イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ルパン三世:第15話『ハイスクール潜入大作戦!』感想

『ダイヤ』『爆弾』『高校』の三題を取りまとめ、スラップスティック・コメディとしてお送りする今回のルパン。
凄い勢いでIQが下がっていく教師陣との対立あり、なんかいい話風の学園物語あり、これまでのルパンらしからぬ、しかしルパンらしい面白いお話でした。
各話ごとにジャンルを変え、アプローチ方法を変え、色々出来るってのは一話完結オムニバスの強みやね。

今回はルパンが脇に控えるお話でして、メインは頭の弱い教師陣のドタバタ成長劇です。
坂を転がるようにおかしな方向に転がっていく事態とか、なんかのガスでも撒かれてんじゃないかと疑いたくなるくらい低下していくIQとか、コメディに必要な装置はそろっていた印象。
役者としては過激思想の化学教師が一番面白かったな、硫酸ガチで硫酸だし。

高校が舞台なので青春要素も混ざっており、チキン教師と不良少年の不器用な成長を、小粋なルパンおじさんがサポートする展開でした。
露骨にかっ飛ばした偶然から教師をすることになったルパンですが、袖すり合うも他生の縁、怪盗スパンが許す範囲で情を見せ、かつ必要以上にくっつき過ぎない間合いの取り方は、スタイリッシュで良かったです。
五右衛門の影に隠れがちですがルパンも十分超人なので、こういう超然とした距離感でサポートするやり方もビッと決まるわね。

今回のお宝"クレオパトラの心"はその逸話通り、話を転がしてくれる良いマクガフィンです。
一苦労して取り戻したお宝をクールに手放してしまうオチは、ルパンの怪盗としてのコダワリを見せると同時に、今回の話しが"クレオパトラの心"を巡るお話ではなく、教師と不良の生き方の話だったから意味のある終わりだと思います。
それ自体には意味が無い舞台装置として、物語が始まった段階で手に入れてしまっているお宝は、ルパンにとっても視聴者にとっても、手放しても惜しくないわけで。
それよりちょっとカッコつけて、ラッキーガール不二子ちゃんの元に流れていくという結末に繋げる手離れの気持ちよさが見れたほうが、そら嬉しい。

凡人たちのドタバタコメディ人情話を壊すことなく、キャラを維持したまま上手くトスを上げる。
いつもとは違う立場でルパンを描いた、なかなか気の利いたお話だったと思います。
ホント、色んなジャンルの色んなお話を一つのパッケージに収められるルパンシリーズの度量を、最大限に活かしてる感じするわね、2015は。