イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うしおととら:第16話『変貌』感想


うしとらミクロの決死圏! というわけで、盛綱兄の体内を舞台に、潮の悲愴なヒロイズムとそれに憧れる兄ちゃんと妖怪と少女の輝きが炸裂する回となりました。
伝承者候補(日輪除く)から完全に認められるエピソードなので、北海道きてから溜め込んだモヤモヤがいい方向に爆発するお話であり、手応えがすごかった。
炸裂する感情に答えるように作画もフル回転し、気合を感じられる展開になりました。

女の子の涙を、ただ止めたい。
そのためにだけに槍の力をフルドライブさせ、人としては死ぬこと覚悟で戦いに赴く。
うしおの行動はたいそうご立派なのですが、ここに至るまでの物語の中で、人間として当然の震えもしっかり描いてきたので、キレイ事感がとても少ない。
ここら辺は外界で潮大好き教を広める役目を持った流兄ちゃんが、良いセリフでしっかり言葉にしてもらってるのもデカイ気がします。
今回は名台詞目白押しの良い展開なのですが、流兄ちゃんが潮の人間性と英雄性をコンパクトに熱くまとめた盛綱妹説得シーンは、やっぱ白眉だな。

真っ白な正義感と激情の赴くままに死地に飛び込んでいく潮に、他のキャラも怒涛のツンデレまつりで答えます。
まずは今回のシナリオヒロインであり、体を張ってサポートしてくれるナイス妖怪イズナくん。
威圧的なオーラが持ったのは三十秒ぐらいだが、自分の身を犠牲にしてのチャンスメイク、逆転の秘策の立案、最後の自己犠牲とそこからの救出と、ヒロイン力高すぎる動きが素晴らしい。
つーか、イズナくんは初期から好感度高いな! 素晴らしい。

そして太陽のような笑顔にすっかりやられちまった、流兄ちゃん。
やっぱり細谷さんの好演がズッパシとハマってまして、気のいい中坊を導き憧れさせるかっけー兄ちゃんとして、流は本当に良いキャラだ。
ただかっこいいだけではなく、潮の根本的な良さをしっかりと理解し、それに後押しされて自分も走りだす賢さとアツさを持っているのが、兄貴キャラとして最高級。
だからこそ……だからこそッ!!(未来を幻視して血涙)

既読者特権はさておくとして、盛綱兄妹も先週に引き続きいい動き。
キモいようかいぶっ殺すだけだと色気がないので、禊ぎシーンとはだけライダースーツで色気を足してくれる盛綱妹は、一服の清涼剤。
『お兄ちゃんを助けて!』とは一言も言わず、顔パンされたり腹パンされたりしつつも健気に兄を思う姿勢が、非常にうしとらヒロインっぽいよね……色々あった後素直な気持ちで、兄や潮にありがとうと言えるところとか。
正気を取り戻した一瞬で身投げしようとした盛綱兄も、潮と同じく自己犠牲の人なのだなぁと、アバン見てて気づいたりもしました。


並み居る強豪を抑えて、対うしおツンデレコンテストに優勝したのは、やっぱりとらちゃん。
バディモノの究極はやっぱり『お前が化物になっちまったら、俺が殺してやるよ……』にならざるをえないのかなと思わせる、貫禄のデレっぷりでした。
イズナという似たタイプのバケモノを手に入れたのが影響しているのか、今週のとらデレは相当な破壊力だった。
『人を喰う』という妖怪の性(だと思っていたもの)が、潮との旅の中で変化しつつも、それを素直には受け入れられない年寄りという側面も、とらちゃんのツンデレにはあるのだなぁ。
うしとらの可能性は無限大ですよ。

今回は大量の婢妖を相手の潮トルネード、血袴との真っ向チャンバラ勝負と、アクションシーンも非常に良かったです。
『あれだけ力を振り絞ったのだから、化け物となってしまうのもやむなし』という説得力を出さなければならないので、感情の盛り上がりだけではなく、身体の興奮も必要になる。
そういうストーリー的な要求にしっかり応える、いい殺陣だったと思います。

体外で流にーちゃんが潮というキャラクターをまとめてくれたように、血袴とのやり取りは今後潮が白面の者と戦っていくモチベーションの、端的なまとめでもあります。
ヒョウさんのように身内が殺されたわけでもない、伝承候補者のようにそれが生きる意味だからでもない。
ただ巻き込まれただけの潮が、なぜ恐ろしい闘いの中にわざわざ飛び込まなければいけないのかという説明の意味で、今回のお話はとっても大事だと思います。

縁もゆかりもないけれど、外道が弱者を踏みにじるのを黙っては見てられない。
そういう義侠と仁愛の血が潮少年には色濃く流れていて、理屈を飛び越えた魂の鼓動こそが、彼を辛いことだらけの闘いに導いているのだ。
それは今回の事件を見ていれば自然とわかることではあるのですが、しっかりと言葉にすることでより分かりやすく、伝わりやすくもなる。
物語的なダイナミズムと、ロジカルな説明の両用を的確に行っているからこそ、今回は自然と盛り上がる展開が生まれていたのかな、などと思います。

無事悪い妖怪がぶっ殺されましたが、予言されていたとおり魂の取り立てが起こり、潮は化物になっちゃいました。
気合の入った一枚絵と、畠中さん渾身のグロウルボイスが綺麗に平和な空気をぶっ壊してて、良いヒキでした。
来週からはこれまで縁を繋いできた女の子と、ツンデレな兄ちゃん達と妖怪たちが潮くんを助けるべく奮戦する話です。
いやー、楽しみだマジ。