イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

『ブレイド・オブ・アルカナ リインカーネーション』レビュー

エピックファンタジーRPGブレイド・オブ・アルカナシリーズの最新作、BoAリインカーネーションが発売となりましたので、レビューをします。


◎全体的に
ブレカナも3rdが発売されて九年、かなり昔のシステムになっていました。
4版となるリインカーネーション(以下RE)は世界観的にもシステム的にも、かなり大胆なリファインを施しています。
奇跡の効果を全面的に見直し、防御クリティカルの効果を変更し、特技バランスを変更、HPやDPも大きく増えました。
鎖の扱いも変わったし、3rdで感じた行き詰まり感は、だいぶ風通しが良くなっている印象です。
とは言うものの、根本的なデータ構造が変わっているわけではなく、良くも悪くもブレカナっぽいリファインです。
9年間の間にTRPGシステムは進化し、より早く、より軽く、より面白くなりました。
ブレカナらしさを残しつつ手を入れたこの新版が、どのようなプレイ感覚を持っているのか。
細かいところはプレイしてみなければ分かりませんが、新風を吹きこもうという期外は感じるエディションだと思います。

ただ、かなりの突貫工事だったのか、誤植や表記ゆれが非常に多い。
単純なミスというよりも、試作Verが違うシステムが調整無しでブチ込まれている感じで、読んでいて相当混乱します。
無論、文字抜けや重複といった単純な誤植も多いので、スムーズなプレイのためには早めのエラッタ・正誤表の配布が必須でしょう。
こんだけ乱れたルールブックは、個人的にはカオスフレア初版以来です。


◎ワールドガイド
濃厚な世界観の中で、歴史の渦潮の中にキャラが飛び込み、国家レベルの興亡にPCが関与できるのがブレカナの魅力。
しかし1stから15年以上(!)の蓄積が新規参入を妨げていた部分もあり、一気に時計の針が100年ほど進む英断が行われました。
素晴らしい。

3rd世界は結局ヒルダが選帝侯たちに選ばれ、ハイデルランド王国を再建。
しかし生真面目な二代目、芸術家気質の三代目と続くうちに国力は疲弊し、四代目の幼王は幼くして死亡。
不在の玉座を狙って、群雄英傑たちが割拠しているというのが、100年後の世界の大まかな見取り図です。

ハイデルランド王の候補は実直な女騎士団長、魔女と呼ばれる公女、戦場から帰還した野心家、隻眼の老将、露骨にフェリックスが憑依してる人、力のみを信奉する猛将とよりどりみどり。
ここにPCが飛び込んでいって、大陸統一を成し遂げるのが基本ルートかなぁ。
敵と味方がいいバランスで配置されていて、シナリオで使いやすそうなのが並んでいるのは基本ルールブックっぽい。


大陸の混乱と合わせてもう一つの軸になっているのが、東方竜滅騎士団。
『東の方からやって来た蛮族をぶっ殺すため、教皇の名で結成された名誉な戦闘集団』というわけで、闇の鎖で早借された十字軍という風味です。
サラセン人の代わりにリザードマンやドラゴンと闘う辺り、ブレカナですね。

アンゲリア七世は未だ存命で、数少ない3rd時代の生き残りです。
丸くなったとはいえガッチンガッチンの粛清主義者であるのは変わらないので、東方竜滅騎士団と絡めることでシナリオを組めそうな感じ。

他にも禿鷲の巣が国家公務員(というかアメンオサ)になってたり、マンフリート商会が自由都市として独立したり、色々変化があります。
うまーく過去の遺産を取っ払いつつ、遊びやすそうな世界設定になっている印象です。
ブレカナ特産の味の濃い歴史・風俗説明は、後々出るサプリでやるでしょうから、ベーシックな所をしっかりやってくれたのは、とても良いと思います。

 

