イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

戦姫絶唱シンフォギアGX:第13話『正義を信じて、握り締めて』 感想

魔法少女事変、ついに完全決着ッッッ!!!!
つーわけで、シンフォギア三期も終わりました。
パワー勝負で全てを押し流しつつ、四期を睨んだゲストの処理などもこなし、響の拳に意味を見出す終わり方でした。

とりあえずテーマとかそういう話する前に、デスルンバの話しよっか。
シンフォギアの最終決戦がテンション上がりすぎて宇宙までコースアウトしていくのはいつものことでして、条理をぶっちぎったわけの分かんなさがアツさに変わるという意味ではいいクライマックスだとも言えます。
しかし曲りなりとも主人公側の人間が、フォンフオンヘンテコなSE貼り付けたノイズ皆殺し用殺戮円盤(取りこぼしあり、操縦が難しいのでビルに突っ込む)で最終決戦は、流石に意味わからなさすぎた。
ともすれば全ての印象を持って行ってしまいそうなくらい、マシンキリシラのトンチキっぷりは群を抜いていました。
一回目はナチュラルにやれてた極限の力みを何度も要求されるようになって、もう何が面白くて何が面白く無いのか、自分で分かんない領域まで来てんじゃねえの、とかいう余計な心配しちゃうくらい、面白すぎるメカだったなぁ。

他のメンバーも勢いで押し込んでましたが、それ自体はシンフォギア名物だからいい。
今回のフィニシュブロウは「私自身がガングニールになることだ……」ロケットパンチでしたが、闘いを始めた起点すら燃やしてしまうキャロルの悲壮さもあって、なかなかいいクライマックスだと思う。
新宿周辺は壊滅したし、結構な数人類分解されたけどな!
短い時間でどうにもならないことはスパっと諦め、どうにかなりそうな方に手を伸ばす響の迷いのなさは僕は好きです。

思い返してみると、キャロルというキャラはとにかく響のシャドウとして設計されたキャラです。
お互い父親との関係が捻れており、過去の傷を力に変えて状況を変化させた響と、思い出を焼却しながら世界を破壊し己も壊していったキャロルは、なかなか良い対比だった。
急速に綺麗になったクソ親父がキャロルの分身を抱いているところも引っ括めて、響×キャロル周りのクライマックスセッティングは、なかなか狙い通りに落ち着いていたと思います。

一回目は跳ね除けられ死なれてしまった救いの手を、二回目は届かせるところも良かった。
未来さんに褒められた殴る方の腕も、ちゃんと自己肯定できたしね。
あんだけ状況をかき回したイグナイトモジュールが、最適を最善に変える最後の一手になるところはびっくりするぐらい綺麗で、感心しちゃいました。


戦い終わって日が暮れて、各キャラクターのエンディングフェイズ。
キャラを残しすぎて後処理が大変だった反省か、自動人形は全滅、キャロルとエルフナインは融合して一つ残しと、Gの時よりスッキリしたエンディングになりました。
この状況を導くべく、キャロル一味にバンバン殺させて後戻りできないところに追い込んでいったまである。
キャロルの力を受け継いでいるなら奏者としての適性もあるはずだし、ウェル博士が死んだ(でいいんだよね?)今科学者系として唯一の存在だし、キャロルナインは美味しいポジションに滑りこんだなぁ。

他の面々は手に入れた日常をそれぞれ謳歌。
子供チームに先輩面するクリスとか、SAKIMORIのTSUMAですみてーな顔してるマリアとか、なかなか良かった。
FIS組は二期で出来なかったことをしっかり掘り下げた感じがあるので、今回みたいな収まりの良いエンディングに辿りつけて、一番恵まれているんではなかろうか。
特にマリアはウェル博士との因縁に決着を付け、戦闘でも頼れる面を見せ、株をぐんと上げた。
G最初期に想定されていた、ツバサの格好良いライバルという位置にようやく帰ってきたとも言う。
長い旅路でござったな……。

