イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/06/23

血界戦線:第11話『Paint It Black』
釘宮がすげー喋るアニメも最終盤、黒白兄妹改めマクベス兄妹の因縁があらわになるお話。
これまでも大車輪の活躍でしたが、メインが回ってきた結果、マジで釘宮無双だった。
台詞の8割位釘宮さんだったんじゃなかろうか。

黒白兄妹のお話はオムニバスとして構築されている各エピソードを、シリーズアニメとして繋ぐ背骨。
結果合間合間に思わせぶりな描写が挟まり、断片的な状況から彼らの状況を推測する状態が続いてきました。
今回はこれまでの10話で蒔いた描写の種が芽を出し、繋がっていく話でありまして、なかなか見応えがありました。

まぁカタルシスというには、ホワイトちゃんの背負ってるモノが重たすぎて全然喜べないけどね……。
これまでの描写からして死体を強引に動かしてる状態なのは推測できてたけど、当たって欲しくない予測でもありまして。
ええ、バッチリ当りましたね……ホント描写の蓄積に嘘をつかない、いい演出だよッ!!

いかにも幸せ家族って感じのマクベス家から、坂を転がり落ちるように酷い状況に落ち込んでいく流れは、落差があって良かった。
無論この落差は、スーパーヒーローレオくん&ライブラのゆかいな仲間たちが超大活躍して、ハッピーエンドに持っていくこと前提の『良かった』なわけですけども。
だってさー、コンプレックスまみれな自分を救い上げてくれた兄と、お伽話みたいに素敵に知りあった少年天秤にかけて、血涙流して兄を選んで、でも望み通りにならなくて自分も死んじゃいましたとか、許されざるだろマジ……。

ラスボス絶望王のモチベーションはまだ伏せ札ですが、大体『ブラックロッド』のゼン・ランドーと同じなのは解る。(ライトノベル黎明期直撃世代)
ヒロインを苦しめ自分たちのホームを奈落落ちさせようとする憎き敵をぶっ飛ばし、スカっと終わる最終回が楽しみです。
……なにィ!! 放送は再来週ッッ!!!?

 

・ハロー! きんいろモザイク:第12話『なによりとびきり好きだから』
私達の日常は永遠に黄金系アニメも、ついに最終回。
イギリスでアリスとカレンがキャイキャイするAパートと、シノの未来展望を少し垣間見るBパートで、非常にきれいに終わりました。
シノゴッコとか金髪倶楽部再びとか、狂気はそこかしこにあったが……まぁそれはそれだ。

とりあえず言いたいのは、アリスヒドすぎる、ということ。
飽きるくらいシノゴッコ続けている辺りマジでキチガイかつ人非人だと思いますが、それだけ幼なじみの繋がりが強いと思えば……思えば……やっぱヒドいよ!
もうちょっとカレンちゃんの事考えて!!
きんモザの女の子はほぼ全て、自分の理想像を想い人に投影しすぎて当事者見てない傾向がありますが、アリスは持ち前の知能の低さと相まって、ないがしろにしちゃいけないところを踏みつけすぎる……。

とはいうものの、ビデオを見る限りシノゴッコはカレンから言い出しているので、どっちもどっちとはいえる。
帰国してからの2+1なハグを見ても判るけど、カレンはアリスがシノキチなのを前提として、それを受け入れた上で道化になってまでアリスの隣を確保しているのだな。
それはアリスの素直な熱狂とはまた違う、少しだけ周囲が見えているが故に狂っている愛情なんだろう。
金色なクローズドサークルが維持できるのは、カレンが自分の気持を押し殺している間だけだというのは、今回つくづく良く解った。
爽やかなようで湿度高いなぁ……シノサークル。

こういうねっとりした感情を、いい感じな英国の田園風景と、異国でのわが子の成長に感じ入る母の姿と合わせ技で見せてくるのは、ホントきんモザ特有なところ。
アリス母周辺だけ見ていると、健全な成長物語だと勘違いしそうな爽やかさがあるのが、本当にずるい。
まぁ最終回だし、イイハナシげなオーラをムンムン出すのは大事よね。