◎プレイヤーセクション
・キャラメイク
『アルカナを3つ選んで、5つの能力値が決まり、特技を組み合わせると判定値が下がり、D20を振って判定を行う』というゲームの骨格自体は、基本的に変化なし。
しかし数字周りは大胆にブラッシュアップされていて、DPとHPは大幅増となりました。
技能に関しても大きく手が入り、魔法は攻撃的な<精霊魔法>、防御的な<天宮魔法>に統一されました。
他にも<知覚>が希望基準になっていたり、アルカナごとの能力値が調整し直されていたり、色々変わっています。

経験点のレートが割高になったので、コンバートした過去キャラがブイブイいわすのはちょっと難しそう。
新規参入のハードルを下げる意味でのリブートなので、それはとても良いと思います。
時間も100年進んでいるし、空気の入れ替えはいい感じかな。


・行為判定
一番大きい変化は『ガードにクリティカルしても、攻撃を無効化出来ない』ようになったこと。
<死神の手>が範囲攻撃にも乗る仕様上、回数制限のない面防御が可能なアダマスが可能な限り防御クリティカル値を上げ、水も漏らさぬ防御を維持し続けるのが、3rdの基本的な戦術でした。
『通らば死』というピーキーな戦闘は、HPがあるゲームなのに防御の失敗を許さず、役割分担の極端な尖ったゲームバランスを要求していました。
ブレイク(開放状態、リザレクト。BOSSのデカイ一発を吸収できる共通システム)がないのも、攻撃を通せないピーキーさを加速させています。

今回ガードの仕様が変わり、基本的に『受けて耐える』ゲームに変化したことで、攻撃を通す前提のバランスに調整されました。
<死神の手>は範囲攻撃に乗らなくなり、基本的な行動追加奇跡は範囲攻撃にできなくなり特技レベルでの範囲化もコストが高くなりました。
『超火力の面制圧を通されて全滅』という状況が、かなり減ったといえます。
HPも増えたし、ダメージ軽減特技も強くなったしね。

クリティカル自体も数字がかなり抑えこまれ、『ダイスを振れば、初期作成でも毎回クリティカル』という状況は減りました。
攻撃クリティカルの効果もBSを与えるものに変更され、3rdまでの『S武器以外に人権なし』という状況は変化しています。
『通らば死、如何にリソースを維持して防御態勢を維持するか』というこれまでのバランスから、『通ったり通らなかったり、数字とHPとダメージの比べ合い』という、普通のRPG的なバランスに変化した印象を受けます。


・アクトの進行
もう一つのHPと言えるDPの管理バランスも大幅に変化し、初期値が12から上昇(大体30後半)し、回復量も開放された聖痕の数に従い、D10を振る形式(聖痕3個に着きダイス1で追加)に変化しました。
経験点を削ってDP回復量を増やすルールもシンプルなものに変わり、取り回しが良くなりました。
タロットを渡すタイミングがシーン終了時になったり、シーンタロットによる振り直しが選択ルールになったり、ダルくなりがちなポイントが的確に潰されているのはいいですね。

鎖の枚数が経験点に関係しなくなったのも、今っぽい調整かなと思います。
ブレークスルーの使用と登場回数を評価するシステムデザインは、表舞台/舞台裏が発明された時代には有効だったんですが、その概念が一般化した現在だと、チェックする手間が重たくなっているわけで。
グランドクエストである「アクトの目的」は、ゲーム用語("宿命"とか?)にしちゃったほうが適切な重たさだった気もする。


◎データセクション
・奇跡
3rdまではブレイクスルーが超強い(というか<死神の手>がマローダーに有利すぎる)ゲームでしたが、色々手が入りました。
まず、クライマックスとミドルで奇跡の効果が切り替わり、ストーリーの進行に必要な要素は全部ドラマ効果にまとめられました。
これで『<紋章>の使いどころがないのでコロナやめます!』と言わなくて良くなりました。
<魔器>や<心友>はデータがシンプル化したので、効果も大きく変化しました。
『特技は強いけど、奇跡は弱いからこのアルカナ使わん』という状況は、REでは減りそうです。

