イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

コメットルシファー:第6話『フラワーボーイ』感想

『冒険出ます、今度は嘘じゃないです』という山王戦の桜木リスペクトアニメ、六話目にしてさらば故郷!!
盗んだ車で駈け出して、結婚式に突っ込みかけて、オアシスの村で幼馴染が負けポイントを貯める。
そんな感じの旅ですが、軍の人は律儀に襲ってきてくれるのでロボアクションはバリバリでござる。
……危うく花嫁殺しかけたソーゴたちは笑顔で迎えて、軍には石を投げるオアシスの人たちには、軍が結婚式を邪魔したら邪神の呪いが降りかかるという伝承でもあんのかな……。

というわけで、ついにOPや次回予告で言っていた冒険の旅に出ます! ええ!! ほんとです!!!
『なんか……イメージ的なもので見えた……』というふんわりなフェリアに主張に付き合うソーゴの柔らか頭脳とか、監禁&窃盗のコンボを決めた後ろめたさなど一切見せずに"Born to be Wild"が似合いそうな旅路を満喫してる所とか、また物を壊してお話が始まってる所とか、ツッコミどころは山盛りあるがまぁ旅には出た。
俺もマンマユート・ボスッ面をようやく止めれそうだ。(付け髭を外しつつ)

冒険言いつつも、今回やったのはオアシスの異文化に触れて、カオンがフェリアにメラメラジェラシーした後愛を確認するという流れ。
アクション要素は、主に軍の襲撃が担当だ。
思い返してみると、毎回そんな感じだった気がしなくもないがな!


やっぱこのアニメの空気の作り方は秀逸で、オアシスの風景は美しく魅力的。
この枠が"世界の車窓から"ならベストな見せ場なんだが、一応ストーリーとキャラクターのあるアニメーションなわけで、お話しの中で何やってるかがやっぱり気になる。
江畑諒真作監の重心のある動きとあいまって、今週漂ってた空気は非常に良かったけどね……街と荒野以外の風景、初めてだし。

お話しの大部分は、急に育ったフェリアにソーゴが発情し、カオンが嫉妬の炎を燃やす展開。
『幼馴染ヒロインはドブに沈める』という鉄則に忠実に、みるみる感情に流される嫌な女っぷりを発揮し、4話までのオカンっぷりを地に投げ捨てるカオン。
はっきり言ってもったいない。
俺はカオンとフェリアの擬似家族っぷりが大好きだったのに……ていうか、一瞬で育ったのを受け入れ『娘』から『女』に頭切り替えれる辺り、現実対応能力が異常に高いのかね、カオンは。

とは言うものの、花嫁さんとの交流の中で『愛』の定義を学び、即座にオカンにLOVEを伝えに行くフェリアの姿は凄く良かった。
露骨にイノセンスの記号なのだが、ヴィジュアル的な強さが尋常では無いので、ベッたべったな学びと愛情の描写でもじわりと迫るものがあるのは、このアニメの強いところだ。
カオンもフェリアの無垢攻めにあっという間に陥落し、嫌な女の称号をとっとと投げ捨ててくれたので、この二人が好きな身としては非常に有り難い。
こうも簡単に白旗を上げてしまうと、負け犬街道一直線なんじゃないかと思わなくもないが……まぁ、なんだ、その、頑張れカオン。


そんな女達は横において、ソーゴはロボット召喚に慣れつつあった。
ロボ呼んだ後特に何もしないし、フェリア助けに行くのカオンだし(これはカオンエピなのでしょうがないけど)で、特に株が上がるポイントがねぇのがスゲェな、主人公。
やっぱロボット、素直に乗り込み式にしたほうが良かったんじゃないスカねぇ……。(今更&部外者なので無意味な指摘)
あと乳尻が育った途端性的な眼で見始めるの、僕はどうかと思うなぁ……育つ前から性的な目で見てた変態ハゲよりは良いけどさ。

いまいち影の薄いトンチキ金持ち二人組は、自前のロボットで華麗に参上だった。
コミカルな外見と動きはとっても良いし、ガーディアン以外のアクション要因が増えるのは大歓迎なのだが、お話的にこの不タリがどういう仕事するのか、イマイチ見えない。
カオンをめぐってソーゴにガチャガチャ言ってくるのが定番になるのか、はたまたなんか男気見せるイベントがあるのか。
音楽ナタリーのインタビュー(http://natalie.mu/music/pp/cometlucifer_music)を見る限りかなりライブ感重視(最大限濁した言い回し)で作っているようなので、当然視聴者風情には先は読めません。

今回は軍の三バカの出番はそんなになくて、ガズさんにコンプレックスを持ってるおじさんが大暴れしてくれた。
前回のルシファー無双は初回補正だったようで、グラップリングに持ち込まれて大苦戦。
ルシファーモードになると地上&近接適性が下がるとかあるのかもしれんが、ゴリラモードに戻る気配もないので、あんまそういうことは考えないほうが良いのかもしれない。


今回の話を見て思ったのは、このアニメは『無邪気』だということだ。
これは良くも悪くもで、安心感を視聴者に与えない劇作の脳天気さははっきり言ってマイナスだし、それを褒めてもらおうとか、ついていけない奴をバカにしようとか、そういう悪意を映像から感じないのはプラスだ。
これだけタガの緩い展開をされてなお、なんか上からのしかかるようなメッセージを感じ取ってしまったら視聴は続けられないと思うが、そういうものはない。
ただただこの綺麗な世界と、そこを無邪気に駆け抜けていく子供たちが、製作者たちは好きなんだなぁという気配を感じることが出来る。
それは一種の可愛気であり、いろいろ首をひねり文句も付けつつも、僕がこのアニメをどこか好きで見続けたいと思う、多分最大のポイントだ。
一番可愛いのはフェリアではなく、菊池監督という結論なのかもしれない。

そういう『無邪気さ』が維持されていくのか、利点を活かして化けるのか、欠点を加速させてクラッシュするのか。
六話になるのに、さっぱり読めない不安定さ。
そこに軸が入るとしたら、もしかしたら女達の連帯というフェミニズム的なものなのかもしれないなぁなどと妄想を泳がせる、フェリアとカオンの愛情のお話でした。
やっぱ変なアニメだね、これ。