イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/07/10

・乱歩奇譚-Game of Laplace-:第2話『人間椅子(後編)』
エロ・グロ・ナンセンスの悪趣味街道をアクセル全開でぶっ千切っていく乱歩リスペクトアニメ、そのファースト・ケイス解決編。
前編で見せていたアクの強さと、それを覆い隠す表面上のポップさはさらに冴え渡り、捻れた快楽を与えてくれるいい話でした。
登場人物もアッケラカンとしたサイコ野郎ばかりなので、常識人ポジであるハシバとハナビシ先生(32)の今後が心配。

先週に引き続き強烈なのは、魔少年コバヤシのぶっ飛んだ思考回路と、迸る誘惑のフェロモン。
悩ましい腰つきがこれでもかと強調され、異常事態に曇ることなく、というかキラキラと輝きまくる瞳の異常性と相まって、奇っ怪な魅力を産んでます。
犯人が異常者だと判ってようやく顔が付く流れのサイコっぷりは、高橋李依さんの爽やかな好演もあってホント凄まじい。
ハシバに耳打ちするシーンの魔性っぷりが凄いことになってるし、異常なまでに腰と尻が強調されるシーン多いし、助手に合格した所は天真爛漫で可愛いし、そら先生も惚れ込むわ。
可愛いんだが頭オカシイ、キチガイなんだが惹きつけられる。
スゲーいいキャラだと思いますホント。

脇のキャラもホモ力全開のハシバに、凄惨なシーンを強引にギャグ落ちにするために生まれたアラサーと粒ぞろい。
ファッションキチガイがモノホンのサイコに取り囲まれた状況で、どれくらい自分を維持できるかは楽しみですね。
そして一見正義の刑事であるカガミさんの闇がどんなもんか、気になるところですね。
あとアケチはスカした探偵っ面してないで、コバヤシ少年くらい素直に自分を出して!!(彼は出し過ぎです)


エグいものを嬉々として、それでいて淡々と扱う性格はこの作品それ自体の演出指針とも重なり合ってて、いかに常人離れした思考回路を持っていても、この話の主役に据えるにはベストな選択だなと思いました。
検死報告を手際よくポップに悪趣味にこなす『三分ショッキング』とか、サイコの行動理念説明シーンで感動的なBGM流すセンスとか含めて、残虐と悪趣味を良いように操って、食べやすい形に加工する技術が高いアニメですね。
捻じ曲がった形で有るけどコバヤシ少年が前向きで楽しそうなのは、臓物のように秘めた悪趣味に食中りしない清涼剤として機能していて、僕としては有り難い。

手際の良さはミステリ部分でも活きていて、犯人当てはアニメーションで可能な範囲でフェアかつ適度にわかりにくくて、いい塩梅だと思いました。
手がかり一つ見つければ犯人まで一直線というのは、週刊アニメというメディアを考えると丁度いい具合なんじゃないでしょうか。
一回ハシバ視点の『まともな世界』を描写することで、犯人の顔を視聴者に見せる手際とかね。
先生の椅子の中身を開示するシーンは、『人間椅子はそういう意味じゃねー!!』と突っ込んだ乱歩ファンの第一印象を巧く逆手返しにしていて、気持の良い裏切りでした。

一話で感じた怪しげな予感を裏切らず、ポップでキッチュなテイストを加速させた、面白い解決編でした。
岸監督の持っているあけすけな悪趣味へのセンスが、乱歩作品の奇妙に爽快な読後感といい化学反応をしているのだなぁなどとと、じわりと感じることが出来ました。
次回は一体どんな再構成を見せてくれるのか、そしてコバヤシ少年のサイコっぷりはどこまで爆走するのか。
楽しみですね。

 

アイカツ!:第141話『ホットスパイシー・ガールズ!』
ユニットカップの後にやって来た、情ハラ強化エピソードにしてひなき覚醒回。
ようやく見つけたひなきの強みであったり、情ハラがユニットである理由であったり、お仕事頑張る二人の姿であったり、適度な出番の他キャラであったり、色々詰まりつつも軸のしっかりした、強いエピソードでした。
こういう話が一話で展開出来るのが、アイカツ!のストロングポイントだと思う。