戦闘面でのデータ運用も、かなり手が入りました。
何にもできない木偶を量産してきた各種奇跡(<束縛><爆破><封印>)はより分かりやすい効果に変化し、奇跡のスタック処理を混乱させてきた<真名>はファンブル誘発に。
<絶対攻撃><大破壊><天の火>は範囲化が不可能になり、基本的に一対一交換で処理できるようになりました。
<死神の手>は範囲攻撃には乗らず、各種ダメージ軽減が有効に。
<戦鬼>は連続攻撃でも自爆でもなく、任意奇跡のコピーという扱いやすいものに。
3rdで戦闘がクソになった要素を片っ端から外し、平たい感じにした印象です。


・特技
こっちもデータがピーキーになる要素を極力排除し、HPとダイス目に意味がある感じにまとめています。
攻撃回数が増える特技は軒並み排除(しても<二刀流>強いけど)し、攻防のクリティカルは全体的に抑えめ。
ミドルで使えそうな特技はソーシャル特技として、経験点の圧迫なく取得できるようになってます。

秘技というアルカナごとの取得制限あり・経験点二倍消費の枠が出来たので、どの特技に枠を使っていくかは、ちょっと考えが必要。
アルカナの枚数がレベル上限に直結する技能も多数あり、アルカナ重ねる意味が出てきた感じです。
何より奇跡が強くなったので、人権のないアルカナが減った印象を受けます。
現状、全アルカナゲームに参加できている感じはする。


キャラ役割ごとの基本戦略は
○アタッカー
攻撃修正二倍系や複数武器所持特技を軸に、LV制特技を重ねて火力を積む。
クリティカル値が上がりにくいので、ダイスペナで当てるビルドも十分範囲内。
武器の射程に融通がきかないので、取り回しでは魔法に強さがある。
範囲系のお値段は高くなっているので、経験点に余裕があれば。
現状最大火力は<羅漢銭>5+<魔弾の射手>か、<進化>3<魔剣所持>5<旋風撃>あたり。

ディフェンダー
全体的なタフネスが上がり、ガードクリティカルを無理に狙う必要が減ったので、相対的にアダマスの唯一性は下がった。
カバーや魔法ガードくらいなら別アルカナでも補えるが、安定した範囲防御はアダマスの特権。
範囲攻撃は有限の切り札になったので、攻撃自体を止める特技で防衛戦を貼る選択もないわけではない。
盾役のHPがアホみたいに増えるわけではないため、ダメージ軽減による補助は必要。
いい加減アダマス以外も、範囲ガード出来るようになってくんねぇかなぁ……。

○サポーター
ダメージを通すゲームになったので、サポーター第一の仕事はダメージ軽減と回復。
メジャーアクションでの支援が軒並み1行動で切れ、戦闘全体で持続することがなくなった。
ので、『範囲化した純サポを重ねがけし、PT全体を強化する』という3rdの必須行動は、そこまでの圧力を持っていない。
戦闘系がチョコっと振り直し特技を取ったり、オートでのダイスボーナスを与えたりという、サポート要員の分散化は十分ありえる。
アングルスやステラに殴り支援特技(<永久の棘>のようなもの)が増えると、キャラバリエーションが増えていいと思う。
という感じか。

●ウェントス
基本的には軽戦士+αなのだが、間合いの調整が楽な<すり抜け>を筆頭に、便利な特技が多い。
戦闘系アルカナでガッツリ埋めすぎると、ちょっと周囲への貢献度が低すぎるかなと思う時のチョイスとして、かなり良くなった。
<神移>の性能が上がったので、奇跡が腐りにくくなったし。
<悪運>は5%で起こる『マローダーが振った回避ダイス1で回避がクリティカル、攻撃無効』という事故に対応可能なので、非常に便利。
<大逆転>は回数制限がキツいが、<迎撃><塔>などの『勝負どころで絶対クリティカルがほしい』特技との相性が良く、切り札として設計に組み込める。

