イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイカツ!:第161話『大阪アイドルものがたり』感想

日本を股にかけるアイドル活動、今週は関西三人目の刺客登場編。
『パラ宿に帰れ!!』と言いたくなるようなどぎついカラーリングをしたお笑いアイドル、堂島ニーナのお披露目回でした。
道化の仮面の奥に計算と素とコンプレックスをたっぷり隠しているところが、あかりジェネレーションらしい味付け。

大阪代表アイドルとしてやってきたニーナですが、素の性格はすげークールだし、そもそも関西人じゃないし、結構ひねったキャラです。
素直な自分を出して笑いを取れるような天性はないので、彼女の笑いは全てが作り。
その人工性がお客にも透けているのか、『笑わせている』というよりは『笑われている』に近い扱いを受けていました。

そこで卑近にならず、ストイックに笑いを追求し続ける真っ直ぐさは凄くアイカツらしい。
あかりジェネレーションになってからは特に、人生の暗い側面に一瞬目をやりつつも、手早く道を見つけて走り続けるというのが、アイカツ世界の基本的生き方になっていると思います。
少なくとの客の前では素の自分を出さず、お客さんを笑顔にするために頑張る姿には、既に一種の誇りがある。

笑いをロジカルに論じるのはかなり難しいので、今回の『笑いの凄み』というか、ニーナが何に頑張っているかという描写は相応に適当でした。
流石に、全自動タライマシーンやツッコミロボ、一枚絵の独演会では堂島ニーナの芸は見えない。
あくまでキャラ見せ回というか、ざっくりと表面をなぞって彫り込みは次回以降ということなのかなぁ。
『狙って笑わせる側は常にシリアスに計算を重ねて、笑いを作っているのだ』という笑いへのスタンスは好きなので、今後もう一歩踏み込んで欲しい所ですね。


アイドルとしての堂島ニーナは、初期衝動をはっきりと持ち、努力を続けるストイックさを持ち合わせた、かなり背筋の伸びたキャラ。
ツッコミしすぎてテーピングする辺り、自分の体をイジメることでしか努力を表現できないアイカツイズムが如実に出ていて、外見に似合わずオーソドックスなキャラだなぁと。
『なぜ自分がアイドルになったのか』をはっきりと認識しているのは、自分のオリジンが大切になるアイカツにおいては、一つハードルを超えている感じがします。

計算を振り捨てて挑んだステージは、カメラ目線のクローズアップを活用し、ステージギミックも大量に盛り込んだ賑やかなもの。
ぬるーっとした体重移動、可愛さ重点な振付と、アイドルとしてのニーナの強みは鋭く表現できていたように思います。
『お笑い』の強みが薄めの表現だった分、『アイドル』としての強みはストレートに、ステージングの強さで表現できた印象。

ただ、『計算』ってのは無条件に悪いものではないので、可能であればそれが持つ光にも踏み込んで欲しい。
冷静な分析眼と地道な努力を積み重ねる姿勢は、例えそれがぎこちなさに繋がって、客を離れさせる一因になっているとしても、ニーナの強みのはずです。
周りが見えすぎる賢さ、空気を読んでしまう哀しさを背負ったひなきを、第147話で的確に切り取ってみせたアイカツだからこそ、『計算』を捨てたステージの先にあるものを、しっかり書いてほしいなと思います。

お笑いアイドル堂島ニーナの人となりを、手際良く見せる回でした。
素のニーナとアイドルとしてのニーナの魅力、強みはよく分かったので、後編は芸人としてのニーナの強みを、グッと踏み込んでみてみたいですね。
今回一旦打ち捨てた『計算』というニーナの個性が、どう使われるのかも気になる前編でした。