イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Go! プリンセスプリキュア:第31話『新学期!新たな夢と新たなる脅威!』感想

トワ様の社会復帰とバイオリンの販促を無事に終えたプリキュア、第三章に突入な回。
新しい友だちと友情を育んだり、殺したはずの男が地獄から舞い戻ってきたり、キラキラの中に不穏な空気が漂う出だしとなりました。
敵の得体のしれなさやプレッシャー、はるかの戸惑いや躊躇い、喜びといった各キャラの感情が良く画面に塗り込められていて、見ていて気持ちの良いアニメーションだったな。

今回は希望パートと絶望パートが非常に綺麗に別れていて、花恵ちゃんと出会い、花を通じて分かり合う部分はすごく少女小説的なオーラに満ちてた。
プリキュアとしての闘いと、ノーブル学園での生活を通じて成長したフローラは、実はもうドジな鈍亀として成長だけしてれば説得力のあるキャラではなく、かなりの実力を持った人格者となってます。
ここら辺をドタバタした寝起きから身支度を間に合わせ、夏休みを『いっぱい遊んで、いっぱい勉強した』と評する出だしでまとめてたのは、この回らしい圧縮率の高い演出。

入学当時は導かれるばかりだったはるかが、今回夢を持たない花恵を具体的な夢に導き、希望を与えるという流れはこれまでの蓄積も活きていて、凄く素敵だと思いました。
今のはるかなら、悩める人の隣りに立って一緒に進むこの立ち位置は非常にしっくり来ると言いますか。
絶望を育てる敵側と、希望を育む味方側っていう対比も綺麗だしね。
やや引いたカメラで情景を切り取る語らいのシーンには詩情があって、運命的な出会いをドラマチックに見せてくれてたし、なかなか爽やかな気分になる出会いでした。
プリプリはこういう、感情を風景に乗せるシーンの絵作りが活きてる感じしますね。


『光あれば影あり、影故に光は際立つ』というわけで、花恵の希望と対になる敵役も見事な演出でした。
かつてのチンピラ風味が鳴りを潜め、幹部に相応しい落ち着きを持って戻ってきたクローズさんは、超カッコよかった。
戦闘シーンで微動だにせず攻撃をやり過ごすのは、定番なれど強キャラオーラムンムンで素晴らしい。

地獄を見て人が変わったとはいえ、フローラに執着し、ディスピアに忠義を誓う心根はそのまんまでした。
直前にロックくんの身勝手ムーブを見ている分、一本筋の立ったクローズさんの動きには凄みがある。
つーかロックくん、妖精悪役だったんかい……スマイル思い出すね。

クローズさんが叩きつける凄みを利用して、はるかの気持ちがよく表現されていたのも、今回良かった。
初めて叩きつけられた本物の悪意を巧く導けず、悔いの残る闘いを経験しているクローズには、はるかも複雑な感情がある。
せっかく手に入れた新しい夢を破壊の力に変化させ、それを叩き潰さなければいけない自分にも思うところがある。
そういう気持ちを一瞬の表情でしっかり表現していて、なかなかリッチな演出でした。
『矢面に立つヒーローこそが、じつは一番争いごとを嫌ってる』ってのは、いろんな作品で繰り返されるモチーフだけど、単純な戦闘機械からキャラクターを開放できるいい性格設定だよなぁ。
それを大声で言わずに、表情で見せる所が良いのだ、プリプリは。

敵の新幹部はどういう個性の持ち主なのか、正直今回ではよく判んない。
ダフト・パンクみたいな外見してるんで、そのうちテクノユニットとして世界を席巻するんじゃなかろうか。
そいてすっかりギャグ役が板につき、仲間の下につくことを強要されたシャットさん……。
生存率が上がるので、このままヘタレ立ち位置で頑張って欲しいです。


貫禄充分に幹部が登場したり、暗に学園を的にかけることをほのめかしたり、不穏さと期待を巧く煽る新章開幕だったと思います。
ラストに出てきたシルエットはいったい誰ナタなんだ……。
夢のネタ振りもあるんでカナタ再登場自体は既定路線だと思いますが、王子のままか闇のプリンスとなってるのか、そこが問題やね。

それはさておいて、来週はみなみさんの担当回。
一見嫌なやつ風味で露骨にヘタレで良い人オーラが漂うフィアンセを、みなみさんがどう裁くのか。
『金持ちの令嬢いうたら、気に入らない婚約者でしょう!』というニーズにきっちり応えるプリプリ、マジ素晴らしい。