人殴る仕事に向いてない響は自分の無力さを噛み締めつつ、未来さんとなかよし。して現状を肯定。
三期の未来さんは戦闘に参加しない港ポジションに戻りつつ、最低限の出番で最大の効果を発揮する、エコノミーなキャラクターだった。
ぎこちない家族の復縁も元を返せば未来さんの支えあってのことなわけで、話の底を支える名ヒロインだったといえる。
色々とギクシャクした作りだったが、響という少女の適性や後悔を掘り返し、過去の傷を切開してちゃんと治療して終わったのは、三度目のお話として良かったように感じます。
四度目があるみたいなオーラ、ムンムン出てるなぁ……どうなるかな。


というわけで、絶唱する少女たちのバトルオペラも三度目の幕です。
Gの体たらくに『いや、何やんの?』と思いながら見てましたが、Gのグダグダでダメダメな部分を徹底的に解体し、リブートをかけるシリーズになったと思います。
敵である自動人形組が『悪い、強い、後腐れがない』の三拍子揃っていて、成長のための試練として的確に機能していたこともあり、お話の骨格は大きく崩れることなく走り切れたと思います。
キャロルが一度死んでからの自動人形修行編は、『各キャラの問題掘り下げと成長』というお話の骨格が見えすぎて、同じことの繰り返し&敵さんが物分かり良すぎに少し見えてしまったのは、骨格の太さと引き換えかな。

キャラ要素がとっ散らかっていたFIS組の贖罪と再出発をしっかりやったのは、とっても良かった。
一方お話の燃料タンクが空になってる一期組はかなり無理くりでしたが、響と翼はクソ親と正面から対峙するという新要素をなんとか見つけて、成長に繋げられた感じ。
……一期開始段階で親が既に死んでいて、対峙しようにも相手がいなかったクリスちゃんはご愁傷様としか言いようがねぇ。
響はそれに加えて、繋ぐはずの手で人を殴る矛盾をどうしても受け入れられないという、めんどくさい問題にも立ち向かっていた。
『それ一期でカタ付けてね? あの悩み方と解決じゃ駄目だったん?』と思わなくもないが、まぁ駄目だったんだろう多分。
ホントなー、一期で綺麗に自分の問題を片付けすぎてしまったのが、こう響くとはなぁ。

お話全体としてはキャロルの超技術を巧くハッタリ効かせて使いつつ、『悪い、強い、後腐れがない』を合言葉に暴れる連中に、苦戦したり手のひらの上で転がされつつ、最終決戦まで走り切った感じです。
敵の狙いと味方の人格的運動がシンクロしていた前半はかなりスムーズだったけど、お互いネタがバレた後に展開した修行編は、ちょっと構造が見えすぎてわざとらしかった感じもある。
しかしアレだけキッチリしたラインを引かなければ、FIS組の復権もまたなかったと思うし、まーたグダグダと悩んでビンタされるような敵役よりも、あからさまに間違ってトチ狂って最後に少し分かり合えるBOSSの方が見ててスッキリするわな。
根っこが子供なのに恨みのあまり捻れてしまったキャロルは痛々しかったし、わざとらしくても気づけば乗っかってしまうシンフォギアの魔法は、今回良い方向に働いていた気がします。
ロリ顔でドスの効いた大仰な喋り方する所とか、相当に好きだったよ。

色々と構造的な披露は見えるものの、その中で精一杯出来ること、やりたいこと、やるべきことを見つけ本気で走り切った、シンフォギアらしい三期だったと思います。
少なくともGの負債は返しきったし、一期二期で置き去りにした問題にも決着を付け、お話の収まりが良くなったと思います。
続きに色目があるような終わり方になってましたが、正直彼女たちの物語タンクはかなり燃料がない感じがします。
なので上手い所掘り返していない未踏の地を見つけるか、燃料がなくても飛べるようなコンパクトなお話にするかして欲しいもんです。
ともあれ、シンフォギア三期、良いアニメでした。