イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

デュラララ×2結:第36話『会うは別れの始め』感想

一期と番外編合わせれば合計64話、再放送だけで一年以上埋まっちゃう長い物語も遂に大団円!
いろんなキャラの人生を吸い込む混沌の池袋絵巻、遂に遂に決着であります。
正直むっちゃ強引な部分も感じつつ、各キャラクターの抱えていた未解決の感情には答えが出て終わったので、いい最終話だったと思います。

こんだけ色んなキャラクターが感情のままに突っ走り、複数の物語がゴチャゴチャ絡みながら大暴走してしまうと、どっかで大鉈を振るって話を収めないといけないわけで。
頭に血の上ったボーイズを強制的に一時停止させ、『まぁ落ち着け』と全キャラクターに行ってのけたセルティ完全体の超干渉能力は、まぁ必然的な一手ではあったと思う。
あのまま放っておいたら帝人は自分の頭撃ちぬいて紀田くんは復讐鬼、しずちゃんはイザヤぶっ殺して人間失業という、誰も幸せにならないエンディングだったわけで、セルティの慈愛の心はほんま色んな人を幸せにするで……。

そんなセルティのツンデレ演技を無条件で見抜き、あの場にいた誰よりもノータイムで自分の命をチップに変えて、自分の欲しいものを一気にもぎ取った新羅は、やっぱ俺の好きな男だった。
あそこにシズちゃんがいることが彼がこのお話のラストアクションを決める必然性で、落下死確実な片道飛行を発想できない所が、誠司がセルティを手にいられない理由でもある。
このアニメのキャラクターは多かれすかれキチガイだが、己の狂気と業をより良い方向に導きつつ、自分らしさを誰よりも発揮していたという意味で、新羅は非常にデュラララらしいキャラクターだった。
すっげーキモくて一方的な真意アフレコも『ああ……新羅がいうならそっちが本当だろうな』と思うし、実際そうだしで、勝つべくして勝った愛の戦士といえるだろう。
罪歌憑きというネガティブな要素を、キッチリ逆転の一手に切り替えて終わらせるところも良かったです。
末永くお幸せに。


最初から最後まで首尾一貫していた同級生に対し、イズシザは明暗分かれる形に。
ヴァローナのためにバーサーカースイッチをいれ、彼女の行動でスイッチを切ったシズちゃんの成長と、『取り敢えずEDイザヤでいいや……他誰も出ないでしょ?』とばかりに黄根さんに拾われて終わったイザヤの負け犬っぷりは、小気味いい対比だった。
やっぱ肉体的に殺されて社会的に殺すという、自滅覚悟の相打ち狙いだったわけだが、こっちも不器用な愛が陰謀を打ち砕く形になったね。
シズちゃんの物語はずっと、自分の中の怒りを制御し、誰かのために拳を下ろすことを知る物語だったので、ヴァローナの旅立ちを見送るエンディング含めてとても好きです。
トムさんの短くも的確なトス上げも完璧だったしなぁ……簡勁にキャラクターの行動理由をまとめ上げ、それを必要なキャラに手渡す、感情の翻訳者ってのはやっぱすげー大事な立場よね。
色んな人に恵まれて、自分の中の獣を制御し、強いはずの自分の弱さを知るという良い終わり方だったなぁ、シズちゃん。

んでウザヤはザマァというか、あんだけ面白そうなメンバー集めておいてこの体たらくかよと言いたくなる終わり方。
まーいい目見られたり、黒幕っ面でラスボス張られてもムカつくだけなんで、シズちゃんの壁役として最終決戦に赴いたのは、悪くない動きだった。
勝者であるシズちゃんが人間として完成した以上、敗者であるウザヤが完成できないのは当然であり、クッソみたいな思春期の残滓に心ごと絡めとられて、どこにもいけないまま世の中拗ねているのはヤツらしいといえばらしい。

