イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ハルチカ~ハルタとチカは青春する~:第1話『メロディアスな暗号』感想

PA最新作は『日常の謎ミステリ吹奏楽恋愛青春小説』が原作っつー、『ユーフォと氷菓悪魔合体』的アニメでございます。
座組的には『合唱の代わりに、ブラスと探偵はじめたTARITARI』が近いとは思うが。
PAの作画力・美術力を最大限に発揮した美麗な絵面と、元気で可愛らしい主人公が魅力的な、欲張りキングなお話でした。

顧問の先生へのラブロマンス的側面あり、弱小部活の奮戦記としての顔もあり、日常の謎ミステリとしての要素もあり、とにかく色んなモノがつめ込まれた第一話でした。
ここら辺の欲張りキングっぷりはともすれば中途半端になっちゃうところなんですが、PAの作画力がフル回転しておりまして、『青く高い空のもと、思いっきり部活して探偵して恋愛するぞ!』という意欲が絵で伝わってきた。
とにかくハイ・クオリティな絵面を24分間フルで流し続けることで、貪欲に取り込んだ多角的な要素全てに期待が上がっていく真っ向勝負は、相当な自信と実力がないと出来ない戦い方だなぁと思いました。
やっぱ走りの作画がスゲェな……あと独特な目の色彩と、下唇のテカリ……ここら辺はPA力というよりは西田亜沙子力だとは思うが。
綺麗な世界を視聴者の目の前で形にして、『取り敢えずこの世界に入ってみたい』という気にさせる強さってのは、やっぱ凄いやね……日常モノなんだけどファンタジーっつうか。

もちろん単純に絵が綺麗というだけで複数ジャンルの掛け持ちが捌けるわけではなく、重要なのは使いどころ。
ミステリ部分のヒント出し・取りまとめの手際の良さだとか、楽器作画の丁寧な取り扱いだとか、勘所を抑えた使い方あってのことだと思います。
キャラと物語が『弾む所』と『抑える所』をバランスよく配置し、一応のエピソードをしとり終わらせた上で、インパクトのある暴露で次回に引く。
一話の中で起伏を作る意識が高く、見ていて飽きない構成でした。


ジャンルだけでお話が構成されているわけではなく、重要なのはやっぱキャラクター。
ここでも作画力がいい方向に機能していて、チカちゃんのお澄ましでお転婆な可愛さがクルクル変わる表情から感じ取れて、お話を活き活きさせていました。
主人公が元気だと、お話が元気に弾んでくれるから良いわよね。
もう一人の主人公ハルタくんは大人しそうな第一印象と裏腹に、結構クレバーで意地悪なボーイで、爆弾小娘のチカちゃんとは相性が良さそうだ。
チカがポップな部分を、ハルタがシックな部分を基本的に担当しつつお話を転がしていくっていう基本配置は第一話から感じ取れ、『楽譜に託したラブレター』というリリカルなミステリ要素もあって、いろんな事が出来そうだという期待が高まりました。
個人的には『高校生のホモ・セクシュアリティ』はネタとして使い潰すのではなく、真剣にやりきって欲しいところなんだけど……どこまで本気なのかは正直読めないな。

ジャンルが様々なので、今後のお話しの転がし方も色々ありそう。
七人の侍よろしく部員を集めたり、その過程で小さなミステリを解いていったり、生徒と生徒、生徒と先生の関係が深まっていったりするのかしら。
美麗な美術を活かすことで、情感が必要なシーンは巧く盛り上げられそうな気配があるから、しっとりしたシーンにも期待が高まります。
いろんな事をハイレベルにこなせる器用さは第一話で見せてくれたと思うので、じっくりと腰を据えてキャラの感情に潜っていく場面も、早く見たくなっちゃうね。
そういう意味では、謎を解きつつも出題者のプライドを大事にしてヴェールを剥ぎ取らない先生の心遣いは、結構好きな描き方だな。

正直事前情報では『大丈夫? ジャンル盛り過ぎじゃね?』とか思ってしまう話でしたが、部活ミステリ恋愛劇という横幅の広い要素をしっかりと抑え、的確に見せ、清潔感と手際の良さが印象的な出だしとなりました。
何よりチカちゃんが元気で可愛いのが良いね、素晴らしい。
『幼馴染で探偵役で恋敵のホモ』という、これまた過積載でナイーブなキャラをどうさばいていくかも含めて、とっても楽しくて期待できる第一話でした。