成長譚っつー意味では、Bパートもシノの小さな一歩を扱っていて、前向きなオーラで話を終わらせようという気持ちを感じました。
このアニメ、矛盾した要素を解決しないまま同居させてるへんてこなお話で、狂気と可愛い、独占と共有、閉鎖と開放などなど、様々な要素は交じり合わないでゴツゴツと存在している。
そのギャップ自体が笑いになっているのがコメディとしての強さなんだけど、同時に矛盾する二つの要素、どちらかをもう一方の引き立て役にするのではなく、矛盾したまま両方しっかり取り組んでいることが、独特の味になっていると僕は思ってます。

今回のシノが見せた成長要素も、それが軸になってお話が前に進んでいくわけではない、あくまでいい話オーラを出すためのアクセント。
なんだけど、んじゃあ全てが健全なお話を装うためのアリバイかっていうと、けしてそうではない。
狂気と笑い混じりの日常の中で、薄紙のように積み重ねている日常は確実に彼女たちを小さく変化させていて、しかしコメディエンヌとして見事に人格破綻した彼女たちは、そうそう簡単に真面目にもなれない。
一見テキトーに要素をぶち込んでいるように見えて、綱渡りみたいなピーキーなバランスで、作品世界を維持しているお話だと思うのです。

そして、矛盾する諸要素をいかにもきらら的なパッケージで高レベルにまとめ上げて、『明るく楽しい日常アニメ』としてしっかり仕上げていることが、やっぱ凄いなと思います。
エンディングテーマがかかってからの、登場キャラクターの日常を印象的にスケッチしていくシーンの手際を見ると、このアニメの土台がどこにあるのか、よく見える気がします。
こんだけゴツゴツしたパーツで組んでいるのに、それが喧嘩せずお互いを魅力的に見せてまとまりがあるのは、なかなか出来ないことです。
まぁそれにしたって、三十路レズカップルのただれたオーラは最後まで健在だったな……。
あと、人形越しなら素直に『元気な陽子が好き』と告白できるあややの面倒くささが、マジすげぇ。


ジャンルに求められる『楽園感』をバリバリと放射しつつ、狂気と笑いを満載にして走りきった、見事な日常コメディでした。
登場人物はみんなキチガイなのに、とても愛らしくて好きになれるという、ひねくれ者の僕にベストな塩梅でして、毎週楽しく彼女らの日常を共有させてもらった。
甘さの中に潜む毒、狂気を前提とした楽しい毎日というギャップも、ダダ甘さで舌がやられることなく食べきることが出来る、素敵なスパイスになってくれました。

自分は二期からしっかり見た人間で、周辺情報から想定していたきんモザは『なんかこー、きららっぽいやつ』という、曖昧な印象でした。
中身を確認してみると、想像よりはるかにアクセルフカしまくりの大暴走アニメで、でもちゃんと作中人物への愛情があって、じわじわと終わっていくモラトリアムへの哀惜も感じられた。
想像してたより自作の文脈に自覚的で、かつメタ視点に逃げ過ぎない、作品世界を身近に感じさせるための死に物狂いが伝わる、いいお話です。

記号的な同性愛モドキを展開するのかなとか思ってたキャラの相互関係も、甘ったるいトップコートの奥に濃厚なエゴイズムを隠した、トンチキでヤバイ代物でした。
あややの幼さと陽子の包容力、シノの独善とアリスの狂信、楽園を維持するために笑顔で代償を支払うカレン。
身勝手で愚かで、でも仲間のことが大好きな彼女たちの、危ういまま世界に保護された関係性は、それが慎重にコメディの外側に出ないよう制御されていることを含めて、とても感心させられるものでした。

きんいろモザイク、いいアニメでした。
三期があるのならば、是非にも見たいですね。
ありがとうございました。