澱霧にしてもウザヤにしても、ラスボス候補になりそうな奴らが軒並み流れの中で退場して、
結局先生が状況の混乱拡大を引き継いだのはライブ感(婉曲表現)あるところだと思う。
最終的にルリちゃんの救済者になっちゃった鯨木さんにしても、確実にラスボス候補だったと思うけど、話回していく内にどんどん人間味出ちゃって、ただぶっ飛ばされる役では追われなくなっちゃった感じだもんな。
轢き潰されて監禁されて、ぶっ飛ばされる以上に悲惨なミザリーエンドだった先生だが、まぁやって来たことがコトなので、因果応報ですねとしか言いようはねぇ。
末永くお幸せに。


そんな先生にツケの生産を頼まないと綺麗な身になれなかった帝人だが……アイツのウダウダは紀田くんが熱の入った宮野声で顔面ボコボコにした時にだいたい方がついていたと思うので、落ち着いた終わり方になったのは結構納得。
セルティの介入が一手遅かったら、確実に最悪の結末だったってのは秘密だ。
まぁ自分を制御しきれずどこまでも落ちていく帝人くんが僕は好きだったので、身勝手に愚かに大暴走し、色んな人に迷惑かけて逆恨みでぶっ刺されて綺麗になって終わるこのエンディングは、とても彼らしいと思う。

そんな帝人を地獄まで引きずり込んだ青葉は、結構物分かりよく距離を取り、怖いおいちゃんに釘刺されてた。
杏里大事で自分の権益は切り崩すわ、縁もゆかりもない帝人へのプロテクトはやってくれるわ、本当に大事なことをちゃんと確認してくれるは、やっぱ赤林のおいちゃんは最高に頼りになる存在だった。
あまり聞かないタイプながら、最高に存在感があり最高にかっこいい山口勝平だったので、こういう感じのキャラでドンドコ出て欲しいもんだ。
あ、おいちゃんと並ぶくらい最高にお話を整えていたろっちーパイセンに個別エンディングが用意されていないのは、正直お冠です。

杏里は結局帝人のクリティカルなぶつかり合いには間に合ってねーわ、刺された後も決定的なことしねーわで、キチ(ガイ)サー(クル)の姫ポジションは最後まで譲らんかったなぁ。
凡人であることを認められるようになった帝人と、人外であることを受け入れた杏里が対になってくっつく終わり方は、綺麗になっていて好きだけど。
紀田くん自身はろっちーパイセンが色々まとめてくれたし、そもそも黄巾賊事件を収めた時に自分のクエストはかなり解消してんだよな……先週ボコ殴りした時点で、『帝人と向かい合う』というクエストもクリアしたし。
なげー迷い路を歩いた高校生三人も、一応の収まりどころを見つけたようで、それはそれでOKと。
末永くお幸せに。


そんなこんなで、ながーい休憩期間と、ながーい本編を合わせて展開したデュラララ×2、遂に完結です。
キャラクターはどんどん増え、しがらみと感情は収まるどころかどんどんややこしくなり、一時は一体どうなることかと思いましたが、色んな物語的横車を押したりしつつ、自分的にはストンと納得の行く、良い終わり方をしてくれたと思います。
ぐちゃぐちゃに絡まるキャラクターの物語と感情、そこから生み出される混沌と混乱それ自体を楽しんでいたフシもあり、それを煮込みつつなんとかまとめたこのお話、僕はとても好きです。

かなり作画がヘロヘロしたり、一応小説版をラストまで読んでいたはずなのに完全に忘却してたり、それ故毎週目新しい気分でガッツリ楽しめたり、長いだけあって色んな事があったシリーズでした。
アクが強いキャラクターたちが、『自分たちのカルマとどう対処するのか』という共通テーマをしっかりもって、自分のお話を派手目に展開してくれたのが、毎週賑やかで楽しかったです。
やっぱ僕は帝人が好きだなぁ……善意がエゴと絡まりに絡まって、史上最悪のゴミクズ人間になっちゃう因果っぷりは、最高に面倒くさくて好きだった。
他にも好きになれるキャラクターが沢山いて、とても良いアニメでした。
とっても楽しかったです、どうもありがとう。