イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ゆるゆり さん☆ハイ!:第1話『それは、すなわち、娯楽の始まり』感想

娯楽部 IS BACK! というわけで、富山の平和な中学生共が帰ってまいりました。
OVAスペシャルプログラム二本をはさみ、監督も制作会社も変わった第三期。
色んな所が変わりつつも、レズっ気の強い中坊達が毎日楽しくキャイキャイするという骨子は変化なしでありました。

パット見印象が強いのは、やはり色彩の変化。
パキっとヴィヴィッドだった一期二期に比べると、湿度高めというかややシックな色調に変化しております。
これを受けて、なんとなーくインモラルというか、あくまで中学生の戯れ言で住んでいたセクシュアル・コンタクトが本気度を帯びたというか。
全体的に、落ち着いた感じになったと思います。
百合っぽいシーン以上に、男目線でエロいシーン増えたなぁという印象もあるなあ。

そしてBGMの使い方が個人的にはとても面白くて、感情の起伏に合わせてピアノ軸のBGMがコロコロ変わるのは、サイレント映画を見ているようで面白い。
動きが全体的に細かく人間的になり、芝居がリアルに寄ったのもあって、やっぱり一期二期とはテイストが違う楽しさが出ている気がします。
事態がどんどん悪化していって大惨事になって、ワーギャーやっている時のアッパーな音楽が好き。

娯楽部+生徒会で回しきるのも苦しいのか、大室家とモブ&先生Sが頭数に追加されてました。
目立ってたのは花子さんくらいですけども、身内で閉じた関係を軸に回していたころよりも、人間関係に開放感が生まれた気がする。
……娯楽部室でねっとりやってたAパートは湿っていたので、パートごとに空気は違うか。
しかしまぁ、新しい可能性が生まれるってのは良いことです。


変わっていない部分ももちろん沢山あって、いろんな個性がありつつも、七森中の子供たちはみんな健気で元気だった。
第1話ってこともあるんだろうけど、あかりちゃんの天使っぷりを茶化さず綺麗に描いてくれてたのは有り難い。
僕あのこの事好きなのね。(唐突でどうでもいい告白)

歳納さんはあいも変わらず元気に自由で、それを操縦する結衣のこなれた感じや、チーナのクレイジーレズ汚物っぷりも健在。
チーナはちょっとアクセル踏み過ぎじゃねぇかなって思ったけど、一期の頃からこんくらいだった気もしてきた。
アイツが道化をやってくれるからこそ、結衣と京子がねっとりしててもコメディの形が維持できるんやな。

流石に三期+番外編三本もやっているシリーズだけあって、いつものメンバーがいつもの温度で、いつもの様に楽しく暮らしている様子を見ているだけで、自然と笑顔になる。
色彩や動き、BGMやテンポといった表現言語をかなり変えた上でこの『いつもの』感が出ているのは、凄く気を使ってくれている証拠だと思います。
変わるべきところは変えて自分の色を出しつつ、変えるべきではない地盤の部分はあえて継承するという、作品の歴史をリスペクトした素敵なリスタートだと思います。

一話からエロス&レスボスの空気をかなり推していたけど、二幕目は料理作りながらの日常コメディ、三幕目は花子とあかりのエンゼルミーティングと、バラエティ豊かな作風。
もともとこの子たち自体が、コメディも百合もシリアスもこなせる受け幅の広いキャラクターだと思うので、色々たくさん持ってあった今回は、今後の発展を期待できる良い出だしだったんじゃなかろうか。
『夏感』といいますか、ウンザリするような太陽の感じが良く出てていたのも、日常モノとしては評価ポイントだと思います。

この子たちの時間が止まってしまっている以上、性的関係(≒身体・精神的成熟による関係の変化)を匂わせる描写は残酷だなぁとか思ったりもします、
例えば京子と結衣が寝たとしても、(少なくとも、数あるなもりの作品世界の中で"ゆるゆり"という世界を選んでいる間は)あくまで世界は静止したままで、勝手に大人になった二人をおいて行ってしまう。
そういうルールと、セックスという行為を匂わせる演出との噛み合わせ、それが持つ危険にどれだけ自覚的なのかは、今後を見ないとわかんないかな。


抑えるべきポイントを抑えつつ、作品が停滞・腐敗しないよう風穴を注意深く開けた、良いリスタートだと思います。
ゆるゆりという作品を三期スタッフがどう解釈し、どう表現するのか。
今後が楽しみになる、素敵な第一話だったと思います。