イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

乱歩奇譚:第9話『恐ろしき錯誤』感想

一週間休むと『規制で放送が飛んだんじゃないの? 大丈夫?』と心配されるアニメ、ついに終章開幕ッて感じ。
観測者問題を組み込んで悪魔の方程式を攻略したと思ったら、コバヤシ少年の損現地は地に落ちるわ、身内に二十面相はいるわ、ナミコシは復活するわ、全然攻略出来てませんでしたー!! というお話。
やれやれだぜ。

前半は暗黒星攻略であり、足が止まって動きが少ないシーンをトンチキな色使いで見せるという、このアニメらしい絵面。
暗黒星周りのロジック構築は正直粗い気もするが、『なんでこの世界こんなに殺伐としてんの?』という当初からの疑問に、『ラスボスがそう仕組んだから』という答えが用意されている点は良い。
ほんっとに社会正義に関して信頼ないからな、この世界の日本。

悪意に満ちた世界を動かす神の機械を攻略していくうちに、コバヤシ少年がどんどん闇に魅了されていって、ついにハシバくんを認識できなくなっていったのは悲しかった。
パノラマ島で予言されててたことではあるんですが、ハシバのマトモな感性をクソみたいな世界の救いと感じていた身としては、寂しくもある。
復活のナミコシの正体も含めて、最終章はこの二人が軸なんだろうなぁ。


ミナミ検視官に関しては、これまでの扱いがイマジナリーな存在なのか実在しているのか、いまいち図りかねる感じだったのが災いして、急な感じが強い。
正直、アケチと会話したシーンがないのもあって、あの人にそんなに思い入れ無いし。
『二十面相は何処にでも、誰でもなりえる』という偏在性がウリなので、むしろ唐突なのは狙い通りなのかも知れんが。
今回明らかにされた裏事情にしても、もうちょっと事前に種を蒔いておいてくれるとよく発芽したと思うのだが。
あ、医療過誤の問題に関してはこのアニメらしいサラッとした触り方で、いつも通りだなと思いました。

そして復活のナミコシ。
二十面相と同じように、ナミコシもまた増殖すんじゃないかという疑念が拭えませんが、一応のラスボス候補だ。
コイツへの対応より、コバヤシ少年がラスボスになるのを水際で止められるかどうかが、クライマックスでは大事な気がするなぁ。

プログラム化されたデウス・エクス・マキナがお話しを悪い方に引っ張り込んでいるけど、それを是正しようとする探偵の動きも、犯人の計算の中に入っているという入れ子構造は、メタミスっぽくて好きだ。
二十面相という現象を利用する側は、ヒガシコウジさんにしてもメディアを上手く使っているので、行動の結末が次の行動の起点になる連鎖を、上手く利用している感じがある。
多分今回のナミコシ復活(とその広報)によって、二十面相現象が拡大・激化していくんだろうけど、ロジカルなアクセスが無化されちゃった探偵はどういう手を打つんだろうか。
そこに説得力を持ったロジックを組み上げられると、なかなか面白くなる気がする。

勝ち筋を掴んだと思ったら逃げていく、なかなか難儀な終章開幕でした。
アケチとハシバ、男に魂を縛られた(隠語)二人の男が、この難局をどう乗り越えていくのか。
今後の転がし方が気になるところですね。