イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイカツ!:第157話『小悪魔ハプニング』感想

北海道からやってきた湿度の核弾頭テトラロジー、最終章はプレミアムドレス。
あかりジェネレーションをあえて舞台から下ろし、ほぼののリサ二人で進めた結果、濃厚な少女たちの依存関係が見えるエピソードに仕上がりました。
幼馴染コンビという基本に立ち返ったせいか、ホントののリサの百合的破壊力は凄まじい。

「私達、どこまででも飛んでいけそう」というラストの台詞を見ても、今回のお話でののリサの物語はひとまとまりした印象があります。
初期衝動との出会い、夢の階段第一歩としての入学試験、初めてのお仕事、そしてプレミアムドレス。
キャラの才能描写や関係性だけではなく、エピソードの組立自体もアイカツ四年間のメソッドを集大成した、定番とも言える流れになりました。
夢と出会い、それを輝かせる学園という場所に飛び込み、仕事とカードに出会ってアイドルとして磨かれていく。
アイカツが培ってきたキャラクター育成のための基本的な『型』のようなものが、ののリサにクローズアップした四部作には詰まっているように思うわけです。

アイカツは基本的に子供の話なのですが、同時にアイドルという職業の物語でもあり、成長の物語でもある。
ユリカ様と夢小路さんが共有しているゴシックという夢、自己評価が低すぎるひなきを受け入れるKAYOKO、戦友として甘酸っぱい青春を駆け抜けていくあかりちゃんと瀬名くん。
アイカツにおいてデザイナーは、ただ衣装を用意してくれる存在というだけではなく、キャラクターの個性をより引き立たせ、必要な試練と導きを与える重要な存在なのです。

話が通じないクソピエロとか、家から出てこない童話作家とか、とんでもない曲者もたくさん存在していたデザイナーに比べると、ののリサ担当のルーシーはかなり真っ当。
ハプニングを追い求め仕事を蹴っ飛ばす破天荒さはあるものの、ののリサの煌めきをまっすぐに見つめ、インスピレーションを受ける姿は、これまでデザイナーをめぐる物語で何度か強調されてきた『ミューズ』という存在を大事にした立ち回りでした。
見知らぬ人にもとにかくリサの自慢をしまくるのの、そんなののに引っ張られつつも、アイドルに真っ直ぐな思いがあるリサ。
北海道コンビが持っている、荒削りながらキラっと光る資質をしっかり受け取り、それに応える姿は頼もしかったですね。


これまでの三作であかりジェネレーションからバトンを受け取って進んできたののリサですが、今回はへその緒を切られ、二人きりではじめてのおつかいに挑む展開でした。
アイドルたちの中でもおそらくもっとも順当に成長し成功したののリサに一区切りをつけるにあたって、今回のように独力で試練を乗り越える話は絶対に必要なのであり、そういう意味でもののリサはスタンダードでオーソドックスな強さがある。
一アイドルとしての独り立ちがデザイナー探しというところに、『芸能人はカードが命』というアイカツイズムを感じたりします。

先輩アイドルから切り離されたように、ののリサも迷子という形で一時的にバラバラになり、偶然の出会いの中で見せた素直な輝きで運命を引き寄せる。
天真爛漫なののの、少し子供っぽい純真さと無防備とすら言える素直さ。
そんなののを補佐するように落ち着いたリサの、胸に秘めた情熱。
束で語られがちな彼女たちの、アイドル個人としての長所がよく見えたエピソードになったと思います。

同時に、あくまでコンビとしての絆の強さ、湿度の高さをしっとりと見せるシーンも大量に挿入され、女の子二人の掛け替えのない関係性という、彼女たちの強みも強調されていました。
何かというと身体を触れ合ったり、目と目で通じあったり、とにかく繋がっていることを確かめまくる彼女たちのクローズな関係性は、やっぱり強力な武器だと再確認。
健全な友情を飛び越えた危うさすら妄想させる描写の強さは、四年目の闖入者であるののリサを、たった四話で一気に他のアイドルと同じ地平にまで引っ張り上げる大きなパワーになっていたと思います。
勿論、アイドルの起承転結をすべて詰め込んだ、ののリサエピソードの手際の良さも大きいんですけどね。

 

アイカツのオーソドックスとはどういうものなのかを再確認するのが、ののリサというニューカマーに課せられた仕事だと思っているわけですが、それに相応しいラスト・エピソードになりました。
自然体の自分が持っている輝きが、運命を切り開いていくというアイカツスタイルを示して、一応最初のののリサ話は幕。
ビジュアル的な完成度が高く、コンビとしての押し出しも強い、魅力的なキャラだと思います。
今後販促的な力点は別のキャラに移るのかもしれませんが、アイカツらしい手際の良さとキャラクターへの愛情でもって、今後も是非取り上げて欲しい。
そんな気持ちになれる、彼女たちのファーストプレミアムでした。