●エフェクトス
<大破壊>が魔法版<絶対攻撃>に固定され、戦力としての安定性が増した。
C効果の変更でアーマーを貫通しにくくなったので、<元力:虚>の強力さは増しているものの、代償は大きい。
ダメージも魔法唯一のマイナスで、魔法組み合わせのダメージ算出法が上書きから足し算に変わっているため、補うのには一手必要。
<元力増幅>+<元力武装>は夢の広がるコンボだが、普通に武器で殴ったほうが火力は出そう。
魔法使いがバステ重視のデバッファーなのは、そんなに変わらないかなぁ。
なお<元力>という技能は消滅しているので、適宜<精霊魔法>に読み替えること。
<元力>という記述の扱いに関しては、柱を参照にすること。

結構大事なことが柱や脚注に描かれてることが多いのは、ちょっち困るわな。

クレアータ
自動取得が四形体から選べるようになり、対応する特技も設定された。
可能性を感じるのは<魔の人形>。
<戦鬼>の効果が連続行動から任意コピーに変わり、三枚重ねして強いアルカナになった。
とは言えALを参照する特技はメジャーC値のみなので、あまり美味しくないか。
カバーリング特技もあるので、プチディフェンダー兼任のアタッカーに混ぜるとか、汎用性は高い。
<異形の戦い>は効果に『マローダーが使うと相手が死ぬ。範囲攻撃と組み合わせるとよりグッド』と書いてあるため、投入するなら核戦争を覚悟すること。
これの対策のためだけに<迎撃><王者の風>を握りこむことを、真剣に考えるレベル。

●マーテル
相変わらずの支援役だが、<再生>の回復量が減少しているため要注意。
ガードの仕様変更によりHPを削りあうゲームに変化したため、<治癒の光>が活躍する局面は増えたと思う。
<聖なる盾>で魔法ガードが可能になるので、アダマスと噛み合わせての支援盾はかなり実践的。
なのだが、メジャーを消費する支援の効果がそこまで劇的ではないため、色々悩ましい。
<聖なる一撃>軸の火力支援が、現状最適効率かなぁ。
<聖歌>は全特技で唯一回数制限のない範囲化なので、<神罰の光>軸に火力を積んでくる僧侶マローダーは現状最強の一角。

●コロナ
<紋章>の戦闘効果がスマートになったので、導入難度は少し下がった。
交渉支援と武器戦闘の2枚看板に見えるが、自前の火力ブーストが細く、セットアップ・オート支援も頼りないので、殴り屋のセカンドチョイスとしては別のアルカナのほうが優秀。
セットアップ特技が組み合わせ不能になったので、支配力が落ちてるんだよね。
むしろ<王者の風>を活かしてサブディフェンダーを狙ったほうが、役割は持てる予感。
<王者の一撃><王家の血>で一回殴るのに全てをかけてもいいけど、コストに見合う効果が有るかは疑問。

●フィニス
蘇生効果をアクアに譲り、奇跡がアクト前任意コピーになった不死者。
魔法を強化する手段がやや弱いため、今のところ白兵アタッカーのサブアルカナが仕事。
奇跡が強いので重ねたくなるが、三枚にしちゃうと器用貧乏さが足を引っ張るので、二枚重ねにして<古の技><心眼>2<有給の真理>軸の白兵系とかいいかも知れん。
<闇の闘気><吸精>コンボは健在なので、火力がほしいなら命を削って吸おう。
<不老不変>は放心を指定しておくと、打撃武器の脅威を大きく減じられるためオススメ。

●エルス
<心友>の効果が変わり、状況次第では<無敵防御>を超えるディフェンス性能を誇る。
ファミリアは武器もしくは乗機というスマートな扱いに変化し、あまり悪さはできなくなった。
このアルカナも魔法ガード&カバーリングの『ディフェンダー定食』を持っているため、殴り職のサブとして魅力的。
能力値の低さは<ファミリアフォーメーション><魂の隣人>で補えるだろう。
アダマスが単独で戦線を支え続けるには今回のガード仕様はキツいため、カバーと魔法ガードを用意してセカンドチョイスが出来るアタッカーは、いてくれると助かる。
アダマスと噛ませた場合は<ファミリアアタック><ファミリアストーム><突撃>によるチャージ戦術に夢が広がる。
<ファミリアレンジ>は色々悪さが出来そうで、夢広がるな。

