イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

スタミュ -高校星歌劇-:第10話感想

夢にむかって駆け上がる五つ星の物語、今週は鳳樹の不在。
前回面倒くさい過去と因縁を思う存分演出して消えた鳳パイセンの穴に、ボーイズたちが不安になったり纏まったりする話でした。
文化祭という勝負の舞台を前にして、主役チームの絆を再確認する話が来るのは、説得力を生んでいて良い。

この話は沢山キャラクターを用意して、早めに主役チームの凸凹は解消し、先輩世代の因縁やライバルチームとの掛け合いで話を転がしていくお話です。
対立関係が前に出る時間が短いためストレスは少ないわけですが、魂のせめぎ合いあってこそ困難を乗り越える説得力が出る。
文化祭という大イベントを盛り上げるのにはちょっと速度が足りないかな……と思ってきたところに、メンター鳳の不在と、それによって動揺するチーム鳳をメインに据えた話を持ってきたのは、とても良いと思います。
キメるためにはタメることが必要なわけで、来週ドカンと爆発させるためにも、主役にカメラを戻して現状を再確認する回があるのは安定感が違う。

不穏な空気の出し方もチーム鳳が作ったいい雰囲気を壊すものではなく、お互いを思いやっていたからこそお互い踏み込めないという、優しい彼等によく似合ったもの。
ここで取ってつけたようないがみ合いを発生させても障害と成長はかけるわけですが、ストレスの少ないスムーズな展開こそチーム鳳のお話しの強みだと思うので、それを殺さず進めるゆるくて優しい展開は、むしろこのアニメには的確だと思います。
星谷の前向きさと人間関係視力の良さがちゃんと生きてる描写だったし、それを残りの四人がありがたく感じ、お互い尊重しあっている良い関係が見えたのは、文化祭で『何か』が起こる必然性をちゃんと生んでいて、良いタメになってました。
チーム柊とももうちっとバチバチするかと思ってたら、思いの外いい奴らばっかりでなぁ……現役世代の穏やかさは、非常にイマい。


今回のお話は『茫漠とした不安をチームで共有し、もう一度一つのチームとなる』という、シンプルな筋立てです。
本筋の回し方や状況説明に尺を使わなくていい分、ゆるっとしたファンサービスが多めに詰まっていて、男の子たちが可愛い話だったと思います。
星谷と那雪の横浜デートはややあざとすぎるきらいもあるが、一瞬バラバラになりかけても星谷のピンチにすぐ駆けつけてくる三人が良かったので全然OK。
あのクソダサ着ぐるみを金も貰わず一応着る辺り、チーム柊の二人はマジ人間出来てる。

ゆるっとした展開ではあるのですが、前回ガッツリと鳳先輩のキャラを立てたのもあって、指導者不在でギクシャクするチーム鳳の不安はちゃんと伝わってきました。
諏訪部声で『ボー↑イズ』言ってるだけって印象もあったわけですが、こうしていなくなられるとやっぱり寂しくて頼りなく、細かい描写で指導者としての頼もしさを出していたんだなぁと思い知らされます。
その感覚はチーム鳳と同じものであり、皮膚感覚的な部分で主人公たちと同じ気持を抱けるってのは、製作者の感情操作がうまく行ってる証拠だなぁ。
ラスト前に不在故に存在感を高めていく展開を入れるのも、少しスクリューが効いていて面白いし、最後メアドを貰って不安の解消=鳳の復帰に筋道をつけて終わるのも、タメたモヤモヤを爆発力に変える準備として良い終わり方でした。

というわけで、鳳さんに導かれて変わったチーム鳳の今を、鳳さんの不在によって見せる回でした。
チーム鳳の五人だけではなく、鳳樹本人の存在感も不在故に高まるってのは、ちょっとひねりが効いてて良い見せ方でした。
これで『勝つ』ための説得力はたっぷり積んだと思いますが、次回どういう爆発を見せるのか。
とても楽しみです。