イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ルパン三世:第1話『ルパン三世の結婚』感想

『LUPIN the Third -峰不二子という女-』から三年、『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』から一年、『ルパン三世 PartIII』から30年。
国民的アニメシリーズの正統TVもシリーズがついに放送!
つーわけで、懐かしさとナウさのバランスを巧く取った、すっごくルパンらしい第一話でした。

なにぶん長いシリーズなので、途中で構造疲労が限界に来てヘロヘロしたり、冒険的な解釈で攻めてみたり、いろんなことをやってきました。
僕は『峰不二子という女』むっちゃ好きなので、そのデザインラインを引き継いだ今回の絵、すっごくグッドだと思いました。
同時にアクセルベタ踏みで突っ走りすぎた部分(主に山本沙代の作家性。いや俺は大好きだけどね)を穏当に削って、代わりにオールドシリーズらしさをたっぷり詰め込んだ感じに落ち着かせたのも、とってもグッド。

ただただ昔を懐かしんで同じ話をやると、一時期のTVシリーズがそうだったように腐っていくだけなのですが、今回はバリっと決まったキャラデザイン、小物に拘った時代感、小気味良いアクションなどなど、『何がルパンらしさなのか』を最初から考えなおした感じの映像に仕上がっていました。
とくにイタリアの異国情緒が新鮮な背景美術は非常に良くて、石畳の街と抜けるような青空の対比とか、妖しい感じ漂う夜の描写とか、とってもムーディ。
お馴染みのキャラの魅力を引き出すためには、彼らが暴れまわる箱庭のクオリティが大事だと思うので、美術に凝ってくれたのは嬉しい限りです。

お話の筋は『ザ・ルパン』という感じで、歴史の重みありーの、恋愛遊戯の鞘当ありーの、一味のすったもんだありーのと、食べたいものが全部入っている幕の内弁当状態。
僕個人の意見として、ルパンが狙うお宝はただ『高い』とか『綺麗』とかではなく、そのバックストーリーに歴史のいざこざが絡みついている所、いわば伝奇的なフェティッシュである所がビビッときます。
なので、今回見せた『サンマリノの支配者だけが触れる王冠』というハッタリは、是非抑えて欲しかったポイントなわけです。
こういうところをビシっと効かせてくれると、すっごく良い気持ちで見れます。

要所を抑えているだけではなく、例えばレベッカとの追いかけっこで見せたパルクール&ジップラインの新し目なアクションだとか、『ミス・ルパン』という魅力的なクスグリであるとか、空気が腐らないような新しい試みもたくさんあってグッド。
不二子とは違う形で『ルパン VS 女ルパン』の構図になりそうなレベッカの投入は、彼女の魅力的なキャラクターも相まって、とっても良い感じに思えました。

結構ヤダ味でそうなキャラなのに、好感度高く演出できてるのは凄く良かったなぁ。
軽妙なんだけどその奥に真面目な芯を隠している感じがルパンに似ている所とか、今後の衝突を予感させて良いですね。

新奇と伝統、挑戦と保守のバランスを巧く取った、とってもいい感じの第四期だと思いました。
全体的に懐かしい感じでありながら、ちゃんと24分楽しく見られる新しさも添えられていて、気持ちの良い視聴感。
このバランスの良さを維持したまま、新たなルパン像を打ち立てれるような飛躍を、おもわず期待しちゃいますね。