イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

K RETURN OF KINGS:第6話『KEEPER』感想

スタイリッシュクランバトルアニメ、真ん中折り返しの今回は石板攻防戦その一。
攻撃側の緑、防御側のちゃぶ台同盟それぞれが現状をまとめてお互いをワッショイし、緑最強の駒二つが突っ込んでくるという状況です。
白銀クランVSスクナ、紫ちゃんVS隔壁など、作画カロリーをぶっ込んだアクションシーン満載でお送りする、中盤の山場って感じ。

二期は本当に、緑クランに助けられているお話です。
出だしで自分たちのモチベーションや人間関係を説明し、「聞いてないでしょ」天丼で笑いを取り、チート性能の王様が活躍できる状況を適度に作る。
緑さんたちの的確な悪役っぷりがあればこそ、既存キャラの水気の多いかけ合いをやる余裕もあるわけで、やっぱり話の中心ってのは大事だ。
ドレスデン石板というマクガフィンに流が強く執着していることが、それを守りぬく側のモチベーション生成に役立っていたり、気持ちの流れを一本化する仕事が巧すぎる。

ドレスデン石板の制御を外して、人類全てを野放図に進化せさせる』という、野蛮で危険な野望を持っている緑クラン
しかしその居城は生活臭漂う四畳半だし、クランの雰囲気はアットホームだし、クランズマンとの関係は良好。
こういうギャップが可愛げになっているし、ただの悪役では終わらない信念みたいなものを感じさせて、今回の四畳半会議はとても良いシーンでした。
いつもボーっとしているクランズマンたちが、他のクランと同様王に強い信頼を抱いているのが分かったのは、足りないピースがハマった感じがしてとってもグッド。


紫ちゃんは思う存分スタイリッシュに戦ってたけど、切ってるのが隔壁ばっかというのがKっぽい。
どんだけ電気や炎飛ばしても、チャンチャンバラバラやっても死人は出ないからな、Kドミニオンでは。
チートスレスレの実力で赤のクランを圧倒していたのは、人数差を巧く覆し敵の格を上げる良い動きだった。

猿比古決死のトラップ戦術といい、緑をワッショイする防衛サイドの動きが多くて、描写の少なさを巧く補っていたなぁ。
奇天烈トラップ作戦は絵で見たほうが面白そうだったけど、異能力バトルに作画カロリーを取られたのか、描写をスキップされちゃった。
会議シーンで言っていた緑VS黄金のバトルも絵で見せたほうが退屈さが薄れたと思うんだが、こっちもない。
見せ場の分担、見せ方の配分というのは難しいのだなぁと、今回は見ながら思った。

釘宮ボイスのスクナは白銀チームに華麗に負けて、フルスペックの実力を引き立てる役。
紫ちゃんはクロと直接対決するまでヘタれるわけにいかないけど、スクナはここで負けても良いキャラだからなぁ。
やったら話が終わっちゃうマッチアップを避ける意味でも、猿比古のトラップ戦術は良い仕事をしたなぁ。
ていうか、ネコの妨害工作強いな……退屈になりがちなベシャリシーンでいろいろ動いて、興味ゲージを減らさない仕事もしてたり、ネコはマジ偉い。

王様はドレスデン石板をめぐるゲームを巧く構築しつつ、時間制限アリのチートボスとして満を持しての拘束開放。
『最強の雷撃系能力は、俺自身が雷になることだ』とばかりに人間やめたシーンは、大ボスの風格満載でとっても良かったです。
磐船さんとの掛け合い好きなんだが、彼らの擬似家族物語をアニメではやらんのだろうなぁ……。


『王様の野望のため、一丸となって特攻してくる緑クランを迎え撃つ連合軍』という構図は、既存キャラをひとまとまりに扱いつつ、アクションシーンで盛り上げられる良い構図。
『その前に、色んなモヤモヤを解消しておかなきゃね』というのが緑と連合軍のベシャリシーンなのだが、兎にも角にも長い。
緑クランはアット・ホームな雰囲気と天丼芸で巧く盛り上げたのだが、連合軍は座って会議室で喋っているだけなので、結構ダルいシーンだった。

あのシーンに漂う。身内で固まりつつ相互にワッショイしあう傷の舐め合いの湿り気は、最高にKっぽかったと思う。
草薙さんがツッコミれ入れた後、シロがわざわざ台詞でワッショイするところとに代表される、慣れ合いの空気。
描写を使って省略したほうが効果的っぽいところも、わざわざ台詞でやってしまう重たさ。
そういうインナーな雰囲気、粘着質の湿り気こそがKの特質であり、魅力であり、欠点でもあるのだろう。

しかしシロが『緑がやべぇ、マジやべぇ』と煽ったおかげで、突入戦に緊張感が出たのも事実。
数の少なさが逆に精鋭感を出していたし、隔壁とかトラップとか、いろいろ仕掛けて足止めしようと足掻く描写も、敵の値段を上げていた。
敵の値段が上がるとそれを防ぐ味方の値段、全てが上がるわけで、そういうのすげー大事よね。
ガンガン前に進む緑クランと、持久戦に持ち込もうとする連合軍の狙いの違い、勝利条件の明確さもグッド。
一期と映画でねっとりお互いの内面を穿っていた連合軍に比べると、緑クランは圧倒的に描写が少ないわけで、てんこ盛りで和っしょいをぶっこんだ今回の構成は、非常に良かったんじゃなかろうか。

アクションシーンも全開だったしね……やっぱあの背動すげーよなぁ。
『ストーリー的にそんなに意味はないが、とにかく映像として凄い』のがKのアクションシーンですので、紫ちゃんが人間と戦ってないとか、愛の無いツッコミは現金だ。
スクナの戦いは白銀チームの完成度を、流の開放は緑の王の実力を、それぞれ見せているわけでじつは言うほど空虚なアクションシーンではなかったりする。
いやまぁ、基本的には死人の出ないじゃれ合いなんだけどさ。

そんなわけで、ドレスデン石板をめぐるゲームの序章でした。
他に比べれば描写の薄い緑を全力でワッショイし、戦いのルールを分かりやすく見せて、お話が盛り上がる準備をしっかりした、良い前編だったと思います。
滑走路を完全に整備し、流が雷撃となって開放されるラストはカタルシスあったなぁ……。
来週はそんな流が思う存分大暴れし、可愛いアンナちゃんも王の力を見せてくれるっぽいので、非常に期待大です。
……俺、緑クラン好きなんだな。(書き終えてからの今更な感想)