凄い湿度だったなぁ……。