イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

デュラララ×2結:第32話『虎は死して皮を残す』感想

多分残り六話くらいの群発性池袋怪奇譚、今週は決戦のバトルフィールドがどんどん整う回。
セルティが完全体になり、イズシザの最後のじゃれ合いが開始し、先生の欲望が溢れだして露西亜寿司の前が池袋・オブ・ザ・デッドになり、ドタチンが現場復帰。
ろっちー先輩の八面六臂の大活躍で、クッソ面倒くさい高校生二人の本音トーク会場(おそらく暴力込み)も整ってきました。
暴走した波江先輩を一発で大人しくさせることも含めて、ろっちー先輩がモチベ引き出しまくり場を整えまくりなマジ完璧PC3スタイルを発揮しまくってて、助かる事この上ない。
話しが収束することなく、各キャラクターが好き勝手に動くことで展開するデュラスタイルを維持する上で、こういう動きをするキャラは大事だ。

今回語り部になったトムさんも感情を暴走させることの少ない大人勢なんだけど、みんなまとめて寿司屋で籠城。
『トムさんを狙う悪の罪歌軍団』VS『露西亜寿司袖すり合うも他生の縁部隊+店の外の狩澤姐さん』という構図なんだけど、黄根さんイザヤ班じゃなくてこっちで決着すんのかよ……まぁ、あんまイザヤにモチベーションないしな。
ヴァローナ&鯨木を足止めしてくれる腹筋ガール以外、アレだけいたメンバーもいつの間にかいなくなっちゃった辺りに、イザヤの人徳が見て取れる。
悪の罪歌軍団と因縁が深いのは杏里なので、こっちに合流する流れかな。
一人確実に洗脳されていないで、自由意志で協力している人がいるので、彼女の動きが気になるところだ。

ウザヤとシズちゃんの最終決戦はまぁ、言葉で語るべき所は先週完璧にやってしまったので後は殴りあうだけフェイズ。
シズちゃんが控えめに言って『人間サイズのゴジラ』以外の何物でもないが、ウザヤに勝ち筋はあるんだろうか。
意味深な回想シーンから考えて、自分が殺されることで悪い方向の名声をいれて、社会戦ダメージで殺す相打ち狙いかなぁ……それシズちゃんが損しているだけなので、巧く躱して欲しい所。

首を巡る追いかけっこの果て、結構あっさりとパーフェクトセルティに進化したデュラハンさんだけど、どうやら記憶は飛んだようで。
こうなっちゃうと新羅が歪んだ愛をおもいっきりぶちまけて、セルティを取り戻せるか否かの勝負になるわけだけど、彼は今回土俵に上がらなかった。
イズシザや帝人&紀田くんのように、主役として勝負所で自分のお話に決着を着けるためには、美影やろっちー先輩のように上手くトス上げをしてくれる産婆役が必要なわけだけど、新羅にとってのサポーターが誰になるか……独力で一気に上がりそうな感じもするなぁ。
繋がりがなかったキャラをトス上げ役にすることで関係を作っていくのも、デュラララが多人数を捌く手管の一つなので、今後の繋がりを楽しみたいところやな。

土俵に上がったけどあんま派手に暴れてないのがドタチンで、彼の回収で遊馬崎&渡草が動くと睨んでいただけに、あっさりと自力の歩きできたのは意外だ。
紀田くんのトス上げ役は、ろっちー先輩が完璧にこなしているからなぁ……寝ている間に、暴れどころを失ったまである。
とは言え狩澤姐さんがヤバい状況なのでそっち方面で暴れたり、別のメンバーの愁嘆場に飛び込んで大人力を発揮したり、見せ場はまだまだある予感。
……あって欲しいなぁ、わしドタチン好きなんよ。


うだうだ面倒くさい高校生二人は、みんなまとめて六条さんが面倒見てくれました。
問題解決のために必要な状況を適格に判断し、それを実現するために最適の行動を実行し、暴れているのは面白いけど暴れすぎて場が乱れている波江さんも黙らせる。
ろっちー先輩のトス上げが完璧すぎて、何度頭下げても足りないレベル。
こういう便利な動きをしつつ、『女好きで感情的で頭の良い、親分肌のおせっかい』というキャラの骨格は壊れていない辺り、お話しの屋台骨を支える良いキャラだ。

紀田くんがほんとうに大事なラインで二の足踏みまくりの、全く飛べないチキンボーイだってことはみなさんご承知のとおりですが、ろっちーが強引に(もしくは、強引を装って)話を勧めたおかげで、ようやくのっぴきならない対決に突入できます。
『こんなことに、なんでなっちゃったのかなぁ……』とかボヤきつつ、『ダークで危険な中二病サイコ』というセルフイメージに酔っ払って、マトモになろうとしない帝人も同様。
こいつら、放っておいても絶対自分たちの話に決着付けないからな……。

そういう意味では、『あ、自分は紀田パイセンには興味ないです。どーでもいいです』としっかり表明し、最終決戦の場から降りた青葉も周りをよく見た動きだった。
お前が帝人中二病を肯定し、ブルースクエアという中二病ブースターを用意し、後ろ向きで薄暗い闇の中に帝人と一緒に沈んでいったおかげで、話がここまで拗れたってのもあるがな!
紀田くんが退場することで始まった帝人の転落は結局、紀田くんとサシで本音トーク(暴力込み、銃弾もあるよ!)すれば収まるのは明白ではあるので、ハードル上げて簡単に解決できないようにストッパーを掛けてた側面もあるけどさ。
ろっちーという行動力があり、他人のモチベーションを気にする善人がここで目立ってきたのも、物語を維持するために押さえ込んでいたストッパーを外し、お話が流れるべき方向に流しているが故なのだろう。

逆に言えば、ここまでネトネトウダウダ面倒くさい思春期力を描写し、たっぷりと鬱屈を貯めこんだおかげで、『それが流れだした時に、何かに辿り着きそうだ』という予感も生まれているわけで。
つくづく、物語のパワーはストレスとカタルシスのコントロールで生まれるなぁ、と思います。
自分は帝人周りのストレス貯めこむフェイズは結構好きだったので、一見話が進んでいないように見える『ブルースクエアで青葉とイチャイチャ、でも本命は紀田くん』フェイズも、じっくり楽しんだんだけどね。
これが最後と気づかないまま、自分の運命の男の手綱を離しちゃった青葉の負け犬っぷりを、僕は愛おしく思うのですよ……紀田くんのシャドウであるが故の哀しみやね。(多分日本でも20番目位に帝青のこと気にしてるマンの寝言)


というわけで、長らく転がってきた池袋の群像劇が終わる場所が、だんだん定まってきた感じです。
話数も残り少ないので、今回見えた場所からさらに転がるってことは……あんま無いと思いたい。
正直こっから更に一回ししてる余裕はないけど、デュラララなので更に混乱する可能性も否定できんのよね。

そこら辺がどう収まるかは、まだ舞台に上がっていなアクター、特に新羅の物語次第だとは思います。
ここまで描いて気づいたんだが、新羅一応罪歌感染者なのに、それに押し流されず愛を貫いて頑張ること前提に予想を立ててるな、俺……どんだけセル新信頼してるの……。
まぁ作中最狂の愛の戦士が魔剣程度に負けるはずもないので、新羅らしいかっこ悪さと泥臭さで、お嫁さんを取り戻して欲しいところですな。