イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うしおととら:第15話『追撃の交差~伝承者』感想

クールも変わったし、かーっ飛ばして行くぜ!! とばかりに、ガンガン進む伝承者編。
前半で流にーちゃんとの共闘を終え、盛綱兄妹まで一気に進みました。
一気に比べるとBPMが倍くらいになってる印象ですが、実は話数的には2話で10章であり、前半の圧縮率高い話とそんなに変わりがないのよね。
やっぱり起承転結が回を跨いで、一つのお話の中でまとまらないのが特殊な印象を与えているのかしら。

話が巻き巻きで進んでいくと、事件が登場人物に与える余波を描写する『間』が削られてしまって、ちょっともったいない印象を受けます。
うしとらは現代伝奇としての派手目なイベントも盛り上がるけど、それが人間に与えた怒りや哀しみ、喜びといった感情こそがこっちの胸に刺さる。
事件が登場人物の胸に届いて何を感じ、何が変わったのかという『受けの間』が、この熱気のある物語には大事なんだなぁ、とか思ったりもした。

そういう意味では、やや駆け足気味だけど盛綱妹は良いヒロインしてました。
バイクでいきなり襲撃してくるシーンが省略され、何処にもぶつけようもない気持ちを表現するシーンも減っていたけど、高垣さんの好演も相まって、なかなかグッド。
日輪にもこういう健気さが……とか思ったが、原作読み返したらマジ言いがかりつけて潮を動揺させるレディ以外の何物でもなかったので、省略とかそういう話ではなかった。

盛綱妹のヒロイン力は半分以上、情け容赦なくいい笑顔で顔面殴ってくる兄貴のおかげという気もするけどね。
悪い奴が悪いコトするシーンは、やっぱり全力で胸糞悪いほうがいい。
尺が詰まった分兄貴のトンチキ力も加速してて、急に興奮しては身体から婢妖出るマンと化していたけれども、寄生婢妖はなかなかキモくて良かった。
あの人正気に戻るとわりかし地味なんだけど、悪役やってる時は登場にしても悪事にしても大暴れよね……良いゲストだわ。


ニューカマーはそんな感じですけども、流にーちゃんはとらだけではなく潮とも絆を作り、今後に繋がる動き。
格好いいバイクにも載せてくれるし、W錫杖モード格好良いし、やっぱ良い兄貴分だよなぁ……この段階では。
潮が凹む→流がからかう→潮が意地を張り直すという展開は、主人公の繊細さと強さを引き出すいいトス上げだと思う。

あと遠野過ぎてからうしとらはマジでイチャイチャモードに入ってて、序盤では考えられなかった真っ直ぐな信頼関係が表に出てきていて、なかなか気持ちが良い。
とらちゃんが「ワシは高みの見物だぁ!」とか言い出した時の『ハイハイ、どーせ助けるんでしょこのツンデレ大妖怪』感は異常。
そしてその後実際に助ける率もな!
実際の話、とらちゃんのツンデレ芸を楽しみにこのアニメ見ている部分もあるので、しっかりやってくれると嬉しい限りです。

便利妖怪・雲外鏡を使って長が問うていた『キミは人のために死ねるか』というのは、この後の潮暴走展開に繋がる大事な質問だと思います。
ここで自己犠牲の問題を扱うことで、『みんなはヒーローが助ける、でもヒーローは誰が助けるの?』という問いにも繋がるわけで、作品全体の背骨になるポイント。
なのでもう少しスローペースで上巻持たしてくれても……と思わなくもないが、まぁしょうがねぇ、マジで尺がねぇ。
ここら辺の掘り下げは盛綱兄が終わってからが本番なので、そこでの膨らませ方を楽しみに待ちます。

というわけで、怒涛のような北海道編第二幕でした。
正直な話かなり駆け足な感じは否めないけど、盛綱妹のヒロイン力と盛綱兄の奇人っぷりが元気なので、楽しく見れた感じ。
そういう意味でも、デザインをちゃんと今風にリファインして、可愛く/かっこ良く/恐ろしく見えるようにするのって大事よね。