イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第82話『ガァルマゲドンのデビタインデー』感想


革命じゃああああああああ! 宣戦布告じゃああああああ!!("奇跡の少年"大好きマン)
余裕綽々で革命を見守っていたまほちゃんに、窃盗・強引な客引き・トラウマ対象からのダイレクトアタックのコンボをぶち込み、本気にさせる回でした。
ラスボスがゆとり持ったまま立ち回っているとラストバトルは盛り上がらんわけで、今回まほちゃんを一気に追い込んだのは正しい動き。
なんだが、ここ最近カッチリした感動話が多かった反動か全体的にぶっ飛んでいて、『ネタ方面の火力』というプリパラの武器を再確認する話だったと思います。

んで。
サーフェスはさておき、今回は地下パラのゲリラたちがセレパラに一矢報い、最大の天敵であるあじみがひびきに『よう、お前あの時の女だったんだな……元気してる? また会いに行くからよ? よろしく』と、被害者を追い込む元連続殺人犯みたいな電話をかけることが大事な話でした。
『ネタ方向に突っ走りつつ、勘所は抑えておく』という作りができるアニメはつまり、『勘所さえ抑えておけば、どんだけネタに走っても大丈夫』というアニメでもあるわけで、ふでやす脚本の可能性が花開いた展開となりました。

具体的に言うと、ノータイムで犯罪行為に突っ走るガァルマゲドンやら、あまりにも容易に手のひら返しまくるプリパラ大衆やら、凝りに凝った果物語尾でまほちゃんを追い詰めるあじみやら、ネタの切れ味が良すぎる。
『ツッコミを画面の外側に任せる』という森脇イズムが全開になり、とにかく拾わない反省しない迷わない速度で走り続け、しかしエピソードの目的は達成しているという、非常にプリパラらしい話でした。
ホントなー、関取体型に変化したままコーデ着替えるシーンとか、ボケっぱなしの強みが最大限に出たと思う。

ガァルマゲドンの描き方については、正直勢いの犠牲になったというか、生後半年のベビちゃんを思う存分かわいがる小学生チームのお姉さんぶりを堪能したかったというか、ステージでも出番欲しかったというか。
ガァルルへの好意を隠すことなく前にだして、一緒に遊び自由にイタズラする子供たちの楽しそうな姿は、十分すぎるほど十分だった故に、『この三人がもっと見てみたい……』という気持ちになったのは事実だ。
しかしまぁ、元々子供のやりたい放題し放題な部分を肯定し、抑圧をぶっ壊して大暴れする楽しさってのがプリパラには巧く表現されているわけで、今回のガチ窃盗の描写も、それに対する報いが『虫歯』という可愛らしいものなのも、微笑ましくて好きだ。
元々ガルマゲ、こういう姑息な手段を使いこなすライバルユニットだったわけだし。
こういう可愛げの出し方、やり過ぎと面白さの綱渡りのセンスというのは、確かにプリパラの強みだと思う。


ひびきに関しては『短い天下だったね……』という感じの追い込まれ方だったが、まぁ後一ヶ月ちょっとしかないからな! どんどん落としてイカンとな!! とも思う。
ひびきはヘイトの稼ぎ方がとても上手い悪役で、みれいのぷり絶叫をジャブとして、あじみちゃんの果物語尾乱打でベッコベコにされている姿が爽快、かつただ『気に食わねぇ奴がボッコボコにされてる』以上の面白さと可愛げがあるのは、凄くプリパラらしい。
悪役のこともうっかり笑っちゃって好きになるのは、悪役をただの悪役で終わらせない物語的展開の後押しにもなるし、シリアスなことをやりつつも過剰にはならない作品のカラーにもあっている。
この段階で既に『……5歳のくるくるちゃんをあじみがペロペロしすぎたのが、全部の原因なんじゃねぇの?』という予測が立つ怒涛のセリフとリアクションを完璧に演じた、上田さんとサイガーの役者魂に感謝である。

何言ってるのかリアルタイムだと全く理解できなかったあじみの電話だが、良く聞いてみると『昔知り合いだったこと』『いろいろ大変だったこと』『ひびきの助けになりたいこと』を全て言っていて、あじみがプリパリで掴んだ情報が暗号化されている内容。
流れるように果物語尾を繋ぎあわせ、混乱と爆笑を生み出しつつ、今後の伏線を張る手際はマジでふでやすしか出来ねぇ最高難度のトリックだと思う。
まさか『ポンカン』って一人称すら伏線だとは、俺も思わなかったよ……。

今週ゲリラの連続攻撃で余裕を失ったひびきですが、来週はあじみちゃんの回想でオリジンを掘り下げられ、さらに追い込まれることが予想されます。
ひびきの支配体制は『打倒されるべき悪いもの』としてちゃんと描写されてきたわけですが、同時に一定のロジックをもつポジティブなものとしても描かれてきた。
これまで謎に包まれてきたひびきの真実、『何故彼女がそうなったのか』『彼女の中にある正当性』が実体化することで、行動理念やら本心やらも、より分かりやすい形で視聴者に届くと思います。
ほんと、お話捌きとしては非常に巧妙に、必要なエピソードを積み上げているわけですが、同時にネタ火力のリミッターも今回切ってきたからな……。
劇作の巧みさにしても、笑いのアクセルの踏みこみにしても、来週何が見えれるのか、マジ楽しみです。