●アダマス
相変わらず守備の要を一身に背負う、ディフェンダーの最高峰。
カバーリングは他のアルカナでも出来るようになったが、面制圧に対し複数回対応出来るのはアダマスだけ。
面制圧手段も回数制限がキツくなっているが、複数アルカナで枚数を増やすなり、<聖歌>で押しこむなり抜け道もあるので、受け幅は広く取りたい。
となれば<八面六臂>に頼るしか無いが、なんとアクトLV回制限が付き、無条件に頼れるものではなくなった。
面制圧されないフォーメーションを考えるか、<迎撃><塔>などを活かすか。
<遠距離防護>が秘技なことが、色々悩ましい原因になっている。
相変わらず単独では魔法ガードが行えないので、サブのチョイスは悩ましい。
火力ならディアボロス、汎用性ならエルスか?

攻撃面では<突撃>の手軽な火力が有り難いが、野戦限定なのが悩ましい。
<騎士の誉れ><渾身撃>と良いサポート火力が揃っているので、メイン火力を兼任するなら戦闘用アルカナと噛みあわせたい所。
ダメージが貫通するゲームになったので、<忍耐>の重要性は更に増しており、騎士見習いがどんどん増えるのであった。

アルドール
<絶対攻撃>が拡大できなくなり、代償置き換え効果がデフォルトで組み込まれるようになった近接戦の雄。
性能としては殴り特化であり、クリティカルの値段が高くなった今回、<狂戦士>の性能が有難すぎる。
現状白兵系で遠距離攻撃できるのがアルドールだけなので、無骨に見えて一番融通の効くアタッカーでもある。
<憤怒>がマイルド調整になっているが、むしろ昔が大盤振る舞い過ぎた。
火力がほしいのであれば、素直に<旋風撃>でイナフ。

●ファンタスマ
様々なバグを引き起こしてきたタゲ書き換え効果から、ファンブル誘発に奇跡が変わった幻術士。
デフォルト記述がクリティカルなのかファンブルなのかでバグっているが、ファンブルでいいだろう。
面制圧攻撃に対して有効な防御なので、信頼性は高い。
特技の方は嫌がらせ特化という感じだが、交渉の効果が上がりやすくなるので、コロナとの相性が良い。
<虚構の檻><死の呪言><幻惑の霧>で物理アタッカーとかもやれるよ!……地味に射程伸びるのか、このコンボ。
反面単純火力には欠けるため、トリッキーな動きをしたい時の三枚目としてのチョイスが、主な使い方になりそう。
<現か夢か>は拒否権のない振り直しなので、相手の防御が事故った時のリカバリーに、とても良い。

アクシス
『特技でいいだろ』と言われ続けてきたタゲ拡大効果が書き換わり、タゲ追加効果に変化した魔術師。
タゲと同じエンゲージのキャラしか対象に選べないので、配置を考えて運用しないといけない。
運用は難しいが、敵が強大であればあるほど逆手に取れる効果なので、使い方を考えたい。
特技性能としては万能魔術師であり、<魔の才>をどれだけ悪用できるかが勝負。
<儀式魔術>がALに関係ない火力上昇であり、魔法アタッカーの可能性を大きく伸ばしてくれる。
単独だと火力が足らないので、エルフとかオービスとかと噛み合わせたいか。
<連続魔法>は処理が重くなるが、シーン1回ではあるので使いたければ使え。

●レクス
メイン技能を封じられた数多の木偶を量産してきた<呪縛>も、単純なクリティカル効果に変化。
クリティカルのお値段が高くなっているので、思わぬところで活躍するかもしれない。
メインの仕事は憎き聖痕者のガードをこじ開けるべく、殺戮者の一撃に乗っかることだと思うけど。
スペック的には物理アタッカー補助であり、魔法ガードもカバーも出来ない攻め特化。

