イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ルパン三世:第23話『世界解剖 前編』感想

2クールに渡ったルパン・リブートも遂にラストエピソード!
ダビンチおじさんの、トチ狂ったイタリア大改造計画始まり始まり~という回だった。
悪人のパーシヴァル課長ぶっ殺したくらいしか悪い子としてないオジサンだったが、エゴで世界を塗りつぶし、世界で一等偉くなった気取りで人類の選別を始めるという、ラスボスに相応しい動きを開始。
お宝でもないし世界平和に興味はないが、大事な女のためにはしっかり戦うルパンの姿も見れて、非常にグッドでした。

遂にラストエピソードが始まったわけですが、ダ・ヴィンチおじさんの煽りも良いし、レベッカのヒロインムーブも良いし、解剖された世界はいい塩梅にサイケだし、これまでの要素を上手く使ったクライマックスだと思いました。
直近でレベッカがどれだけ凡人で、発展途上のフツーの女の子なのかってことをちゃんとやったので、ルパン一味+ニクスが乗り越えたレオナルドの人間試験をパスできない展開、怪盗が取り返すべきお宝としてレベッカが機能する展開が、すっと落ち着く構成になってましたね。
『ルパンはレベッカ絡みだと本気になる』というのは第11話・第12話でもやっていた要素ですが、軽妙な男が軽やかな仕草を壊さないまま見せる本気はやっぱ最高にかっこ良く、何回見ても良いものです。
まぁ僕はレベッカ大好きなので、『レベッカのために熱くなってくれるルパンしゅきぃ……超しゅきぃ……』ってのもあるけどな。

ルパンは超人怪盗のイデアであり、人間とは思えないほどスマートで、かっこ良く、カッコ悪さすらも自分らしく着こなしてしまう、崩すことの出来ない完成された存在です。
シリーズが長年続けば続くほど、ファンのイメージは積み重なり、安易な人間らしさの描写はを『キャラ崩壊』と言われかねない。
ここら辺のややこしさを、あくまでルパン一味の超人生は担保したまま、そこまで強くなれないレベッカ(とニクスの家族)を配置することで、今回うまく回避していました。
精一杯生きているけど困難を乗り越えられない、共感できるヒロインを超人がしっかり拾い上げ、困難を乗り越えられる自分のためではなく、ヒロインのために立ち上がる作りってのは、超越した力を持つキャラクターに当事者性と人間性を持たせる、オーソドックスで強い構図やね。
ここら辺は家族への強い執着を持ち、試験に合格しなかった家族のために激怒するニクスも、同じ構図を借りている感じか。

徹頭徹尾スタイリッシュに、超人たちがしのぎを削る展開もそれはそれで面白いのですが、レベッカに代表される『ルパンにはなれない人』をちゃんとシリーズの要として入れ込み、その成長や変化を切り取りながら進むお話は、展開の幅という意味で豊かさがあります。
一話オムニバスで進めてきたので、とにかく徹底的にルパンがかっこいい話とか、超人的傍観者が人情にふれあう話とか、色んなバリエーションが展開できてたしね。
その上でレベッカというキャラクターを大事に取り扱い、お話の背骨として育て上げた結果、今回ルパンがクールでスマートなまま、クライマックスに本気になるお膳立てがしっかり整ったのは、見事な展開だと思います。
僕が第8話とか第20話みたいな、弱い人達に寄り添う優しいおじさんとしてのルパンが見れる話が特に好みなのもあるけどね。


ラスボスたるダ・ヴィンチはトンチキなこと抜かしつつ、イタリア全土を自分色に染め上げる大迷惑オジサンですが、『とりあえずコイツ止めなきゃ』というスケールの大きさがあって、いいラスボスだと思います。
『HEIWAの新台かよ、チカチカしやがって』というツッコミを入れたくなるイタリアの夢拡散装置とか、奇抜さと時代感を両立させたダ・ヴィンチ工作のデザインが好きです。
ところどころ木製なのが良いですね……思い返すと、2015はデザイン周り良かったなぁ、第21話のインチキJAPANとか。

想像世界の中とはいえ、ルパン一味と得意分野で渡り合うおじさんの強キャラっぷりですが、まぁ万能人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)だからしょうがねぇ。
BOSSが強くないと最終決戦も張り合いがないので、ここで強キャラアピールちゃんとしてくれるのは、話が盛り上がって良いですね。
徹底的に『怪盗』『女に弱い』というルパンのアイデンティティを突っつき、挑戦を受けるモチベーションを高めまくる煽り技術といい、TRPG的には割と理想のラスボス。
モチベーションはキャラクターの内面から生まれるものなので、ちゃんとキャラシートを見て突っつくのは大事だよなぁ……。
最終的にイマジナリーな領域での戦いになりそうですが、第12話見ていても2015のサイケ演出は切れ味が良く、なかなか面白い絵が見れるので楽しみです。

というわけで、しっかりヒロインをピンチに陥れ、ラスボスは主人公が頑張らなきゃいけない理由をどんどん拡大する、良いクライマックスだと思います。
直前にヒロイン描写強化回を入れることで、ルパンのモチベーションに視聴者がぐっと共感しやすくなったのは、良い構成だなぁ。
『ルパンになれないけど、ルパンになりたい、世界一のルパンファン』という、視聴者の代理人でもあるヒロインを、怪盗のイデアは如何に華麗に精神の城から盗み出すのか。
活躍の舞台を準備した万能人は、どれだけ決戦を盛り上げ、どのように退場していくのか。
2015最終話、非常に楽しみです。