イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/07/03

アイカツ!:第140話『アイカツレストラン』
ユニットカップが終わってヴァラエティモードなアイカツ!、第122話以来のドラマ回です。
吸血鬼学園伝奇で先輩が大暴れだった前回に比べ、大人しい……大人しい……角度が違ってるだけでキチガイっぷりはそんなに変わらない気がする、トンチキなエピソードでした。
どうしてアイカツ!世界のドラマは、斜めにかっ飛んでいくんだろうか。

前回いなかったメンバーは一年組と留学組なのだが、とにかくまどかの存在感が凄い。
ジト目で黒いこと言ったり、醒めた目線でメタなツッコミ入れても許される、独特の空気。
優しい世界の中では異物なんだが、その異物感がキャラ立ちになってるという、稀有なキャラだというのを再確認した。
シリーズの空気を引き締めるスパイスとして、大成功だよなぁまどかは。
凛ちゃんはスミレちゃんのサイドキック頑張って!!

ドラマの仕事を言い訳にして画面から消えることも多い珠璃だが、さすがにドラマ回は主役を張る。
まどかの毒気に消される形でエキセントリックさが薄まっていて、フツーのアイドル女優っぽくて良かった。
いや、所々いつもの様に吹き上がってたけどさ……そればっかりじゃないってのが、メイン回の良いところだな。

そしてひなきは今回も三枚目で、出来る子の悲哀を一身に背負っていた。
コミック・リリーフを担当できる地頭が他のキャラに足らないのはわかるが、それにしたって毎回毎回ひなきな所に歪みを感じる。
最後の繁盛にブロガー一切関与してないところとか、ホントただの賑やかしで……。


見せ方としては第122話と同じく、観客席でのツッコミを用意することで仮想現実の中の仮想現実を食いやすくする造り。
教員三人によるコントは、うまく空気を抜いてテンポを作れていたように思う。
24分間丸々劇中劇は飛び道具過ぎて、少年ハリウッドしか使えんね。

そんなこんなで、あえて本筋を消してキャラを見せる回でもあり、久々の珠璃主軸回でもあった。
まどかの異質な存在感が際立ってて、なかなか良かったと思います。
CMではすでにトリオ体制を打ち出してるけど、次回は情ハラ回。
デュオユニットは突っ込み足りない部分を感じているので、こうして掘り下げてくれるのは有り難いやね。

 

・乱歩奇譚 -Game of Laplace-:第1話『人間椅子(上)』
俺達のノイタミナが帰ってきた!!!!
そう叫びたくなる感じの、乱歩先生のエログロナンセンスな世界をリスペクトした、スーパーエキセントリック探偵猟奇殺人現代劇でした。
登場人物軒並みキチガイばっかで、なかなか大変なことになっとるね!!

第一話である今回は、事件の発生とキャラクターの紹介メインであり、グッと視聴者をフックするいい滑り出しだと思いました。
人間椅子って椅子に人間が入るんじゃなくて、人間が椅子になるタイプかよ!』と思わず突っ込んだショッキングな出だしから、コバヤシ少年が認識した事象以外まともに描写されない特異な演出、いきなりカメラが横に座る突然の舞台劇など、尖った要素が満載。
一見トンチキなんですけど、例えばコバヤシ少年の異常認識は情報の絞込や叙述トリックを可能にしたり、舞台劇はとっ散らかった情報を取りまとめる仕事をしたり、映像媒体でミステリをどう見せ、どう興味を持ってもらうか考えた末の演出だと思います。
ケレン味のある外見に機能がしっかり詰まっていて、手際の良い見せ方でした。

キャラクターも奇人変人揃いでして、まず主人公……であろうコバヤシ少年が凄い。
『興味のない他人を灰色の影としてしか認識できず、異常犯罪に心躍るフェミニンな美少年』って要素盛りすぎだろ! とか思ったが、乱歩先生の原案からしてだいたいそんな感じだった。
エキセントリックながら魅力的(性的魅力含む)なキャラクターであり、彼が歪んだ世界を歩いている姿をもっと見たい!! と思えるのは、まっこといい仕事。
あんだけキッツい記号で構成されてた先生を認識するのが、リスカの傷に気付いたからってのが生粋のキチでよろしいね。
そのうち怪人二十面相に攫われるんだろうなぁ、悲劇のヒロインよろしく。(期待のこもった眼差し)

これを受けるアケチ探偵も、現代風のアレンジと原案の奇人っぷりを両立させた良いキャラ。
コバヤシ少年との関係がドライなのも、普通のお話じゃない感じが良く出ていてグッドだ。
奇人二人に挟まれた常識人、ハシバくんには気の毒だがな!!
お前がまともな感覚を担当してくれないと世界がどんどん沈み込んでいくと思うので、大事な仕事だ。
あとお前はノンケを装ったホモすぎるから、コバヤシ少年好きすぎるから。


ノイタミナ枠で戦後の名作リメイクつーと『UNGO』を思い出すわけですが、原作のテイストを上手く現代風に調理し、古びた感じのしない食感に変化しているところは、こちらも同じ。
あからさまにショッキングな異常事態に慄くのではなく、むしろ興奮して食いついていく異常性が全面に押し出されていて、良い空気だなぁとうっとりしました。
全員狂いっぱなしだと息が付けないので、そういう意味でもハシバは大事やね。
『UNGO』の時と同じように、お話を楽しんでいくうちにスタッフの見せたい芯をちゃんと感じ取れるようなアニメだと、僕は嬉しい。

他にもディストートの効いたBGMで雰囲気出したり、赤が強調される色彩で不安になったり、上手く作品のトーンを出してくれてました。
ストーリーやキャラクターでのオマージュだけではなく、世界全体を包み込む不自然で妖しげな気配が乱歩先生を継ぐには大事だと思うので、この空気は今後も維持してほしい所。
逆に言えば、『キャラの名前借りて、似た事件起こせばリメイク!』というナメた考えではなく、コアの部分をしっかり捉え、それが要求する演出を画面に起こしている感じがするので、とても良いですね。

原案のエッセンスを活かし、時代に合わせたアレンジも加えた、とても良いリメイク第一話でした。
前後編なのでエピソード自体の評価は出来ませんが、登場人物紹介・世界紹介としてグッと掴まれる出来だったと思います。
このコースアウトギリギリで疾走する感じを、今後も維持してくれるのか。
期待したいと思います。