……と思わせておいて、<迎撃>による面防御が優秀なので、ディフェンダーとしての仕事もできる。
ブレカナは武器の射程に融通が効かないので、剣+弩とかダガーとかで工夫しないと『通らば死』という攻撃を止められなかったりする。
<得意武器><愛用の武器>の性能がいいので、サブとしての性能は高い。
あと<羅漢銭>5が超とんでもないことになっているので、1066年最強のアタッカーは銭投げ使い。
<魔弾の射手>噛んだだけでC+50はスゲーな。

●アクア
汎用性に定評のある素手拳士は、奇跡がダメージ反射から自己蘇生に変化。
自前でカバーリングも魔法受けも出来るので、ディフェンダーとしての性能はとても高い。
<硬気功>もあるし、<真撃>で防御C値も上がるし、<鉄身>の性能高いし、1アルカナで出来ることの幅はもしかすると最高級。
反面<旋風撃><剣槍>といった使い勝手の良い火力上昇がないため、アタッカーとしては地味。
<手刀>の軽武器組み合わせ効果を活かして、ルナやグラディウスの力を借りると、ちょっと面白い感じがする。
<螺旋撃>のディフェンダー殺し性能がとんでもないことになっているので、マローダーに導入する場合は要注意。

グラディウス
殺しの代名詞と言えるアルカナだが、<死神の手>が単体限定になったり、アーマー・ガードを貫通しなくなったり、ちょっとダウナー調整。
しかし特技の方の火力は効率・上段ともに図抜けていて、単純に殴れるキャラを仕上げたければ、イノイチ候補に入ってくる。
判定値に影響のない<死の舞踏><二刀流>、規格外の火力<剣捌き><剣槍>と、秘技がとにかく強い。
<修羅><瞬発>といった使い勝手の良い火力もあり、<切り払い>という自衛手段もあり、単独のアルカナとしての完結性が高い。
遠距離攻撃できないのが、ほぼ唯一の欠点か。
アルドールやファンタスマで補いたいところだ。
HPを削ったり直したりするゲームになったので、気楽に<影殺剣>をぶち込むとPCサイドのゲームプランが破綻して、すっげぇ大変なことになる。

●アングルス
どんな時でも安心安全、豊富なサポート能力と打ち消し加護を兼ね備えた優秀なアルカナ。
純サポとして運用しても強いが、高い体格を活かしてアルドールやアクアの三枚目として、相性が良い。
そうする場合、<魂の声援><優しき微笑み><天使の涙>といったオートアクション支援を主に取ることになる。
<運命の少女>も汎用性の高いC値上昇なので、いろんな局面で生きるだろう。
単体としては完全にサポ特化であり、<歓喜の歌><力の声>を軸にした交渉支援が主な仕事になる。
自分では支援の対象を拡大できないので、ステラなりコロナなりマーテルなりと噛みたい。
あと<破魔の瞳>は優秀なディフェンス技能だが、魔法限定なことに注意。
……マローダーのアルカナによって、50%で秘技(というかキャラタイプ)が腐るのって、あんまいい事じゃないなぁ。

●ディアボルス
『特技は強いが奇跡が弱い』アルカナの代表格だった魔器使いも、素直な殴り/防御奇跡を手に入れて一気に地位向上。
特技は強いまんまなので、今後気兼ねなく組み込めるだろう。
共通特技は<祭器>がALに関係しない魔法火力強化で、魔法アタッカーにとっては福音。
<魔技>の汎用性も相変わらずで、攻めても守っても、白兵でも射撃でも魔法でも活躍できるアルカナ。

魔剣はまず<対魔法防御>だが、他アルカナでも魔法ガードが出来るようになったので、そこまで唯一性がある特技ではなくなった。
<進化><魔剣強化>で経験点積めば積むほど攻防両面で数字が積まれていくため、とにかく単純に強い。
おまけに<盾なる刃>まで持っているという万能っぷりで、アダマスとの相性は抜群だ。
魔鎧は魔剣の派手さには負けるが、仕様変更によりアーマー貫通が難しくなったため、アーマー値上昇は強い。
<悪魔の鱗><庇護の鎧>辺りを考えると、サブディフェンダーとしての運用が良いのかな。