これまでひなきの地頭の良さは、彼女が普段装っている道化の仮面に隠れて、あんまり表に出てきませんでした。
というか、他の子が出来ないコメディリリーフや汚れ役を、便利に担当していたというか。
いちご世代だとおとめがやってた部分ですが、あくまで天然だったおとめに比べ、周囲の空気を過剰に読んで、必要な役割を計算して動いてしまうひなきは、三枚目という役割を楽しめているようには見えなかったわけです。

珠璃という相方を手に入れ、そこの問題に真正面から切り込んで突破した今回のお話は、ひなきが一歩前に出るエピソードとして申し分のない出来でした。
初のソロエピソードである第105話『はじけるヒラメキ☆』からして、ひなきの持ってる弱点は明示されてたんですが、ここまで36話……長かった……。
逆に言えば、ユニット編を経由しないとひなきの短所は長所に変換出来なかったということであり、シリーズ全体の流れが呼び込んだエピソードといえるかもしれません。

ひなきが変化した成果となるメキシコ料理ブースの人たちも、子供のやる気を削がないよく出来た大人であり、アイカツ!らしい優しさと優秀さに満ちていた。
いきなりコンパニオンの身内が料理仕切り始めたら、少しはギクシャクしそうなもんだが、あの髭のオッサンは人格者だなぁ。
珠璃ちゃんと変なダンス踊ってるところとか、奇妙な多幸感があって凄く好きです。

脇キャラの話をすると、他のアイドルたちの出番も目立ちすぎず消えすぎずのいい塩梅で、良いバランスの見せ方でした。
トンチキな羽根グラサン一本で印象を持っていく辺り、やっぱまどかは相当に『持って』ると思う。
今回は色んなアイドルが色んな服を着ていて、そこも良かったなぁ。


ひなき自身も言ってましたが、彼女の周辺視野の広さは経験値の多さの結果でもあって、長所と短所が背中合わせなのが面倒くさいところ。
単純に短所を克服するのではなく、長所も褒めつつ一緒に進んでいく珠璃は、まさにベストパートナーという言葉がふさわしいキャラでした。
第132話『灼熱の情熱ハラペーニョ!』では、珠璃のエキセントリックさをひなきが通訳する姿が描かれていたわけで、一方通行ではなく相互に高め合っていくユニットの魔法が、ようやく完成した感じもあります。

親しい二人の距離感を示すためか、今回はとにかくキャイキャイイチャイチャしまくりで、磁石でも仕込んであるのかと疑うくらい常時ひっついてた。
おそらく見ていた人の九割がステージ前のシーンで『ああ……ネバーランドってそういう……』と呟いたに違いないのですが、ウェンディとピーターパンって最終的に道別れてなかったっけ?
それは学校という閉鎖空間の中で時限的にのみ約束された関係っつうか、女子校ゆえの機会性同性愛に逃げ込んでいくってこと? とか余計な方向に思考が行くくらい、濃厚なひな珠璃だった。
素晴らしい……大知先生ありがとうホンマ……。

腐れ百合ヲタの寝言はさておき、短所が長所に変わっていくあかりジェネレーションのルールに従い、1+1が2以上になるユニットの強みもよく表現され、シリーズ全体の中でも意味を持つお話だったと思います。
ぶっちゃけユニットカップの描写がひと押したらないので、SkipSにもこのくらいパンチの効いたエピソードが欲しいなぁ。
トライユニット編が始まり、デュオユニットの繋がりが切れてしまう前に、やっぱあかまど回一本やるべきだぜ。

と思ってたら、来週はサヨナラここねちゃん回。
確かに長くいすぎた感じもあるし、『ショートカットのサーベルタイガー(数あるユウちゃんの異名の一つ)』が神戸で大暴れしてるだろうから、頃合いっちゃ頃合いか。
キャッチコピー一本で渡りきった感じもある豪腕ここねちゃんですが、ラストエピソードでどういう感慨を残してくれるのか。
楽しみに待ちたいと思います。