イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ルパン三世:第8話『ホーンテッドホテルへようこそ』感想

古典と気鋭の間にある2015年のルパン、8つ目のエピソードは少女とオバケと泥棒と。
仕掛けたっぷりの古城ホテルを舞台に、次元が道化を演じるリアルサイドと、ルパンが幼女とキャッキャするドリームサイド、両方のお話が展開。
親切な伏線出しが良く効いたオチも相まって、今シリーズらしい安定した展開でした。

呪いとか亡霊とか、オカルトな話がちょくちょく出てくるのがルパンシリーズでして、リブートなった今作でも満を持しての登場。
早い段階からホテル側の自作自演を見せておいて、コメディチックな現実のお話は酔っ払った次元が担当。
イカす人殺しギミックと戦ったり、久野声の幼女とキャイキャイするファンタジックなお話はルパンがいただくという、二重構造の展開でした。
恋の話からコメディまで、シリアスな殺し合いからスラップスティックまで、色々できるからルパンは強いわね。

古城のギミックはノスタルジックな味を残しつつ大掛かりで、こういう大仰なギミックに挑むワクワクは、やっぱり良いものです。
『あの鏖殺ローラー、どうやって元の位置に戻してんの?』と聞きたくなるトラップは当然絵空事なんですが、むしろ絵空事に肩までズップリ浸りたい気持ちになるアクション満載で、なかなか良かったです。
ヒロインの設定、背景のストーリーと合わせると、むしろ荒唐無稽力が高いことが不思議なテイストを引っ張ってきて、お話全体の収まりを良くしているまである。
ストーリーに合わせた見せ場をしっかりチョイスし、的確に使い分けているところは、ルパン2015のとても良い部分です。

今回はとにかくヒロインに切れ味のある話で、亡霊幼女という設定が持つ叙情性を、今風なデザインと久野声、ところどころに本物の匂いがする動きの付け方で強化していました。
彼女だけ旧作っぽい線の処理をせず、『普通のアニメキャラ』になるよう処理をしていることが、幽霊の特異性にしっかり繋がっているのが良い。
今回ルパンは『優しい嘘つき』といいますか、まぁ宮崎ルパンっぽい小粋で優しいロリコン
相手役になる小さなレディの見せ方が的確だからこそ、色んな顔を持つルパンの魅力的な一面が、グッと身近に迫ってくるわけです。
初めてカーラと話をする時の距離の縮め方、視線の合わせ方や表情の変化がかなり細かくて、(今回の話しでは)悪人になりきれないルパンの良さが良く伝わってきたと思います。


ぶっちゃけお話のオチは結構早い段階で見えるエピソードだとも思いますが、そこでどんでん返しをしてもらうことを期待しているわけではない。
むしろオーソドックスなお話をどう気持よく魅せるかという、アレンジの手腕をこそ楽しみたいお話だといえます。
なので、線の処理とか影のあるなしとか、あからさまに物理法則を無視した出現/消失などを駆使して、『今回のヒロインはガチ幽霊ですよ!』と見えるサインを出してくれていたのは、フェアで信頼が置けます。

これが機能するためには対比物が必要で、セコく幽霊ホテルを演出するオーナー親子と、それに騙されて右往左往する次元のコメディ力は大事。
ビビりすぎて酒に逃げ、ボケ老人のようなムーブを繰り返す次元は無敵のガンマンとはとても思えない。
常に強くて正しくてカッコいい『入り』のキャラ立てだけではなく、ボケてダサくてカッコ悪い『抜き』の描写をスマートにこなし、笑いと親しみを与えてくれるキャラの使い方は、見ていて安心しますね。
キャラをいい意味で大事にし過ぎないというか、キャラを大事にしているが故に硬軟強弱色々やらせるというか。
一つのキャラクターが無理なく色んな事をし続けることで、シリーズ全体にも横幅の広さが生まれるし、キャラクターにも複数の顔を使い分けるリアリティが出てくる。
一話完結・連作形式が持っている強みを遺憾なく発揮する、コメディチックなお話だったと思います。

露骨にドーラ一家のパスティーシュっぽい『イタリア一情けない強盗団』は、そんなコメディチックなお話に色を添える、良いゲスト。
間抜けなりに彼等が悪役を担当してくれないと、ルパンもピンチを演出できないわけで、ドタバタと場をかき回すキャラクターは大事です。
レベッカ、ニクスに続く第三のシリーズゲストとして、今後も出番があると良いなぁ。

そんなわけで、ケレン味のあるアクションやそこはかとなく漂うロリタリズムなど、かなり宮崎ルパンを睨んだオカルト・エピソードでした。
やっぱ久野声のロリータは良いなぁ……見てて穏やかな気持になる。(声豚回路全開)
次回はついに五右衛門の個別エピソードっぽいですが、やっぱりファーストエピソードは恋の話やるのね。
ムッツリ剣士と色恋の相性は良くて、これまでのシリーズでも名エピソードが多数生まれてきたわけですが、さてはてどう料理するのか。
楽しみデスね。