イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイカツ!:第142話『ありがとうが言いたくて』感想

さらばここね! 女の涙は一度だけ!! というわけで、神戸のロコドルが地元に帰る話。
次回予告見た印象では『駄々こねさせるんだ、アイカツ!にしては珍しくフツーだな』と思ってましたが、当然行って捻り、黙って送られるわけではないセンター魂を見せる展開でした。
ここねちゃん総集編を見るだに、半分以上一年組を目立たせるための回だった気もするが、とても前向きに別れたのは良いことだ。

三幕構成でガッツリ問題点の表面化とその克服をやったみやびちゃんに比べると、ここねちゃんは最初から主人公力高いというか、克服するべき問題が少なくて、それを消化するエピソードの必要工数も少ないキャラだったと思います。
登場エピソードである第135話の時点で、『井の中の蛙』という問題点は手早く発見・攻略してしまって、二の矢がない感じ。
不用意に問題を捏造して他キャラの物語リソースを圧迫するより、『世界の中心は、ここね!(だよねー)』というワンフレーズでキャラを立てて、素直で健全なキャラ立てを維持するほうが良いとは思いますが、いた期間の割(ユニットカップ挟みつつ、なんと二ヶ月)に、アイカツ!にしてはコンパクトなキャラクターだった気がします。

それは彼女がつまらないキャラだったという意味ではなく、分かりやすいフックを持ち、ユニットカップという大イベントをかき回すアウトサイダーの仕事を十分果たした、立派なゲストだったと思います。
話をコンパクトにまとめ上げてしまう自主性の高さと行動力も、お話を停滞させない活力になっていましたし。
前向きで素直で陽性で、でも繊細な部分がないわけではないバランスの良さは、栗栖ここねを好きになるのに十分な魅力だったと思います。

キャッチフレーズからも感じ取れる『真ん中』へのガツガツした渇望は、そんな彼女のオーソドックスな味に捻りを入れていて、好きな要素です。
今回の話しも、受け身に見送られるだけではなく、あくまで話の中心として自発的に動く彼女らしさが出ていて、なかなか面白かった。
スターライト中心主義に異議を唱え、辺境が中心に移り変わるというのは、神戸という地方都市を拠点にするロコドルらしい攻め方だったなぁ。
ここねの『真ん中』への渇望は、誰かが選ばれ誰かが選ばれないアイドルという題材と相性が良いので、掘り下げると面白そうなんですが……話数何話あっても足りないなコレ。
そういう意味でも、主人公体質の子を巧く脇役として立たせたんだと思います。


そんな彼女のラストエピソードは、ここね自身はやるべきことに邁進しつつ、スターライト生たちがワタワタすることでお話が進む構造。
ココらへんの作りは第139話『ジョニーと花嫁』と共通しており、脚本を担当した山田由香さんのサンデーパンチなのかもしれません。
『お別れが嫌で帰らない』というネガティブな可能性に言及しておくことで、ここねねが選びとった『送り出すのはあくまで私だ!』という決断がクッキリ見える効果がでたと思います。

すれ違いに加え、ここねのこれまでのお話をキャスト入れ替えで再演する『ここねちゃん劇場』も、今回のお話を動かすエンジンの一つ。
凛ちゃんノリ過ぎだとか、そらちゃんといい魔性の女は髪触るのかとか、まどかの女優適正たけぇなヤッパとか、細かいクスグリが冴えてました。
退場というこのタイミングで、コンパクトなここねの物語からお出し出来るのは『これまでのお話・まとめ』だけだというのは少し寂しい感じもしますけど、これも過剰に盛ってコントロール不能になるのを避けた見切りでしょうね。
キャストを入れ替えた再演自体は、キャラいじりとして適度な切れ味があって、なかなか楽しめました。
珠璃ちゃんアンタ、アイカツ先生で主役張ってたんだからちょっとは自分を殺して演技しなさいよ。

常に夢にむかって進んでいくアイカツらしい、前向きな別れのエピソードとなりました。
『時期限定の助っ人キャラ』という身の丈を最後まで弁えつつ、そこからはみ出した魅力をアピールしてくるという、いかにもここねちゃんらしい整ったお話。
そんな彼女の消えた来週は、無人島原人チュパチュパチュルボメガ回。
……こいつぁヒドそうだ。(期待大)