●フルキフェル
コピー奇跡を自動人形と不死人に譲り渡し、種族ごとの奇跡を手に入れた人外アルカナ。
共通特技は全体的にマイルドだが、<野生の誇り><野生の勘>は強い。
戦闘時の位置取りが重要なゲームなので、<自然の歩み>は見た目より強いだろうな。
ウルフェンは相変わらずの白兵番長で、<獣の力><魔狼>のダメージ上昇力が高い。
<獣化>が命中にしか効果がないのは不利に見えるが、ガードの仕様変更でクリティカルが必須ではなくなったので、十分強い。
エルフは魔法と弓に特化した、変則アタッカー。
森の中にいることを発動条件にする特技が多いが、現状自前では森を作れないので、おまけと考えたほうが良いだろう。
<弓魔法>は数少ない魔法火力特技であり、<魔の血統>と合わせて、魔法付きには心強い。
<新緑の射手>は攻撃力自体が上がるので、<魔弾の射手>との相性が良い。

●ステラ
アングルスと並ぶ支援の雄は、奇跡に特に変更なしで、相変わらず強い。
メジャーを使った交渉支援はHP回復も強力な火力強化も自前では持たないので、他アルカナの特技を<先読み><連なる星>で強化していく方が良いだろう。
<抱擁>で悠長にバステを割っている余裕が有るかは環境次第だが、極力オートで割ったほうが良い。(特に束縛)
オート・セットアップ支援はよりどりみどりであり、<勝利の星><信託>による火力増強は、他の支援系アルカナにはない魅力。
能力値の関係上、戦闘系アルカナの隙間を埋めるような使い方はちょっと難しいか。

●ルナ
小型武器取り扱いのエキスパートとして、独特の存在感を誇るアルカナ。
アーマー無視攻撃の値段が軒並み上がる中、回数制限無し・代償低め・判定ペナ少なめと三拍子そろった<死線>は強力。
<死点打ち><奇襲>の性能も良いし、軽武器ルナはアタッカーとして最高級。
<重ね撃ち>の性能も良いので、投射型アタッカーに仕上げても面白いだろう。
デフォルトの小型武器はそこまで性能が良くないが、他アルカナの特技武器で補うなり、その分特技に回すなり、やりようはいくらでもある。
アタッカーとして優秀な分自衛能力には欠けるので、そこを補いたければ別アルカナと協力する必要がある。
もしくはアダマスに守ってもらうか。(万能の解決策)

●デクストラ
メインウェポインを為すすべなく蒸発させられ、木偶と化した物理アタッカーを量産してきた錬金術士。
マローダーが魔法系だった時は自分が木偶になるバランスの悪さも、直接ダメージ系の奇跡に変化することで薄まった。
<復活>の回復量が減っているので、雑魚狩り以外にも意外な用途がありそう。
特技の方は<錬金連撃>が非常に強いので、火力が欲しければ二刀流or二丁拳銃。
<超巨大武器>でも前提を満たせるため、いろんな方向に夢は広がる。
<爆雷の矢><爆風の盾>でオート支援したり、<精髄の蒸留>で回復強化したりと、いろんなことが出来そうなアルカナになった。
バランス調整の結果<錬金術>を使う特技が<癒やしの雫>だけになったので、アルケミストっぽく仕上げたい方はサプリを待とう。

●イグニス
一矢に全てを掛ける射撃アルカナは、ベーシックな性能を突き詰めている感じ。
ガードの仕様変更でどういう位置取りがベストなのかは不透明になったが、レンジを切っても<返し矢>で自衛能力が約束されているのは良い。
<切り払い>に比べると、魔法ドッジが出来るところが強み。
アタッカーとしてはメジャーに絡まない<静止射撃>、処理の素直な<収束矢><魔弾の射手>あたりが軸になるのかな。
<閃光矢><必殺の矢>ともにリアクションに効果があるので、レクス(というか<迎撃>)との相性は良いと思う。

