イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

スタミュ-高校星歌劇-:第2話感想

ハイソな學園を舞台にしたボーイズ・シンデレラ・ストーリー、第二幕。
グループにまとまるまでの導入編だった第一話を発展させ、グループの現状を見せるお話でした。
いやー、いい塩梅に凸凹してますね、この子ら。

お話のスジ全体はかなりオーソドックスな感じで、尖った個性を持った五人が集められ、相互に反目しつつ集団になっていく感じ……だと思う。
主人公である悠太くんをズブの素人にして、學園とミュージカル両方の説明を引き出す役にしているのは、一話に引き続き分かりやすくて良い。
凸凹ギクシャクしていても安心してみていられるのは、悠太がかなり心臓強くて、無知と背中合わせの自信を前面に押し出したるからだろうなぁ。
赤いのがガンガン突っかかって、同室の那雪くんが助け舟を出し、青いのと紫のは静観っていう初期配置も、定番ながらやっぱり面白い座組だ。

メンターとなる鳳さんは全てを持っていて、それゆえに全てに飽きている存在。
チーム鳳は、いわば彼の手慰みとして引っ張りあげられた落ちこぼれなわけですが、そんな彼らが世間の目と戦うためには、まずチームにならないといけない。
なので、今回大体の枠組みを見せた上で、一番反発している天花寺くんとバチバチする回が次回に来る、と。
やっぱり『いきなり集められた凸凹集団』でお話作るなら、関係最悪(+主人公を助けてくれる天使一人)から始めるのは良いよなぁ。

チーム鳳のわかりやすい凸凹加減に加えて、華桜会内部も凸凹している感じ。
現状2つの軸が同時に回っているわけだけど、これに加えてライバルチームも動くっぽくて、群像劇にしてもキャラは多い。
歌の入れ方はトンチキにしても、メインが分かりやすく王道な造りになってるのは、この人数を捌ききるためにやってるのかな?
僕は『面白い展開は何億回繰り返しても最高』派なので、柊くんのジレンマ描写とか最高に良かったです。
アイツやっぱり鳳のこと好きすぎるわ。


そして彼らが集団で挑むのは、ハイソ學園の特待生サバイバルゲームであり、ミュージカルそのもの。
即興劇を足場にして、キャラクターと製作者の演劇への態度が見えてくる回だったと言えます。
モノローグをカット・インさせて他のキャラクターへの評価を見せるやり方は、『もうちょっと、台詞じゃなくて絵で喋れ』と思わなくもないけど、分かりやすくて良い。
ミュージカルは今回見せた素の演劇に加え、ダンスや歌、もしかするとマスゲームや殺陣の要素も含んでくる非常に多面的な芸術表現ですが、そこまで踏み込んで掘り下げてくれると、面白くなりそうだ。

このアニメイケメンつまみ食いって要素を含みつつも、根本的には『ミュージカルという視聴者もよく知らない分野に、青年たちが飛び込んでいくお話』って所が地盤になる。
だから『ミュージカルってこういう面白いところがある』『こういう魅力にキャラクターは惹きつけられる』という描写は、視聴者をフックする上でも、キャラクターの物語をスムーズに流す上でも、大事だと思う。
その第一回目となる今回のインプロヴァイズ、グループの力関係を見せる意味でも、競技に対する登場人物の習熟度をわからせる意味でも、なによりミュージカルという主題(の一要素である演劇)への取り組み方を見せる上でも、なかなか良かったです。

歌の挿入の仕方にしてもそうなんだけど、このアニメは本筋も演出も全体的に泥臭い。
ミュージカルをテーマにしつつも、曲の扱い方はミュージカル的というよりもPV的で、いきなりイメージ空間に入る唐突さといい、現実世界との繋がりの弱さといい、正直不自然だ。
淡白なキャラデザインもあって、曲単発でぶっ飛ばすには演出の火力足らないしなぁ。
使い方としては"Aチャンネル"に毎回必ずあった、イメージカット+キャラクターソングのシーンとそんなに変わらないと思います。
その不自然さが奇妙な魅力になっている部分もあるし、泥臭さはオーソドックスさと噛み合えば強みにもなると思うので、今後次第ではあるかな。

導入が終わって主人公集団と世界観、大体の説明をするという手堅い第二話でした。
急にぶっこまれるお歌パートが浮きつつも、やるべきことはしっかりやってたんじゃなかろうか。
今回見せた枠組みの中で、そしてその枠組をぶっ飛ばして今後お話がどう展開するのか、気になりますね。