イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

すべてがFになる-THE PERFECT INSIDER-:第6話『真紅の決意』感想

白い箱のなかの悦楽アニメ、今回は結界を一旦出て空気を抜くエピソード。
これまでバラまいていたヒントを一旦まとめ、ラブコメっぽいことをしてもう一度事件に挑む流れでした。
研究所の白くて重い闇がどんだけ圧力あったのかというのは、外の風景を見ないと分からんものなので、視聴者にも犀川先生にも萌絵ちゃんにも、良い気分転換だったと思います。

今回は本筋に大きな動きはなく、情報と感情を整理する話でした。
萌絵と犀川先生の間をスイッチしながら『出題』をまとめ上げたり、お酒と線香花火でムーディーな空気を造ったり、結界の中では出来ないことを全部やる感じかな。
自分は原作既読者なので今回の『出題』のフェアさは判別しきれないわけですが、ミステリとして考えると折り返しのタイミングで情報取りまとめておくのは大事よね。

犀川ラボの愉快な仲間たちは久々の登場となりましたが、島の風景とあいまっていい塩梅に俗っぽいというか、これまでの閉塞した空気をガラッと変えるいい動き。
連中とガヤガヤやってる絵はなかなか魅力的で、彼らとのエピソードも見たくなりますが、まぁ今回のお話は四季博士メインだからね、空気違いすぎて出番は減るわね。
彼らの登場が新鮮に見えるということは、やっぱり研究所の閉じた白い空気の醸造は、狙い通り巧く行ってたということなんだろうなぁ。


空気が変わったことで、研究所内ではギスってた犀川&萌絵の関係もフツーのラブコメみたいな間柄に。
いろいろ難しい言い回ししてるが、犀川先生の行動は『あそこにいるとキミ可怪しくなってくし、俺が興味あるなし関係なく、離れてたほうがよくね?』という一点に集約されるわけで、そういうジェントルなところが好き。
そして、いきなり帰ってきて話題に交じるでもなし、二人っきりで線香花火してても暖かく見守ってくれる研究所の連中は、人間出来過ぎだと思う。

というか、やっぱりあの研究所が持ってる異質な空気というか、天才・真賀田四季の重力は二人を捕え、歪めているのだというのが、今回抜けた空気の量から判る。
この話は殺人という異常事態と、真賀田四季という異常人間が核になって展開しているので、その重さが判る今回の『抜き』は良い仕事だと思った次第。
この『抜き』が現代パートで担保されてたので、今回は過去パートの描写が少なめだったのだな。

とは言うものの、四季博士と所長にとって、かなり決定的な瞬間が描写されていたけれども。
無人島の蔦や魚のように両親を捌いた四季博士だけど、所長だけは特別だったのか、はたまた破滅の快楽に魅せられていただけなのか。
そこら辺は今後解明される謎でしょうが、所長の奥さんに見せた勝者の笑み(博士がまだ箱のなかに入っていない以上、それは敗者の嘲りでもあるんだけど)を見るだに、正気の岸の向こう側にいるのは間違いが無いようで。
13歳の真賀田四季が辿った無軌道が一応落着するという意味でも、今回は一旦まとめの話なのだな。

そんなわけで、俗っぽい世間に身をおくことで様々なことを再確認出来る、休憩と整理のエピソードでした。
俗世の空気が心地よくかけていて、犀川&萌絵が帰るべき場所の価値を確かめる意味でも、なかなか良いお話だった。
決意を新たに真賀田四季の異界に再び挑む二人が、一体何を見つけ、何に決別するのか。
今後が楽しみになる、素敵な小休止だったと思います。