イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

俺物語!!:第15話『俺の彼女』感想

俺とお前のラブコメディ、今週も新キャラが出てきて引っ掻き回す展開、その前編。
何しろ主人公もヒロインも人間力が高く、分かりやすい断絶を作れない(作らない)お話なので、周囲の出来事で物語を作るのが基本になる。
その上で物語の火種を『ぶっ飛ばすべきタダの嫌なやつ』ではなく、徹底して『共感できるところがたくさんあるいいヤツ』にして、世界全体のルールを維持し続けてることも、安定感に繋がってますね。

んで、今回のニューカマーは巨乳の弟子。
原作の展開をかなり巻きスピーディーに展開していましたが、このアニメ得意の心情描写は相変わらず冴えており、モノローグなどによる直接的表現がなくても、西城の揺れる気持ちはよく分かる。
特に細かい表情変化と抽象的な背景変化は切れ味鋭く、感情の起伏と温度が伝わってくる、素晴らしい見せ方だった。
こういう間接的表現が上手く機能していると、お話全体の語り口が統一されてきて、強烈なムードが出ると思います。

一方凛子は露骨なライバル登場に焦り、ワタワタする半分コメディ的な役割。
こっちは不安を分かりやすく言葉にして、それを友人たちがおバカに増幅することで、笑いを作っていく流れ。
山の回(第10話)もそうだったが、凛子の友人達はどっしりした主役に足らない浮っついた感じを出してくれて、恋にウキウキする話には欠かせん賑やかしだな。
凛子が言葉を使うことで、西城の非言語的ピュアピュアストーリーが強調される感じもあって、良い対比になっていたと思います。

二人に挟まれる形になった猛男は、鈍感なれど無粋ではない、いつもの猛男。
ディスコミュニケーションが発生し、お話が落ち込みそうなポイントは細かくあるんですけど、絶対にそこを見逃さず未然に潰す当たり、相変わらず完成度の高い人間だ。
猛男の爽やかさと頼もしさがちゃんと描写されてるので西城の恋心にも乗っかれるし、同時に残忍な鈍感さも忘れないことで、話がややこしくなりつつキャラを責めれない、気持の良いジレンマも生まれる。
物語がのっぺりしないよう起伏を作りつつも、生臭い展開にならないようにすれ違いを未然に爆破していく手腕は流石だ。
そしてオンブするとき、お尻を触らないように前腕で三角形作って乗っけてる所に生粋の紳士を感じる。


主役とヒロインの信頼関係が盤石なので、恋敵が出てきてもそこまで切迫感はないわけですが、繊細な心理描写と細かいコミュニケーション成立をちゃんと見せることで、ドラマのワクワクを埋めるに足る真心への信頼感が出てるのは、このアニメらしいと思いました。
無論出来レースというわけではなく、凛子のダメージを派手目に演出することで、こっちもハラハラ出来るように作ってあった。
登場人物が何を考えているか伝える手段は色々あるし、それを組み合わせることで一面的な表現以上の効果を出すことも出来るということが、よく分かる回だったと思います。
今回バランスよく作り上げた空気が、来週どう発展するのか、楽しみですね。