オービス
<秘技魔法>が消滅して、アクシスとは違った汎用魔術師になった紋章使い。
奇跡も制約薄めの追加行動になり、面制圧に制限のかかる戦闘系追加行動とは別の仕事がありそう。
<拡大>の効果が変わった関係上、<運命の輪>は現状唯一シーン全体攻撃をねじ込める手段であり、オービスの強みはカバー範囲の広さかも。
性能面はいろんなことが出来る魔法使いであり、<愚者><戦車><死神>によるオート支援、<塔>による防御、<女帝>による回復と、多様な能力を持つ。
<魔術師>による殴りも自前で出来て、性能は各種紋と<秘技の達人>でブーストできるという、隙のない構成だ。
その分爆発力には欠けるので、<弓魔法>なり<祭器>なりで補いたい。
<悪魔>を拡大して物理ATにエンチャントする戦術は、直接ダメージ修正を上げることが出来るため、<旋風撃><剣槍>とのシナジーを考えるとスゴいヤバイ気がする。

●一般
ミドルで役立つフレーバー『ソーシャル』、能力値上昇『種族』、色々な効果『その他』に主に別れる。
判定値稼ぎは<一閃><精密射撃>といった専門職の特技の方が効率がいいので、あんま種族特技に拘るところでもないかなという印象。
戦闘系の情報収集に死ぬほど有効な<凶眼>、クレアータウルフェンののお友達<義肢>、羅漢銭使いには<財力>、ディフェンダーなら<鎧巧者>あたりが強いかなぁ。
共有リソースに激烈な感じの特技がないのは、良くも悪くも懐かしい感じする。


・アイテム
基本ルールブックだけあって、基本的なアイテムが揃っている。
全体的に武器/防具のお値段が上がっているので、ご利用は計画的に。
白兵と射撃を兼ねるナイフ、二刀流に便利なロングソード、最大火力なランスとバトルアックス、ガードの友達カイトシールド辺りが強い印象。
ケルバーソードとホプライトシールドは強いんだけど、いかんせん高い。
クリティカル時のバステを考えると、IかCが強いと思うけどね。

防具に関しては、特にペナが入らないなら分厚くしたほうが良い。
アーマーを抜く手段が減り、ダメージが通ってくるゲームになったので、鎧の分厚さはそのまま生存方法に直結するので。
何故か頭に装備するプレートメイルを軸に金属で固めると15/15/12であり、3D10の軽減特技と同じ効果が金で買える以上、鎧を軽視して良いわけではないだろう。
護符はわりかし地味な効果になり、呪符はお値段が高くなった。
総じて良い調整だと思う。

アルカナ装備は特技枠一個使う分、やっぱ強い。
触覚や爆炎の杖の範囲攻撃がなくなったり、裁きの光のR属性が消えたり、時代に合わせた弱体化はあるけど。
ファミリアは割と地味な効果に落ち着いたが、馬の値段が上がっているので<突撃>アダマスにファミリア:ホーフが有り難い。
黒金の仮面は無条件の攻撃C値上昇装備であり、この環境だととびきり強いな。

 

◎まとめ
15年目のリブートとして、色んな所が変わった版上げとなりました。
基本的に遊びやすく、キャラバリエーションが増えるような調整になっているので、実プレイが楽しみです。
サプリではデータ拡充以外にも、クエスト制度の導入だとか、イニシアティブタイミングでの回復だとか、ナウい要素の取り込みもやって欲しいなぁ。
後迅速なエラッタとFAQな、これは絶対。

 

 

・追記

書き終わってから気付いたんですが、<死神の手>の単体※は『ダメージが増えた攻撃の対象』ではなく、『ダメージを増やす対象』なので、範囲攻撃のダメージは問題なく+10Dされますね。

……攻撃の貫通性能が上がってる関係上、3rd時代よりデッドリー何じゃねぇかなこれ。

奇跡の差し戻しルールも相まって、マローダー有利だよなぁ現状……。