イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

俺物語!!:第16話『俺の弟子』感想

自称モテない系男子が遂にモテる話の後編は、弟子西城にフォーカスを当てきった繊細な仕上がり。
西城の揺れる心をこのアニメらしい表現で丁寧に追いかけることで、彼女の決断と勇気が浮かび上がってくる、すごくいい話でした。
ゲストの話をちゃんとやることで、猛男と凛子が一歩達成した成長もライトアップされるってのは、誰も損しない良い作りだよなぁ。

今回の主役はなんといっても西城で、『人間として好き』と逃げた先にあった心の袋小路と、そこで高まっていく恋心が巧く描かれていました。
基本的にポジティブな感情表現しかしない凛子に比べ、妬みや失望といったネガティブな気持ちも表情に出る西城は、見ていて面白い。
無論影の部分よりも光の要素を重視するのがこの作品であり、彼女が猛男を好きで、恋敵である大和とも仲良くなってしまって、いらんお節介をしてくる砂川にもキツく当たれないという根本的なニンの良さあってのことなんですが。
状況を整理しようとする砂川に『ヒドいことするから!!』とグッシャグシャの顔で言うシーンは、彼女が持ってる幼い純粋さが全面に出てて、凄く好きなシーンです。
この作品の特徴である『人間味と天使性の両立』が西城は凄く巧く行っていて、こういう気持ちのいいサブキャラ描けてるのは本当に強いなぁと再確認。


事件を解決して良いとなったら働きまくるのが砂川であり、今週も愚痴の聞き役、本音の引き出し役、失恋した西城のフォロー役と、八面六臂の大活躍。
前回あんま目立たなかったのは、スナが的確に活躍するとあっという間に話が終わるからだなぁ、
スナはクールなように見えて感情の揺れに関してかなり繊細なセンスを持っていて、それを言葉にして伝えるのも巧い。
聞き上手聞かせ上手なところは、猛夫との良い対比ですね。

スナが巧く受けて状況を作ってくれた結果、葛藤の果てに告白する西城の勇気は、グッと胸に迫った。
師匠と弟子としてそれなりに楽しい日々を過ごしていた間は曇っていて、負け前提で告白に飛び込んだ瞬間世界が晴れ渡るという演出は、ドラマチックだし綺麗だった。
こういう心の変化を画面に写すことに関して、真っ直ぐでテレがないのがこのアニメのいいところだと思います。
ああいう綺麗な場面を通して失恋を描くことで、色恋を勝負で判断しない価値観の良さが、無言で伝わってくるしね。


西城の告白が印象的だからこそ、全身全霊でぶつかってきた彼女から逃げず、真っ向から受けて立った猛夫の素晴らしさもよく見える。
『俺はモテない』という経験に逃げていた猛夫が、西城の好意を誠実に受け止めることでもう一度凛子への恋心を分析し、それが何故素晴らしいかを台詞と行動で示す展開は、ただ新キャラ出して一騒動という、領域をはるかに超えた満足度があった。
一回目はギャグだった『うまく手を繋げない』という描写が、『彼氏彼女という外面的なものではなく、猛夫と凛子という個人同士が惹かれ合っているから好きなんだ』という真実に辿りついた後、心が繋がった象徴として演出されてる所は、まさにラブコメの傑作らしい見せ方だった。
正直な話、猛夫と凛子の恋のお話としてはあまりに綺麗なオチなので、これが最終回でもいいくらいだ。

不器用ながら気持ちのいい青年たちが、お互いの気持をぶつけあい、尊敬しあう。
ちょっとヒネた態度を取れば気恥ずかしくなってしまうテーマを、堂々と真面目に取り扱い、繊細の表現することで、ズドンと胸に届くお話になったと思います。
こういう真っ向勝負の気持ちよさが、やっぱこのアニメの良さだよなぁ。
始まってから四ヶ月、ずっと調子を落とすことのない気持ちよさの金太郎飴状態で、本当に信頼して見れるアニメです。
つくづく有り難いですね。