イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ルパン三世:第5話『魔法使いの左手』感想

ルパン一味を翻弄する希代の悪女、峰不二子にクローズアップしたルパン第5話。
とは言うものの、不二子の神秘性を維持するためか、描き方はあくまで周辺的。
不二子に振り回され、翻弄される男たちの姿を通して彼女の輪郭を形取る、クッションの掛かったお話でした。

誘惑という特質からして、捕まえられないのが峰不二子という女。
なので、ジャーナリストの仮面を被ったルパンを狂言回しに、魔法使いの弟子を犠牲者に仕立て上げて、外堀を埋めていくミステリ仕立ての構成は、彼女のエピソードとして相応しいと思います。
あんま語りすぎると、不二子の魅力が損なわれる恐れもあるしね。

不二子に翻弄されるエピソードヒロインは、童貞力高い眠れる龍。
『貴方だけを見つめる』が花言葉な向日葵を印象的に使って、青年の覚醒とそれを導くリャナンシーとしての不二子が、印象的に描かれてました。
童貞切られた直後に花が散る所とか、プチトマトをぱっくり行く所とか、エロスの見せ方が上品で好きだな、今回。

レアな眼鏡ルパンは狂言回しとして駆けずり回っていましたが、不二子に首ったけなのは彼も変わりがないわけで、向日葵の花はルパンの象徴花でもある。
ルパンという怪盗が追い求め、手に入ったかと思えば逃げていく最高の宝として、峰不二子は永遠に移り気で、完璧で、鮮烈でなければいけない。
そういう彼女のデビュタントとして、艶やかに男を翻弄する今回のお話、なかなか良かったんじゃないでしょうか。


本筋に関係ないところの話をすると、サーカスの猥雑な空気が巧く醸造されて、個人的な好みにバッチリでした。
虎にペディキュアするところ、チャーミングで好きなシーンだなぁ。
不二子に重点した分犯人の動機描写が弱い気もするけど、そこは割りきったところか。

次元に続いて、安定感のある不二子の個別エピソードでした。
過去の伝統に目を配りつつ、2015から見る視聴者にもキャラクターの骨子を伝えるお話しの並べ方は、新奇と懐旧がいいバランスで入り混じっていて、見ていて面白いですね。
来週は銭形エピっぽいですけど、これまでどおりの切れ味と小洒落たツイスト、両方を期待してしまいます。
楽しみですね。